すみません!(スライディング土下座)
わたしは今、寮にいます。
おみくんは今、ここにはいません。
なんなら、事務所にも足を運んでいません。
ねぇ、元気ですか。
またいじめられたりとかしてないですよね?
わたしはそれが心配で気が気じゃありません。
すごく不安な日々を送っていました。
ー京都ー
「ではこれより、判決を言い渡します」
「平野家一家殺人事件犯人に死刑、および賠償金4億円を命じる。以上」
「ふぁぁ……終わった……」
僕は今、すごくぐったりしてます。
何故なら3ヶ月もの間、奈良に滞在し、裁判だのを受けていたからだ。
ちなみに賠償金は僕が1億5000万って最初言ってたけど、裁判官の人があげて2億になった。
だからその手続き等についても行ってきたからそれによるものも大変だった。
お金はすでに銀行の方に下ろされてるみたいで、確認したらしっかり入っていたことを確認した。
さて、そのお金、どう使おうか……
ということはさておき、僕は美晴と3ヶ月ちょっとの間、話をしたり、会ったりもしてない。
だから、今すごく美晴に会いたかった。
あ、ちなみに今回は僕の友達の以前使っていたアパートを借りて暮らしていた。だから、そこまで荷物は持っていないし、終わったらその友達に連絡する予定だったから何も心配とかはしてない。
ただ居心地はそこまで良くなかったけど……
だからすごくぐったりもしている。
だから最終日は京都のホテルで泊まったり帰りの新幹線は僕のお金でグリーン車に課金したりしてた。
しかもこだまのグリーン車に。
理由は簡単、約5時間ずっと寝れるから。
寝るということがこんなにも幸せだなんて思わなかったくらい。
でも、本当の幸せはこれから待ってる。
多分彼女も、僕のことを待ちくたびれてるに違いない。
何故なら今日は土曜日で、明日は彼女オフだから。
だからきっと帰ってくることを待っているに違いない。
それだからこそ、少し遅く帰ったというのもあるけど。
ということを思いつつ15時くらいに東京に着いた。
そこから電車と徒歩で約20分、僕の家に着いた。
美晴、どんな感じで何だろうな……
何か言ったほうがよかったかな……
そんなことを思いながら、僕は家のドアを開けた。
「ただいま」
目の前に、いた。
今1番会いたかった人が。
「おみくん、おかえりなさい」
僕は美晴にぎゅっと抱きついた。
「会えなくて寂しかった……」
「わたしもです……待ちくたびれました……」
いつものこの感じが戻ってきたと思うと、少し嬉しいと思った。
「ごめんね……?」
「大丈夫ですよ……それより、裁判は終わりましたか?」
「うん、ちゃんと終わった。後でそのことについては話すね。美晴も関係あるから」
「え?そうなんですか?」
「うん」
「じゃあ、きいてもいいですか?」
「うん、いいよ」
美晴と僕はソファーに座る。
美晴の目が真剣な目になっていた。
美晴に使い道を一通り説明したら、美晴が僕に抱きついてきた。
「おみくんは、やっぱりすごく優しいです……だって……わたしのこと、家族って認識してくれてますから……」
「そんなの当たり前だよ。だって、2年後の婚約者……でしょ?」
「はいっ……!」
美晴のこともちゃんと考えてる。
その気持ちにさせたのはやっぱり彼女がそばにいたから。
ずっとそばにいたい。幸せにしたい。
その気持ちが強かった。
おみくんの心は、いつしか落ち着いていたのかな……
彼もわたしも、きっとそれはわからないし、分かるはずもない。
でも、それに近づいてることは確かだった。
果てしなく優しい、付き合ったころのおみくんに少しずつ戻ってるのは間違いなく私にも伝わった。
それに2年後の婚約者だなんて……ちょっと恥ずかしい……
でも、嬉しかった……
「おみくん……」
「んー?」
「心は……落ち着きましたか?」
おみくんに聞くと、おみくんは頭を撫でた。
「うん。美晴がいつも優しいから、すごく良くなった」
囁くように、おみくんは答える。
わたしは、あることを呟いた。
「じゃあ、1つお願いしてもいいですか?」
「なぁに?」
「一緒に、ピアノ弾いてほしいです」
この問いに、おみくんは何の迷いもなく答えた。
「うん。いいよ」
「やったぁ!」
少し嬉しくて喜ぶ。
それを見たおみくんがふふっと笑った。
気付けば彼も笑顔を見せることが多くなっていた。
普段は見せないおみくんの笑顔はすごくかわいい。
そのかわいさにわたしはいつしか惹かれてたのかもしれない……
「じゃあ、何演奏したい?」
「わたしは……」
今日はわたしのリクエストした曲を連弾してる。
この日はエリーゼのためにと亡き王女のためのパヴァーヌ。
最近はおみくんもクラシックを聞くことが多いみたいで、わたしもほんの少し嬉しい。
でもそれ以上におみくんと連弾してることの方がもっと嬉しい。
約1時間、弾いてた。
それでも、1時間があっという間に感じた。
おみくんは指が大きくないからあまり指の負担になるような曲は演奏したくないっていうこともある。
だから、連弾をしてるっていうのもあるけど。
もちろん、おみくんがソロで演奏することもある。
でも今日は、何より一緒に演奏したいっていうことをおみくんも、わたしも感じていたかった……
「美晴、ありがとう」
「うふふ、わたしもおみくんと一緒に演奏できて良かったです」
音で人と、世界を繋ぐ。
それが、わたしの目指すもの。
それを一緒に見てくれて、歩みを進めてくれるのは、後にも先にも、きっとおみくんだけ。
だからわたしは、今がとっても幸せ……
「美晴」
「なんですか?」
「美晴はさ、将来どこに住みたいとか、どんな家に住みたいとかあったりしてる?」
こんなこと……聞いてくれるのも、おみくんらしいなと思う。
わたしの答えは決まっていた。
「治安が良くて、駅からのアクセスがいい家に住みたいです」
関東は治安が悪いし、おみくんもそれは知ってるはず。
だから、いろんなことに巻き込まれたくない。
そんなことを思いながら、おみくんに答えた。
「こんな部屋のデザインがいいとかってある?」
「特にないですけど……強いていうなら、ベッドはサンライズツインのような形がいいです」
そう答えるとおみくんはふふっと笑った。
「わかった。あとは、柔らかいベッドね」
「もちろんです!」
こうして将来のことについても最近は話す機会が増えてきた。
でも、おみくんはやっぱり考えてくれるのは、「わたしが仕事をする環境を作ること」
このスタンスはどんな時でも一貫してる。
だから、今こうして仕事もたくさんあるし、すごく毎日が楽しい。
でも、わたしはあまり体が強くないから、仕事を入れすぎることは良くないことも知ってる。
だから、おみくんはすごく綿密なスケジュール管理をしてくれている。
おみくん、わたしはあなたに出逢えたことが何よりの幸せなんですよ……?
もっと自信を持って、そして甘えるところは甘えて……お互いがよりいい日々を育んでいきましょう……
わたしは今日の日記の最後にこのような言葉を綴った。
〜次の日〜
「おはようございます」
「おはよ」
いつも通り7:00に起きる。
もうこの生活もいつも通りになっていた。
わたしはおみくんのふとんに潜る。
おみくんが不意をつかれたような反応をしてかわいかった。
「どうしたの?」
「おみくんと久しぶりに一緒になれたから嬉しくて……」
「ふふっ、かわいい……」
おみくんは私の頭を撫でる。
心が安らぐ。
落ち着く。
ずっとそばにして欲しい。大切にしてほしい。
「美晴の全部を、独り占めしたい……ダメ……?」
ずるいよ……おみくん……
そんなの、良いに決まってる……
「良いですよ……?わたしのこと独り占めしても。でも、その代わり、わたしもおみくんの全部を独り占めして良いですよね……?」
「もちろんだよ」
その時、ゴロゴロと雷が鳴る。
わたしは雷がすごく苦手だから、すぐにおみくんに抱きついた。
「雷、怖いの……?」
「うん……」
「ぎゅってしてあげる」
暖かい。
優しい。
ずっと一緒にいたい。
なんで、わたしはこんなにも幸せなんだろう。
なんで、彼はこんなにも優しくしてくれるんだろう。
ずっと頭の中がよぎっていく。
彼の胸に飛び込んだ私は、彼に甘えていた。
優しさが、心を満たしてくれた。
こんなにも幸せな日は………きっと彼といる時だけ……
ずっと鳴り止まない雷の中でも安心していられる場所を作ってくれる彼の前で、気づけばわたしはゆっくり目を閉じていた。
頭を撫でるおみくんの手が今日も優しい。
わたしはそんな彼の膝枕の上で、深い眠りに入っていた。
今回はなしで!ごめんなさい!