エリアの守護神~THE GUARDIAN DEITY in THE AREA~   作:フリュード

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かなり遅いですが、あけましておめでとうございます!

今年度もフリュードを作品ともどもよろしくお願いします!


第11話

「おいパティ。」

 

ロッカールームに戻るないや染谷はすぐにジェンバに詰め寄った。

 

「んあ?何だコウキ。」

 

ジェンバは染谷の方を向き、だるそうに言い返した。それを見て染谷の怒りがマックスに達した。

 

「何だじゃねぇよ。何だあのプレーは。勝手なプレーをしてなんとも思っていないのか!ああ!?」

 

染谷が大きな声でジェンバに怒鳴った。

 

染谷はジェンバのダッシュ力は認めていたが、いつもは真面目に練習をしていたのに試合では相手を見下したように自己中なプレーをしていたジェンバに染谷はそれが許せなかったのだ。

 

染谷が怒鳴ると、入学以降なかった染谷の怒りに他の皆は驚いていた。ジェンバも驚いた表情をした後、ため息を一つ吐いた。

 

「別に良いじゃん?勝てたらそれで良いし俺はってうおっ!?」

 

ジェンバが最後まで言おうとしたが染谷はジェンバの胸倉を掴んだ。

 

「勝てば良いって何だ!ああ?俺からしてみればお前のようなやつは一番迷惑なんだよ。」

 

「なんなの・・・これだから日本人は几帳面って言われるんだよ。レオがパスを入れて俺が打つ。それで勝てるからそれで良いじゃん。」

 

染谷がそう言うと、ジェンバは染谷の怒りをものともせず胸ぐらをつかんだ染谷の手を振り払い、表情を変えずそう言った。

 

「何だその言い方は。俺たち日本人はただのコマ的な何かか。」

 

「あぁ。そうだ。」

 

明らかな人種差別発言に染谷がそう言うと、ジェンバは少し笑いながらそういった。

 

「はぁ~そうか。カメルーンのゴミはえらく自信家なんだな。かわいそうだな。そんなに言って結果が出なかったらダサいよな。」

 

「あぁ?何だその言い方は。」

 

「おいおい。日本人の文句言ってお前の母国の悪口言ったら切れるの?ますますかわいそうだわお前。」

 

「なんだと?」

 

「なにやってるんだ2人とも!」

 

売り言葉に買い言葉状態で一触即発状態になってきたので部員たちが2人を引き離した。

 

「何やってるんダ?」

 

そんなところにペドロ監督がロッカールームに入ってきた。

 

「実は・・・」

 

止めに入っていたキャプテンのシルバが事情を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、そんなことが。」

 

シルバから事情を聞いたペドロは表情を変えることなくそう言った。

 

だが、顔には出さないが怒りのオーラをにじませているのが全員には分かった。今ペドロはすごく怒っている。それが分かるほどだった。

 

「コウキ。パティが無礼をした。私が変わりに謝る。このとおり許してくれナイカ。」

 

『!!!!!』

 

すると、ペドロが染谷に頭を下げて謝ったのだ。絶対にない光景に皆は驚いていた。

 

 

「・・・パティ。コウキも悪いところはあるがお前が全体的に悪い。」

 

顔を上げたペドロはジェンバの方に向いてそう言った。

 

「はぁ?なんで・・・」

 

「君はこのスコアを見てなんとも思わないのカネ。」

 

悪いとも思っていないジェンバが言い返すとペドロはそう言い返した。

 

「私が仕込んだサッカーをすればあの程度の相手なら10点は取れたはずだ。それができなかったのはパティの勝手なプレーが原因だと思わなかったのか。」

 

「・・・・・・」

 

ペドロがそういうと、ジェンバは何も言えなくなった。

 

「・・・まだこの程度の相手なら攻撃・守備の連携が乱れても勝てるから大丈夫だから良い。だが金輪際勝手なプレーや個人の私情を持たないことダ。それはみんなにも言えることダ。分かったナ。」

 

『イエッサー!!!』

 

ペドロがそういうと部員全員が大きな声でそう言った。

 

「・・・」

 

ジェンバは何も言わずロッカールームを後にした。

 

 

「・・・後半のノルマも4点。前半みたいな展開はしないことダ。」

 

ペドロはそう言うと部員は再び「イエッサー」といい、ロッカールームを後にし始めた。

 

 

 

 

「コウキ、すまなかったな。」

 

皆が出て行った後、染谷とシルバとペドロの三人が残り、ペドロが染谷に再度謝ってきた。

 

「良いですよ。俺も血が上がってあんなことしてしまいましたし・・・」

 

「いや、あれぐらいしないとパティも聞かなかっただろうし。」

 

染谷は申し訳なさそうに言ったのに対し、シルバはそう言ってくれた。

 

「・・・しかし、FWまでパスサッカーに参加するのはやめた方が良いかと。」

 

染谷はペドロにそう提案した。

 

まだまだパスサッカーも完成には程遠い。

 

ペドロもいろいろ模索しながらここまで頑張っている。今回の試合もFWもサッカーに参加させようということで部員も一致したが、前半の攻撃を見ると、それではFWが前にいけないということが分かった。

 

「というか、FWはゴールを決めるのが本職なのになぜパスサッカーに参加させようと?」

 

シルバが気になっていたのか、ペドロにそう言ってきた。

 

「それはFWの選手がプロに入った後、MFになったりとポジションも変わるかもしれない。そのときのために参加させようと思ったのダヨ・・・けどあの二人を見るとね・・・」

 

シルバにそう説明したペドロがそう言い言葉を濁す。。

 

確かにジェンバはあの足を武器にしているから「センターフォワード」じゃなくても今後足を生かすためにも「ウィング」「サイドハーフ」で起用される可能性がある。

 

そうなると、中央へのクロスなどでパスは多少すると思うがあのパティがそんなことをするわけがない。

 

風巻はまだ可能性があり、本職以外にも上手にやりこなせそうな感じがするが、正直他のポジションはシルバなどスター選手がずらりと並んでいるので高校の間は変わる事は無いだろうし、本人もFW以外はしないと思うのが正直な気持ちだった。

 

結局のところポジションは今のところ変わらないので当初のプラン通り、FWはパスサッカーに参加させないほうが良いと染谷は思ったのだ。

 

「それよりも問題なのはパティが守備をしないことです。練習でも分かっていましたがあれだと守備にも1人いない分きついと思います。」

 

そんな事よりも重要な事態を染谷は2人に言った。

 

染谷がジェンバにキレた理由は勝手なプレーをした以外にジェンバがまったく守備をしなかったことだった。

 

ジェンバは攻撃に参加するだけで守備をしない典型的な守備をしないFWだった。

 

「それは心配要らないよコウ。そこは僕たちで何とかする。」

 

「そうか・・・なら良いけど・・・」

 

そんな染谷にシルバは宥める様に言った。

 

「・・・やはりこれはセオリーどおりFWには前線に残ってパスをもらう。これで良いな。」

 

「ええ。これのほうが得点力も上がるし、これで行こう。」

 

ペドロの発言に同じ意見だったのかシルバが答える。

 

「分かった。それならわれわれもピッチに出よう。」

 

そう言い3人はロッカールームを出ていった。

 

 

 




ジェンバの態度と言うのは漫画で見たとき腹が立ったのを覚えています。

確かに点を決めるのがFWです。しかし、FWの仕事はチャンスメイク・ポストプレー・プルアウェイ(裏への飛び出し)etc・・・さらにFWと言ってもCF(センターフォワード)・ST(セカンドトップ)・WG(ウィング)とポジション別に仕事も変わってきます。

ジェンバがバカやったお陰で風巻の活躍がそんなに出なかったのが可哀想でした。

ジェンバは今でもあまり好きなキャラではありません。

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