3.11   作:おみのSS部屋

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Op.22 returns

2026年3月11日の14時46分に僕たちは市役所に婚姻届を出した。

 

その後、SNSにて美晴はすぐに報告した

 

 

「この度、私、夜峰美晴は結婚することになりました。お相手は私が声優としてデビューしてからずっと支えてくれた元マネージャーの方です」

 

 

の文章と、婚姻届と指輪の画像をセットでだしていた。

 

実は指輪は僕たちが本当に付ける指輪ではないけど……

 

そんな話はさておき、反響もたくさんあった。

 

 

「おめでとうございます」だけじゃない。

 

 

「元マネージャーの方と縁が続いていたなんて素敵」

 

 

等のコメントもあった。

 

美晴も嬉しそうで何よりだった。

 

 

そんな幸せの報告を僕のSNSでも行った後、僕らは週末に控える結婚式のために移動をした。

 

ただ、移動したのは結婚式の前々日のこと。

 

土曜日に式はあるけど、木曜日にその式場には移動する。

 

その理由は、結婚式前に二人で観光がしたいから。

 

そのため美晴も僕も休みを取っていた。

 

 

「楽しみですね」

 

 

「うん、それと同時に緊張もしてる」

 

 

「そうなの?」

 

 

「だって、美晴と結婚することを公表して初めての旅行だから」

 

 

「おみくんって、意外と緊張するね」

 

 

「そうかな?」

 

 

「だって、わたしといるとき、少し恥ずかしそうにしてるんだもん。そんなに恥ずかしがらなくていいのに」

 

 

「そ、それは……///」

 

 

「うふふ、かわいい」

 

 

「からかわないでください///」

 

 

美晴の掌の上で転がされることが最近になってまた増えた気がすると感じながら、やってきた新幹線に乗る。

 

ちなみに、朝10時台の新幹線を押さえていたためか、人はまばらだった

 

 

「この時間に乗る新幹線なんて、滅多に体験できないものね」

 

 

「そうだね、少しだけ贅沢してるなという気分にもなるし、平日昼間だとこんなにも利用者が少ないのは意外だったよ」

 

 

今回も行先は仙台。

 

なぜなら今回は式場が仙台だから。

 

もちろんその準備や必要な荷物も持っている。

 

 

僕たちを乗せて仙台へと着いたのは昼の12時頃だった。

 

 

「着いたね」

 

 

「帰ってきた感じがする……」

 

 

平日昼間ということもあって、お店も混んでるだろうから13時頃をめどにお昼を食べようということで決まった。

 

そのため、少しだけ時間がある。

 

 

その合間の時間を使って、僕らは仙台市内を観光し、お昼ご飯を食べた。

 

 

「うん、おいしいです」

 

 

「おいしい。このお店選んでよかった……」

 

 

この仙台旅は3泊4日と長い。

 

そのため、少しでも楽しんでもらえたらと、初めてのお店もいくつか選んでいる。

 

その1つのお店として仙台では有名なご飯屋さんを選んだが、気にってくれたのでほっとした。

 

 

15時まで時間があったため、仙台市内を散策した。

 

僕が一番おいしいと豪語するたい焼き屋さんにも足を運んだけど、久しぶりすぎて2つも買っちゃった。

 

美晴も2つ買ってたから二人で笑いあった。

 

こうやって笑い合える人がいるっていいな……と思いながら、まったりとした時間を仙台で過ごした。

 

 

「おみくん、15時を回りましたよ」

 

 

「あ、本当だね。少し早いけどホテルに行く?」

 

 

「はい、行きたいです……」

 

 

2人で今日の、いや3泊お世話になるホテルに足を運ぶ。

 

ちなみにホテルは美晴が選んでいて、僕はその場所すら知らない。

 

だから美晴についていっていたが、その選んだホテルは……

 

 

「ここです」

 

 

「ここにしたんだ」

 

 

「はい。前回もここで泊まった時にまた泊まりたいな、って思ったんです」

 

 

その旅行と、僕がちょうど1年前に美晴と一緒にした慰安旅行。

 

実はこの時にも、僕らはこのホテルに泊まっていた。

 

その時は景色がとても綺麗で、美晴とまた泊まれたらいいなと思っていたけど、まさかこんなにも早く実現するとは思っていなかった。

 

美晴もこのホテルのことは気に入ってたし、何より思い出がある。

 

その思い出のホテルの最上階に今回は泊まる。

 

それが何よりも別格だった。

 

 

「おお……」

 

 

2人して声をあげる。

 

それも無理はない。

 

 

遠くには仙台市街の街並みが広がり。広々とした室内が広がっている。

 

バスルームや部屋からなにからなにまで広い。

 

それがたまらなく好きな空間なのかも。

 

ただ、強いて言うなら高いところが自分は得意じゃないから、その点が懸念点ではあったけどね……

 

 

「綺麗……」

 

 

美晴が外を見ながらつぶやく。

 

赤色に染まる夕日がきれいに西から差し込んでいた。

 

まぶしさはない。広がるのは、赤に染まった景色と人通りだけだった。

 

 

「夜ご飯の場所って決まってる?」

 

 

「はい、すでに予約してますから大丈夫です」

 

 

美晴曰く、18時までは時間があるとのこと。

 

だからホテルに荷物を入れた後、少しゆっくりした後、先にお風呂に入った。

 

お風呂に入るにしては早いような気もしたが、最近は16時くらいに入ることもしばしばあるのでそこまで気にはならなかった。

 

 

2人ともお風呂を入り終え、時刻は17時半となっていたため、移動した。

 

 

「お店はここです」

 

 

「早速入っていこうか」

 

 

と言って二人でお店に入る。

 

ちなみに選んだのは前回も足を運んだお寿司屋さん。

 

ここまでは過去の思い出に触れるような旅となっている。

 

 

ご飯を食べ終え、部屋に戻ろうとしたとき……

 

 

「ちょっと用事があるから、先に戻っていてね」

 

 

と言い、僕だけ先に部屋に戻った。

 

 

が、その部屋にはある手紙と花束があった。

 

 

「ん?」

 

 

気になった僕は手紙を読む。

 

 

 

おみくんへ

 

 

いつも本当にわたしのことを支えてくれてありがとうございます。

 

だけじゃ当然伝わらないというのは知ってますが……

 

5年前、おみくんと出会い、すべてが変わったんです。

 

わたしの音を分かってくれて、自分のペースをとても大事にして、そして何より、そのペースがわたしと合っていた……

 

わたしが初めて、恋をしたのかもしれないと感じたのです。

 

でも、声優とそのマネージャーが付き合うことにためらいもありました。

 

それを振り切ってくれたのはおみくんでした。

 

わたしがしたいことや辛かったことがあった時は、いつもそばでおみくんが支えてくれたからこそ、今のわたしはとっても幸せです。

 

その幸せを胸に、お互い、これからも愛をはぐくんでいこうね……

 

 

愛してます

 

 

美晴

 

 

その文章を読み終えた時、自然と涙があふれていた。

 

ガチャと音がして美晴が入る。

 

 

「おみくん、読んでくれましたか?」

 

 

「うん……」

 

 

「わたしは、おみくんからずっともらってばっかりで、何も恩返しができてなかったから……こうして少しでも恩返しができてうれしいです」

 

 

「すごくうれしいし、美晴からの気持ちも全部受け取ったよ」

 

 

普段、涙を流さない自分が、初めてと言っていいほど彼女に涙を流した。

 

それだけ嬉しいことで込み上げるものがあったのかもしれない。

 

 

「おみくんの幸せも気持ちも、全部大切に受け止めますから、わたしの気持ちも受け止めてくださいね?」

 

 

美晴は1つの箱を出した。

 

その箱の中にはネックレスが入っていた。

 

僕はネックレスを持っていない。

 

いずれ買いたいとは思っていたまま、なかなか買えずにいた。

 

しかも僕が気になっていたブランドのもので嬉しかった。

 

 

「美晴、これを……」

 

 

「はい、おみくんにプレゼントしますね」

 

 

「美晴がつけてほしいな」

 

 

「いいですか?」

 

 

美晴は少し背伸びして僕にネックレスを付ける。

 

そのネックレスはチャームとなる中央のパールが光輝いていた。

 

 

「似合ってる?」

 

 

「もちろんです!」

 

 

「嬉しい……」

 

 

「なんだか、落ち着いた大人の男性って感じがさらに出ています」

 

 

鏡で確かめてみると、確かにその雰囲気はどことなくあった。

 

それが嬉しかった。

 

 

「実はこれ、女性用なんです」

 

 

「え、どうして?」

 

 

「ごつごつした見た目で、目立ちたがりではないおみくんにとって、男性用のネックレスは合わないと思っていたんです」

 

 

だから女性用の大きめのサイズのものを選んだとのこと。

 

自分のことを気遣ってくれて嬉しい気持ちがさらに増した。

 

 

「嬉しい……大切にするね」

 

 

「このネックレスは実はわたしのものとおそろいなんです」

 

 

「そうなの?どおりで美晴が付けているものと似ていると思っていたけど」

 

 

「真ん中にある青色の真珠の色だけ変えてるの」

 

 

確かによく見ると、美晴が緑で僕は青となっていた。

 

この違いが一層真珠が引き立てていた。

 

 

「美晴、すごくうれしい。ありがとう」

 

 

「こちらこそ、いつもありがとうございます」

 

 

この日の最後に二人は深い口づけをした。

 

仙台の夜景を背景に。




皆さんこんにちは、投稿主のおみです。
この度は「3.11 Op.22」を読んでいただきありがとうございます。
ついに最終章となる旅行編が開幕です。
初日となったこの回は特に語ることもないかなと思っていたので飛ばしましたが、次回は旅行の様子も書ければいいなと思っています。
さて、この小説のタイトルにもなっている「3.11」
ご存じの方も多いと思いますが、東日本大震災が起きた日です。
当時仙台市に住んでいた僕にとって生涯忘れることのない出来事だと思いますし、15年たった今でも覚えています。
東北は本当に良い場所です。
是非皆さんも行ってみてほしいなと思います。
さて、この小説も残り3話+アフターストーリーとなりました。
ここから連続で4日間、投稿され続けるので、僕も頑張って書きます。
皆さんも暇なときに読んでみてください。
それでは次話もお楽しみに
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