嵐月記   作:かりん2022

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立ち止まって考える

「人を悪に導くゲームで、実際の経験なんて言っちゃダメだよ……」

「むむぅ」

 

 それは確かに。

 

「でも、邪神様の経歴聞きたい!」

「俺も!」

 

 未だフレッシュさ溢れる高卒社員の刹那くんと海斗くん……氷炎コンビのリクエストに、俺はうむ、と頷いた。

 

 そして、修行の数々を話して行った。

 

「すげー!」

「それでそれで!?」

 

「ずるいです、僕も聞きたい、邪神様の武勇伝!」

「ネタにしましょう、ネタに!」

 

 燕くんと桜子ちゃんもやってきて、お菓子とコーラ片手に傾聴の構え。

 

 其の後、いっそのこと自伝を書いてはと勧められた。

 なる程自伝。

 

 俺はせっせと自伝をコミカルに書くことにした。

 

 それと並行して、社員とコミュニケーションを取り、改めて会社のビジョンを見つめ直す事とした。

 

「夢……最近、海のオプションを取得できたんだぜ!」

「おお、それはおめでとう! ゲームを完成させるなど、実績を上げていたからな、ボーナスをあげた甲斐があった!」

「休日の昼は刹那の部屋で砂浜で泳いで、夜は私の部屋で深海を眺めるんだ」

「素晴らしいね」

「次はダンジョンにしようって話してるんだ」

「楽しみだよね」

「「ということで稼ぎたいので次の仕事ください!」」

 

 やはり部屋に色々オプションをつけられるようにしたのは良かった。

 実は氷炎コンビは卵を孵化させており、刹那が炎の鳥の流星、海斗が空飛ぶ魚の彗星を育てている。

 この二人は仲が良くて大変に微笑ましい。やる気も十分で見ているだけで元気をもらえる。

 早急に次の仕事を考えなくてはね。

 

 

「燕くんは不足はないかな?」

 

 この子は自分なりにどんどん仕事を見つけるタイプだ。

 5周年の企画をしてくれたのは記憶に新しい。勉強によるスキルアップもしているのを知っている。この前も資格を取って申請を上げてきたばかりだ。

 瞬間移動の異能を駆使して、買い出しなんかにもよく行ってくれている。

 

「は、はい。不足なく生活させてもらってます」

 

 ただ、燕くんはポイントを貯めている。

 

「欲しいものや夢はあるかな?」

「僕はイベント企画とかの触れ合いがあるのが好きですね。刹那と海斗は二人で仲良しだし、桜子は女の子だから、ちょっと寂しくって……。メーリカ国は楽しかったなって」

「確かに。いや、大事な事だ。それなら、勉強しつつメーリカ国の渡くんの補佐とかどうかな? 流石に一人はどうかと思ってたんだ。開拓だからやりがいもあるだろうし、人も多いし、向こうの学校に通って見るのもどうかな」

「いいんですか? 渡くんのことは気になってたし、学校ももう少し通いたかったんです」

「もちろんだとも! そして当然、いつでも戻ってきていいんだよ」

 

 燕くんが笑顔になった。良かった。

 しっかり頑張って欲しいと思う。

 

 

 さて次は桜子ちゃんだ。

 

「なんでも仕事言いつけてください!」

「うん、まさかR(部屋のオプション用ポイント)もN(社員用アイテム用ポイント)もG(模様替え用ポイント)も使い切るとはね」

「てへっ」

 

 オタクの桜子ちゃんは、給料がカツカツだ。

 配信もしてて、コスプレ用のお遊びアイテムをNポイントで買い漁っている。

 あまつさえリクエストもしてる。蜘蛛子さんへのコスプレ服依頼は大体Nポイント。

 部屋玉も名シーンの再現ということで幾つも買っていて、Gポイントは主に壁紙を色々買い漁っている。

 

 仕事もしっかりしてるから、割と給料は出してるんだけどそれ以上に使う。

 まあでも、アンテナを立てているということでもあるし、ゲーム会社の社員としては理想的なのではないだろうか。

 

「桜子には夢はあるかな?」

「やっぱりVRMMOでドーンと! 一花咲かせたいです!」

「確かに!」

 

 

お次は武器トリオ。

 

「希望は特にないですね!」

「毎日充実してるからなー」

「勉強とダンジョンでの鍛錬で一日24時間じゃ足りないくらい」

「あっ でもまたメーリカ国は行きたい!」

 

 ふむふむ。満足しているなら何より。

 ポイントは主に居心地の良い部屋作りに使っているようだ。

 ベッドとか高品質なものを使って短時間で良質な睡眠を取れるようにしているようだ。体を動かすのがやはり好きなようだ。

 

 次はさとり。

 

「私は異能が遠隔視で弱めなので、ちょっとコンプレックスですね⭐︎ 素敵な魔法を作って欲しいです⭐︎ それでカバーしたい。それか素敵な魔物が生まれて欲しいです⭐︎」

 

 やはり、魔法プログラムは必須か……。

 さとりは余暇はゲームをしているらしい。

 ポイントもちゃんと使っているみたい。

 

 

「ちゃんとやってるか、弟よ」

「イベントでのミニゲームとか結構頑張ってたよ、俺!?」

「確かに」

「あーでも、ダンジョン入りたいけど、武器トリオや氷炎コンビに入っていけないし、そこがちょっと不満かも。植物を操る異能の訓練は頑張ってる」

「燕くんや桜子ちゃんやさとりを誘ってあげてみてくれないか」

「そうしてみる」

 

 機平さん。

 

「妻と娘と離れ離れというのが……いつも通信で会話してますけど。そろそろ皆仕事を覚えてきてくれたのは良かったなって」

「そうだね。渡くん元気で成績もいいみたいだね」

「ちゃんと日本の勉強も並行してるんですよ。向こうの言葉もペラペラですし、自慢の息子です」

「そりゃすごい」

「でも空っぽの子供部屋を見ると悲しくなります」

「機平さんは頑張ってくれてるし、しばらくメーリカ国に移動する?」

「是非! 俺の雷撃が火を吹くぜ!」

 

 平光さんご夫婦。

 

『元気でやっとるよ。ポチが毎日大活躍じゃ』

『ワンっ』

『最近ポチに子犬が生まれてのぅ、渡くんとリズちゃんの従者をやっとるんじゃ。わしの探知はすごく頼りにされとってのう。最近魔法も沢山覚えて賢者と呼ばれておるんじゃよ』

 

 なる程、素晴らしい。

 

 龍彦さん

 

「龍彦さんは毎日充実してますか」

「ええ、もちろん。魔法案を考えてみたのですがね」

「それは置いておいて。不自由してません?」

「福利厚生はここより凄いとこないので」

「それは良かった。ところでメーリカ国どうでした?」

「あそこは楽しかったですよ!」

 

 総務の花子さん。

 

「いつもありがとうございます」

「お任せください! お任せください! 私は役に立ちますよ!」

 

 本当に花子さんには頭が上がらない。

 今後も経理を一手に担ってもらおう。

 

 蜘蛛子さんもしっかり労う。

 花子さんと蜘蛛子さんがいなければ我が社は終わる。

 蜘蛛子さんは最近、会社とは別に自分でも花子さんの手を借りて、ウェディングドレスのハンドメイドで稼いでいる。

 そして、稼いだお金でアクセサリーを買い、渡くんの奥さんで貴族のリズちゃんを飾り立てている。

 

 

 

 

さて、新体制のまとめである。

 

メーリカ国で領主業(社員7名)

渡くん&リズちゃん 機平さん夫婦 平光さん夫婦(ポチ) 燕くん 武器トリオ 龍彦

 

地球でVRMMO作成(社員7名)

氷炎コンビ(流星、彗星) さとり 桜子 葉月 蜘蛛子さん 花子さん 俺

 

ふむ。こんな感じでどうだろうか。

龍彦さんは、メーリカ国の影のリーダー役をお願いしたいと思っている。

領主の渡くんが表向きのリーダーなのだけど、まだ小さいからね。人が増えてリーダーとか交渉とか考えるとなると、やはり龍彦さんにお願いしたほうがいいだろう。

 

「ということで、新体制でVRMMOの企画を立てて今度こそやります! 機平さんは困ったら助けてね!」

「「「おー!」」」

「うちは企画で、実際の作業は下請けの会社を雇ってやってもらいます!」

「「「おおおおおおーーーーー!!」」」

「機平さん、武器トリオ、燕くんは領主サポートやってくかVRゲーム業するか、どっちが楽しいか、じっくり考えてください。平光さんは領主補佐でそのまま頑張ってね」

「「「「「「了解」」」」」」

 

 よーし頑張るぞー!




マシュマロ
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