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「これ、おみくんに渡します。受け取ってください」
「うん、ありがとう」
「おみくん、ハッピーバレンタイン」
「じゃあ、早速だけど食べていい?」
「もちろんですよ」
……………
「うん、美味しい」
「ほんとですか?良かったでs……んんっ!?!?」
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「ゆ……め……?」
わたしは目が覚めると、それが夢だったことに気づく。
(わたし、なんて夢見てたんだろ……すごく恥ずかしい……/////)
わたしは顔を赤くしながら身支度をしていた。
今日はバレンタイン。
街中が、幸せで包まれる日。
わたしとおみくんが付き合い始めた時に初めて渡した今日って……どんな感じだったっけ……
そんなことを思いながら、わたしは昨日作ったチョコを見つめる。
おみくんは、黒と白なら白が好きだから白にしたの。
もちろん、洋酒入り。
おみくん……喜んでくれるかな……
なんて思いながら、わたしは仕事に出かけた。
外は雪が降っていて、かなり寒い。
今日は東京の交通網も麻痺しないか心配だ。
わたしは終わったら事務所によるつもりだったから、おみくんに渡すチョコを持って仕事に出かけた。
「夜峰美晴です、よろしくお願いします」
〜その頃〜
「今日は雪ですね」
「雪ですね」
「あれ?レッスン室、今日は使用禁止なんですね」
「雪とか持ってこられるの嫌だし、そもそもこれだし、交通網も麻痺する可能性があるから……」
「仕方なし……ですかね」
「あとそもそも使う人そこまでいなかったしね」
「そうだったんですか……」
僕はそこにいた石川さんと話をしていた。
外は雪が降っていて、街並みを歩く人を見つめていると、雪に反応している人がたくさんいた。
僕はこう言うことは散々経験してるから何も思わないし、むしろ寒いけど。
僕は仕事をしている間に美晴にLINEを入れた。
「今日は雪降ってるから事務所の報告は明日でいいよ」
という報告を送った時、僕は散らつく雪を見つめる。
「美晴、大丈夫かなぁ……」
僕は少し心配になって美晴に電話をかけた。
「もしもし?」
「あ、おみくん」
「うん。今雪降ってるみたいだけど大丈夫?」
「それが……電車が運転見合わせってなってて……」
「わかった。待ってて」
僕は電話を切るや否や、すぐに石川さんに連絡をした。
すると、他の仕事をしてる人たちもしきりに事務所に電話が鳴る。
この日は石川さん以外にも、スタッフが来ていた。
もちろん、冬用タイヤに変えてる人だけね。
その人を順に拾っていくことに決まった。
僕は美晴と千紗を拾うことになった。
僕は美晴と千紗に連絡を入れる。
外はとても寒く、雪がちらついていた。
そんな中、千紗と美晴を車に載せる。
仕事場から寮までの間に、僕の家があることを知ったので、そこで僕と美晴は降りた。
「じゃあ、あとお願いします」
僕らは車を出て、自分の家に戻った。
鍵を開け、美晴を家に入れる。
「おみくん……ありがとうございます……」
「うん、まぁ今日は事務所の方針でああいうふうにしてたから……」
気付けば18時になっていた。
今日の夜ご飯は事前に作っておいた。
なんだか、美晴がすこしいじけてるようにも見えた。
今日がバレンタインということは、この時僕は気付いてなかったのかもしれない。
「さ、ご飯食べよ」
「はーい!」
美晴と一緒にご飯を食べる。
当たり前のことなのかもしれないけど、いつも特別に感じる。
やっぱり、美晴がいてくれて、ほんとよかったなって心の底から感じる。
それを、そばで感じていられることが、1番幸せだったのかもしれない。
もう僕は、どこかで1番の幸せを手にしてたのかもね。
なんて思ってるうちは、まだまだ甘いのかな……
「おみくん!」
夜ご飯を食べ終わった美晴が頬を膨らませている。
「ど、どうしたのさ、そんな怒って……」
「む〜!」
なんだか怒ってる美晴が少し可愛く見えてきてしまう。
そのくらい怒ってる美晴が珍しいしかわいらしい。
まぁ、本気で怒ってることはあんまり見ないけど
「今日は何の日ですか?」
少し圧をかけられるかのように美晴が聞いてくる。
あんまりメンタルによくないことくらい分かってるのに……
でも、僕はそんなことはもうとっくの前に知ってた。
いや、敢えて言わなかったが正しいのかもしれない。
「そういや、もらってないな……」
と少しとぼけたことをいう。
すると美晴が今まで怒ってたのが嘘のように、笑顔になる。
「おみくん、ハッピーバレンタイン!」
美晴が僕にチョコを渡してくる。
今年も手作りチョコのようだ。
「うん、ありがとう。早速だけど食べていい?」
「もちろんです!」
中にはいろんなチョコの詰め合わせのようになっていた。
まるで、お菓子屋さんの高級チョコのような感じだった。
その中からビターを1つ摘む。
「いただきます」
チョコは1口サイズだから僕の口にポンと放り込む。
甘さ控えめ、やや苦めだけど、とても美味しい。
美晴は僕の方をじっと見つめている。
これは……チャンスやな……
「どうですか?お味は……」
味を聞いてきた美晴をそのままソファに倒す。
口の中に残っていたチョコの味をそのまま美晴に移した。
しばらくして、美晴から離れたら、すごい顔を赤くしていた美晴がいた。
「おみくん……こんなの……ずるいですよ……」
「え?ダメだった?」
「嬉しいですけど……いつもシャイなのにこういう時だけ大胆なの……ずるいです……」
ずっと、美晴の顔は赤いままだった。
そんな美晴に僕はまた口付けをした。
「ん……」
「美晴」
「はい……」
「もしかしてだけどさ、こんなことされたいって思ってた?」
どうやら図星だったらしく、美晴は少し固まる。
「されたかった……です……」
「正直だね」
「だって……夢にまで出てきたくらいですから……」
断れずにタジタジになって喋る美晴が少しかわいい。
こんな惚気話、聞いてるこっちまで恥ずかしくなる。
僕は少しだけ顔を赤くした。
「そ、そんなに嬉しかったんだね……」
「もちろんです……だって……」
「おみくんだから……だよね?」
今日の僕はどこかいじわるだなって自分でも感じていた。
それくらい自分のことがわかるようになってきた。
でもそれと同時に美晴のことも同じくらい分かるようになっていた。
美晴は僕にぎゅっと抱きつく。
心の鼓動がものすごく早く、そして強く伝わる。
美晴はとてもわかりやすい。
僕もわかりやすいけど。
「ずるいです……ずるすぎます……」
美晴がほおを膨らませる。
でもそれは、ほんの少しで、涙に変わった。
「美晴……?」
「おみくん……わたしはいま、すごく幸せなんです……」
「自分が夢見たことを……僕にしてもらえたから……?」
「はい……それに……」
「それに?」
「おみくんが美味しく食べてくれたのが、とっても嬉しくて……」
「うん、すごくおいしいよ。美晴、ありがとう」
少しだけ笑顔を見せると、美晴も笑顔になる。
それは女の子らしい、とてもかわいい笑顔だった。
「はいっ……!」
美晴が僕にぎゅっと抱きつく。
それは離してくれなさそうだなって思いながら、僕は美晴の頭を撫でた。
「おみくん……ずっと……大好き……」
「僕も……大好き……」
もうダメだ。完全に美晴の手のひらの上で転がされてる自覚しかない……
でも、それがちょっぴり嬉しくもあった。
いつもはすごく真面目だけど、僕といる時だけは甘えんぼな彼女……
そのギャップに、間違いなく僕は飲み込まれてしまっていた。
みなさんこんにちは、筆者のおみです。
この度は「3.11 Op.6」を読んでいただきありがとうございます。
いやー、甘すぎる……
みんなから爆ぜろリア充って言われかねないくらい甘い……
誰か僕を殴ってくれ……
さて次回は3.11かなと思います。
が、タイトルに書いてある3.11はまだ2年後のお話です。
やっぱり僕の原点は、3月11日……
それでは次話もお楽しみに!