吸血姫絶唱シンフォキバ   作:イビルジョーカー

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 2016年の8月から、年を越しての2017年の4月投稿という亀更新。

 本当にすみません(汗)。

 いよいよ今年の夏、シンフォギア4期が始まりますね。

 色々と楽しみで仕方ありません。







第21話 浪漫飛行/雲の上の決戦 後編

 

 

 

 

 

 

 空。

 

 それは翼を与えられた者だけの聖域……しかし、何事もイレギュラーは存在する。

 

 その身に翼は無いが同等の『技』をもってして空の領域を獲得した人類。

 

 しかし、その人類に比べれば更なる高みに位置する『空の技』を有する者たちがいる。

 

 それこそが魔界の闇に生きる者たち『ダークフリークス』。

 

 特に13魔族の一角たるドラン族とリュプス族は空の覇者と謳われるほどに優れており、両者は魔界の空をかけて日夜争いが絶えなかったと言う。

 

 そんな彼等を両者諸共に相手取り、見事下せた者がいた。

 

 13魔族の頂点となり、魔界全土を統治とする事に成功した『ファンガイア族』。

 

 そのキングの称号を持つ『初代ファンガイア王 ウラド・ドラキュラ』その人だ。

 

 そしてかの魔王の血を受け継ぐ現ファイガイア王である音夜は今、単身ゴースト族の幽霊船へと乗り込み、その甲板上でゴースト族の幹部『狼鳥式』と相対していた。

 

「狼鳥式…だっけか? 随分と威勢が良いな。ちと気が立ってる俺等に喧嘩売るとはよ…」

 

「ほぞくな現代のキング。貴様と娘……キングに連なる者等の首は我等が貰い受ける!」

 

 互いに口上を述べつつ、後はもう言葉要らず。繰り出される蹴りと拳の攻防戦が幕を開けた。

 

「おりゃッ!」

 

「フンッ!」

 

 先手は音夜。人間の姿でありながら並み以上のダークフリークスを軽く吹き飛ばすほどの威力を込めた掌抵の一撃。しかし、それを狼鳥式は無数の鴉へと変貌を遂げ回避。すぐにまた本来の姿へと戻る。

 

 両者一歩も引かぬ戦いがそこにあった。

 

「しかし、解せんな。他の連中はどうした? 何なら総力を挙げて叩きに来ても構わんぞ?」

 

「ヘッ。いらねーよ、そんなもん。テメェー等を始末するのは俺だけで十分だ」

 

「吠えたな、キング!」

 

 激昂の言葉と共に両手に漆黒の色彩に染まった鳥翼のような意匠を有する刀身の双剣を収め、その剣から疾風を巻き起こらせる。

 

「ぐっ!」

 

 その風圧はまさに凶器そのものだった。これが人間…いや並のファンガイアでさえ一度喰らえば皮膚や肉が削がれ、骨が無残に粉砕されてしまう程の威力。

 

 だが、キングたる音夜はこれを少々のダメージにのみ抑えた。

 

 そして今度はこちらの番とでも言わんばかりに自身の頭上周辺、そこに魔皇力で生成した無数の剣を召喚。狙いを定め狼鳥式へと解き放った。

 

 風を物ともせず、いや、それこそ風を切り裂きながら狼鳥式へと向う魔皇力の刃の群れは10本ある内の3本が狼鳥式の両肩、右の脇腹へと突き刺さる!

 

「ぐぬゥゥッ! ガアァァッッ!!」

 

 刺さっても無数の鳥に変化する形で分裂してしまえば問題ない。そう高をくくっていた狼鳥式だったが、思うように身体を変えることができず、ただ驚愕に顔を染めながら魔皇力の剣の痛みに悶絶する他なかった。

 

「貴様ァ、何をした!」

 

「何をって? ただその魔皇力で出来た剣は相手の魔皇力の動き・生成を阻害する効果があるってだけだが?」

 

 なに食わぬ音夜の態度に自らの黒き血が怒りで沸き立つのを感じつつ、冷静に齎された情報を整理した。

 

 つまりこの魔皇力で形成された剣はただの剣ではなく、刺さった相手の魔皇力の動きを阻害し、同時に新たな魔皇力の生成もままならなくするもの。そういった効果を持っていたことになるわけだ。

 

「チッ、流石に油断が過ぎたか」

 

「悪いが一気に決めさせてもらう!」

 

 キバの紋章が描かされた魔法陣。それが音夜のすぐ隣へと現れ、音夜は魔方陣に手を突っ込む。やがて抜き取られたそれは初代キングか

 

ら続く継承の品『魔皇剣ザンバットソード』。

 

「本来の剣を抜くか…来い! 簡単には我が首取らせんぞ!」

 

 煌く虹色に輝く刀身と漆黒の刀身が×印のように交差し、激しい火花を散らす。

 

 音夜はザンバットソードを薙ぎの技法に特化した剣術を操り、対する狼鳥式は我流ながらも敵に筋を読ませないトリッキーな剣術を扱いこなす。

 

 熾烈を極めた激戦。そう称するに相応しい剣と剣による戦いが幕を開けた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方のキャッスルドランでは、一夏たちが遠巻きながらも幽霊船で繰り広げられる戦いに息を呑んでいた。

 

「さすがは現役のキング……普段はアレでも、やはりその名に狂いなしか」

 

「おいっ、音夜の旦那1人でいいのかよ! こんな風にしている暇あんなら援護に…」

 

 一夏の言葉に異を唱えるかのように援護に向うべきだと進言しようとした奏だが、それを遮るようにして声を発したのは静雄だった。

 

「あのおっさんが簡単に死ぬたまかよ。そこんところは安心しろ。それに連中がこっちに手を回して来ないとも限らん以上、ここで様子見兼警備している方が得策だ。それに……ここに残るよう命じたのは他ならぬ現キング本人。配下のもんとして命令に背く訳にはいかねぇだろうが」

 

「そ、それは……」

 

 静雄の言葉を受け、奏は否定できなかった。

 

 自分はともかく静雄や一夏たちは音夜の実力を知っている。人間からの成り上がりである自分と違い、人間よりも長き時を生きた魔族達からしてみれば、音夜がキングとしてどのような強さを有する存在なのか。

 

 既に知り得ている事柄の筈。

 

 なればこそ、ここで警護を兼ねて待つのは得策と言えるだろう

 

「しかし、アレだな……音夜のヤツ、まだ本気じゃねーな」

 

「え? 結構本気で戦ってるように見えるけど……」

 

「いいえ。全然本気じゃないよ」

 

 一夏の言葉に疑問の声を上げる奏だが、そこに反する声を上げたのはマカだった。

 

「私達ダークフリークスはね、本当の姿にならない限り、その元々のスペックを引き出すことは出来ないの。だからこそダークフリークスの本気っていうのは、つまるところ本当の姿を晒したその時なの」

 

「ファンガイアの王たる真の姿『バッドファンガイア』……それにならないって事は

、それだけまだ本気じゃないってことだ。……まぁ、正直言って俺たち全員が音夜の本気を間近で見たわけじゃないから何とも言えねーけどな」

 

 ともすれば、その本気は未知数。

 

 一夏とマカの話を聞けば、その帰結する意味はそういうことになる。

 

 奏もそうだが、それを同じく知った翼もまた音夜に対し畏怖の念が強まる。そして武を学ぶ者として興味も畏怖と同等にだ。

 

 もしかしたら……相手が相応の実力者であれば、その本気を見れるかも知れないと

。本気で翼はそう思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 漆黒の剣と虹色に輝く剣が凄まじいスピードでぶつかり合い、交差し、離れ、またぶつかり合う。

 

 純粋な剣においての強さでは互角と判断した音夜は手を掲げ、マスト頭上に魔方陣を展開。そこから無数の魔皇力で構成された赤黒いエネルギー弾を乱射。広範囲型の攻撃によって殲滅せしめるつもりらしい。

 

「笑止。当たらぬ鉄砲玉でも、数多ければ当たると言う腹積もりか?」

 

 だが、狼鳥式はそれを鼻で嘲笑った。それが虚勢でない事を示すかのように自分へと降り注がれたエネルギー弾を一振りの横薙ぎから出した衝撃波で掻き消し、音夜のすぐ目前へと音速で接近。

 

「終わりだ。キング!」

 

 距離は完全にゼロ。回避は間に合わない。

 

 そう確信した狼鳥式の双剣が左右側面方向から音夜の首を切り落とす…

 

「ああ、テメーがな」

 

 事はなかった。 

 

 音夜だった筈の対象が黒い粘り気を持った液体と固体の中間のような謎の物質へと形を変え、瞬く間に狼鳥式を包み込んで身動きの一切を封じてしまったからだ。

 

「こ、これは……バカな! 最初から本物ではなかったのかァァッ!?」

 

「当たり前だろ。敵の罠を考慮すればバカ正直に正々堂々勝負……なんてするわけあるか?」

 

 背後から聞こえる声に対し黒い物質に悪戦苦闘しつつ、何とか自身の位置から後方へと視線を向ければ、そこにいたのは他ならぬ本物の音夜の姿がそこにあった。

 

「き、貴様ァァ~……えぇぇい、こんなフザけた分身なぞ…ッ!!」

 

「やめとけ。余計絡まるだけだ。何せそれは俺が直々に考案した敵性対象拘束用スライム、通称『ホールドキラー』だからな」

 

 自信満々に憎たらしく勝ち誇った笑みを浮かべては、これまたご丁寧に黒い物質への解説を述べ垂れる音夜。その様子は傍から、あるいは彼と対立せし立場の者から見れば、それはそれは、嫌気が差すばかりの光景だろう。

 

 最も、とうの本人は誰が自分をどう思おうが知った事ではないが。

 

「さて。猪突猛進とばかりに正々堂々の勝負でこの所業……そこは謝罪の意を示すが

、テメーらゴーストどもが今までやって来た数々の件に関しては別だ。ケジメとしてその命を貰う」

 

 先程までのふざけたような憎たらしい笑みを一切消し去り、王者に相応しき厳格さと覇気をもって宣言する音夜の顔にあるのは『真剣』という二文字のみ。決してそれがハッタリの類ではないことを現実として示している。

 

 そして、かの現キングはそれを真とした。

 

 背中に蝙蝠のような両翼を生やし、幽霊船の頭上位置に浮遊する形で移動したかと思えば更にその上…すなわち音夜の頭上から先程とは比べ物にならない巨大なキバ紋章の魔法陣が出現。

 

 それを見た瞬間、狼鳥式は悟った。

 

 アレは、ダメだ。

 

 まともに喰らっては……いけないものだッ!

 

「ぐゥゥッ、く、ぐッ……フンッ、フンッ、……ガアアアアァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!! クソがァァァァァァァァァッッッッッ!!!!」

 

 今すぐここから逃げ出したい。

 

 この黒いスライム『ホールドキラー』から抜けようともがき、もがき尽くしたが、結果は無駄に終わった。

 

 ホールドキラーの作用のせいか魔皇力の体内循環の流れが規則的とは呼べぬほど乱雑と化し、それが原因で転移を始め術式の一切が行使できない。

 

 そして、時は来た。

 

「あばよ、クソ幽霊。せいぜい成仏しろ」

 

 魔方陣から、その姿を現すは周囲を真っ赤に染め上げるほどの極光。

 

 しかし、それを遠くながらも両眼で捉えていたキャッスルドランにいる面々は何故か不思議と眩しいものとは感じる事はなかった。むしろ……底知れず何処までも深い奈落の暗黒に見えた。 

 

 それは、今まさにその光に晒されている狼鳥式も同じ思いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗い……暗い……見慣れた筈の、暗黒よりも暗い……何故だ? あの忌々しき太陽に匹敵しかねない程の極光なれど、眩しくも苦痛とも感じない。

 

 何故だ?

 

 何故?

 

 ………………………………………………………………………………………………………………………ああ、なるほど、そうか。

 

 アレが……アレこそが……まさに『純粋なる闇』故………か。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな心内で逡巡と駆ける思考の言葉と共に狼鳥式は……かの王の暗黒に呑み込まれる。

 

 そして、ゆっくりと。

 

 その肉体が徐々に分解されながら……彼の存在はこの世の理から外れるが如く消え去った。

 

 

 

 









 仮面ライダー以外のキャラ(主役ライダーの味方側)に倒される悪の組織の幹部って、早々いませんよね?

 というより、全然いないと個人的には思います。

 次回は今月中に投稿したいと思います。 






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