エリアの守護神~THE GUARDIAN DEITY in THE AREA~   作:フリュード

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あれから1年ほど・・・ようやく書き上げました。

お待たせしてしまい申し訳ございません・・・それではどうぞ!!


第14話

「ヨシ、DF陣はヨカッタよ。後半もこの調子で行ってクレ」

 

『イエッサー!!』

 

選手が控え室に戻り暫くすると、ペドロ監督がやって来て選手たちに後半の作戦を話し始めた。

 

しかし、染谷はジェンバの前半のプレーには不満を抱いていたのか笑顔は無かった。

 

風巻にパスしていたら・・・と言うシーンが多くあったからだ。何故しないのか・・・その思いでいっぱいだった。

 

「・・・さて、ワタシカラハ以上だ。最後ニキャプテンから一言いただコウ」

 

「・・・分かりました」

 

監督からそう言われたので染谷は立ち上がり選手の前に立つ。

 

「DF陣は凄くよかったのでこの調子でがんばってください!・・・・けど反対に俺は前半の攻撃陣にはうんざりしている。特にパティの強引なプレーにうんざりしている」

 

『!!??』

 

染谷はぼかさず放ったストレート発言に選手は驚きの表情をした。

 

「・・・何だよその言い方。」

 

当然染谷の発言に反応したのはジェンバだった。

 

「パティ、お前は前半に何本シュート打って何本外した」

 

「さぁ?分からん」

 

「っ・・・お前は前半10本以上打った中で半分ぐらいシュートを打っている。その中でも強引にシュートして外すっていう光景が多くあった。涼さんのマークがゆるいのに気づいている?」

 

キレるのを我慢しながら染谷は言うがジェンバは気だるそうに聞いていた。その態度に染谷はふつふつと怒りがこみ上げてくる。

 

「・・・・・さぁ?俺はゴールにしか興味は無い。」

 

ジェンバはそう言ったのを聞き、染谷は今回もこみ上げる怒りを止められなかった。

 

「俺は勝ちたいんじゃ!!!分からんかボケ!」

 

「ビクッ!!!」

 

染谷は大声をあげた為、全員が驚く。流石のジェンバも他の選手同様の動作を見せた。

 

「・・・すまん。けど正直ゴールよりも「勝つ」って言うことが一番大事じゃないのか?今の独りよがりなプレーをずっと見せるならこの先勝つことも出来ないかもしれないぞ」

 

「・・・・・」

 

パティは何も言い返せない。

 

「お前は嫌かもしれないが、選手の国籍が日本でもどこでも『チームプレイ』は大事だ。皆の頭の中に無いといけないものがパティ、お前には無い。これは皆に言えること」

 

俺の話にパティのみならず皆が耳を傾ける。

 

「個人技で相手を抜き去る『個人プレー』も大事だ。けど仲間を使ってチーム全員で点を取る『チームプレイ』の方がもっと大事だ。サッカーと言うのはそういうスポーツだ!!だから11人でサッカーはするんだぞ!!!・・・大丈夫!これだけ凄いレベルの選手が揃っていたらそんな事簡単でしょ?後半はそれを意識して頑張ろう!俺からの話は以上で」

 

染谷は話を終えると、ペドロ監督が前に出てくる。

 

「さっき染谷が言った事を後半でしっかりと生かしていてイケ!分かったナ」

 

「イエッサー!!」

 

ペドロ監督の発言に選手たちはそう言い、もう時間なので皆出て行く。

 

(ふふっ、やっぱりコウキにキャプテンを任せてよかった。光輝にはキャプテンとしての資質があるからね。このままずっとやってくれたらいいのになぁ)

 

シルバはそう思いながら控え室を出る。

 

「・・・おい、コウキ。」

 

染谷もシルバと共に控室を出ようとしたら、ジェンバに呼び止められた。

 

「ん?なに?」

 

「・・・チームプレイって何だよ。」

 

ジェンバが染谷にチームプレイとは何なのか聞いてきた。

 

ジェンバは母国でサッカーをしていた時は個人でボールを蹴る事が多かった事や足が非常に速かったことから守備やチームプレーの大切さというものを理解していなかったから分からなかったと言うのもあるのだ

 

「・・・それはいろいろあると思うぜ。例えば自分をおとりにして、味方の攻撃を助けるとか、人それぞれだ。けどこれだけはいえるかな?」

 

「・・・・なんだ。」

 

「さっきも言ったけど『点』を取ることがFWの仕事。けど『一人』ではなく、『皆』で一点を取る。これがチームプレイだ。それを遂行するにはどうすればいいか。後はパティ次第だよ。そいじゃ・・・」

 

「あ、おい!!」

 

それだけを言い染谷は再度呼び止められないようにさっさと出て行った。

 

「くっ・・・何だよ。チームプレイって・・・わかんねぇよ。それを意識してたら、金になんのかよ・・・」

 

ジェンバがそう苦虫を噛んだ顔で呟いたが、誰もそれを聞く者はいなかった。

 

 

 

さまざまな思いを抱えながら後半へと入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーーー!!!

 

 

後半開始の笛が鳴ると風巻は後ろのレオにボールを戻し、FW陣は前へと行く。

 

『さぁ!後半開始だ!フォーメーションもいつもの4-4-2のダイヤモンド型に戻っているぞ!』

 

後藤もそう実況した。後半からはいつものフォーメーションに戻ったが、ペドロ監督からの指示でMF・DF陣のシュート禁止はまだ継続中だ。

 

「・・・・・」

 

シルバは周りを見ながらゆっくりとボールを運んでいる。

 

「いつまでも持っていると思うな!」

 

多摩丘陵の選手がボールを奪いに来たが、シルバは横から来た板東にパスをする。

 

『レオ、迷わず板東にパスをした!いつもはドリブルで仕掛けるが、パスをしたところを見ると後半もシュートをしないのか!?』

 

ドリブルをしないシルバを見て何も知らない後藤はそう言った。

 

 

ベンチ

 

(・・・・フフッ。ワタシが考えたDF『インダイレクト・ディフェンス』も徐々にこなしてキテいる。インターハイは無理でも選手権マデニは完璧にこなせるダロウ。)

 

試合を見守るペドロ監督はそんなことを思っていた。

 

インダイレクト・ディフェンスは、ペドロ監督が掲げた『超絶的パスサッカー』の中にあったDFである。DFが選手のパスコースの前に立ってパスを封じ、ボールを奪った後にパスコースを塞いでいたDFが一瞬にしてパスの選択肢に入ってくるという非常に厄介なDFで、ペドロはインターハイ予選開催までの間、重点的に練習をしていた。

 

(フフッ、しっかりと結果を残してクレレバ、ワタシとしてもいいほうに事が進む。がんばってクレよ・・・)

 

どす黒い野望みたいな感情を抱いていたペドロ監督は試合を見守るのであった。

 

 

後半20分

 

蹴学 5-0 多摩丘陵

 

前半に5点を取った蹴学はパス交換をしながら相手をのらりくらりとかわしていた。しかし、ただ単にパスをしているだけではないのが蹴学である。

 

「ぐぐっ・・・」

 

多摩丘陵の選手は長いこと蹴学のパスにつき合わされてきたのでボールを奪いに来た。

その所為か4-5-1の守備重視に敷いてあるフォーメーションが崩れ、MFが前によって来たのを見逃さなかった。

 

『さぁ、川崎から板東へ・・・あぁーと、敵陣へロングフィード!流石板東だ!前よりになったのを見逃さなかった!!』

 

後藤が実況した通り、板東がパスを貰うとすぐさま前よりになって空いた敵陣のスペースへとパスを出した。そのスペースには風巻とジェンバが来ていた。

 

『大チャンスになるぞ!!!』

 

突然の大チャンス後藤も興奮しながら実況する。

 

「よしっ!!」

 

板東からのパスを取ったのは風巻だった。その勢いのまま、一人かわしエリアの前まで行く。

 

それを見たジェンバはマークを引き擦りながらすぐさまエリア内へと超人的なスピードで前に突っ込んでいく。

 

「お前には出させない!」

 

前半ジェンバのシュートが多かったからか多摩丘陵の選手もジェンバにボールを出させないようにする。DFもジェンバの方へとよってきた。

 

「ヘイ・・・!!」

 

ジェンバが風巻と目が合った瞬間、体が動くようにパティの体は斜めへと動いていた。マークしていた選手とDFは引き寄せられるように一緒の方向へと動いた。

 

「うおおおおお!!!!」

 

一瞬のスペースが空いたのを風巻は見逃さず、ジェンバが走った方向とは反対側にあるゴールをめがけて豪快に右足を振りぬいた。

 

ズドン!!!

 

「なっ・・・・」

 

GKもジェンバを警戒してジェンバの方へと動いていたので、シュートに対応できずにボールはゴールに突き刺さった。

 

『ゴオオオオオオーーーール!!!!!パティが囮になったことで一瞬空いたスペースを見逃さずマッキーが打ったシュートは見事決まった!!!これで5-0!!!』

 

サポーターが沸く中、後藤も喜びながらそう言った。

 

「パティ!!」

 

風巻がジェンバに駆け寄る。

 

「・・・なんでお「サンキュー!!パティのおかげでシュートが決めることが出来た!!」・・・へっ?」

 

パスを貰えなかったからか、少し怒りを覚えていたジェンバは言おうと思ったが、風巻が笑顔でそう言ってきたのを聞き、間抜けな声を出した。

 

「お前が斜めに行ってくれたおかげで、シュートが決めることが出来た!ありがとう!」

 

そう言い、風巻はハイタッチをしようと手を出した。

 

「・・・・(ふん・・・これがチームワークって奴かねぇ・・・俺には合わねぇが・・・)あぁ!ドウイタシマシテ!」

 

そう言い二人はハイタッチをした。

 

そしてその試合ジェンバはその試合そういうプレーをしたのは一回だけで後は全部本来のプレーだったが、何かジェンバの中でほんの少し変わった・・・のかもしれない。

 

 

蹴学はこの試合も8-0で圧勝した。

 

 

控え室

 

「ヨクヤッタ。次の試合もこの調子で行ってくれ。」

 

試合後、ペドロ監督がこの試合について話していた。

 

「パティ!」

 

染谷はパティの方へ歩み寄る。

 

「・・・なに?」

 

ジェンバは疲れているのか少しだるい感じで返した。

 

「一回だけだけどチームプレイ出来たじゃん。この調子でやろうぜ!」

 

「・・・・・」

 

染谷は笑顔で言ったが、ジェンバは無言で着替えるとさっさと出て行った。

 

「すまんなコウキ。」

 

「レオ・・・レオが悪いわけじゃ・・・」

 

染谷はジェンバが出て行ったところを見ていたら、シルバが謝ってきた。

 

「まぁね・・・もうコウキもこれ以上突っかかるとそれこそチームワークに支障がきたすから今までどおり接してやってくれないか?」

 

「・・・はは。こっちも怒るのも嫌だし、一回チームプレーが見ることが出来たからもう怒らないよ。パティにも少なからずそういうのに意識があるって事だからこっちは良いし。」

 

「ありがとう。」

 

「そりゃどうも。」

 

染谷とシルバは笑顔でそういう会話を交わしながら着替えた。

 

ジェンバは以降アシストプレーは見せなかったが、以前のように突っかかることは無くなり染谷とジェンバは喋れるようになった。

 

蹴学も圧倒的な強さを見せつけ並みいる東京都の強豪を倒し、インターハイ予選の決勝まで進んだ。

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