精霊幻想記 捕らわれた白き魔導士   作:hide_hide

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第七話「セリアの懺悔と後悔」

 

(どうすれば・・・・・どうすればいいの?)

 

私は頭が混乱する中で必死に考えた、この国の貴族として、姫様に仕える臣下の1人として

この国の為にレストラシオンの為に何が出来るか必死に考えた・・・・・

 

(何もない・・・・・・・私に出来る事なんて何一つない・・・・・・)

(そもそも私が何も出来ないのはいつもの事なのよね・・・・・・・)

 

そう、私はいつだって何も出来ない、9年前のフローラ様が誘拐された時だって

フローラ様を助けたのはリオであって私は何もしていない

シャルルにリオが拷問された時だって終わってからリオの怪我を癒して彼に謝っただけ

もしあの拷問にリオが屈して偽りの証言を言っていたら彼は殺されて謝る事すら出来なかった

 

学院でリオが同級生達から嫌がらせを受けている時だって私は何もしていない

そして忘れもしないリオが冤罪を受けた時だって私は泣いて謝るだけで何もしなかった

リオにはフローラ様を何度も助けて頂いたのに私は彼に何も返す事が出来なかった

 

それは月日が経ちシャルルと結婚させられそうになった時だってそうだ

リオが来なければ私はシャルルと結婚させられていた

 

そしてリオに助け出されてからもずっとリオに頼りっぱなしだ

リオがいなければアマンドでフローラ様はルシウスに誘拐されていたし

アイシアがいなければレヴァナントによってリーゼロッテ様は殺されていた

私があの場で出来た事は精々負傷者に≪治癒魔法≫ヒール≫をした事だけ

 

領都クレイアで王都から逃亡中のクリスティーナ様とお会いした時だってそうだ

私は自分がクリスティーナ様についていくと言えば必ずリオは協力してくれると分かった上で

付いていくと言った、自分の力じゃどうしようも無い事が分かった上で

自分自身を人質に取った卑怯な手だ

 

リオの事を第一に考えるなら地下室にクリスティーナ様がいたと分かった時点で

私は自分の正体を現さず即座にあの場から撤収するべきだったのに、またリオに甘えてしまった

リオから見ればクリスティーナ様は赤の他人以下の存在でしかないというのに

 

そうして私はリオに甘えに甘え分不相応にも様々な物を手に入れた

クリスティーナ様の補佐官という地位もそうだ、姫様は私・・・・

正確にはリオへの多大な恩に報いる為にレストラシオン内で私を明らかに優遇した

領主の館と同等のお屋敷、そして警備の女性騎士とメイドもだ

本来彼女達は全員クリスティーナ様を警護をしたり身の回りの世話をする為の人間だ

それを私の為に割り当ててくれた

 

そして、補佐官としてロダニアにある全ての施設への無条件の立ち入り許可

第一王女の公印を仕舞った金庫の鍵すら預けられている

 

だからこそ、私は1人でロダニアを抜け出してサラ達のいる岩の家に行く事も出来る

ロダニアにいる貴族の中である意味唯一と言ってもいい行動の自由を与えられているからだ

 

そもそもサラ達との友情だってリオから与えられた物だ

ラティーファの過去とサラ達獣人族に対する我が国の扱いを考えれば

彼女達は私達を嫌悪こそすれ助けるなんて有りあえない

精霊信仰において神に等しい人型精霊であるアイシア

そしてその契約者であるリオの言葉だからこそ彼女達は私に力を貸して協力してくれている

 

(だからこそリオとアイシアの庇護下から一歩でも外に出ると、今みたいに何も出来なくなるんだろうね・・・・・)

 

元々私は何も出来ない、ただリオと言う本物の天才の傍にたまたま運よく居ただけの女でしかない

 

私がアルボー公爵から伝令に指名された理由も今となっては大体分かる

私が姫様の公印をアルボー公爵に売ったとレストラシオン内の貴族達に思わせる為だろう

 

クリスティーナ様の公印を保管している金庫の鍵を持っているのが姫様本人と私だけだからだ

姫様が私に託した最上級の信頼の証・・・・・正確には姫様は既に忘れてしまったが

リオへの信頼と感謝・・・・そして懺悔の証だ

 

恐らくアルボー公爵は私が姫様の公印を売り渡した証拠を作っているんでしょうね・・・・・

彼は事実上この国のトップだ、ハッキリ言えば彼が話した言葉がこの国では事実になる

 

もし姫様が書簡の偽造を申し立てても恐らくあの書簡は本物だと言われるか

私が偽造した犯人にされるかの2択でしか無い

 

そしてアイシアがここまで来て助け出してくれたとしても私がここから逃げた時点で

一族全員反逆罪で死刑になる

 

本当にどうしようも無い状況だ・・・・・・・・・・・

 

賢神リーナに与えられた分不相応な力に自惚れてのこのこ1人でここに来た結果がこれか・・・・・・

自分の無能さに呆れて何も言えないわ・・・・・・

 

(リオやアイシアが私達に協力してくれたらこんな事にはなってないんでしょうね・・・・)

 

リオは本当に頭が良い、私みたいに勉強しか取り柄が無い女と違って本当に色々な事を考えながら行動している

 

でもそれは叶わぬ願いだ、この国のリオに対する仕打ちがそうさせた

リオはベルトラム王国の存亡に全く興味が無い

だからレストラシオンの内情にも全く興味が無いのだ

彼からレストラシオンの内情を聞かれた事は一度も無いし、彼が調べようとしたことも一度も無い

 

クリスティーナ様の紋章が刻まれたブローチを見せれば大抵の情報は手に入れる事が可能だが

あの国の貴族に必要も無いのに関わろうとした事は今まで一度も無い

 

それが分かっているからクリスティーナ様はリオの屋敷に来る事を話しかけるのを

常に遠慮しているのだろうフローラ様はリオと会いたがっているし

来て良いかと尋ねれば良いと言ってくれる

でも、リオの方から姫様達を誘った事は今まで一度として無い

 

それはクレール伯爵家も同様だ・・・恐らくリオは私の母の名前すら知らないだろう

リオもアイシアもこの国の人間を私とそれ以外で明確に分けている

クリスティーナ様とフローラ様が行方不明になった時だってアイシアは全く気にしていなかった

勿論リオやアイシアが薄情という訳では無い、この国の全ての貴族を嫌悪するに十分過ぎる事を

私達はやったのだから当たり前だ、今この状況は自分達の自業自得による結果でしかない・・・・

 

 

そうして私が自己嫌悪に陥っている間に

 

 

カツンカツンカツン

誰かがこの地下牢に近づいて来る音が聞こえる

さっき隷属の首輪一式を取りに行った騎士がもう戻ってきたのかしら・・・

幾ら何でも早すぎるわね

 

(つまり最初から全部用意してたって訳ね・・・・・)

 

もうすぐ私は伯爵家の長女から、アルボー公爵家が所有する備品の1つになる

かつての結婚式は人生の終わりと思えたが今は人間としての終わりが近づいている

 

そうして現れたのは先程の男性騎士・・・・名前はゲオルグと言ったかしら

他に首輪を付けた2名のメイドが居た

それはかつてロダニアで私の屋敷で働いていたアンジェラとソフィの親子2人だった

そしてアンジェラとソフィはアルボー公爵の前で跪き

 

「お待たせいたしましたご主人様、こちらが隷属の首輪と奴隷契約書になります」

 

「ご苦労、じゃあセリア君、早速で悪いがこの契約書にサインをしてもらうよ?、マリア君、セリア君の首の縄と首輪を外してあげなさい」

 

「どうして・・・どうしてアンジェラさんとソフィがここに?それになんで隷属の首輪をつけてるの?」

 

「セリア様・・・・・・」

 

アンジェラさんとソフィは牢屋の中で奴隷服を着て首に縄をかけられた女性が私である事に気づいたのか驚いたような目で声を出した

 

「ほう?どうしてか・・・・・・ではアンジェラ、ソフィなぜここにいるのか説明しなさい」

 

「畏まりました、ご主人様」

 

そう言うとアンジェラさんとソフィは跪いたまま

 

「私達親子は、ベルトラム王国の貴族の家に生まれたにも関わらずお国に仇なす反乱軍に所属し

恐れ多くも王家引いてはお国に弓を引く愚行を犯しました」

「また今日まで本国の皆様方に反乱軍の情報を報告する義務を怠り我が国に多大な損失を与えましたご主人様はそんな愚かな私達に罪を償う機会をお与えくださいました」

 

そう何度もそう言わされてきたのが分かるかの様に2人は綺麗に声を揃えて答えた

 

「仕方が無いさセリア、君たち反乱軍の貴族達は使用人やメイド、そして領民まで全員見捨てて

自分達だけガルアーク王国に逃げてしまったのだからね、平民に罪は無い以上残された彼女達が責任を取るしか無いんだよ」

 

(なるほど・・・・ロダニアを占領した後貴族街に残っていた住人は全員人質か奴隷にしたのね)

 

しかしシャルルの言う、全てを見捨てて自分達だけ逃げ出したって言葉には反論すら出来ない

そうして自分達を見捨てて逃げた元主の女が2週間も経たずに奴隷服を着て

牢屋に居たら2人も驚くわよね自分の事ながら呆れてしまった

 

そうして鉄格子の下部・・・恐らく食事の出し入れをする窓から隷属の首輪と奴隷契約書と筆記用具が入れられた

 

私はそれらを手に取り、内容を確認してサインをした

勿論奴隷になる事に納得している訳では無いが

今私が奴隷にならなければ間違いなくお父様やお母様だけでは無く

私の血縁者全てが殺されてしまう

多分最初に殺されるのは目の前にいるアンジェラとソフィなんでしょうね・・・・・

そうして私は隷属の首輪を身に着けた

即座に術式が発動して私にアルボー公爵への強い忠誠心が強要される

 

(間違いなくレイスが絡んでるわね、ガルアーク王城襲撃の時と同じ・・・・本当に徹底してリオとアイシアへの人質として私を使うつもりなのね)

 

「そうそう、このチョーカーを身に付けさせてこの薬をセリア君に飲ませて下さいませんか?勿論アルボー公爵の悪いようにはなりませんよ?」

 

突然レイスがそんな事を言い出し薬とチョーカーを差し出した、薬は緑色の飲んだら怪しそうな物で

チョーカーは何やら精霊石らしき物が埋め込まれている・・・・なんらかの魔道具みたいだ

 

「ふむ・・・・・分かったセリア君、レイス殿の言う通りにしなさい、それとアンジェラとソフィもう下がって良いぞ」

 

アルボー公爵は少し考えてからレイスの指示通りにしろと私に命じ2人を下がらせた

 

「畏まりました、ご主人様」

 

アンジェラさんソフィは声を揃えて新しい主人となったアルボー公爵へ頭を下げて私の前から退席していった

 

アルボー公爵の悪いようにはならないと言う事は私にとって悪い事はあり得る訳だが

当然ながら私のそんな意思は無視されている

 

(これ本当に飲んでも大丈夫なのよね?)

 

ほぼ間違いなくさっき私が失禁するまで嬲られたのはレイスの指示による物だろう

その彼に説明も無し渡された魔道具と飲み薬など正直どんな効果があるか分からない

しかしアルボー公爵に飲めと言われればどんな物であろうと私は飲まなければならない

私は既に彼の所有物でしかないのだから

 

少しだけ悩み・・・・私はチョーカーを身に着けてからこの怪しい薬を飲んだ

 

薬を飲んでしばらくしたら

 

(体が・・・・・動かない??)

 

体が一切動かせなくなりその後急激な眠気に襲われ私はそのまま意識を失った

 

 

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