《ライオン!》
新たなスタンプで、新たなゲノムチェンジを行う。
《Come on!ラ・ラ・ライオン!Come on!ラ・ラ・ライオン!バディアップ!ガオーン!ゲットオン!野獣の王!ラーイーオーン!見ててください!俺の雄叫び!》
『フォォォォォォ!!ライオンゲノム!!ついに爆誕!!』
先程フェイバリットスタンプと言っていたからか、かなり興奮しているのがわかる。
『さぁ!リミックスの一撃で止めだ!!』
興奮を隠しきれない指示が飛んでくる。
《リミックス!必殺!チャンピオン!爆音!ライオン!》
最近はこのオート組体操にもかなり慣れてきたもので、自然と脱力状態でいれているが自分でもわかった。
ライオンが出来上がり、雄たけびを上げる。それが壁や地面にダメージを与えているのがわかる。おまけに、他の二人もガード姿勢を取っている。ISも吹き飛ぶか否かのギリギリの様子だ。
私たちは改めて標的を見据え、突進からの噛みつきを行う。既にボロボロのそれを、そのまま壁へと吹き飛ばす。だが、まだ動こうとする。
「しぶとい…だったら!」
私たちは一旦リミックスを解き、もう一度スタンプを操作する。
《ライオン!スタンピングフィニッシュ!!》
再びリバイスライオンへと戻り、そのままISに噛みつき、壁を駆け抜ける。そこから、上空へと行き、咥えているISを地面に向けて、私たちごと落下する。
『It‘s so Wild!!』
興奮冷めず、といったところだ。ようやっとISは停止したが、よくよく考えると搭乗者のことを忘れて攻撃を行っていたことを思い出した。
「まっ、もともと無茶な動きや思考パターンだったからもしかしたら…と、そこを前提にライオンバイスタンプを調整していたが。いやはや、無人機とは恐れ入ったよ。」
先程までスピーカーで喋っていたのに、いつの間にやら、狩﨑くんは残骸を弄繰り回していた。
「一体、どこの誰がこんなものを寄こしたのか…。ま、こんな出鱈目なものを作れる人物は限られてるだろうけどね…。」
この会話の間にひっそりと姿を消そうとしていた人物が居たのを見逃さなかった。
「ちょっと待って!」
私はその人物に向き直る。視線の先には、エビルがいる。
「そろそろ、正体を明かしてもらうよ!」
オーインバスターの銃口を向け、エビルの動きを止めさせる。なんとなく察したのか、デモンズもエビルの方を向き、構えている。
エビルは、ゆっくり武器をベルトに戻して、ブレードをしまった。そして、スタンプに手を外し、蝙蝠が去っていくのだった。