吸血姫絶唱シンフォキバ   作:イビルジョーカー

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亀更新ですみません(汗)

見たいアニメで手が付けられないとか、軽くスランプ的だったり、果ては
ニコニコ動画で夢中になったりと。

その他諸々の事情で遅くなってしまいました(大汗)

できるだけ早く更新できるよう務めます。


第9話 魔笛/病棟戦線 後編

 

 

 

サガの鎧。それはファンガイアが製作し保有する3種類の鎧の中で一番

古い『最初の鎧』である。

 

魔界制覇を成し遂げる為、ファンガイア族の初代キングは、まだ未熟だ

った自らの力を補うことを目的に作り出したのが当初の目的だった。そ

の後、戦魔大乱におけるファンガイアとレジェンドルガの魔界制覇を賭

けた最後の戦いでは、レジェンドルガの王を確実に打ち倒すべく『闇の

キバ』を冠するダークキバの鎧が鋳造された。

 

最強の宿敵レジェンドルガを傘下に収め、魔界制覇を成し遂げたファン

ガイア族は、自分たちと他のダークフリークスにとってのより良い文明

を創る為に『魔の掟』を定めた。そして、その掟を犯した者を罰する為

に『サガの鎧』に改良を加え、法の番人としての使命を授けることで生

まれ変わらせたのだ。

 

「はあァァッッ!!」

 

『フン、ハァァッ!』

 

サガの専用武器『ジャコーダー』を剣としての側面を持つ『ジャコーダ

ーロッド』を振るい、その独特のフェンシングスタイルような戦法で蝉

を彷彿とさせるノイズゴースト『アブノーバス』と互角を張るほどの戦

いぶりをサガは見せていた。

 

アブノーバスは、両手の甲の手首から白銀の杭『シルバーパイルム』を

射出し、サガの心臓を狙おうとするが、それを未来は『ジャコーダービ

ュート』と呼ばれるジャコーダーの鞭形態で絡め取り、そのまま自分の

後方へと投げ飛ばした。

 

『うぐっ!』

 

後方へと投げ飛ばされたアブノーバスは、そのまま地面へと叩き落され

る結果になり、少しばかり苦悶の声を漏らす。

 

だが、そんなことなど知ったことか、と。

 

ジャコーダービュートで今度は全身を縛り上げたサガは、魔皇力を少し

送り込み鞭状の刀身を爆発させた。

 

『ぐぬゥゥゥゥッッッ!!』

 

「起きなさい。この程度で済ませるとでも思ってるの?」

 

自らに仇名す者や掟の違反者を冷酷なまでに甚振り処刑する……現在の

サガの継承者たるクイーン『小日向未来』のその姿から、多くの悪魔や

ダークフリークスは彼女のことをこう呼ぶ。

 

『拷問女王(トーメント・クイーン)』。

 

その恐怖は、まさしく『悪魔よりも遥かに上に立つほど』と言わしめる

ほど。

 

だがアブノーバスは彼女に恐怖を感じるどころか、むしろ真逆の感情で

ある憤怒を爆発させ、未来に迫る。

 

『調子に乗るなァァッ! クイーンの小娘がァァァッッッ!!』

 

「その小娘の手で貴方は滅ぶのよ」

 

殺気と怒気をフルに全開しながら肉薄するアブノーバスに動じることも

、ましてや臆すこともせずに未来は白いフエッスルを取り出しサガーク

の口部へと挿入。

 

『ウエイク・アップ』

 

サガークより放たれた言葉は、サガの力を解放させる覚醒の狼煙。

 

自然の闇夜は、キバと同じようにサガが発生させた闇夜によって上書き

されていき、魔の夜空に三日月が勝利の印とでも言わんばかりに光り輝

いていた。

 

それに呼応するかのようにジャコーダーロッドの刀身が紅く輝き始め、

ジャコーダービュートとなって一直線にアブノーバスを貫いた。

 

『ぐがァァッ?!』

 

「フッ!」

 

軽く息を吐き出し、頭上へと展開された巨大な紅きキバの紋章へと飛び

込み再び戻って来る。

 

その際、ジャコーダービュートによって貫かれたままのアブノーバスは

宙へと吊り下げられる形となり、それが彼を苦しめる激痛を更に過激な

ものへと変貌させる。

 

『ぐゥゥゥーーーーーーーーーーー、アアアアアアアアアアアアアアア

アアアアアアアアアアアーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!』

 

「ふふっ、良い声で泣き叫ぶんだね。いいよ。もっと聞かせてよ」

 

他者の苦痛を肴に悦に浸るその笑みは、まさしく悪魔以上と言わしめる

ほどに凄まじいものだった。

 

『ガァァァァーーーーーッッ! き、貴様ァァ………』

 

「そろそろ潮時ね」

 

ジャコーダーに自らの魔皇力を送り込む。送り込まれた魔皇力はジャコ

ーダーの力によって増幅されアブノーバスの体内へと注入されることに

なる。

 

そして運命の蛇の魔皇力が裁かれるべき罪人の命を喰らう。

 

「スネーキング・デスブレイク」

 

その言葉が引き金となり、アブノーバスの身体は無残にも爆散し果てた

 

 

 

 

 

 

 

未来とアブノーバスの戦いが幕を閉じた一方、オクトラーケとキャット

ルクたちによる攻防はキバ一人であるものの、かなり善戦していた。

 

「シャァァッ!」

 

「フシャッ!」

 

2体のキャットルク『ミーチェア』と『ラーチェア』は両手を猫の爪の

形をした剣へと変化させ、俊足と分身技を生かしたトリッキーな戦法で

キバを追い詰めようとした。

 

「無駄だ。既に見切った」

 

しかしそれを意に介すことなく、自身の魔皇力が篭った拳の連撃を分身

の中に紛れ込んだミーチェアとラーチェアへ食らわせ、その戦法を見事

に打ち破ってみせた。

 

「な、何故……」

 

「ば、バレたの……ニャ」

 

分身技は『化け猫』の伝承を残すキャットルクだけに、高性能なもの。

 

いかに幻術の感知に優れたダークフリークスでも見破るのは至難の業だ

 

しかしキバはこれを容易く破って見せた。

 

「簡単だ。貴様等の見せた幻術の完成度は中々だが、本体と分身とで動

作速度に誤差が生じ過ぎてる。少し程度ならまだ気付けなかったが……

さすがにそこまで酷過ぎれば嫌でも気付く」

 

簡単な話しだ。

 

動作の一つ一つを行使した場合、本物が鈍かったとして、偽者が速い。

 

大勢の敵がいて、その中でただ一人だけ動きの速さが違う者がいれば、

違和感を覚えてしまうのは当然のことだ。

 

「せっかくだ。こちらも俊足を扱ったスピード戦と行こうか」

 

そう言ってキバは、フエスロットから『青いフエッスル』を取り出すと

、キバットにセットする形でその音色を吹かせる。

 

「ガルル・セイバー!」

 

紡がれ解き放たれるは蒼の旋律。それを遠くから聞き取ったのは……。

 

 

 

 

 

 

 

「……出番か……」

 

青いフエッスルから解き放たれた音色。

 

聞き取りしは蒼き人狼の従者たる少年、狼村一夏。

 

彼を含め、明久。静雄。マカ。この4人は音夜の考案した作戦上、特に

出る幕もないという為、万が一に備えて豪華な居間の一室で待機してい

た。

 

そして今、退屈な時間から解かれる時が来た。

 

「あ~~あ、できれば僕が行きたかったなぁ」

 

「まっ。今回は一夏に譲るわ」

 

「おい一夏、手加減なんてするんじゃねぇぞ。俺達に喧嘩売った奴等だ

……細切れ以上にしてやれ!」

 

3人からの声援を受け、一夏は不敵な笑みを浮かべる。

 

「任せろ。狼の主に楯突いた以上、この俺が落とし前をつけさせてやる

!!」

 

一夏の猛る感情に呼応するかのように、身体から青い炎のような魔皇力

のオーラが、まるで幻影のように揺らめきを放つようにして現れる。

 

そして狼のような鳴き声と共に人狼を象った『彫像形態』へと変化し、

そのまま頭上に展開されていた青い魔方陣に吸い寄せられていき、主人

の下へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

青いフエッスル『ガルル・フエッスル』を鳴らしてから数秒後。

 

キバの頭上に青い魔方陣が展開し、そこから出現されたガルルの彫像形

態を手に取る。

 

キバが彫像形態のガルルを手に取ったことで、彫像形態は次第に変形し

ていき、最後には一本の剣となった。

 

『魔獣剣ガルルセイバー』。

 

キバとの絆の証として『闇の盟約』を交わし、キバの武器へと変身する

力を得たガルル自身が魔工器へと変身する剣の銘。

 

その力は満月の夜に振るえば、小山程度なら一刀両断してしまうと謳わ

れるほどの強力さを秘めている。

 

しかし、これで終わりではない。

 

ガルルセイバーを手にしたことで響の左腕と胸部が無数の鎖に包まれ、

やがて解放されると同時に、『狼の毛皮と腕』を意匠とした蒼き左腕と

『狼の牙』を模したかのような蒼き胸部『ガルルコバルト』へと変化を

遂げた。

 

更にそれで終わりではなく、ガルルの幻影が響の中へと吸い込まれてい

き、その瞳を左腕と同じガルルコバルトへと染めていく。

 

「ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛………ガルワア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

 

蒼き魔皇力のオーラを吹き上げ、獣の如く咆哮を上げガルルセイバーを

振るうキバ・ガルルフォーム。すぐさま反撃しようとするミーチェアだ

ったが、手を打つ前に狼の刃が彼女を無残に切り裂いた。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーッッッッ!!!!」

 

断末魔の叫びを上げ、その身を無残に爆散するミーチェアの姿。

 

その凄惨な光景を活目し、キバに対して憤怒の情念を覚える前にラーチ

ェア自身が狼の牙たるガルルセイバーの餌食と化してしまっていた。

 

「そ、そんな……早……過ぎる……ッッ!」

 

あまりに速過ぎる。そうとしか思えないほどのスピードでラーチェアと

ミーチェアの2体を葬り去ったキバ。続けてオクトラーケを切り裂こう

とするが、その前にオクトラーケの触手がキバを雁字搦めのように締め

上げた。

 

「そのまま潰してやる!」

 

「残念だが、そうは問屋が卸さないんだよ!」

 

触手に囚われる寸前、キバのベルトから離れていたキバットが触手を鋭

利な両翼でバラバラに切り裂き、キバをオクトラーケの束縛から解放し

た。

 

「うぐっ……き、貴様等ァァァ」

 

「悪いが、貴様の穢れ切った欲望もここまでだ」

 

キバは宣言と共に足元に紅い魔方陣を展開し、魔皇力共鳴を行う。

 

「ガルル、バイトッ!」

 

本来ならばキバットが魔工器に噛み付き活性魔皇力を注入することで行

使される技『バイト』。

 

しかし、キバットの場合はあくまでも『活性魔皇力を注ぎ、魔皇器の力

をコントロールすることで上昇させる』というもの。これに対し魔皇力

共鳴の場合は『魔工器と使い手の魔皇力を同調し融合させることで両者

の力を極限まで高める』もの。

 

つまりキバットのバイトが力を一から十まで上げるものだとすれば、魔

皇力共鳴のバイトは、その倍になる一から五十までの力の上昇を可能と

するのだ。

 

魔皇力共鳴の影響によってキバのガルルコバルトは、より一層と鋭さを

増したような変化を見せ、髪も青天を思わせるかのような蒼一色へと変

貌した。

 

「フッ!」

 

キバはガルルセイバーの柄の部分を口で咥え、右足を大きく上げ落とす

。そして両腕はまるで獣のそれを思わせるように指を曲げ、荒々しさを

表している。

 

そして、大きく跳躍を果たす。

 

「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

オオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!!!」

 

蒼炎の如きオーラに包まれながら、キバは口に咥えられたガルルセイバ

ーの刃を、オクトラーケへと一気に叩き落した。

 

「ぐがっ! があああああああああああああああああああああああああ

あああああーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!」

 

断末魔の叫びを上げ、深く切り裂かれた胴部と腹部から深緑色の鮮血が

噴き出し、オクトラーケを死の色に染め上げた。

 

「……こ、この私が……まだ、まだ食べ足りなかった……のに……」

 

ガルルセイバーの刃によって死の宣告を言い渡されたオクトラーケは、

人間としての姿である藤雄の姿へと変化し、まるで慈悲を請い求める貧

者のようにキバの前へと、弱々しい手を翳す。

 

「人と魔の超えてはならぬ一線……その一線を越えた者に対しての王の

処罰だ。甘んじて受けろ」

 

そう言い残し、藤雄に背を向けるキバ。やがて一定の距離まで下がると

藤雄は再びオクトラーケへと変貌し、抵抗の意を見せることなく爆散し

果てた。

 

 

 

 






次回はついに翼さん登場の回になります!
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