ツアレ転生者の華麗な異世界生活   作:さろんぱす。

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ハイセクで氷掘ってたら2週間も過ぎてました。ごめんなさい。
感想、誤字脱字報告ありがとうございます!!


#11 とっとこ進もう!!

「おっ、『地の上位天使(アークエンジェル・アース)』の索敵に反応があった! そろそろだよクレティー」

 

「今更だけど、森の賢王なんて魔獣、本当にいるの? ツアっちの妄想じゃなくて?」

 

「妄想でも構わん! 私はペットが欲しい!!」

 

「いや妄想じゃダメでしょ……」

 

 みなさまこんにちは。

 ついに自由の身となったツアレちゃんです。

 

 王都から脱出した私たちは東に向かって爆進した。

 街道沿いにモンスターを皆殺し、エ・レエブルを超え、そしてトブの大森林西部へ突入。

 LV上げをしつつ、西の魔蛇とその部下をタレントで始末したら今度は南へ。

 

 そうして辿り着いたのがこの場所―森の賢王の縄張り―である。

 

「いたいた! アレがそうだよクレティー。やっほー、森の賢王さん、おひさー!」

 

「うわぁ、本当にいたよ。ツアっちの妄想じゃなかったんだ」

 

 私たちは外でご飯を食べていた賢王さんに、後ろから気さくに話しかける。

 対して賢王はご飯をモグモグと頬張りながら、3メートルはあろうかという巨体でユックリとコチラに振り返った。

 

「確かに某は森の賢王と呼ばれているでござる。しかしお主らは何でござるか?」

 

「アナタの飼い主♡」

 

 巨大なジャンガリアンハムスターは予想以上にカワイイ。

 粒らな瞳でコチラを見ながら、モキュモキュと口を動かす姿は萌え萌えだ!!

 

 オマケにその毛皮はカッコイイ白銀であり、尻尾は遠距離攻撃も出来る万能武器。

 更に魅了魔法なんて便利なものまで使えると来ている。

 

 ……絶対に手に入れなきゃ(使命感

 

「某を飼うでござると? しかしそれは無理。お主達はちと弱いでござるよ」

 

「見てみてクレティー、なんて大きな巨体なんだろ。これなら前衛タンクにばっちり! そして騎乗すれば足としても使えるよ!! これでもう歩かなくてもオッケー!!」

 

「もしもし? 話を聞いてるでござるか?」

 

 オマケに背に乗ることで私達は歩かなくてすむ。PTの移動速度が大幅にアップだ。

 

「もちろん聞いてるよ。これからあっちこっち行く予定だからね。馬より強くて、しかも言葉を理解して勝手に走ってくれるとか最高だぜぇ!!」

 

「うーむ、ここまで話の通じない人間は初めてでござるなぁ。大抵は某を恐れて丁寧になるのでござるが……」

 

「ごめんねー? ツアっちはこうなると人の話を聞かなくなるから」

 

「そうなのでござるか。お主も大変でござるな」

 

「……分かってくれるの?」

 

 あっれー? なんかすでに二人が仲良くなってる。

 でもこのテンションで人の話を聞くとかちょっと無理かなって。

 それに原作を読んだときから、私はずっと思ってたことがあるのだ。

 

「――この毛皮で防具作ったらすごそうだなって」

 

「毛皮で防具……? えっ、剥ぐつもりなの??」

 

 なんせアインズ様のグレートソードすら弾く程の強度である。

 その時の攻撃が全力では無かったにしても、鉄より硬いのは間違いない。

 

「つまりこの魔獣は素材としても一流って事だよ!!」

 

「……言ってる意味はよく分からんが、何だか身の危険を感じるでござる」

 

「あ~、大丈夫大丈夫。ツアレは第4位階の神官だから。剥ぎ終わった後は綺麗に直してくれるよー」

 

 剥ぎ取ってー! 加工してー! 回復したらまた剥ぎ取ってー!!

 

 上手く加工しないと 回復した時に剥ぎ取った部分が消えちゃうけど、それはここに来るまでに散々練習した。だから手加減も加工ももう完璧だ!!

 

「余った分は売りに出してもオッケー。道中に出てきたウルフさん達は良い実験台だったね」

 

「降伏してキュンキュン鳴いても容赦なく革を剥いだからねー。あれは私ですらドン引きだったわ……」

 

「白銀の毛皮で作った防具は、見た目も最高にカッコいいに違いない。フヒヒヒヒ……優しく剥いであげるからね?」

 

「ヒッ……!! なんというおぞましい笑顔ッ!! これは生かして帰すわけにはいかないでござるな!!」

 

 そう言うと森の賢王は立ち上がって両手を広げた。

 おっと、思わず欲望が漏れてしまっていたようだ。相手が戦闘態勢に入ってしまった。

 

 だがこれは合意と見ていいよね? なんせ遠回しに殺すって言ってる訳だし。

 なら半殺しにされても文句は無いだろう。

 

「なら私も――〈第2位階天使召喚(サモン・エンジェル・2nd)〉、()()()――〈第4位階天使召喚(サモンエンジェル・4th)〉!!」

 

「結局はこうなっちゃうかー。まぁしょうがない。とりあえず――〈能力向上〉〈回避〉〈可能性知覚〉」

 

「ふん、今更しらじらしい。最初からそのつもりだったのでござろう!!」

 

 そんな森の賢王を相手に、さり気なく前に出てくれたクレマンティーヌの後ろで魔法を使う。

 

 すぐに第2位階の「守護の天使(エンジェル・ガーディアン)」が。

 ついで第4位階の「監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)」が出現した。 

 それも召喚済みだった第3位階の「地の上位天使(アークエンジェル・アース)」に()()という形でだ。

 

「これで天使達の呼び出し完了!! どう? 私の天使()()は?」

 

「むむ!! 白い人形を3体も……!! なかなかやるようでござるな」

 

「あっ、その程度の反応なんだ。普通、召喚魔法3種を同時にって驚く所なんだけどねー」

 

「……何故でござるか?」

 

「この魔獣、賢王って言うほど賢くなくね?」

 

「クレティーがまた酷いこと言ってる」

 

 とは言え、私も森の賢王のリアクションが思いの外に小さくてがっかりしているが。

 本来ならアリエナイ光景に相手は驚愕!! って感じを期待してたのに。

 まぁ魔法の仕様を知らないならしょうがない。

 

 ちなみにこれは私が新しく取得した職業(クラス)の能力だ。

 LV9で取得した「天使招来者(エンジェル・コーラー)」の。

 そしてLV21で取得した「上級天使招来者(ハイエンジェル・コーラー)」のパッシブ(自動発動)スキルである。

 

 どちらも天使の召喚に特化したクラスで、召喚魔法の維持数が一つずつ増えた。

 お陰で私は3種類の天使召喚魔法を、同時に展開することが可能になった。

 他にも天使の強化、召喚時間の延長、複数体召喚時に+1体なんてスキルもある。

 

「私のスタイルにピッタリの、まさに私の為にあるような職業だよね。――〈下級筋力増大(レッサー・ストレングス)〉〈下級敏捷力増大(レッサー・デクスタリティ)〉」

 

「法国の私の家に代々継承されてた資料によれば、取得条件の一つは召喚体じゃない、本物の天使に会うことらしいけどねー。ツアっちは何処で会ったんだか」

 

「天使にまでモテモテのツアレちゃんでごめんね? でも私はクレティー一筋だから。ほい――〈盲目耐性(アンチ・ブラインドネス)〉〈下位精神防御(レッサー・マインド・プロテクション)〉」

 

 そんな事を言われても取得できちゃったのはしょうが無い。

 恐らく転生時にエロ天使に会ったことで条件を満たしたのだろう。

 

 私たちはダラダラ会話を続ける振りをしながら、さり気なくバフ魔法を重ねがけしていく。

 そしてそれが終わると、ついに森の賢王が動きだした。

 

「準備は終ったでござるか? ならばそろそろ、命の奪い合いをするでござる!!」

 

「と言われても、こっちが勝つのは確定してるけどね。ツアっちのタレントも残ってるし」

 

「タレントはギリギリまで無しだよ。今の私達がどれぐらい戦えるかのテストも兼ねてるからね。あと炎武器も死んじゃいそうだからなしで」

 

「……随分と余裕でござるな。ならばコレはどうでござるかっ!!」

 

 その言葉を合図に戦闘が開始された。

 森の賢王の初手は尻尾による薙ぎ払いだ。しなりを生かした、遠心力によるぶん回し。

 それをクレマンティーヌはさっと屈んでかわし、私は地の上位天使(アークエンジェル・アース)に大盾で弾き返させる。

 

「なかなか硬いでござるな!!」

 

「でっしょー? ついでに探知も出来て超便利なんだよ?」

 

 こいつは黄色に輝くタワーシールドを持つ、防御に特化した第3位階の天使だ。

 振動感知という特殊能力(スキル)―地面の振動を感知する―も持ってるため、普段は索敵要員として重宝しているが、その本領は高い防御力にこそある。

 

 オマケに今は監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)のスキルで、更に防御力が上がっている。

 これならLV差があっても数発ぐらい耐えるだろう。

 

「んじゃぁ、こっちもいくよー。……シッ!!」

 

 そうして攻撃を防げば次はコッチのターン。

 弾かれた尻尾が戻るのに合わせてクレマンティーヌが突撃する。

 複数の武技を使いこなし、正面から迫る姿は驚くほど早い。

 

 私も天使を上空から切り込ませ、同時に攻撃魔法をぶっ放して援護する。

 

守護の天使(エンジェル・ガーディアン)GO!! そして〈衝撃波(ショック・ウェーブ)〉!!」

 

「うっとおしいでござる!!」

 

 森の賢王は迫る天使を戻した尻尾で払い、私の魔法を片腕でガード。

 だがそれらに気を取られたのか、クレマンティーヌの接近を許してしまった。

 

「はーい、まずは一発目~」

 

 懐へ入り込んだクレマンティーヌは、そのまま流れるような動作で、柔らかそうなお腹にスティレットを突き出す。しかし……

 

 ――カンッ!!

 

 森の賢王の毛皮は、その攻撃を簡単に弾いてしまった。

 

「うっそ!? かったっ!!!」

 

「その程度の攻撃は無駄でござる!!」

 

 予想外の硬度にクレマンティーヌが驚きの声を上げる。

 

「そうだよね。あんな手触り良さそうな毛皮が、鉄より硬いとか思わないよね」

 

「今度はこちらの番でござるよ!!」

 

 そこへ賢王は片手を振り下ろし、更に一瞬の時間差で尻尾まで振るった。

 しかしこの程度でクレマンティーヌは慌てない。

 

「舐めんなっ!! この程度は慣れっこなんだよ!! ――〈超回避〉」

 

 なんせ私の第8位階天使とも、何度も模擬戦をしているのだ。

 クレマンティーヌは振り下ろされる腕を冷静に見きって半身で避け、さらに低空から迫る尻尾もバク転で躱した。

 

「キャー! クレティーカッコイイー!!」

 

「やるでござるなっ!!」

 

「――からの〈超貫通〉〈三光連刺〉!!」

 

 そして着地と同時に発動したのは、この2ヶ月で作ったオリジナルの武技だ。

 一度で3発の刺突を繰り出す神速の技。

 ぶっちゃけ、私から聞いたガゼフさんの四光連斬のアレンジ、というかパクリである。

 

 だが超近距離で襲いかかる複数の同時刺突はとにかく躱しづらい。

 しかも狙いもちゃんと付けられるみたいだし、私から見ても使い勝手のよさそうな良武技だ。

 

「しかしその程度の攻撃など効かぬでござる!!」

 

「甘いんだよ!! そして――部位崩し!!」

 

 森の賢王は前回と同じく外皮でその攻撃を防ごうとするが、しかし武技で貫通力を上げた刺突は止まらない。

 

 閃光の切っ先はあっさりと外皮の壁を突破し、深々とその内側へ突き刺さった。

 

「なんとぉー!? ……って腕が動かないでござるよ!!」

 

 更に森の賢王は両腕が動かせなくなっていた。

 

「後はこのままチマチマぶっ刺していくよ―!!」

 

 こちらは部位崩しというスキルの効果だ。

 特定の部位を刺すことで、その場所を麻痺させる事が出来る。

 効果時間はたった数秒と短いが、代わりにリキャストタイムが短く連打が可能な為、使い勝手はとても良い。

 

 こうなれば後は同じように他の部位も麻痺させて、そこから先は嬲り殺しタイムのスタートである。

 

「これはもう勝負合ったかな? クレティーの勝ち的な意味で」

 

「いいや、まだでござる!! ――〈全種族魅了(チャームスピーシーズ)〉!! 〈盲目化(ブラインドネス)〉!!」

 

 しかしまだ森の賢王は諦めていないらしい。

 最後の悪あがきに魔法を放ってきた。

 

 だが悲しいかな、それらの魔法はとっくに対策済みだ。

 原作知識で手の内知ってるって本当に便利。まぁ森の賢王の魔術師(マジックキャスター)としての技量は低いので、元々レジストは簡単らしいが。

 

 クレマンティーヌは一切止まらず、何事もなかったかのようにプスプスと別の部位を刺す。

 

「残念、それ最初から対策済みなんだ♪ ……効かなくてごめんね?」

 

「ちょ、ちょっと待つでござる! それは卑怯すぎるでござろう!!」

 

「ツアっちの天使軍団に比べればまだマシだよ?」

 

「クレティーは模擬戦で天使にボコられすぎて、急所狙いの一撃必殺は諦めちゃったもんねー」

 

 私が召喚する天使は、スキルによって致命的な一撃(クリティカルヒット)が無効になる。

 その為、クレマンティーヌはすぐに急所狙いを諦めた。

 

 だがおかげで原作とは違う、正統派の軽戦士に成長中だ。

 今修めているのは刺突武器を片手持ちし、攻撃にデバフを付与して戦う職業(クラス)――「活劇剣士(スワッシャー・ブレード)」である。

 

「じゃあクレティーもノッてきたし、もうちょっとだけ続けよっか。あと5分ぐらいしたらタレント使うから」

 

「オッケー」

 

「まだ奥の手があるでござるか!?」

 

 泣きそうになっている森の賢王に、私はダメ押しとばかりに3体の天使をけしかける。

 そのままクレティーと合わせてタコ殴りにした。

 

 もちろん最後はちゃんと第8位階の天使も呼んで釘を刺す。

 ゼロ達を倒した撃進の座天使(スローン・デストロイヤー)清浄断罪剣(ジャッジメントブレード)で、伸びてるおヒゲをサクサクとカットだ。

 

「ひぃい、降参!! 降参するでござるぅうーー!!」

 

「えー、まだ戦い足りないんだけどなぁー」

 

「ここまでやったら、しょうがないかな?」

 

 森の賢王は余りにも怖かったのか、最後は丸まったままプルプル震える小動物(巨大)みたいになってしまった。

 

 だがこうなればもう逆らおうとは思わないだろう。

 まぁ元から裏切るようなキャラじゃないのは知ってるけど。

 

 後は魔法で癒やして忠誠を誓わせればミッションコンプリート。新たなPTメンバー(件乗り物)の誕生だよ!!

 

「ってことで今日からアナタは私達の仲間、名前は『ハムスケ』だよ!!」

 

「畏まったでござる!! このハムスケ、殿と姫に忠誠を誓うでござるよ!!」

 

「えー、本当にその名前でいいの……?」

 

 名前はもちろんこれしか無いだろう。まったく、モモンガ様のセンスは最高だぜ!!

 

「あと姫ってもしかして私の事? ……恥ずかしいから止めてほしいんだけど」

 

「おお! クレティーが照れてる!! 良いぞハムスケもっと言ってやれ!!」

 

 クレマンティーヌの顔が真っ赤だ! これは珍しい!!

 

「ひーめ! ひーめ! ひーめ!! クレティー姫ー、でござるー!!」

 

「連呼やめろぉおおおおお!! 調子のんな!!!」

 

 こうして私たちはハムスケを仲間に加えた。

 剥ぎ取った毛皮はとても頑丈で、手触りも良くてたちまちお気に入りになった。

 防具に加工するのが楽しみだ。




ツアレ 「これから皮を剥ぎます」
クレマン「麻酔は任せろー。数秒しか持たないけど」
ハムスケ「(効果時間が)全然足りない」

◆以下、独自の設定(クラスとか)
・天使招来者/エンジェル・コーラー
 取得条件:天使との回合(召喚体不可)、〈第2位階天使召喚(サモン・エンジェル・2nd)〉の発動能力
 スキル:天使召喚維持Ⅰ、天使肉体強化、天使持続時間延長

 サモナーのクレリック版のようなクラス。
 ユグドラシルでは天使が湧くフィールドがあるので取得は簡単だった。現地ではほぼ不可能。
 そのため陽光聖典の人たちも持っていなかったという設定。
 *元ネタはパスファインダー:キングメーカーの使徒招請者

・上級天使招来者/ハイエンジェル・コーラー
 取得条件:天使との回合(召喚体不可)、〈第8位階天使召喚(サモンエンジェル・8th)〉の発動能力
 スキル:天使召喚維持Ⅱ、天使急所無効化、天使召喚数増加

 天使招来者の上級版。本来はLV51以上でないと取れないクラス。
 ツアレはタレントによって条件を満たしている。
 取得時に選択した無効化能力を天使に付与できる(ツアレの選択は急所)

・活劇剣士/スワッシャー・ブレード
 取得条件:ある程度の戦士能力。刺突武器を片手だけに持って戦うこと
 スキル:部位崩し、パリィ、他色々

 一撃必殺を諦めた結果、弱体化させて沢山刺しまくる方向にシフトして取得したクラス。
 *元ネタはD&Dのスワッシュバックラー
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