Lycoris Record : 彼岸花の回顧録 作:フェデラルジオグラフィック
今回の事件は頻繁に場面が変わるので一話一シーンをなるだけ意識してみることにします。
9/7 話の都合上日付を調整(年号を丸一年チョンボと日付の具体化)
戦後からソ連崩壊まで、ソ連あるいはその友好国の思想に共感しその理想を追い求めて過激な行動に出る輩が多数出たことは有名な話である。しかし、自らの理想を求めるがゆえに手段を択ばなくなったのはなにも左だけではなかった…。
1960年6月18日
新緑輝く葉桜の季節、爆弾密造を突き止めたDAはリコリスを派遣して密造場所を襲撃した。
「特に問題なく作戦は完了した。よくやった。下がっていいぞ。」
失礼いたします、と作戦に参加したリコリスが出ていくのを見送ってから、司令は同室していた三つの封筒を持った情報課の要員に話を振る。
「それで、興味深い話というのは?要員から話を聞いていたということは先の作戦の件であることは予想がつくが」
「はい。実は先の爆弾密造拠点で興味深い文書が見つかりまして。こちらが写しになります」
「『全国ドラム罐製造業者一覧表』?会社名と住所が列挙されているだけのように見えるが…やけに東京近辺の住所が多いな。ボイラー屋なら地方にももっとあってしかるべきだろう」
「そうです。流石鋭いお方だ。この名簿、会社名は登記簿にも乗っていないデタラメなものですが、住所には共通点があります。この住所が一番わかりやすいでしょう」
そう言って情報課員は名簿のひとつを指差す。そこにある住所は永田町のお堀端。
「これは…社会文化会館?ということは」
「そうです。この住所録は社会党等の左翼系大物政治家や活動家、主要施設の住所の一覧表です」
「それが右翼の密造所で見つかったということか。要するに連中は左翼のまねごとをしたがっていたということだな。しかしそれだけではただの右翼過激派の話で済むはずだろう。わざわざ君が来た理由は?」
「はい。こちらの資料をご覧ください。これも先の現場で回収されたものです」
そう言うと情報課員はもう一つの封筒を出した。
「今度はなんだ?『自動車整備業者一覧表』?ボイラー屋のことを考えるとこれも会社はデタラメなんだろうが…今度は住所も全国に散っているぞ。一覧表という割には件数が少なすぎるのが気になるぐらいか」
「そちらの住所は少し詳しくないと共通点は見いだせないでしょう。しいて言うならこのへんでしょうか」
情報課員が名簿の一部を撫でる。そこにある住所には
船橋市習志野
大宮市日進町
練馬区大泉学園町
立川市緑町
相模原市南区
と書かれていた。司令が首をかしげていると情報課員が答え述べる。
「これらの共通点は自衛隊の駐屯地からそれほど遠くないということです」
「右翼と自衛隊の一部隊員が接近することは今に始まったことではないはずだ。わざわざ我々が介入するような案件でもあるまい。しばらくの間監視は強化しておくぐらいで構わないか?」
「これが爆弾事件で済むのなら、その対応で十分だったでしょう」
情報課員の表情が変わる。そして最後の封筒から大判の日本地図を取り出して机に広げ始めた。彼はまず函館を指差す。
「十日ほど前の話ですが、最近できた内閣情報調査室が
情報課員は指を南に滑らせる。止まったのは青森の南にある太い線のところ。4と書かれた青い三角がついている。
「そして先日彼女たちが密造現場に踏み込んだのと同じころ、青森と岩手の県境付近の国道四号線でトラックが事故を起こしました。トラックは事故により大爆発を起こし、事故処理にあたっていた現地の駐在警察官が亡くなっております。その後の処理に当たった青森県警によりますと、
情報課員が次に示したのは首都東京である。
「また先ほど先の密造所の情報を連携した際に、警察庁警備局より
「ちょっと待て、君はなんだ?まさか…」
「そのまさかです。
司令はあんぐりと口を開けた。「国士会事件」、今では「三無事件」とも呼ばれる事件が発覚した瞬間である。
リコリス VS 自衛隊 ベタなネタだけど始まります。
え?装備品?61式戦車も64式小銃もない時代だから全部アメリカ製ですよ。
次は永田町の攻防を書く予定。
「首相、ここはひとつ賭けと行きませんか?」