聖天使が再誕した地点から白羽聖女団の団員たちが出撃する。
正面は猟奇的なバラバラ死体しか残っていないので、左右に分かれて行動だ。
戦力比を考えて左前方にクレマンティーヌとガガーラン、右前方にはハムスケとラキュースという構成である。
「んじゃ私らもいきますよ~」
「よっしゃ、俺らもちゃっちゃと追いかけようぜ!!」
そんな彼女達は目の前で行われた虐殺に心を痛めて……などいなかった。
むしろ逆だ。みんな敵を前にウッキウキだった。
なんせ新調した装備―
「殿から頂いた新装備を見せてやるでござるよ!!」
「救いを求める民を影から守るは闇勇者の努め!! 今こそ私達の力を示す時よッ!!」
だってここは竜王国の進捗を駆けた一大反抗作戦の最中だ。
敵は人間を捕食する亜人であり、即ちこちらには弱き民を守るという大義名分がある。
つまり暴れれば暴れるだけ称賛を得られる。だから遠慮なんて投げ捨てて全力で暴れよう!! そんな気配だった。
彼女たちは順調にツアレ色の思考に染められていた……。
「ではまず某から行くでござるよ~。――どすこーい突撃ッ!!」
ハムスケは地上を前進する。主であるツアレから貰ったピカピカの黒盾を前に浮かべて。
渋滞の道路を逆走するかのごとき突進だ。狙いは運良くツアレの殺戮ゾーンをすり抜けたビーストマン達。
ぶつかったビーストマン達は盛大に跳ね飛ばされた。
ガンガンガンガンッ!! 大型トラックとの交通事故のように片っ端から。その勢いは誰も止めることが出来なかった。
「続けてコレも試すでござる。――〈
そのままハムスケは走りながら魔法まで撃ち出した。
地上に幾つも紅蓮の華が咲き、その度に運良くツアレから逃げ果せた―後方へ撤退を始めた―ビーストマン達が燃え上がっていく。
この魔法は元フールーダの装備によるものだ。
赤い宝石を数珠のように束ねた首飾り――
1日12回も〈
「まだまだ行くでござるよ~!!」
更に固まって逃げる10数匹の一団見つけると、ハムスケは走り幅跳びのように前へ飛んだ。
浮かぶ大盾を器用に操作して前方を開け、そこへ勢いを載せた両の爪を縦に振り下ろす。強大な一撃により、正面で構えていたビーストマン2体の頭が割れる。
続けて左右にいた2体に半透明の爪が襲いかかる。
腕に装備している
動きをトレースする力場の爪は本物の半分の威力しか無い為、一撃とはいかない。
「ならば盾を射出でござる!!」
しかしそこへ追撃として放たれたのはスパイク付きの大盾。
帝国4騎士の【不動】が装備し、突撃時は前に浮かんでいたそれが、思念によって動きビーストマンの喉を穿った。これで4匹。
だが、まだまだハムスケは止まらない。
横目で周囲のビーストマン達をざっと確認すると、彼らがいきなりの襲撃で硬直している間に、引き抜いた大盾を足元に突き刺してその上に乗る。
そしてスパイクの先端を力点に、独楽のようにグルンッ! と身を一回転ッ!!
自慢するように
「――真・ハムスケ大旋風
それは過去にデスナイト戦で使った攻撃パターンの完成形。
しかもその時とは違い、武技〈斬撃〉を込めて振り回された尻尾は、半径20メートル内にいたビーストマン達を綺麗に切断。10匹以上を一度に殺害してのけた。
「おぉ! ついに成功したでござるよ!!」
その結果にハムスケは喜びの声を上げる。
つぶらな瞳を輝かせてピョンピョンと嬉しそうに飛び跳ねた。
なぜなら、これこそが半年以上に渡る修業によって得た力だから。
そう、ツアレ達が帝国戦を前に修行していた時、ハムスケだってサボっていた訳ではないのだ。
むしろ置いていかれないように、必死になって訓練を行っていた。
それはハムスケが元々Lv30を超えていた為に、中々芽吹くことは無かったが。
しかし幸いな事に、ハムスケが主と仰ぐツアレは原作知識を持っていた。
更にクレマンティーヌはプレイヤーの血を引く名家の出で、600年に渡って積み上げられた知識の一部を知る者だった。
そうして、その二人が魔改造(主にツアレ)した結果が〈
なんとハムスケは基本職をすっ飛ばし、いきなり上級クラスを得ることができたのだ。
ツアレ曰く「どっかの統合氏族王みたいに『前提条件は種族レベルで得ているのに、わざわざ基本職のモンクとってるプギャー!』なんて作者雑感で書かれないようにしないとね」 とのことだった。
ハムスケは言ってる意味の大半が分からなかったが、自分が笑われないように、ツアレがしっかり鍛えようとしてくれているのだけは理解できた。
「……やはり殿こそが某の唯一の主!! このハムスケ、一生付いていくでござるよ!!」
成功の感触を得たハムスケは、ビーストマン達を切断しながら忠誠を誓い直した。
だって訓練相手には事欠かないし、強くなる方法も教えて貰える。すごい装備だって沢山だ。
おまけに住まいは快適で、ご飯も美味しいのだ。なにより一人で寂しい思いをすることがない。
「たくさん倒して! たくさん褒めてもらって! たくさん美味しいご飯を貰うでござるぅ~~!!」
もはや森での一匹生活(生肉生食)に戻るのは不可能だった。
ハムスケは地味に野生を失いつつあった……。
「フフフ、やるわねハムスケ!! 私も続くわ。スキル――
そんな順調にペット化してるハムスケから、遅れて交戦に入ったのはラキュースだ。
ラキュースは指輪から発動した〈
「深淵に潜みし黒炎よ、我が意志に従いて化現せよ!! 黒技――
ラキュースは黒炎の刃を周囲に浮かべる。
グルグルと高速回転するそれは、まるでどこかの聖天使が使った魔法を真似するかのようだ。
更に右手に新造された武器を構える。
アダマンタイトによって作られた黒き剣――
この剣はラキュースに希望によって「黒い炎」と共に「呪いの力」が込められている。
斬ると同時に「炎に弱くなる」という呪いを与えることが出来る人造の魔剣だ。
ただし余りにも呪いを強くしすぎたため、抵抗に失敗すると自分にも呪いが降りかかるという致命的なデメリット(ガチ)も発生してしまったが。
しかしそれも含めて、ラキュースはこの剣を大いに気に入っていた。なぜなら、その方がカッコいいから!!
「……くっ、古の王の憎悪たる呪いよ、まだ我が身を欲するかっ! だが私は決して屈したりはしない!! ……
「お、おい。なんか頭上にいるぞ!?」「ガクガクしてるな……」「お腹痛いのかな?」
地上からコチラを見上げるビーストマン達の声はあえて無視。
ラキュースは左手で右手を押さえてガクガク震える振りをしながら、指輪に込めていた自己バフを全発動した。
続けて
呪いを内包した煉獄の炎(という自己設定)である。
そして最後に、頭上から真横へ剣を振り降ろす。腕をピンと伸ばしたままグルンと。
炎がブワァ! と半円状に広がって超カッコイイ。剣が出来てから研究に研究を重ねた、お気に入りのポーズだ。
……ちなみに呪いについても魔法で完全耐性を得ることが出来る。
なので運用にさえ気をつければラキュースが掛かることはない。それでもカッコいいムーブはするが。カッコいいからしょうが無いね。
「――ビーストマン達に告げる!! 我こそは、この地を救いに降臨せし【闇勇者】ラキュース!! 人々を食らう悪しきビーストマン達よ! いまこそ汝らの罪が捌かれ浄化される時ッ!! ――地獄の炎に抱かれて消えろッ!!」
「アイツは何を言ってるんだ?」「意味が分からない」「見ろよパンツまで黒だぜ」
いつも通りの名乗り向上を上げたラキュースは空から突撃を敢行。
ビーストマンの塊の中央へ急降下しながら黒刃を射出し、
「これでトドメよ! ――超技!
「「「ぎにゃぁーーーーーーーー!!!!!」」」
ラキュースはビーストマンを斬って燃やして、斬って燃やして、斬って燃やし尽くす。
最後は必殺技を叫びながら気持ちよく黒炎の撃放をブッパだ。
その黒い炎を纏い天から迫りくる様は、逃げ惑うビーストマン達を震え上がらせるのに十分だった……。
ガガーランとクレマンティーヌは、そんなハムスケとラキュースを後ろから見ていた。
「……なぁおい、あいつらツアレの影響受けすぎじゃねーか? 真似してぐるぐる回転しすぎだろ。俺
「それは今更じゃねー? てかそっちの性事情とかしらねーし。それに私らも人のこと言えないっしょー」
「まぁそうだけどよ。こんな所で戦ってる訳だしな。んじゃ行くか。――おら! 鳴けや!!」
「――ぎょへぇええええ!!」
SMクラブの女王様のようなセリフを叫びながら、ガガーランは近くのビーストマンへ漆黒のハンマーを叩きつけた。
それはガガーランの為に新造された武器。
電撃と音波の双属性を宿す魔の大槌―
「アババババ、ピヨピヨピヨピヨ……」
一撃を受けたビーストマンは電撃に焼かれ、体内で荒れ狂った衝撃波により気を失った。
抵抗に失敗した為、特殊効果によって一時的な
「おっ、軽く叩いただけでこれかよ。こいつぁすげぇ武器だぜ。よし、止めだ!!」
「くぅーーん……」
そこにすかさず止めの一撃が振り下ろされる。
ビーストマンは仰向けで四肢を折り曲げ、安らかな寝顔のまま生涯に幕を閉じた。
「んー、確か効果は攻撃時に電撃及び音波の追加ダメージ。それと朦朧化の特殊効果だっけ? 嫌らしい武器だよねー」
「おうよ! 最初に一発かませれば、後はずっと
「そこまで聞いてねーよ!!」
だが内心で「お前ふざけんな!!」と思いながら、クレマティーヌはすぐに駆け出した。
このままコイツの隣にいたらシモの話で汚れてしまう、と言わんばかりに。両手に帝国4騎士の【悲酸】から奪ったスティレットを構え。
「そっちも気をつけてな! っしゃ、今度は連撃でいくぜー!!」
「ミッキ!!」「ミッキ!!」「High!!」「High!!」「High!!」「ま”う”ぅ”su”~~~!!」
「……〈能力向上〉〈能力超向上〉〈疾風加速〉〈疾風走破〉」
クレマンティーヌは武技を使い疾走する。
後ろから聞こえてくる有名なネズミを称えそうな合唱(悲鳴)を聞き飛ばして。このまま聞いてたら不味いことになりそうだったのだ。
「何なのよ、あの滅びの歌。バードでもないくせに……ああもうっ!!!」
なので敏捷性が上がる武技を4つ同時に起動して距離を取った。
その姿は叩きつける暴風のごとし。それもペース配分を無視して初っ端から全力疾走だ。
本来なら無茶な行動であるが、事前に掛けられている〈
それはつまり幾らでも走れるということ。
クレマンティーヌは左右に一度だけ頭を降ると無理やりテンションを上げ、10メートルの距離を一瞬で縮めてビーストマンへ右手を突き出した。
「ヒャッハー!! 逃げるビーストマンはぁ、串刺しだぁああーー!!!」
それも武器の性能を確かめる為に、わざわざ兜の硬そうな部分を狙った一撃だ。
しかしアダマンタイトで出来たスティレットはその鋭さを存分に発揮し、薄い木片のように兜を貫通。更に込められていた武器の魔法効果が発揮される。
「ア”ア”ォウ!」
刺されたビーストマンは酸と負の爆発によって頭の中を溶かされ、壊れた楽器のような悲鳴を上げながら崩れ落ちた。
「おっ、やれんじゃーん♪ んじゃもう一本はどうかなー?」
クレマンティーヌは続けて同じような疾走から、今度は左手のスティレットを突き出す。
心臓を狙った一撃は纏っていたフルプレートを貫通。内部で炸裂した炎と聖の爆発が命を奪い尽す。
「ア”ア”ーウ”!」
「おー。いい感じ、いい感じ~。【悲酸】とかいう騎士は最低だったけど、持ってたこの武器はマジ最高ー♪」
2体目のビーストマンが崩れ落ちた。217回以上も使い回されそうな悲鳴を上げて。
その様子に気分を良くしたクレマンティーヌは、さらなる敵へと駆ける。
範囲攻撃こそ持たないが、その移動速度はこの戦場の誰にも追随を許さない。追い駆けて殺す。それはまさにクレマンティーヌの独壇場だった。
◆◆◆ ◆◆◆
――そんな後方が第2の地獄に見舞われている時。
私がようやく追いついた最戦前は酷い乱戦になっていた。
てっきり敵をばっちり受け止めてくれてると思っていたのに。それが両軍入り混じって逃げ惑っている。なぜかみんな西へ。
「はぇー。つっかえ」
全く、想定外のダメっぷりだ。
これは恐らく伏兵の動きが遅かったからだね。ビーストマンの速度を読み誤ったのだ。
遠目に見れば北と南の伏兵達は、今ようやく戦場に到着しているとこだった。なんたる無様かっ!!
「ちっ、しょうがないなぁ。……〈
私は仕方なく自動範囲攻撃能力を解除する。こうなったら後は残りをプチプチと潰す作業だ。
まぁすでにビーストマンの9割以上は倒した。なので残りはすぐ終わるだろう。
しかしそう思いながら一度上昇して戦場の様子を伺うと、先の方に敵のトップ陣と思わしき豪華な装備の3匹を見つけた。それもこちらのネームドキャラ達を人質に取って。
「ベリュース、エルヤー、ニグンの3隊長が揃って捕まっている、だと? ……えっ、どういう状況??」
あいつら何してんだ? 気になった私は空から近づく。
するとビーストマン達が一斉に声を上げた。だがおかげで捕まっている状態は良く分かった。
「そこから動くニャアーーー!!!!」
「助けてぇーーー!! お金上げましゅ!! 500金貨!! いや1000金貨!!」
ベリュース隊長は赤い豹頭のビーストマンに掴まっていた。
それも全裸に剥かれて盾にくくりつけられている。その様は非常に見苦しい。防御力なんて無さそうだが、何処とは言わないが被っているので、そこだけちょっと防御力が高そう。
「こっちに来るなトラ!! こいつ首を掻っ切るトラー!!」
「おい早く俺を助けろぉ!! 魔法だ! 魔法をヨコセぇ!!!!」
エルヤー隊長は縞柄の虎頭のビーストマンに踏まれていた。
両手両足がへし折られて変な方向に曲がっている。これではもう逃げることは不可能だ。それでも命令口調はそのまま。このイキリっぷりは相当な筋金入りだね。
「静まれ! 静まりたまえガオ! 荒ぶる天使よ。さぞかし名のある天の主と見受けたが、なぜそのように荒ぶるかガオ? どうかその御心を沈め給えガオガオ!!」
「おお、天使様! 私たち……いや私だけでも構いません! い、命を助けてくださるならば、望む額を用意いたします! 何とぞ、命ばかりはお助け下さい!! この私をぉ!!!」
そして最後に、ニグンさんは獅子頭のビーストマンと並び、膝をついて祈りを捧げていた。
……私に向かって。なかよしかな? なんだこいつら? てか、荒ぶるかガオガオじゃねーよ。なんか私のことタタリ神みたく思ってね?
でもこうして聴くとニグンさんの命乞いが一番洗練されてるね。
望む額……初手から全財産プッパなんて、これは正に命乞いのプロ。望む額とか言われるとマジで助けようって気になるから困る。金貨は偉大だ。
「うーん、結論。ニグンさんは必要。後の二人はいらない」
「神ぃいいいいーーーーーーーーー!!!」
「「ふ、ふざけるなぁあああああーー!!!」」
私の言葉にニグンさんが破顔する。続けて心の底から喜んでそうな声を上げた。
逆にベリュースとエルヤーは絶望顔で汚い叫び声だ。
だがそれを聞いたビーストマン達の行動は早かった。
「おい、アイツだニャー!」
「もうこの雑魚はいらないトラー!」
なんと彼らはベリュースとエルヤーを捨て、ダッシュでニグンの周りに集まったのだ。
名前は知らないはずなのに、素直なリアクションのせいで誰を助けようとしてるのかバレているッ!!
「敵ながら、なんという冷静で的確な判断力……!! あっ、そういえば一度聞いておきたかったんだけど、なんで人間を襲うの?」
ついでに丁度いいので、なんで竜王国を襲ってるのかを聞いてみた。
微妙に気になってたんだよね。確か大陸中央で覇権を争っているビーストマンの国とは別だったはず。何か事情があるのかな?
「それは……人間を逃がすことが出来ないからだガオ」
「そうだトラ。過去の悲劇を繰り返すわけにはいかないトラ」
「私達に人間がやったことを忘れたとは言わせないニャー」
ま、まさか最初に攻めたのは竜王国とか、そういう落ち!?
転生物によくある被害者が実は黒幕説で、ビーストマンたちにも悲しき過去が……。
「……それはどういう意味なの?」
「決まっているだろう。――人間は美味しいからだガオ!」
「そうだそうだ。最高の味なのだトラ!! 過去には奪い合いで大勢の犠牲者が出たこともあるトラ!!」
「初めて食べた時の事は忘れられないニャー!! あんな衝撃を与えておいて我慢しろなんて無理ニャー!!!」
ああ、つまり食べてみたら美味しすぎたから、また食べに来たってことね。
………………はぁ(心のくそでかため息)、聞いて損した。
「しね」
死ね。タヒねじゃなくて死ね。
「フハハハハ、だがこっちには人質がいるガオ!」
「面倒だからニグンさんごと死ね」
「ちょっ、約束がちがっ!!!」
「えっ、自分ごとやれ!? 人類の為ならこの命など惜しくない? ……流石ニグンさん! やっぱり法国の特殊部隊隊長は覚悟が違うね!! よーし、皆殺しだぁーー!!」
私の皆殺し発言にニグンさんが慌て出す。
だがもう遅い。思念で命令は下し済みだ。……まぁ約束は守るつもりだよ。それに、もし死んじゃっても後で蘇生できるから!!
「か弱き弱者を人質にするとはっ! おのれビーストマン!! 絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛!!!!」
すぐに私の命令を受けた
空から堂々とビーストマンに接近だ。それだけなのに体がでかいから威圧感がすごい。
「嫌だニャアアアアーーーー!!!」
そのプレッシャーに恐怖が限界を超えたのか、赤い豹頭が逃げ出した。
しかし、すぐに
その正体はただの〈
「ギニャアアアアアアーーーーー!!!!」
尾を引く光弾は全てが赤い豹頭に殺到する。
この魔法は絶対命中なので避けることは出来ない。殴打殴打殴打殴打殴打…………。
魔法ダメージの連打があっという間に、赤い豹頭をボロ雑巾の肉片に変えた。
「こ、こんな所にいられるかトラァーーー!!!」
続けて縞々虎頭が別方向に逃げ出した。
赤い豹頭の逃走からワンテンポずらしたのは、あっちを囮にするつもりだったのか。
だがすぐに
「し、死にたくないトラァーーーーーーーー!!」
空から降った炎は寸分違わずに着弾、そして爆発。こちらは巨大な砲撃のようだった。
炎が吹き荒れた後に縞々虎頭の姿は何処にも無く、地面が燃えたような黒い影しか残っていない。
「お、おれはコイツから離れんぞガオ!! 本当は見殺しになんて出来ないはずだガオ!! お前ら集まるガオーーーー!!!」
そうして最後に残ったのはフサフサ鬣の獅子頭だ。
面倒なことにコイツは本当に逃げなかった。むしろ周囲に居たビーストマン達を集合させ私との間の壁とし、その最奥でニグンさんを抱え込んで徹底抗戦の構え。
だがその程度の陣形は無意味だ。
私は転移してニグンさんを強引に奪うと、再び転移して元の位置に戻った。
「はいはい。〈
「は、はい。わ、分かりました天使様!! 全て従いますッ!!」
うんうん、こういう時に判断の早い人は良いね!
私は落ちないようにニグンさんを宙吊りにする。着ているローブの背を掴んで。これで最早、障害は何も残っていない。
「て、撤退だガオーーーーー!!!」
人質が奪われたビーストマン達は一斉に走り出す。
少しでも距離を取りたいのか、みんな同じ方向に向かって。
「やれ、アンサラー」
私はそんなビーストマン達に
防御など考えない突撃。というか召喚の持続時間が切れそうなので、最後に一泡吹かせようという魂胆だ。
そして十分に近づいたら一つの魔法を発動させる。
すぐに
「――第8位階魔法〈
詠唱者を中心に全方位へ雷が放たれ、球状の一定空間を電撃で埋め尽くす魔法である。
見た目はACFAのAAのよう。強いし派手なので実はかなり気に入ってたりする。
「嫌だガォオオオオオオオ!!!!」
範囲内にいたビーストマン達が全身をこんがりと焼かれる。
電子レンジに入れられた生玉子のようにチンだ。当たり前だが全員即死だった。
斯くしてビーストマン軍の上層部(らしき獣達)は壊滅した。
残りもバラバラに逃げ惑っているだけだし、これはもう竜王国軍の勝ち決定だろう。
「やれやれ、また国を救ってしまったか……」
私はニグンさんを小脇に抱えて、竜王国の本陣へ飛んだ。
@あとがき
ハムスケ「ハムスケウォーリアーでござる」
アンサラー「ミサイルとキャノン連打からのAA余裕でした」
こんな感じのハムスケ&アンサラー回でした。
ただしハムスケの種族のクラス系統は原作で不明なので、ここでは
■以下、新装備まとめ
・ハムスケWR(ウォーリアー)
肩部:
首元:
・クレマン
右手:
左手:
・ラキュース
右手:
・ガガーラン
両手:
ラキュースの武器名はストームブリンガーと迷ったけど、黒いと分かりやすそうなコッチに。
ガガーランの武器名もスパンキングラケット(SM用品)と迷ったけどボツになりました。