3.11   作:おみのSS部屋

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本作で出てくる人物紹介
大橋さん=カメラマン。以前マネージャーと共に仕事をした経験がある。実はAiRBLUE社長の真咲さんとは高校時代の同期らしい。


Op.3 Imaginary photograph

ー6月のある日ー

 

「え?撮影ですか?」

 

「そう。ほら、いつも僕らの事務所においてある声優グランプリ、あるでしょ?」

 

「あー、確かにいつも置いてありますね……」

 

「その表紙の撮影とインタビューのオファーなんだけど……」

 

「そりゃもちろん!オッケーです!」

 

「だと思った。これが日程と当日の流れ。あ、ホテルとかは既に先方が予約してるし、このことは社長にはもう話してあるから大丈夫だよ」

 

「さすがマネージャーさん!仕事が早い」

 

「じゃあ当日に向けてよろしくね」

 

「はーい!」

 

僕は会議室を出た。

今日は美晴に来月号の雑誌の表紙とトピックのインタビューの仕事のお願いをした。

快く引き受けてくれたし、これは何より撮影が楽しみだった。

しかも6月ってことでウェディングドレスを着るとのこと。

仕事を引き受けてくれたので先方と社長に連絡をそれぞれ入れておいた。

どちらからも「よろしく」と一言返信が来てその日は終わった。

 

ー6月某日ー

 

「おはようございます。AiRBLUEのマネージャーの山中です」

 

朝9時、僕は先方の方と会う予定があって、その方とお話をしていた。

 

「本日撮影させていただく大橋です。よろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

撮影は10時からということで美晴は館内で既に準備していた。

その間にロビーで色々とお話ししたりしていた。

以前、他の声優とのお仕事でも一緒になったことがあって「あれからどうなった」とか、「今度こんな仕事があって」なんていうお話をしながら美晴の準備ができるのを待っていた。

今回は式場を貸し切っていただくということでなかなかの豪勢なイベントだった。

ちなみに、毎年何かしらでこういうイベントはやってる式場だから特に気にしないでとは言われたけど。

今日は満月の夜、そして天気は晴れ。

これ以上ないくらい撮影にはうってつけだった。

 

ガチャ

 

部屋の奥の方から扉が開く音がした。

 

「準備、できました」

 

「では撮影を始めていきますね」

 

パシャ

 

パシャ

 

様々なアングルで、そしていろんなポーズで大橋さんがシャッターを切る。

それに映る美晴の表情はとても柔らかい。

まるで、既にこの体験をしているかのように。

階段の昇り降りなどはスタッフさんが協力しながら円滑に撮影は進む。

 

階段上で、そしてブーケを持ちながら、などなど、本当にいろんな写真を撮っていく。

プロってほんとすごいなとあらためて思っていると、あっという間に時間は過ぎていく。

 

「以上で撮影は終わりです。この後はインタビューに入ります」

 

「わかりました〜」

 

気付けば編集部の方も現地に到着していた。

これから着替えてお昼を食べてからインタビューをするとのこと。

編集部の方が事故に巻き込まれたため、遅れるという連絡が事前に来たため急遽変更になったんだ。

 

「はい、美晴。水」

 

「ありがとうございます」

 

「どうだった?撮影は」

 

「とってもやりやすかったです。宣材写真なんかも任せたいなぁって思うくらい!」

 

「そっか。なら良かった」

 

「マネージャーさんに聞きたいですけど、今日のドレス、似合ってますか……?//////」

 

少し顔を赤くして美晴がこんなことを聞いてきた。

でも、そんなの答えは決まっていた。

 

「すごく似合ってるよ。未来の旦那さんも惚れると思うよ」

 

なんで少し冗談めいたことを話すと

 

「もー!!!!恥ずかしいですー!!////////」

 

さらに顔を赤くしちゃった。

 

「ごめんごめん。でも本当にきれいだったから……」

 

「うふふ、それなら良かったです」

 

この後はスタッフの皆さんと一緒にご飯を食べて、午後からはインタビュー

なんで答えるのかなと思いつつも、僕はスタッフさんと色々話し合いながらどんな感じかっていうことを決めていた。

 

「これ質問用紙。彼女に渡しておいて」

 

「わかりました」

 

どれどれ……

季節感にあった質問やオーソドックスな質問など様々だった。

内容的にはかなり面白いなと思いながら美晴に渡した。

 

インタビューは約2時間、みっちり行われた。

その間も大橋さんは撮影を絶え間なくしていた。

このカットも載るらしい。

 

「はい、以上で終わりです。お疲れ様でした」

 

「では休憩です。次は17:00からの夕焼けを撮りまーす」

 

今日は夕焼けがきれいに見えるのではないかということで夕焼けが綺麗に撮れる場所を見あげた。

美晴もそれに合わせてドレスを着替えていた。

 

「では17:00になったので撮影始めます」

 

「よろしくお願いします!」

 

美晴は純白のドレスから淡黄色のドレスに着替えていた。

これはこれで似合ってる。

ちなみに僕の宣材写真もついでにと言われたので大橋さんが撮ってくれた。

美晴とのツーショットをめちゃくちゃ勧めてきたけど流石にやめた。

その撮影が終わってそのまま夜景と同時に撮影をしてこの日は終わった。

ちなみにこの撮影、場所の関係で神奈川で行われたのでそのままホテルに泊まってもらうことにした。

美晴も僕も明日は休みだから。

まぁとは言っても今日は土曜日だしね……

 

部屋は別々だったけど美晴が「おみくんの部屋にいきたい」っていうから僕は招き入れた。

僕は「お風呂入り終わってからしよっか」と言った。

お風呂に入り終わってから、美晴が僕の部屋にくる。

 

「今日はお疲れ様。何か飲む?」

 

「あ、さっきお水飲んだので大丈夫です」

 

「そっか」

 

すると美晴が唐突に唇を塞いでくる。

我慢しきれなかったのかよく分からないが久しぶりにこの感覚を味わった。

 

「ん……おみくん……」

 

美晴はよほど甘えたいみたいだった。

そう思って顔を見ると、いつもの美晴と少しだけ雰囲気が違っていた。

 

「おみくん……」

 

「わたし、今日ずっとこんなこと思ってたんです。こうして、おみくんの隣で結婚式をしているって思うと……とても恥ずかしいけど、とても幸せなんだろうなって……」

 

僕は美晴の頭をゆっくりと撫でる。

撫でてもらって少し嬉しいのか、すぐに抱きついてきた。

 

「もちろん。僕が美晴のこと、たくさん幸せにしてあげる」

 

「嬉しいです……」

 

美晴の頬をゆっくりとさする。

今日はなんだか特別なように感じた。

そんな美晴へ、僕はあるものを渡した。

 

「……え?」

 

「今日頑張ったお礼といつもお世話になってるからって大橋さんが美晴に渡してほしいって」

 

「いいんですか!?」

 

「もちろん」

 

「嬉しい……」

 

中には指輪が入っていた。

結婚指輪とかじゃなくてプライベートとかで普通につける指輪だけど。

 

「おみくん、つけてください」

 

「え?僕がつけるの?」

 

「自分でつけるのは恥ずかしいですし、おみくんに付けてもらうと少しだけ幸せを感じられるんです」

 

「じゃあ、付けるね。左手出して」

 

「はい……」

 

僕は美晴の左手の中指に指輪を付ける。

意味は協調性なんだって。

 

「嬉しい……ありがとうございます……」

 

「良かった」

 

ふとした笑顔を見せる。

こうして僕も幸せを得られていると実感した。

 

気付けば美晴もうとうとしていた。

 

「わたし、疲れちゃったみたい……」

 

「寝る?」

 

「はい……」

 

そう言った矢先美晴はふとんにバタンキュー

よっぽど疲れてたみたい……

にしても、僕の部屋だということも知らずに美晴は……

世話を焼く子だと思いつつも、こうしている方が幸せなのではと考えていた。

僕も電気を消してベッドに入る。

気付けば2人で寝ていた。

 

 

ー数日後ー

 

「マネージャー、これ、来月の声優グランプリらしいわ」

 

社長から来月号の試作品が届いたのだ。

美晴のページを確認してほしいとのこと。

 

「ふむふむ……」

 

写真の写りなどはとても綺麗で、どれも魅力的なものばかりだった。

そんな写真と共にインタビューの中身が書かれている。

そのインタビューの中で気になる質問を見つけた。

 

「もし夜峰さんが将来結婚するとしたらどんな男性がいいですか?」

 

「とても優しくて、まっすぐな人がいいなと思ってます。わたしはあまり強くはないので優しく包み込んでくれたり、たくさん甘えたいなって思ってるので甘やかしてくれる人がいいなって思ってます。」

 

この文章を読んで少し恥ずかしさを感じたのは美晴だけではなく僕もだった。

 

「……?」

 

そしてそこに、あるものが同封されていた。

 

「美晴ちゃんに、渡してください……?」

 

僕の頭の中がこんがらがっている。

あれ?私何かしたっけ?と思いながらこの日は美晴は事務所に来なかったのでメッセージで「今日僕の家に来てほしい」って言っておいた。

 

「ただいま〜」

 

「お帰りなさい。突然呼び出してどうしました?」

 

「あぁ、来月号の試作品ができたみたいだから美晴にも読んでもらいたくて」

 

「そういうことだったんですね。それなら事務所に持って行ったままでいいのに〜」

 

「まぁまぁそう言わずに」

 

美晴がソファに座ってゆっくりと読んでいた。

その間に僕がご飯を作る。

 

「よし、できたよ……」

 

美晴にご飯ができたことを伝えたら

 

「きゃーーーー」

 

美晴が唐突に叫ぶ。

何事かと思って覗くと……

 

「あ!マネージャーさんは見ないでください」

 

って遮られてしまった。

なんだろ、ものすごくアウェーな感じがする。

 

「わたし……もうダメかも……」

 

「えぇ!?」

 

美晴の顔がほんのり赤くなってた。

何事かと思って大橋さんにメッセージを送ったら……

 

「あ、美晴ちゃん見たんだ。あのね、美晴ちゃんから「おみくんはシャイで控えめだから是非おみくんの写真も撮って欲しい」って言われたから撮っておいたの」

 

と返ってきた。

美晴、なんてこと言ってたんだよ……

まぁ、美晴が喜んでる(?)ならいっか……

 

「さ、ご飯食べよ」

 

「はーい!」

 

美晴に弄ばれてるような気がしたけど、これはこれでいい機会だったのかななんて思いながら、美晴との時間を過ごした。




みなさんこんにちは、おみです。
この度は「3.11 Op.3」を読んでいただきありがとうございます。
唐突に2月連続投稿となり「お前どうした」とか「気でも狂ったのか」って思った人も多いかと思います。
こんな感じで書きたい時に書いていきますので気長に応援してくれると嬉しいです。
さて次回は少し本編とかけ離れた4人の物語を初めてですが書いてみたいなと思います(忘れるなよって思った人はTwitterのリプなりDMなりで言ってください)
……中の人のドMさが垣間見える後書きでごめんなさい。
それでは次話もお楽しみに。
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