作者「今年は映画が色々と面白かった! けっこー見た! そしてアニメも
個人的に注目できるものばかり! 故に、遅くなってしまった!! しかも
予想以上に短い!」
響「早めにさっさと更新して下さいよ?!」
そんなこんなで一ヶ月の更新不通すみません(汗) できるだけ早く更新した
い所存です。ちなみにドライブの映画見てきて、色々とインスピレーション
と意欲を貰いました。これを生かして今後も更新して行きたいと思います!
そして……やっとクリス出せたァァァァァァァァァァーーーーーーーーーー
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というわけで、クリス出ます!(最後らへんですけど)
冥府。古来より日本では『黄泉の国』と称される地球の中に存在する位相次元空間。地球に生命が
繁栄し始めた頃から地球の生命のライフエナジーが集まり、冥府の一部となることで地球そのもの
を支えている。
その冥府の世界を根城とし、暗躍する者たちがいる……その名は『ゴースト族』。
「レジェンドルガ………ふ~ん。あの連中が私達に手を貸すなんて、どういうつもりかしら?」
「その真意は図りかねますが、奴等のおかげで魔界の方にもデヴィルムの増加と活発化を促せたの
は事実。そこは感謝せねばならぬでしょう」
「それに5代目と6代目ファンガイア王の墓の強力な封印を解き、暴いてくれました。そこもお忘
れなき故」
「……しかし解せんな蛾式。墓なんぞ暴いて何に成る?」
ゴーストの長である仮面の少女『冥姫』を中心に、取り囲むような配置で重要な会議を行う蛾式と
狼鳥式、鳥式の以上3名の幹部クラスたち。その中の一角たる狼鳥式は、わざわざ何も強奪せず、
二人のファンガイア王が眠る墓を荒らし暴いたことに疑問の声を上げた。
「念の為の牽制だ。あの場所の強固且つ、超高難易度の結界術式は他でもない、かのドラキュラ王
が造り上げたもの。と、すればアレを解いた我々をそう易く見ることは無いだろう。それにあの場
にレジェンドルガの魔皇力をワザと漂わせたのだ。奴等は『我々とレジェンドルガが同盟関係にあ
るもの』と勘ぐる筈。奴等の警戒心を煽り、こちらへの手出しを少しでも減らせれば都合が良い」
「なるほど。道理に適ってはいるが生温い。腑抜けになったとは言え、相手は魔界を制覇したかの
13魔族の一角。徹底的にやらねば奴等の方から打って出てくるぞ!」
多数の目を不気味に張り付かせた翼を広げ、漆黒の魔皇力を殺気の如く放出する狼鳥式。彼の発言
は彼自身の性分たる『力押し』に準ずるものだろう。しかし、そんな考えを蛾式は躊躇なく否定し
た。
「無用な力押しで奴等に損害を与えては、更なる結束力を与えかねん。まだライフエナジーが十分
に集まっていないのだぞ?」
「……蛾式殿の言う通りです。ここはライフエナジーが自然に集まるとは言え、すぐに冥府の一部
となってしまいます故。つまり、ライフエナジーを集めるには生きた人間から直接搾取する必要性
があります故。何が言いたいかと申されれば……」
「ライフエナジーの収集には時間と手間が掛かる。人間世界のファンガイア勢力を日本に集中させ
ないよう、世界中でデヴィルムの活性化を促したのはその為だ。全ては計画の為に動いている。あ
まり勝手な行動は控えて欲しいな」
ただ一つの有無をも言わせない、そんな重厚を孕んだ厳格的な声で抑制を促す蛾式の姿に何も言え
ず、狼鳥式は黙る他に選択肢など存在していなかった。
「……チッ」
せめてもの抵抗。そう思っての舌打ちだが、所詮無意味な行為に過ぎない。
「さて。連中はどう出るつもりかな?」
そんな蛾式の言葉が、ただ虚空に響き、冥府の闇へと消えていった。
「ハアアッ!」
白銀に煌く刃…『天ノ羽々斬』の切っ先が滑らかな曲線を描き、ブドウのような形状のノイズを
切り裂く。それを見て、他のノイズたちは一斉に天ノ羽々斬装者である風鳴翼へと迫る。しかし
それを妨害するように降り注ぐ雷光。その発生源であるルーク継承者の天羽奏は、その姿を獅子
を彷彿とさせるライオンファンガイアとなり、その豪腕でノイズの群れの一体一体を引き千切る
ようにして殲滅していく。
そしてそれほどの時間を要さず、僅か10分で現場にいるノイズの殲滅を完遂させた。
「うしっ! 今日も絶好調だな」
「ええ、これも奏と貴方のおかげよ。キバ」
「……そんなことはない」
素直な翼からの礼にキバは少し顔を赤らめながら、できるだけ素っ気無く返答する。
しかし反応が反応である為、内心は嬉しがっているということがバレバレである。
あのPsとの戦いを通して以降、今まで異様に警戒し怨敵を見るような目で馴れ合いを拒んでい
た翼だったが、現在は軟化してそれなりに良好な関係を紡いでいる。
「それにしてもアレだな。ノイズどもの発生する頻度がまた多くなって来てる」
奏の言葉に内心二人も同意していた。ノイズはその発生のメカニズムは一切不明で明確的な情報
がないに等しく、ただ突然現れては人を炭化させて殺すということしか分かっていない。そんな
ノイズだが、現れる確率は実際のところ、通り魔に遭遇する確率より低いのが現実だった。とは
言え、最近になってからその確率も急上昇して来た為、世間ではノイズの厳重警戒が呼びかけて
られている。
「あっ……ぐうゥッ! だ、誰がぁぁッ!」
ふと、1人のサラリーマンの男性が声を苦悶の声を上げながら、フラフラとした足取りで近くに
あったビルとビルの間から姿を現した。逃げ遅れた民間人と思い、すぐさま三人は駆け寄った。
「おい! 大丈夫かアンタ!」
倒れそうになったところを奏が介抱し、男性に呼びかける。男性は目の焦点が合っておらず、呼
吸も過呼吸状態で呂律がうまく回らないのか…必死に喋ろうとしているようだが呻き声しか出せ
ていなかった。
「あっ……だ…だじげて……ぐる………」
救いを乞う言葉が、男性の最後の遺言となった。
男性の肉体は衣服のみを残して赤黒く、まるで泥のように溶けてしまったのだ。
あまりに唐突でおぞましいその光景を間近で見てしまった3人は、驚愕と嫌悪感を顔に張り付か
せた。これが一般人なら、決して平静さを保っていられる代物ではないだろう。だが、幾つもの
修羅場を潜り抜けて来た歴戦の戦士たる彼女等には誰かの死というものは慣れないにしろ、正気
を失い取り乱すまでには至らない。
「人が……溶けるだとっ?!」
「ダークフリークスだっ! 注意しろ!!」
人間が骨も残さずドロドロの赤黒い液状と化して溶けるなど、どう考えてもありえない。強塩基
でも大量に使わなければ溶けないし、そもそも、やろうとすれば多量の煙と強烈な悪臭が発生し
てしまうものだ。
しかし、男性には悪臭も煙もなかった。
科学的観点から見ても異様且つ説明がつかないとあれば、闇に属する者たち……すなわちキバや
ルークのような『ダークフリークス』以外に考えられない。
そしてキバは確かに見た。こちらを見下ろす人影がビルの屋上から静かに佇む光景を。
「あいつかっ!」
驚異的なジャンプ力をもって、すぐさまそのビルの屋上へと移動するも、キバが辿り着いたビル
の屋上には何もなかった。
「(くそっ! 逃げられたか。だが見た瞬間に感じたあの気配、ダークフリークスで間違いなさ
そうだな)」
それは一つの確信であると同時に、また新たなる『魔』の絡んだ事件の臭いを漂わせた。
「ふ~む。なるほど、確かに異様だな」
リディアン音楽院の地下深くに存在する二課本部へと戻った3人は、ファンガイアや二課の事後
処理班に後を任せ、司令である弦十郎へと事件の事柄を報告。報告の詳細を聞いた弦十郎は、ま
さに驚愕に顔を染め、今回起きた事件を『異様』と称した。
本部の司令室にはいつものオペレーター組である二人と、そして翼のマネージャーである緒川。
そして櫻井了子と響たちの面々で既に揃っていた。
「やっぱり、ダークフリークス……の仕業でしょうかね?」
「十中八九間違ない。大体、人間が骨さえ残さず溶けるなんてありないって」
あおいの言葉を奏が断言する。その言い分は尤もであり、この世の道理や条理では説明が付かな
い事実でもあるのだ。
「でも、犯人がダークフリークスだったとして、何故人を溶かす必要があるのか……問題はそこ
ですね」
響は犯人に対する嫌悪感を隠さず、むしろ露骨に滲ませながらこの事件の問題点を指摘する。そ
もそもダークフリークスが人間が襲う最大の要因は、人間の血肉が美味であり、そのライフエナ
ジーが自らかの魔皇力を高めてくれるドラッグに等しいからだ。
生き物として食事の悦楽を求め、同時に力をも求める。そういう輩にとって人間とは至高且つ、
都合の良いものなのだ。だが、今回の一件では人が食われたのではなく、溶かされた。溶かして
一体何のメリットに繋がるのか分からないと言う事が、響たちの頭を悩ませる問題となっている
のだから始末に終えない。
「……もしかして、ただ殺しが好きだっただけじゃないのか?」
食糧目的ではなく、殺す行為に道楽を求め殺す。確固たる証拠はないが、今回の犯人について奏
はそう思った。相手を溶かし殺すという残虐な行為に道楽的感覚を持ち、それを満たす為に行動
を起こしたと考えるなら納得のいく理由にはなる。現にそういう風な性質のデヴィルムは五萬と
いるし、何らおかしくはない。むしろ良い線だと言える。
「とりあえず動機はともあれ、あんな恐ろしいことをした犯人を一刻も早く特定しないと。これ
以上犠牲者を増やすわけにはいかない……」
強く、そして静かに怒りを燃焼しながら震える拳を固める。どんな理由があろうと、人間をあの
ような形で無残に命を奪う行為などあってはならない。無論それは響だけでなく、この場にいる
全員が持つ統一的意志だ。
「響様! 思念鑑定の結果が出ました!」
ふと、1人の黒服スーツの女性が司令室へと入って来た。彼女は二課の者……どころか人間では
なくチェックメイトシックスのナイトが管轄としている軍事組織『ストリゴイ』に所属する女性
ファンガイアだ。
「ありがとうございます!」
「お、恐れ入ります。しかしながら事件に関する情報はあまりないかと……」
女性ファンガイアはボタンの付いた茶封筒の保存袋を響に渡しつつ、少し言い難そうに答える。
それについて響はまったく気に障ることなく、むしろ感謝の言葉を述べる。ちなみに先程女性が
言った『思念鑑定』という言葉だが、文字通り『残留した死後の思念を調べる』事を言う。
そこから殺された被害者が一体どういった犯人に殺害されたのか、あるいは他にも犯人に関する
情報が分かるかもしれないのだ。
そんなわけで封筒を開き、中に入っていた一枚の紙を取り出す響の目に思念鑑定の結果が映る。
『ストリゴイ鑑定研究部による思念鑑定の結果報告書』
肉体が融解して死亡した男性の残留思念は極めて不安定な物であれど、微細で念入りな検査に
よって何とか読み取ることに成功。しかし男性を殺害したとされる犯人の人物の姿とどうのよう
な殺害方法で溶かされたのかは不明。だが被害者の男性が生前あるレストランに通っていた事。
そのレストランのオーナーらしき人物との友好的な交流関係があった事が判明。
レストランの名は『シャルティーン』
この二点が事件の解決に繋がるかどうかの可能性は明確には断言し切れない。しかし一応は参考
になるかもしれないと思われる。
「シャルティーン……」
報告書に記載されていたレストランの名を復唱するように呟く響。今回の事件についての関与は
、現段階において不明であることには違いない。が、それでも確認してみないことには始まらな
い。
「ほう、君が私の護衛を担ってくれるのかね?」
「ああ。こっちとら不本意だが、上司の命令でね」
薄暗い一室にて、少女らしき人影と男性らしき人影がそんな会話を興じながら隠密に事を進めて
いた。
「上司……確かフィーネとか言ったな。言葉から察するに彼女の部下と捉えて問題ないかな?」
「んなことはどーでもいいんだよ。ただこっちはこっちの目的でアンタを守るだけだ。お互いビ
ジネスライクと行こうじゃないか」
「ふむ。そうだな。では、改めて頼りにさせてもらうとするよ『雪音クリス』」
男はまさしく腹に一物ありそうな黒い笑みを浮べて、眼前に立つ少女の名をその口から漏らした
。