ツアレ転生者の華麗な異世界生活   作:さろんぱす。

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新作始めました! 基本はずっとこんなノリです。
合わないと思った人は回れ右でお願いします。


#1 いらっしゃいませ

「ハロー、ナイストゥミートゥー、エブリニャン!」

 

 気づいたら目の前に天使がいた。

 真っ赤なレオタードを着た、際どいハイレグのエロエロ女天使だ。

 背中には一対の巨大な白翼。それと頭からも小さい翼が生えている。

 

「……あっ、日本だとコンチニワーでしたっけ?」

 

「どれも間違ってる」

 

 なんだコイツは?

 まだ二言しか喋ってないのに、すごく頭アッパラパーな気配がする。

 

 しかしアイサツされたならばアイサツを返さねばならない。

 私は仕方なく両の掌を合わせ頭を下げた。

 

「ドーモ、エロ天使さん。私は揉口笑子(モミグチ=エミコ)です」

 

「ドーモ、モミグチさん。私は転生を担当する天使。ダンジョンで死んだアナタに、次の生をお届けにきました」

 

「なるほど、そういうことですか(瞬間的な理解」

 

 エロ天使の言葉にゆっくりと頷く。

 なぜなら今の私は死者だから。

 21世紀の日本に突如現れたダンジョン。

 私はそこでアヘアヘ木馬の罠に掛かり死んでしまったのだ。

 

「そんなエロトラップで死んだアナタにビックチャンスです。

 なんとアナタには『オーバーロード』の世界(転移後)に転生して貰う事になりました。

 一番好きな小説だったようですし、嬉しいでしょう? いえーーい!!」

 

「いや確かにオーバーロードは大好きな小説でしたけど」

 

 どうやら私はオーバーロードの世界へ行くらしい。

 だがそれは余りにも酷い罰ゲームだ。

 

 なんせオバロ世界は人類が滅び掛けている修羅の世界。

 人類が生存しているのは大陸の端の端のみであり、滅亡までカウントダウン待ったナシという酷い状況なのである。

 

 小説として読む分には楽しいけど、そこで生きていくのはかなり厳しい。

 

「でもちょっと待って。なんでそんな地獄のような世界に行かなきゃならないんです? どうせ転生するなら日本の富裕層がいいんですけど」

 

「あっ、それは私の趣味です。それぐらいの世界の方が面白いかなと。ちなみに拒否権はありません」

 

「趣味悪すぎぃ!!!」

 

 しかしどうやら私に拒否権はないようだ。

 もしかしてこの天使は邪神の類なのかな?

 

「ではこの6枚のカードを。好きな場所にお使い下さい」

 

「カード? 好きな場所に使う??」

 

 そう言ってエロ天使はカードを渡してきた。トランプぐらいのサイズだ。

 その表面には1枚につきアルファベットが1つずつ。

 【S】【A】【B】【C】【D】【E】と書かれている。

 

「あっ、使用先はそこのキャラシートですよ~」

 

「キャラシート?」

 

 更に空中に光が踊り、目の前に輝くモニターが出現。

 【限界LV】【出身】【能力値】【タレント】【アイテム】【コネ】

 と6つの項目が表示されている。

 

 私はその内容にものすごく覚えがあった。

 オーバーロード10周年記念で掲載された丸山先生のコメント。

 その中で公開された『オバロ転生(現地人用)キャラシート』である。

 

「って待って下さい!!どうせならナザリック勢が良いです!!」

 

 だがこのままは受け入れられない。

 なぜならこれはあくまで()()()()のキャラシートだ。

 

「どうしてですか? 現地勢でも場合によっては国の守護神とかになれますよ?」

 

「だってオバロ世界の現地人って、ナザリックに蹂躙されるだけの存在じゃないですか」

 

 なんせ原作では人間もエルフもドラゴンもサクサク殺されていたからね。

 竜の王様だってモモンガ様の即死魔法で一発である。

 そんな住人に転生する? ハハハ、ご冗談を。

 

「でもナザリック勢――至高の41人に転生すれば、その時点で勝ち組が確定するんです」

 

 たとえ戦闘力が低くてもNPCは忠誠を誓ってくれる。

 設定を書き換えなければアルベドはおそらく暴走しない。

 世界征服もデミエモンが勝手にやってくれだろう。

 

 つまり引きこもってメイドさんとイチャコラしてれば安泰だ。

 

「あ~、なるほど。しかし残念ながらアナタの魂だとそういうのは無理ですね~。死ぬ前の善行が足りないっていうか~」

 

「ならチート!! なんかこう、天使様のお力でググっと! パワーアップをお願いします!!」

 

 だがそんな生活は無理なようだ。

 でもココで引く訳にはいかない。私は必死に天使様に慈悲を訴える。

 

「ハイレグから剃り残しが出てるの黙ってますから!!」

 

「……しょうがありませんね。ではもう一枚カードをさし上げましょう」

 

 すると天使様はその剃り残しをプチっと引き抜き、一枚のカードに変えて手渡してきた。

 

「うわっ、ばっちぃ……でも、ランク+2……?」

 

「ぶっとばしますよ?」

 

 見れば【ランク+2】と書かれたカードだった。

 恐らくランクを2段階引き上げることが出来るのだろう。やったぜ!

 

「言わなくても使い方はわかりますね? ではスタートしてどうぞ」

 

「どうせならオマケでワールドアイテムも一つぐらい貰えませんか?」

 

「欲しければ【アイテム】に【S】カードを使うといいですよ」

 

「それ物心付く前に奪われるオチですよね……」

 

 更に粘ってみたが、どうやらコレ以上は無理らしい。

 しょうが無いので私はカードの使用――キャラクター構築、を始める。

 

 とはいえ、この『オバロ転生(現地人用)キャラシート』は割と単純だ。

 

 項目ごとにカードを使い、それに応じて才能が決まる。

 【S】カードに近いほどプラス、【E】カードに近いほどマイナスである。

 

「まず虎の子の【S】カードは……【出身】!!」

 

 まず【S】のカードを【出身】に使う。

 カードは近づけると光モニターに吸い込まれ、出身欄が「転生者」へと変わった。

 

「よし、これで原作知識を持っていける!!」

 

 オーバーロードではどれだけ強くなっても決して油断できない。

 そのため生き延びるには、知識を総動員して地雷(ナザリック・竜王・神人・裏組織・他沢山)を避けるしかない(避けれる保証はない)

 

 【S】以外では原作知識が無くなってしまうので、ここは【S】カード一択だ。

 

「それから【A】のカードは……【タレント】!!」

 

 次に【A】のカードを【タレント】に使う。

 これでンフィーレア君並(全アイテム使用可能級)のタレントが手に入る。

 

 私は空中に表示されたタレントの一覧を眺める。

 

 ・全アイテム使用可能(条件無視)

 ・使用位階看破の魔眼(全系統)

 ・第6位階魔法使用可能(1日1回)

  etc……。

 

 どうやらこの中から一つを選べということらしい。

 

「細かく選べるってまじで? それなら出来るだけ強いのがいいよね」

 

 私はその中から【第8位階魔法使用可能(1週間1回)】を選択。

 さらに使える魔法は固定のようなので〈第8位階天使召喚〉を選んだ。

 

「っしゃぁ! これで推定LV50~56の天使モンスターを呼び出して使役できる!!」

 

 LV30代すら滅多にいない現地としては破格の戦闘力だ。

 またこの魔法で呼び出せる天使は何種類もいる為、場合によって使い分けることができる。

 

 攻撃魔法を1つ選ぶよりも、よほど汎用性が高い切り札だろう。

 

「それから【B】のカードは……【LV上限】!」

 

 表示されたLV上限は31。

 原作でもチラホラ出てきたLV帯だ。

 魔法詠唱者クラスに全振りしても使えるのは第5位階まで。

 

 表の世界なら最強って感じだが、裏まで考えると生き残るには少々きびしい。

 

「という訳で、ここで追加の【ランク+2】!!」

 

 なので私は【ランク+2】カードを使う。

 表示されるLV上限が一気に41まで上がった。

 これで大陸に3人しかいないフールーダ(逸脱者)クラスになった。

 

 これならよほどヘマをしなければ、死ぬことはないだろう。

 竜王と法国に目をつけられず、ナザリックが来た後はモモンガ様の気分次第、という注釈がつくが。……あれ、けっこう死にそうでは?

 

「それから残りの項目は適当で。後は頑張ればどうにかなりそうだし」

 

 私は残りをサクサクと埋めていく。

 

 【能力値】に【C】(能力変化なし)

 【コネクション】に【D】(ライバル有り)

 【特殊アイテム】に【E】(借金有り)を使った。

 

 ライバルと借金は面倒そうだが、これらはまだ転生後でも挽回できる。

 取り返しのつかないLV上限やタレントに比べると、どうしても優先順位は低くせざるを得ない。

 

「あとは【初期クラス】も選べるんだ……ならここは『神官(クレリック)』で」

 

 最後に「基本クラスを選択して下さい」と出てきたので、迷わず「神官(クレリック)」を選んだ。

 

 回復魔法に準前衛能力まで備わった、オバロ屈指のつよつよクラスである。

 現地に福利厚生が無い以上、選ぶのは自己回復と戦闘力を両立出来るこのクラス以外ありえない。

 

「どうやら決まったみたいですね」

 

「まぁこんなところです。……あの、『信仰する神』が勝手に『転生天使アルテマ』になったんですけど」

 

「それはもちろん私です。頑張って信仰してね? 神殿とか立てて信徒を増やしてもいいのよ?」

 

「……ちょっと無理かなって」

 

「どうして!?」

 

 人を地獄に送ろうとしてるのに何言ってんだこのアホ天使。

 そうして出来たビルドがこちらである。

 

 【出身(S)】  :原作知識持ち、基本職スタート、最上級職チャンス有り

 【タレント(A)】:一週間に一度〈第8位階天使召喚〉使用可能

 【限界LV(S)】:41 ※【ランク+2】カード使用(元はBで31)

 【能力値(C)】 :平凡、変化なし、成長速度普通

 【コネ(D)】  :ライバル(お邪魔キャラ)が出現

 【アイテム(E)】:借金有り

 【初期クラス】:神官(クレリック)(信仰する神:転生天使アルテマ)

 

 中々いい感じではなかろうか?

 基本的に将来へ全振りなので、スタートがちょっときついかもしれないが。

 しかし伸びしろが無いよりはマシだろう。

 

 なんせこれから行くのは弱肉強食の世界なのだ。

 強くなれなければカモとして一生を過ごすハメになる。原作のクライム君みたいになるのは嫌だ。

 

「決まりましたね。では続けて転生()()()()()()を選んでもらいます」

 

「……転生()? えっ、そんなの聞いてないんですけど??」

 

 うっそだろお前。いきなり原作キャラってなんだよ(唖然

 

「ええ、だって言ってませんから。あと記憶が戻るのは15歳ごろの予定です。幼少期はだるいのでスキップらんらんで」

 

「15歳って遅すぎィ!!!」

 

 幼少期なめんな!! ある意味一番大事な時期だぞ!!!

 

「それをスキップらんらんて」

 

 もしかして初期クラスを選べたのって、人生の途中から始まっちゃうから?

 オート進行のゲームかよ。

 

「せめて10歳……いややっぱ5歳からにして!!」

 

「ダメです。……それではガチャススタート!!」

 

 しかし私の抗議も虚しく、エロ天使は開始を宣言。

 目の前に大きなドラムが出現し、勢い良く回りだす。

 

 ――グルグルグルグル、グルグルグルグル。

 

 私はそのドラムの表面を目を凝らして見つめる。

 するとそこには沢山の名前が並んでいた。

 

 1.ニグン・グリッド・ルーイン

 2.カルカ・ベサーレス

 3.ロバーデイク・ゴルトロン

 4.クルシュ・ルールー

 5.アルシェ・イーブ・リイル・フルト

 6.フィリップ・ディドン・リイル・モチャラス

 etc

 

 共通点は原作で神官系クラスを収めていたキャラ、あるいは貧乏そうだったキャラだ。

 

「待って! 待って!! これみんな禄な目に合ってないキャラじゃん!! ていうかさり気なく男と爬虫類も混じってるし!!! つーか、この爬虫類(クルシュ)は『森祭司(ドルイド)』で違うクラスでしょ!!!」

 

 いきなり魔王とエンカウントとか嫌だよ!! 聖棍棒も頭クチュクチュ肉団子も嫌だ!!

 白蜥蜴も体バラバラリサイクルも!! そして最後の馬鹿だけは絶対に嫌ああああああああああ!!!!!!

 

「ここまで来たらオリキャラでいかせてよ!!」

 

「ダメです。ではロールストップ……ポチっとな」

 

「せめて停止ボタンは私に押させて!!」

 

 エロ天使は無慈悲に停止ボタンを押した。

 グルグル回っていたドラムの回転が徐々に遅くなる。

 

 そして止まった先にあったキャラ名は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ツアレニーニャ・ベイロン

 

「大当たり~~~~~~!!!」

 

「大外れぇえええーーーー!!!」

 

 クークーお腹を鳴らしながら畑を耕して9割持っていかれて、妾にされて娼館に売られる超不幸キャラァアアアアアアア!!!!!!

 

 

 ……………………

 ………………

 …………

 

 

 こうして私はツアレになった。記憶が戻ったのはきっちり15歳の時だ。

 生まれたのは原作通りクソ貴族が支配するクソみたいな村だった。

 

『ご存知ないのですか? 平民は畑から幾らでも生えてくのです』

 

『だから沢山絞ってOK。むしろ絞らないと失礼まである』

 

『今日も平民の犠牲で飯がうまい!!』

 

 そんな事をのたまう領主の支配する村である。

 

 オマケに……

 

「よっし、これで()()契約はおしまいだ。んじゃ娘さんは連れて行かせてもらうぜ」

 

「ごめんね。ごめんねツアレ……」

 

「不甲斐ないパパとママを許してくれ……」

 

「やだよ姉さん!! いっちゃやだぁああ!!!」

 

 いきなり私は売られてしまった。

 

「なんで???」

 

 ちょっと意味がわからない。

 いやキャラビルドで「借金有り」にしたのは私だけど!

 将来性に全振りして他をお粗末にしたのは私だけど!!

 

「それでもいきなりコレは無いでしょ!? しょっぱな奴隷スタートなんて想定外だよ!!!」

 

「何言ってんだお前? いいからさっさと来い!!」

 

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!」

 

 両親に契約書へサインさせた男が、私をロープで縛って連れて行く。

 

 せめて時間を!! LVを上げる時間を下さいいいいい!!!!

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