クラス最強となった俺が二度目の転生をして、平凡(?)な学園生活を送る俺物語 作:渡月 夢幻
〜第二章 王立イーセンダルトの入学試験〜
ー入学試験まであと7日ー
俺とメーティスは中央都市ベルセリオンから700mほど離れた丘に立っていた。時刻はだいたい午後4時頃だ。俺たちは、ここに来る前から決めていた宿屋へと向かった。
夕方5時俺たちは門前に向かった。この門前にたった俺とメーティスはふと懐かしい思いに駆られた。
「約1200年がたった今でもこんなに立派な建築物だとは…」
「初めて、魔族領に来た時を思い出すね。お兄ちゃん。」
「あぁ…そうだな…」
と、思い出話を始めようとすると、1人の門兵が近づいてきて、
「あのお尋ねしますが、あなた方は王立イーセンダルト魔法学校の入学試験の受験生さんでいらっしゃいますか?」
「あぁ、そうだ。」
「左様でございますか。では確認の為、受験票を拝見してもよろしいでしょうか?」
「いいぞ。」
俺は門兵の質問を快く承諾し、メーティスと一緒に受験票を見せた。
「受験番号4333番ブレイン・シャーロックさんと4334番のメーティス・シャーロックさんですね。ご協力感謝します。では早速、宿屋の方へ案内しますね。」
門兵はそう言って俺たちを宿屋まで案内してくれた。宿屋に向かう途中には魔族や人間、獣人族、妖精族、ドラゴニュート族などたくさんの種族で街が溢れかえっていた。これも1200年前に結んだ種族間平和共生条約のおかげだな〜と1人で感心していた。
「こちらがあなた方の宿屋となります。」
「案内ありがとう。」
俺は門兵に労いの言葉をかけメーティスと一緒に宿屋へと入っていった。
「いらっしゃいませ〜!お泊まりですか?」
と、1人の人間の女性が接客をしてくれた。
「あぁ、そうです。シャーロックで2人分の部屋を予約しておいたんですが…」
「シャーロック様ですね。少々お待ちください。」
女性はそう言うと、戸棚にあった予約者リストを手に取り俺たちの名前を探した。
「あっ、ありました!シャーロック様。長旅ご苦労様です。お部屋は左手の階段を上がって右奥の206号室と207号室となっています。なお、宿代のお支払いはチェックアウトの日に行います。どうぞ、ごゆっくりおくつろぎ下さい。」
女性は一礼して俺たちに鍵を渡した。俺たちはそれを受け取り階段を上り、部屋に入った。ちなみに206号室がメーティスで207号室が俺の部屋だ。俺たちは部屋に荷物置くとすぐに宿屋を出て買い出しに行った。金はたんまりある。なぜなら転生する際、俺のストレージに金貨20枚《現在の日本円で約2000万円》を備えてきたからである。俺はストレージから金貨2枚を取りだし、1枚をメーティスに渡した。
「メーティス、こっからは自由行動だ!1時間後にここに集合な。なにか連絡したいことがあったら念話でな!じゃあなぁ〜!」
「あっ、あのお兄ちゃんっ!」
そう言って俺はその場をすぐに立ち去った。もちろん、メーティスが何を言おうとしていたのかを知らずに…。メーティスは、はぁと一息ため息を着くとどこかへと向かって行った。
「まずは腹減ったから軽く串焼きでも買おうかな?宿屋で夜ご飯は出るけど、俺の腹は我慢できねぇし」
と俺は独り言を呟き、串焼き程度の軽食を買うためにわざわざスキップをしながら近くに串焼き屋がないかを探し回った。少しすると炭火の匂いがしてきた。
「おっ、これは!?」
と思い匂いのする方へ近づいていくとだんだんと肉に甘いタレかけ、じっくりと焼かれているような匂いがしてきた。俺は匂いにつられて屋台へ近づく。すると、
「焼きたて!ワイルド・ボアの串焼きはいかが〜!肉肉しくて美味いぞ〜!」
と、デカい声で40代くらいのおっさんがうちわを片手に呼び込みをしていた。俺はその香りに耐えられず唾をゴクリと飲み込み、金貨を片手にスタスタと串焼屋の前へ行き、
「おっさん!ワイルド・ボアの串焼き5本ちょうだい!」
とおっさんの呼び込みに負けないくらいの大声で注文した。
「あいよ、5本だな。ちょっと待っててくれ。」
おっさんはそう言うと、炭火で焼かれた熱々の串焼きを5本とり、紙袋に詰めた。紙袋からは熱々の蒸気が発生していた。待ちきれない。と言わんばかりに俺は目を輝かせていた。
「じゃあ、1本10ルシだから、50ルシ頂だくよ。」
とおっさんは俺にそう言った。
「ん?……50ルシ?なんだそれは?」
俺は聞いたことの無い言葉に疑問を抱いていた。実際、俺が今まで生きてきた13年間のほとんどは自給自足の生活を行っており、ギルドや商店も少し遠い場所にあったから買い物担当の父親について行くことがあんまりなかったからだ。
「なんだ、坊主。50ルシ持ってないのか?」
「うん…金貨なら持ってるけど…」
「きっ、金貨だと?金貨って確か500年前に廃止された古代の金じゃねぇか!?」
おっさんは金貨に驚いていた。俺からとっちゃ金貨なんてもんは珍しくもなんでもない。逆に驚いている方がおかしいと思っていた。
「おっ、おい坊主。この串焼きタダであげるから早く銀行って換金してもらえよ…」
「えっ?なんで換金する必要があるんだよ?」
「だってよぉ、今の単価はルシが基本だぞ。だから金貨じゃどこも精算してくれねぇからな。」
「えっ?マジかよ…おっさん、ありがとな!俺急いで換金してくるわ!」
「おう、そうしてこい。」
「はぁい!あっ、あと串焼きありがとなぁ〜!」
「おう、気ぃつけろよぉ!」
おっさんは手を振って俺の事を見送った。しかし、この時代では金貨が使えないとは……俺は急いで銀行へと向かった。
ブレインが串焼き屋を去って数分後、20代くらいのある女が串焼きを買いに来た。
「いつものやつを3本ずつ頼む。」
「あいよ、姉さん。今日は何してたんだ?いつもより来る時間が遅いから少し心配したぜ。」
「あぁ、いや。1週間後王立イーセンダルトの入学試験があるからその準備をしてて遅れたんだ。」
と、その女は軽く微笑し串焼きを手に入れるのを待っていた。
「そういや、そうだな。やっぱ、先生って仕事は大変なんだなぁ〜。……はいよ、いつものボアとバジリスクの串焼き3本ずつね。」
「ありがとう。」
その女は60ルシを払い、物を受け取ろうとすると、おっさんが何かを思い出し話しかけてきた。
「そういや、姉さん。今日、妙な少年が串焼きを買いに来たんだよ。」
その女はいつものくだらない話だろうと思い立ち去ろうとしたが今回はその話題に食いつき、足を止め
「妙な少年?」
とおっさんに聞き返した。
「おっ、今回は食いついてくれたな。実はな、俺の串焼きを買いに来た少年が会計の時にルシじゃなくて500年前まで使われていた金貨で払おうとしたんだよ。」
「きっ、金貨で?」
「あぁ、俺も最初は戸惑っちまったんだよ。まさか、今どき金貨で払おうとする奴がいるとは思わなくてなぁ……姉さん、なんか心当たりあるか?」
おっさんは女に聞いた。その女は結構物知りで大抵の事は知っているだろうと予想したからだ。女は少し考え込み少し経ってから口を開いた。
「うーん…多分その少年は私の婚約者かもね?」
「えっ?婚約者!?冗談言わないでくれよ、姉さん。」
おっさんは驚いて、一瞬腰を抜かした。その様子を見た女はまた軽く微笑し、《じゃあね》と言い手を振ってその場から立ち去った。
「まさか……ね……。」
と独り言を呟いた。
やっと銀行へ着いた俺は息を切らしながら、中へ入っていった。
「いらっしゃいませ。」
と受付のお姉さんが一礼し俺の方を見ると若干引いていた。それもそうだ。俺は全力で走ってきたので汗をダラダラと垂らしながら、瞳孔が大きく開いていてまさに薬物でキマったような顔をしていたからだ。若干引き気味の受付のお姉さんは、
「どのようなご要件でしょうか?」
と口を開いた。
「きっ、金貨を換金してくれませんか?」
「きっ、金貨ですか?冗談じゃないですよね?」
彼女は明らかに不審がっていた。彼女は何らかの合図をし入口の方に警備の人達が少し集まっていた。その様子を察知した俺はポケットから思いっきり金貨を取りだし彼女の前に差し出した。
「嘘じゃないです!」
俺ははっきりと大声で彼女に告げた。
「でっ、では偽物かどうかをまず鑑定しますね。その後本物とわかり次第換金致します。ではこの番号札を持って少々お待ちください。」
と彼女は俺に23番の番号札を手渡し、急いで奥の部屋へと向かっていった。俺が不審人物では無いことを察したのか入口付近に集まっていた警備の人々は徐々に解散して行った。数分後、俺の金貨の鑑定していた受付のお姉さんが戻ってきて、
「番号札23番の方いらっしゃいますでしょうか?」
とアナウンスした。
「あっ、はい。」
俺は席を立ち、彼女の元へと向かった。
「鑑定の結果、この金貨は500前までに使用されていたものと判明しましたので換金させていただきます。今回は金貨1枚ということなので1000000ルシと交換させていただきます。」
彼女はそう言って袋詰めされた1000000ルシを俺に手渡した。
「あの、他にご要件はありますか?先程は急いでいたのでその他のご要件を聞いていませんでしたので……」
彼女はそう言うと俺はその場で少し考え込んだ。今ある金貨17枚を全て換金するべきかと……そして、
「あの、あと金貨が9枚ほどあるんですがそれも換金して貰えませんか?」
と尋ねた。
「きっ、金貨9枚!?」
「はい。」
「かっ、可能ではありますが……結構な時間がかかりますよ?」
彼女は戸惑いながら俺に言った。確かに1枚の鑑定で数分ほどかかるとなると、9枚鑑定するのに1時間程はかかるだろう…それに9000000ルシを準備するのにも時間がかかるだろうし…
「明日また取りに来るのでその時までに鑑定と換金お願いしてもよろしいですか?」
俺はなるべく銀行員の皆様に負担をかけないためにもそう告げてその場を立ち去った。そして、生活必需品やその他必要なものを買い揃えてメーティスと別れた場所へと戻った。
急いで戻るとそこにはメーティスが少し不貞腐れた様子で俺を待っていた。
「えっ?俺なにか仕出かしたか?」
とそっと心の声が漏れた。俺は急いで手元の時計を確認すると、メーティスと別れた時刻からまだ1時間も経っていなかった。遠目から見るメーティスは絶対怒っていると確信した。
「なっ、なぜ怒っているんだ!?」
また心の声が漏れた。俺はその場で直立し考え事を始めた。
「俺はメーティスの嫌がることでもしたか?いや、今世になってから嫌がることは1度もしていない。前世もしてなかったけど…なぜだ?なぜだ?……」
「あっ、お兄ちゃん。そこに居たんだ。」
メーティスは俺の存在に気づきこちらへ向かってくる。
「やばい、やばい。とりあえず、謝罪をするか?!」
俺はその場しのぎの謝罪をする体勢に入った。そしてメーティスとの距離が1mになった瞬間、
「ごめん、メーティス!俺が悪かった!」
「えっ?なんのことお兄ちゃん?」
「処罰はなんでも受け入れ…えっ?」
「そもそも、お兄ちゃんはなんで私に謝ってるの?」
と2人の思考はすれ違っていた。そして、2人は少しの時間黙り込みお互いの事情を話た。まず、メーティスは集合15分前にこの場所に到着しブレインを待っていると20代くらいのチャラ男にナンパされムカついていたらしい。そして俺はさっき話した通りだ。お互い納得したところで2人は宿屋に帰ろうとした。
「ねぇ、お兄ちゃん。帰りはちょっと違う道を通ってみようよ。」
「あぁ、いいぞ。」
2人は別ルートで宿屋へと向かった。が、その途中2人は英雄のようなな像を発見した。俺はこの美男子の像が誰なのかが気になって近くを撮った魔族のおばさんに聞いてみた。
「すみません、この像はどなたなんですか?」
「ありゃま…あんたこの方をご存知ないの?!」
「えっ…あぁ…はい。」
「この方はね、およそ1200年前に種族を統括し平和と共生をもたらした魔王軍最強の幹部シャトウ様の像だよ。」
俺はその言葉を聞いて驚いた。なんで俺がこんな美男子に描かれているのかと…それと同時にこんなことをするのは1人しか居ないと確信した。
「教えていただきありがとうございます。」
俺は少々複雑な気持ちで魔族のおばさんにお礼をした。俺は英雄のような像の1件で少し頭痛がしたので、今日は宿屋に帰ってすぐ飯も食わずに寝床についた。
時は過ぎ去り、王立イーセンダルト魔法学校入学試験当日となった。
「いよいよ、入学試験か…頑張ろうなメーティス。」
「うん!お兄ちゃんも頑張ってね!」
互いに鼓舞しあい、俺たちは王立イーセンダルト魔法学校の校門をくぐり試験会場へと向かった。ここ王立イーセンダルト魔法学校の入学試験は以下のようになっている。
1日目
①筆記試験(ペーパーテスト)
②面接
③剣術テスト
2日目
①受験生対受験生のPVP
②魔法による射撃テスト
③チームによる試験
昇降口的な場所に向かうと王立イーセンダルト魔法学校の職員たちが案内を行っていた。
「おはようございます、王立イーセンダルト魔法学校の受験会場へようこそ。受験番号を見せてください。」
職員の1人が俺たちにそう話しかけてきた。俺たちはその指示に従い受験番号を提示した。そしてそれを確認した職員は、
「では、受験番号4333番ブレイン・シャーロックさんは左手に進み突き当たりを右に曲がって1番手前にある試験会場②へお入りください。4334番のメーティス・シャーロックさんは右手に進み突き当たりを左に曲がって1番奥の試験会場③へお入りください。入室していただくと右手に受験番号が書かれた席順が表示してあります。ですのでその表を見てお座り下さい。」
俺はそれを聞き首を軽く縦に振り会場へと向かった。
「じゃあ、ここでお別れだね。頑張ろうなメーティス。」
「うん!お兄ちゃん、また後でね!」
2人は手を振り互いの会場へと入室した。
第二章 王立イーセンダルトの入学試験 ー完ー
この物語で登場する王立イーセンダルト魔法学校の受験番号は4000番から始まります。設定上の都合だと思ってください。《この番号に伏線とかはありません。》今回の受験者数は合計500名です。なので3つの受験会場は受験番号4000〜4166までのクラスと、4167〜4333までのクラスと、4334〜4500までのクラスです。合格できる人数は、240人です。クラスは1クラス40人の6クラスになります。