吸血姫絶唱シンフォキバ   作:イビルジョーカー

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プロローグです。






第0話 始まりの序曲/『キバ』の継承者

 

 

 

遥か遠い太古の昔。

 

何もない無の空間は混沌としてていて、膨大なエネルギーと

エネルギーが混ざり合い幾度も爆発した。

 

そんな場所に『創造主』が生まれた。

 

そして……その『創造主』によって宇宙が形作られ『地球』が生まれた。

 

創造主は地球が存在する宇宙とは異なる世界をもう一つ創造した。

 

闇の生き物たる『魔族』が繁栄する世界『魔界』を。

 

『魔界』では幾多の多種多様な魔族がいたが、その中でも頂点に立つと

される『13』の数の種族があった。

 

13の魔族たちは互いに種族繁栄と共に魔界の覇者にならんとした。

 

13魔族同士による、数世紀にも渡るほどの大戦争は後に人間達に吸血鬼の

伝承を残す『ファンガイア族』の勝利となり、他の12の魔族たちは彼等の

支配下に置かれることとなった。

 

やがてファンガイア族は『地球』という世界を知る。

 

次元の壁を越える方法を編み出した彼等は魔界から地球へと来訪し、そこで

人間と言う存在を知った。

 

人間は自分達よりも能力的に劣るが、知性が高く独自の発展を遂げていた。

 

ファンガイア内で意見が分かれた。

 

『人間を支配し家畜化しよう』、とする『人類家畜化派』。

 

『人間と交流し共存しよう』、とする『人類共存共栄派』。

 

ファンガイアという種族を含め魔族は基本的に食事を必要としない。

 

何故なら魔界には魔族の生存に必要な栄養素であり、力の源たる『魔皇力』

と呼ばれるエネルギーで満たされているからだ。

 

だが地球に魔皇力は一欠けらも存在しない。

 

このままでは地球で繁栄することなどできない。

 

そう考えたファンガイアたちは、魔皇力の代わりとなるものを見つけた。

 

それがファンガイアを吸血鬼たらしめる所以……すなわち『人間という種

の生命力』である。

 

人間の血液を媒介に生命力を喰らったことでその良質さと得られる魔皇力

の強大さを知った『人類家畜化派』は、地球を支配し人間を家畜化すべき

という意見を挙げ、逆に人間の姿に変身しその文化を味わったファンガイ

アたちは、人間達と手を取り合い更なる発展を望むべしとの意見を挙げた。

 

これに対しファンガイア王族のである『チェックメイトシックス』と謳われる

六つの名家。

 

『キング』。

 

『クイーン』。

 

『ビショップ』。

 

『ルーク』。

 

『ナイト』。

 

『ポーン』。

 

その各当主たちである彼等が下した答えは『人類共存共栄派』と同一の意見。

 

つまり『人間との共存共栄』だった。

 

これに異を唱えたのが家畜化派のファンガイア……そしてファンガイアの

傘下となっていたゴブリン族とレジェンドルガ族の二種族。

 

ゴブリン族もレジェンドルガ族もファンガイアという種を『真の強者』と

認めたからこそ傘下となったのだ。

 

故に魔族である自分達よりも劣る人間如きとの共存共栄など許せるはずも

なかった。

 

家畜化派のファンガイアと二種族の三つは互いの利害一致から手を組み、

四家の王族と共存派のファンガイアへ戦争を仕掛けた。

 

しかし王族達は強力だった。

 

家畜化派のファンガイアたちは『ビショップ』と『ルーク』、『ナイト』

の前に破れ、ゴブリン族は『サガの鎧』を身に纏い、鞭のように伸びる

紅い刀身の魔剣を手にした『クイーン』と『ポーン』の前に敗れ去った。

 

最後のレジェンドルガ族は人間から奪った大量の生命力(ライフエナジー)

で王族軍を押していったものの、最後は『キバの鎧』を身に纏い、強大な

魔皇力を発揮したキングの前に壊滅。

 

100年間に及んだ戦争は王族軍の勝利に終わった。

 

ファンガイア族は人間に恐れられることのないようにと、

その正体を隠しながら人間社会に紛れている。

 

しかし、いくらファンガイア族が人間と共に生きようとしても

13魔族以外の魔族の多くが闇より現れては地球へと浸出し、

人間を喰らう。

 

キング家の初代当主『ウラド・ドラキュラ』は『初代キバ』である

5代目ファンガイア王から授かった『キバの鎧』を『人と魔の秩序

を守る希望の光』とし、自身が所有する『闇のキバ』を厳重に封印。

 

後にその証たる『黄金のキバ』を造り上げた。

 

そして、今現在においてその『黄金のキバ』を受け継いでいるのは……。

 

 

 

 

日本における、人間社会の浅い夜はまだ多くの人々がその賑わいを見せる。

 

人々の活気に溢れながら地上の光が夜空を照らす中で。

 

静かに……闇は蠢く。

 

「いやあああああああああああああああああああああっっっっ!!!!」

 

『あぁぁ……良い声だ。人間の悲鳴は何度聞いても飽きないからいい』

 

繁華街の路地裏で一人のОL女性が襲われていた。

 

襲っている相手が人間だったのなら……まだ良かっただろう。

 

人の手による理は人の手で決着がつくがそうでなかった場合、つまり、

『この世ならざる者』による仕業なら、そうはいかない。

 

何せОL女性を襲っているのは、姿こそ学生服を纏った金髪の不良少年と

いう感じだが、致死量にも等しい赤い血が全身から流れ出ているというの

に平然としている。

 

彼は人間ならざる人外の存在……『ゴースト』の『屍霊』。

 

『ゴースト』は、全ファンガイアの半数が正式に地球に移住し始めた時期。

 

その頃から姿を現すようになった魔族で、その最大の特徴は、実体を持たない

霊的エネルギーで構成された精神生命体であること。

 

故に物質的なものに直接干渉することはできないが、人間の死体を『殻』とし

て使うことで『ゾンビ』となり、物質的な干渉を可能にできる。

 

彼等には階級が存在する。

 

『屍霊<ネクロ>』と呼ばれる下級と『闇霊<ピープル>』と呼ばれる上級に

分かれており、上級の闇霊の特徴はくすんだ黒い布を何枚も厚く纏い、黒い血

が口から流れていることと動植物の特徴をもった多種多様な形態がある。

 

対して下級の屍霊は生前の姿のままだが、闇霊とは対極的に赤い血が目や耳。

口などから流れている。

 

両者共に共通するのが『人間を同族にしようとする』習性があるところだ。

 

それが彼等における種族内での生殖方法なのか、もっと別の目的の為なのか。

 

いずれにしろ人間を襲い、そのライフエナジーを糧とするのは間違いない。

 

『では、いただきます』

 

然程人間と変わらない姿であるものの、その全身から赤い血を流した屍霊の

1体は、ゆっくりとその手を女性へと伸ばす。

 

「待て待てぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~!!!!!!」

 

突如としてそんな声が聞こえたと思った瞬間、一つの小さな影が疾風とも

思える速さで屍霊に攻撃を加えた。

 

『ぐあっ……な、何者だ!』

 

「おい響! こいつはゴーストだ。いっちょキバってぶちかましちまえ!」

 

それは、まさしく『蝙蝠』と表現できる生き物だった。

 

金色で黒く、目は血のように紅い。

 

フォルムは何処か機械的ではあるものの、間違いなく『13魔族』の一つと

数えられるモンスター『キバット族』だ。

 

そのキバット族名門の当主『キバットバット三世』は、相棒である『彼女』

の名を呼ぶ。

 

彼女は……ゆっくりと歩いて来た。

 

外見だけ見れば黄色がかったショートヘアーの茶髪にセーラー服、いわゆる

『女子中学生』という風にしか見えない。

 

だが、実際は違う。

 

「キバット!」

 

「おっしゃ! ギャブッ!!」

 

キバットが差し出された少女……『紅夜響』の手に噛み付き『活性魔皇力』

と呼ばれるアクティブフォースを注入。

 

「変身」

 

短く。淡々と。それでいて何処か激情を孕んだ口調と声音でそう呟きキバットを

掴んだ響は、自分の腰に出現したキバットの『止まり木』となるベルトに彼を逆さ

にする形で装着させた。

 

瞬間。彼女の姿が変わった。

 

まるで月のように輝く、響の頭部に付けられた『キバ・ペルソナ』。

 

真紅の装甲『ブラッド・アーカード』に包まれた胸部。

 

両肩、右足、そして胴から背中にかけて展開された銀色のプレート

『ドラクルメタル』。

 

それらの下を覆う『漆黒衣』と称される黒いボディースーツ

『キュリーナイト』。

 

両肩、そして腰の部分についた蝙蝠の翼を思わせるフリルとスカート

『バッドフライティス』。

 

この姿こそ『仮面ライダーキバ』の基本フォームであり、『黄金のキバ』の仮の姿。

 

『その姿、キバかぁぁぁぁぁっっっ!!!』

 

「フッ!」

 

叫びながら襲い掛かって来る屍霊に対し、軽く息を吐き出したキバは振り下ろされた

屍霊の手首を造作もなく掴み、そのまま空いた手を使い拳を腹部へと叩き込む。

 

『うぐぐっ?!』

 

「おい響! こんな雑魚に必殺技使う必要はねぇぞっ!」

 

「ああ、分かっている」

 

精錬された無駄のない、そんな拳の連続ラッシュが屍霊の胸部から腹部にかけて

胴体にダメージを与えていく。

 

最後に先程のラッシュなどよりも凄まじい威力を凶器として宿した拳が、

そのまま吸い込まれるかのように屍霊の腹部へ到達し、風穴を貫通させた。

 

『あああああああああああああああーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!』

 

殻を崩壊させられた屍霊の本体である『赤黒い靄のようなもの』を噴き出しながら

断末魔の悲鳴を挙げて消滅した。

 

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッッッ!!!!!』

 

それは、大地を震わす竜の咆哮。

 

空を見れば頭と四本の足。尻尾以外の全てが城と化している『13魔族』の一つ、

『ドラン族』の『キャッスルドラン』が赤黒い屍霊の本体を食していた。

 

「歯を磨きなさ~い」

 

「……さっきの女の人はうまく逃げれたみたいだ。ならここに用はない、行こう」

 

そう言って変身を解き、元の姿に戻った響はまったくもって意味不明なキバットの

セリフを軽くスルーし、その場からキバットと共に去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『紅夜響』、真名を『暁に燃えし、紅蓮の刃』とする彼女こそ『次代における

黄金のキバの継承者』である。

 

 

 

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