ツアレ転生者の華麗な異世界生活   作:さろんぱす。

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感想・誤字脱字報告ありがとうございます。
アニメ4期が終わってしまいました。最高でした5期はよ。
聖王国編の映画も早く見たいです。


#14 勝手に集う者達

「デスナイトさん早く出てきてくれーーーー!! (期待で)私のおっぱい(心臓)が爆発しちゃーーーーーう!!!!」

 

「組合で聞いた出現場所はこの辺りなんだけどなー。いないって何処に行ったんだろ……」

 

「きっとご飯を狩りにお出かけ中なのでござるよ」

 

 みなさまこんにちは。

 無事にカッツェ平野へ到着するも、なかなかデスナイトが見つからないツアレちゃんです。

 

 新装備を身に着けた私たちは、組合で依頼を受けてすぐエ・ランテルを発った。

 カッツェ平野までの距離は人の足で約二日だ。

 しかしハムスケという移動手段がある私達には数時間で十分だった。

 

 ここには王国と帝国が共同で管理する小さな町があるので、軽く休憩を取ってから、早速調査にGOだ。だが今のところデスナイトが見つかる気配は全く無い。

 

「それもこれも全部この()がうざいせいだよ!!」

 

「確かに思ってたより濃いねー」

 

「某はヒゲがムズムズするでござる」

 

 カッツェ平野は呪われた地であり、アンデッドが無限湧きする不浄な場所だ。

 その上、一年中ずっと霧に覆われている。

 

 原作では薄霧だと説明されていたが、実際は20メートルぐらいから先は見えない。

 紫の霧が薄いカーテンのように重なり視界を閉ざしていた。

 

「オマケに太陽光が遮断されるせいか寒いし、それでいて湿度が高くてジメジメしてるし」

 

 本来の予定ではここでLV上げをするつもりだったが、止めたほうが良いかもしれない。

 これならまだ森の中のほうがマシだ。

 

「肌がベタベタして気持ち悪~い。幽霊に水を吹きかけられてるような感じ」

 

「某もここはちょっと苦手でござる」

 

 蒸れたのかクレマンティーヌが胸元をパタパタと動かす。

 普段はピンと伸びているハムスケのヒゲも、水分を吸ったせいかタレてしまっていた。

 でもそんな二人はなかなか可愛くてアリだ。DVDにしたら飛ぶように売れそう。

 

「私たちはハムスケに乗ってるからまだマシだけど、歩いての探索だとキツイだろうね」

 

「歩くだけで体力使いそうだよねー。いや気を張りすぎて、先に精神の方が消耗するかな?」

 

「どっちも疲れるのではござらんか? たまには走ってる某のことも考えて欲しいでござる」

 

「はいはい、疲れたらいつでも回復してあげるから」

 

 そんな事を言いながら、私達を背に乗せたハムスケが大地を駆ける。

 ちなみに騎乗方法は原作のモモンガ様と同じだ。

 

 つまり女の子二人が前後に並び、大股開きで大型生物に跨っている状態である。

 正面からは見れば大股開きだ。これは流石に恥ずかしいので、帰ったら専用のマジックアイテムを注文した方が良いかもしれない。

 

 まぁこのままの方が名声(エロス的な意味で)は稼げそうだけどね!!

 

「エ・ランテルの街中だと男の視線がすごかった。ところでいい加減に見つかりそう?」

 

「視界が悪すぎて無理でござるなぁ。オマケにそこかしこから変な匂いがするでござる」

 

 んー、やっぱり駄目か。ハムスケは魔獣らしく人より嗅覚が鋭い。

 しかしここは地面からアンデッドの匂いがするのだ。ちょっと腐ったような死体の香り。

 これでは索敵なんて無理だろう。

 

 だがそれで諦めたりはしない。

 私たちには、こんな時の為の切り札が有るのだから!!

 

「そういうツアっちの天使はどうなの?」

 

「ん~、今の所はそれっぽい反応は無し。でも大丈夫!! こうして走り回っていれば、そのうち()()()()()()()はずだよ!!」

 

 私はそのままチラりと後ろを振り返る。

 その先にあったのは、()()()たまま()()()()()ている「地の上位天使(アークエンジェル・アース)」の姿だ。

 切り札の天使は、地面に両足をついたまま上半身をロープでグルグル巻きにされ、その先端をハムスケのベルトに括り付けられて引っ張られていた。

 

「なんせこの天使は、地面の振動を感知する能力を持ってるからね!!」

 

 この天使こそが私達の切り札である。

 視界も匂いも気配も無視して、敵を感知する優れた能力を持つ。もはや私達にPTには欠かせない存在だ。

 

 ずっと無言で私達の背中を見つめ続けているが、召喚モンスターは意思がないので気にする必要はないだろう。

 

「でもそれって飛行能力をオフにして、地面に直接触れてないと使えないんでしょ?」

 

「一緒に走るのはダメでござるか?」

 

「それだとPTの移動が遅くなっちゃうでしょ。ハムスケの速度に着いてこれないし」

 

 しかし地属性なせいか、この天使は素の移動速度が遅かった。

 その為、打開策としてハムスケに括り付けて引っ張ることにしたのだ。

 

 その姿は市内を馬で引き回しされる罪人のよう。

 クレマンティーヌ曰く「天使をこんな酷い使い方するのって、たぶんツアっちぐらいだね」とのことだが、他に方法がないからしょうがない。

 

「それに見て下さい、この力強いハムスケの勇姿を!! 馬力が違いますよ!!」

 

「罪人扱いの天使から目を背けんじゃねーよ」

 

「その天使? のお仁はちょっと可哀想でござる」

 

 話を変えて誤魔化そうとした私に、二人が遠回しに苦情を訴えてくる。

 でも私だって好きでこんな事をやってる訳ではないのだ。

 

「……じゃあ下さいよッ!! 文句があるなら代替案ッ!! 下さいよッ!! ……私だってこんなダサいの嫌だよ!!!!」

 

「ダサいて」

 

「ひど過ぎるでござる」

 

「アイデアを出さない癖にどうして文句を言うのか。これが分からない」

 

 結局、状況を打開するアイデアは出なかった。

 二人も分かっていたのだ、この天使はこのまま引っ張られ続ける運命だと言うことを。

 

 ごめんね? でもそのポジションが今後はデフォになるだろうから、天使さんも早めに慣れてほしい。

 

「じゃあ話もまとまったし、さっさと目標を探そう」

 

「はーい」「了解でござる」

 

 私たちはそのままカッツェ平野を駆ける。

 大開脚恥ずかしいポーズでハムスターに乗ったまま、罪人のようにズルズルと天使を引きずりながら。

 

 その後には二本の線が地面に延々と続いていた。天使が自分の存在を思い出してとアピールするかのように……。

 

 

 

 

 

 ――それから約5時間後。

 

 ようやく私たちは目的の相手を見つけた。

 

「居たッ!! あれがそうだよ!!」

 

 小高い丘の上から見えたのは、トゲトゲの鎧を着た、禍々しいアンデッドの大騎士だ。

 右手には波うった形の大剣を持ち、左手には巨大なタワーシールドを構えている。

 

「伝説のアンデッド……うーん、私より強い」

 

「(なんでござろう、抱き枕にしたら気持ちよさそうなお仁でござる)」

 

 間違いない。原作で散々見た死の騎士である。

 これには思わず私も飛び上がってガッツポーズ!!

 

「キターーーーー!!」

 

「オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォ゙ーーーーー!!!!!」

 

 デスナイトの雄叫びが周囲に響き渡る。

 生者の存在を許さないと言わんばかりの咆哮だ。どうやら定期的に叫びたくなるらしく、このお陰で私たちはデスナイトを見つけることができたのだ。

 

 えっ、こんな叫び声を上げてるなら、振動で探知する必要はなかったって?

 あーあーあー!! 言ってることが聞こえなーい!!!

 

「……地の上位天使さんの頑張りを無駄にしやがってッ!! お前それでも人間かよぉおおお!!!」

 

 私は天使の頑張りを思い出し、思わず叫び声を上げてしまった。

 何度も召喚し直したのに!! その度にロープを結ぶの面倒だったんだぞ!!!

 

「いや人間じゃないでしょ。ノリで叫んでないで、とっととバフ掛けて」

 

「あっ、はい」

 

「(クレマンティーヌ殿は頼りになるでござるなぁ……)」

 

 しかし確かにギャグってる場合ではない。

 私は大人しくバフを掛け始める。身体能力の向上系は基本として、今回は〈対悪防御(アンチイービル・プロテクション)〉などの対アンデッド魔法も使用し、更に恐怖、麻痺、毒の耐性も付与する。

 

 3人分な上に掛ける魔法が多い為、MPがぐんぐん減っていく。

 だが途中で怪我をするよりはマシだ。少なくともこれで状態異常による戦闘不能は起らないだろう。

 

 それに今回はそれだけ危険な相手()だ。

 なんと見つけたデスナイトは、大量のお供を引き連れていたのである。

 

「ひょわー、いっぱいいる!! って感じだね」

 

「デスナイト以外にも、ゾンビとかグールも100体以上いるじゃん」

 

「まさかアレと戦うでござるか?」

 

「ここまで来て何言ってるの。当然でしょ」

 

 この時の私たちは知らなかったが、このデスナイトは竜王国から逃げてきた大商人の一団を全滅させていたらしい。

 

 更に間引きに出ていた冒険者も複数殺害し、討伐に出た帝国騎士一個小隊すら皆殺しにしていたのである。

 

 お陰で結構良い装備を身に着けたゾンビが周囲にウヨウヨしている!! ちょっと待って、聞いてねーぞ!!

 

「まっ、経験値的には最高だけどね!! 合図したら突っ込もうか?」

 

「ああもう、しょうがないなぁ」

 

「殿のご命令だし、頑張るでござるよ」

 

 だがそんなゾンビの群れも、私にとっては経験値の塊でしかない。

 

「じゃあいくよ――〈炎の雨(ファイヤーレイン)〉!!」

 

 私はニッコリ笑顔で魔法を打ち込む。

 召喚以外で好んで取っている炎系の攻撃魔法だ。

 空から小さな火が雨のように降り注ぎ、ダメージを受けたゾンビ達がボロボロと倒れていく。

 

「あぁ~、やっぱり火は良いね(愉悦)。燃えて崩れるのって最ッ高……!!」

 

 その光景をうっとりした表情で見つめる。

 だが倒せた数は1割にも満たない。このままだと何れ私たちは囲まれてしまうだろう。だが――

 

「ハムスケ大旋風!! でござる!!」

 

 その前に、群れに正面から突撃したハムスケがグルグルと回った。

 これは複数の敵を相手に、無双するために身に着けた大技だ。

 別に武技ではないが、前足一本で体を支えた、ダンサーのような見事な回転である。

 

「――グルグルグルグル!! 幾らでもかかってくるでござる!!」

 

 後ろ足と尻尾が振り回され、周囲をまとめて吹き飛ばす。

 触れたものをグチャグチャにするその様は、まるで巨大なミキサーだ。

 射程内に踏み込んだゾンビ達が、片っ端から回転に巻き込まれ潰されていく!!

 

「うーん、何度見てもすごい破壊力だねー」

 

 しかしそんなハムスケの大技も、射程に入られなければ意味がない。

 そこでハムスケの正面を避け、左右から迫る敵はクレマンティーヌの出番だ。

 

「私も頑張っちゃおうっかなー。フフ、この武器使うのも久しぶり~♪」

 

 クレマンティーヌは笑いながら王都で買ったスティレット「炎の舌(フレイム・タン)」を引き抜く。

 魔法効果を起動して刀身に炎の力を宿すと、稲妻のような速度で敵に襲いかかった。

 

「ひゃっはー! 刺し放題だぁーーーー!!!」

 

 そのままクレマンティーヌは武器を振るう。

 一刺しでゾンビの頭が破裂し、耐えても追加の炎ダメージによって燃えて尽きる。

 

「<三光連刺>! <三光連刺>! もういっちょ<三光連刺>!!」

 

 素材がダメになるので大森林ではあまり使うことがなかったが、やはりアンデッド相手だと便利そうな武器だ。

 

 もちろん、それを使いこなすクレマンティーヌの技量があってこそだが。

 ……ものすごく楽しそうな顔になってるから、これは串刺しスイッチが入っちゃってるね。

 

「はぁ~、いっぱい刺せるって幸せ……」

 

「沢山倒すでござるよ!!」

 

「反対側は私の天使に任せてねー」

 

 殲滅するだけなら私がタレントで一網打尽にするのが早いだろう。

 だがそれでは二人に経験値が入らない。ならば今後もPTで活動する事を考えれば、ここは協力して倒すのが正解だ。

 

「じゃあ外側から削っていこっか。〈炎の雨(ファイヤーレイン)〉……あっ、デスナイトが本気になったかも」

 

「オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォ゙ーーーーー!!!!!」

 

 私も軽く指示を出しながら攻撃魔法を繰り返す。

 するとこのままではまずいと悟ったのか、3割ほど削ったところでデスナイトが突撃してきた。

 

「オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォ゙ーーーーー!!!!!」

 

「ここは通さないでござる!!」

 

 ハムスケはその突撃を正面から受けて立つ。

 ズザザザッと地面に2人の線を引きながら両手で盾を受け止め、尻尾を絡ませて剣の振りを妨害。

 

 そのまま鍔迫り合いのような状態に持ちこんだ。

 パワーは見た感じ互角。尻尾を補助に使っているせいで攻撃はできないが、代わりに押し引きのバランスでも負けていない。

 

 つまり単体で完全にデスナイトを抑え込んでいる。……すごいぞハムスケ!! お前こそがメイン盾だ!!!

 

「ん~、これなら余裕そうだね。いつも通りハムスケが前で壁になって、私が援護、クレティーが遊撃。全然いけるじゃん!!」

 

 私はその光景に笑みを深くする。

 原作に出ていたのは、モモンガ様のスキルで超強化されていたVerだったからだろうか?

 

 初めて会ったこの世界のデスナイトさんは、意外と楽勝そうだった。

 

 

 

 

 

 ……………………

 ………………

 …………

 

 

 

 

 

 ――一方、王都を出発したガゼフたちも、同時刻にカッツェ平野へ到着していた。

 

 かなりの強行軍になっていたが、これは宿に泊まるとアズスに何をされるか分からないというガゼフの危機感と、少しでも早くツアレに会いたいというラキュースの希望が重なった結果だ。

 

 その為、何時間も休憩無しで飛び続けてきたのだが、そのせいで全員が疲労状態である。

 オマケに最高戦力のアズスはかなり不機嫌だ。きっとガゼフと素敵な一夜を過ごせなかったせいだろう。

 

 しかも降り立った場所が悪かった。

 

「おいアズスのおっさん! なんだよアレ!!」

 

「あれは噂に聞く幽霊船だな……。ガゼフどう思う?」

 

「総員退避ーーーー!!!」

 

 すぐに巨大な幽霊船に遭遇してしまったのである。

 

 不意に薄霧が晴れたと思ったら、遠方から巨大な船が突っ込んできていた。

 急激に迫る目の前の危機にガガーランが真っ先に声を上げ、ついでノンビリとした声で問いかけたきたアズスに対し、ガゼフは迷いなく避けろと叫び声を上げた。

 

 同時にすぐさま馬を走らせ、その進路上からの退避を試みる。

 だがそれらをあざ笑うかのように船はガゼフの方へと滑りこんできた。

 運が悪いことに、その場所は幽霊船がドリフトを極める為に走っていたホームコースの上だったのだ。

 

「ガゼフのおっさん!! こっちに来てんぞ!!」

 

「なんだと!?」

 

 巨大な質量を華麗に三日月型スライドさせながら、ガリガリと地面を削る音を響かせて幽霊船が迫ってくる。

 

 仮にその動きを毎日見ているものがいれば、今日は特に繊細な―コップに入れた水を零さないような、あるいは積んだ豆腐を崩さないほどの―動きだと称賛を送っただろう。

 

 ただし轢かれる側には関係ない。

 

「仕方ない捕まれ!! 私に合わせて飛ぶんだ!!」

 

 ガゼフは一瞬の判断で馬を捨てる。

 傭兵時代からの愛馬―ヨッスィー号―であるが、自身達の命には代えられない。

 すぐに馬の背に立ちタイミングを図り、空中へ飛び上がって武技を発動させた。

 

「――<不落要塞>!!」

 

 本来は相手の運動エネルギーを打ち消し、攻撃を止める為の武技。

 しかし流石にこの質量を止めるのは無理だと判断した故の行動だ。

 そこであえて空中で発動させることで態と吹き飛ばされ、自分たちへの衝撃のみ打ち消す。

 

 さらにガゼフはそのまま空中で身を捩り、足から船の甲板に着地した。

 吹き飛ばされる角度を計算し、攻撃を利用して相手に接近する様は、流石は歴戦の戦士と言うべきだろう。

 

 背に張り付いていたガガーランも、同じように船上へ降り立った。

 

「大丈夫か、ガガーラン?」

 

「おうよ。それにしてもアレを受け流すってすげーな」

 

 さすがは周辺国家最強の戦士だぜ!! そんな称賛を聞きながらも、ガゼフは剣を油断なく構え、これからどうするかを考える。

 

 見れば許可なく乗り込んできた自分たちを始末するためか、船内からはアンデッドが続々と這い出てきていた。

 

「ここで戦うのは不味い。だが……」

 

「ただ飛び降りても、また轢かれるだけなんじゃねーか?」

 

「確かにその通りだ」

 

 地面に降りてしまえば、ガゼフたちに勝ち目はない。

 幸いなのはアズスがコチラをしっかりと捕捉し、追いかけてきている事だろう。

 ただし巻き込んでしまう事を懸念しているのか、鎧に備わる攻撃魔法を撃とうとしない。

 

「ふむ、この船のボスは……あれか」

 

「船長のアンデッドって感じだな。スケルトン系なら俺のハンマーの出番だぜ!!」

 

 隣でガガーランがハンマーを握りしめる気配を感じながら、ガゼフは船上をしっかりと見渡す。

 

 最後尾で操舵舵を握っているのは、見たこともないアンデッドだった。

 他とは違って豪華な装束を身に着け、頭には船長のような帽子を被っていることから、恐らくはアレがこの船のボスだろう。

 

 更に外壁の中からも、幽霊のようなモンスターが湧き出てきていた。

 これでは、このまま船から飛び降りようとすれば、その瞬間に奇襲される可能性が高い。

 

「つまりここで戦う必要がある。少なくとも奇襲されない程度まで数を減らさなければ」

 

 その後に降りて上手く船の進路から逃れることができれば、あとはアズスがどうにかしてくれるだろう。

 

 道中で聞いた身に纏う赤い鎧―パワードスーツ―の性能を考えれば、この船を相手にしても問題なく戦える―少なくとも追い払える―と思われる。

 

「んじゃゾンビやスケルトンは俺に任せてくれ。ガゼフのおっさんは他を頼む」

 

「任された」

 

 考えをまとめたガゼフとガガーランは、その場で構えを取った。

 対して船長アンデッド(仮)は、腰のシミターを抜き、その先端をガゼフたちに突きつける。

 

 無断で船に乗ったガゼフ達に怒っているのだ。

 すぐさま船上のアンデッド達が突撃の為の前傾姿勢を取る。

 

 ――しかし最初に行動したのはガゼフでもガガーランでも、船上のアンデッド達でもなかった。

 

「見つけたーーーーー!! ツアレーーーーーーー!!!」

 

 アズスのパワードスーツに肩車されていてたラキュースが、急に叫び声を上げ地面に向かってダイブしたのだ。

 

「(……ふっ、どうやら王命は果たせそうだな)」

 

 その空中に身を乗り出す姿に、ガゼフはようやく目的の人物が見つかったことを確信した。

 同時に、こんな場所で戦い続ける必要がなくなったことに安堵する。

 

「ってアイツ空飛ぶ魔法は使えないだろ。どうするつもりなんだ?」

 

 なお、隣のガガーランの呟きは、一切聞かなかったことにした。




地天使「どうしてこんな事するんですか!?」
ツアレ「あーあーあー、聞こえなーい!!」
愛馬「でっでいうぅwww」
ガゼフ「私も何も聞いていない」

ハムスケ大旋風の元ネタはD&Dからです。
全力アクションで周囲の敵を一回ずつ攻撃可能。
好きな特技なんですが「他に取るものあるだろ」と言われる悲しみ。
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