クラス最強となった俺が二度目の転生をして、平凡(?)な学園生活を送る俺物語 作:渡月 夢幻
〜第五章 元最強の意地と集結!魔王軍幹部〜
「こっ、これは現実なのか?!……」
職員の1人がそう呟く。それもそのはず、この2人の本気の戦いは歴史上数少ないレベルの高いものであるからだ。いくら防御の結界を張ったとしても安心という言葉は闇の中に埋まったままで予断を許さない状況にあった。イフリートは空に飛び、ブレインの真上から
「大業火連続弾《インフェルノ・バレット》!」
先程放った大業火《インフェルノ》を連発し、仕留めようとした。すると、ブレインはその攻撃に対抗するために自身の足元に素早く魔法陣を展開して、
「氷塊鉄壁《アイスウォール》!」
とイグルーのような全面氷の防御壁を生成した。その直後、バンッ!バンッ!バンッ!と大業火《インフェルノ》の雨がフィールドに降り注ぐ。100発ほど撃つとイフリートは一時的に攻撃をやめ、フィールドをじっと睨みつけた。大業火《インフェルノ》で発生した煙が少しずつ晴れ渡ると、地面がボコボコになりその一部が溶解していることを確認した。だが、ブレインが作り出した氷塊鉄壁《アイスウォール》は無傷であった。
「やはり、手強い……」
とイフリートが上空でブレインを警戒しながら呟くと、
「そう思うなら、さっさと勝ちを譲ってくれねぇか?」
背後からブレインの声がした。それに驚いたイフリートは「何!?」と言いながら後ろを振り向くと、そこには剣を自身の頭上に構え、体を思い切り反らし全身に力を蓄えていたブレインがいた。「回避しなければ!」と考えると同時にブレインはイフリートに左上から切りかかる。「ダメだ!間に合わん!」と思ったイフリートは腕を犠牲にガードをする。だが、ブレインが持っていた剣は冒険者が普段使うような剣で、イフリートに対してはとても脆い剣だった。ブレインが放った剣技はイフリートの腕に当たると同時にパリンと音を立て砕けていった。
「やっぱり、剣の耐久性が無さすぎるなぁ…付与もあんまりできないし…」
とブレインは少し落ち込み気味でイフリートに言った。
「おい、シャトウ。さっきの剣で俺を切断できると思っていたのか?もしそうなら随分と舐められたもんだな。」
イフリートがそう聞き返すと、
「いや、お前をこの剣で仕留めようなんて思ってねぇよ。試しだよ、試し。」
そう言ってブレインは、自身の右側に亜空間を発現させその中に手を突っ込んだ。そして、何かを掴み取ったブレインはそのままゆっくりと亜空間から引き出す。そこに現れたのは、魔剣ネオ・アビスだった。魔剣ネオ・アビスは前世の俺が採掘した最硬質の金属オリハルコンをさらに厳選し精錬に精錬を重ねた物をベースにドラゴンの角や神の翼、更にはルシにお願いして作って貰ったルシの魔力入り魔法石が組み合わせられた最強の剣である。そしてそこに、斬鉄強化、耐久力アップ、ドレイン、軽量化、クリティカル率向上、連撃力アップなどなどチート級の付与を施し完成させた世界最強の剣である。
「さぁ、お遊びはこれくらいにして本気で行こうぜ、イフリート。」
「もちろんだ、シャトウ。」
その会話を聞いた防御結界の外側で待機していた職員たちの頭の中はカオスとなっていた。「今のが遊び?冗談だろ?!」と。もちろん、場内に生き残っているアリスもだった。
「では、我もアレを取り出そうか。」
イフリートはそう言うと、ブレインと同じように亜空間の中に手を突っ込み剣を取り出した。イフリートが持っている剣は炎剣フェニックスだ。この剣は国宝にも認定されていてイフリートのような火の魔法に長けた者しか使いこなせない火属性最強の剣だ。
「では、ゆくぞ!シャトウ!」
剣を自身の胸元に構えたイフリートはそのままブレインに突っ込んでいった。そして、ブレインから2m程の距離に近づくと胸元に構えていた剣をブレインの心臓に向かって素早く突き出す。そのスピードは光の速度に値するものだった。だが、ブレインは冷静にその攻撃を見極め剣身の中央を心臓の辺りに持ってきて防いだ。そして魔剣と炎剣が火花を散らしひしめき合う中、2人は軽く汗を流しながら笑っていた。その状態が体感2秒を過ぎると2人は思い切り相手の剣に力を集中させ、その反動で後方へ軽く下がった。
「やるな、イフリート!」
「主も以前と同等の力を取り戻したようだな。」
「あぁ、生まれてから13年間で何とか力を取り戻したぜ。だが、まだ完全に戻ったわけじゃないからそこが少し気がかりだな。」
「そうか……」
イフリートが呟くと、ブレインは自身の最高スピードでイフリートに突っ込み魔剣を大きく振りかざし決着をつけようとした。もちろん、イフリートも成長しているのでブレインの攻撃を見切り防いだ。また魔剣と炎剣の接触で火花が散る。2人は「うぉぉぉ!」と叫びながら連続で攻撃を仕掛け、防御を繰り返した。周りの職員たちはその様子が全く目で負えず、ただ火花が飛びっちっているようにしか見えなかった。2人は瞬間移動を繰り返しながら戦っている。フィールドの右端、上空、中央、左奥と。
「べっ、別次元すぎる……」
その場に居合わせた職員とアリスは完全に腰を抜かし言葉を失い、恐怖さえも感じていた。するとそこへ、
「おぉ、やってるねぇ〜。いつ見ても圧巻だわぁ〜。」
「お兄ちゃん、がんばれぇ!」
と試験を終らせたルシとメーティスが現れた。それを見た職員は急いで頭を下げ、
「お疲れ様です!学園長!」
と一斉に挨拶をした。それを聞いたらルシは、
「みんな、お疲れ様ぁ。」
と労いの言葉をかけ再び観戦を始めた。メーティスはルシの隣に座って一緒に観戦を始めた。その状況を目の当たりにした職員は唖然としていた。ルシがここに居るのは分かるが受験生の1人がここに同席していることはどういうことだと疑問を感じた。そして、職員の1人が
「あの、学園長。観戦中つかぬ事を伺いますが、何故ここに受験生の1人が同席しているのですか?」
と問うとルシはポップコーンらしきものを取り出し、1口食べながら、
「そりゃ〜試験が終わったからだよ〜。」
と答える。口をもごもごさせながら答える姿に職員たちは「学園長……可愛い」と一同共感した。それを察したルシは、
「こんな時に何考えてんの?」
と軽く頬を膨らませ職員たちを睨みつけた。
「すっ、すみませんでした!」
と職員たちが謝るとドコォン!と大きな爆発音が会場内からした。それに驚いた職員たちは一刻も早く戦いを終わらせて欲しいと願った。その願いは届くことも無く無残に散った。戦況は五分五分のまま10分が経過した。
「いっ、いつまで続くんだよ。」
と震えながら職員たちは不安に襲われている。するとルシがいきなり立ち上がり、拡声器みたいなものを取りだし、大きく息を吸って、戦いのさなかである2人に向かって、
「埒が明かないから、あと10分で強制終了ねぇ!」
と拡声器が途中キーという鈍い音を出しながら2人の耳元に届いた。すると2人は剣を手放し、
「ちぇ、あと10分だってよイフリート。」
「うむ、惜しいな……」
と2人は戦いを一時的にやめて決着がつく方法を考えていた。そして、イフリートが
「もう、魔法戦で蹴りをつけよう。」
と口を開いた。ブレインは「分かった」と頷き魔法戦に移行した。それを察したルシは、「魔法戦かぁ。」と呟き、再びポップコーンらしきものを食べながら観戦を始めた。
「これで終わらせる。」
イフリートは自身の内に宿る魔力を全て解放し、自身の頭上に大きな炎を塊を作り出した。そして、フィールドの周りを囲うように炎の壁も出現した。そしてその炎の壁から炎の槍が突き出しいつでもブレインを倒す準備ができていた。まさに地上にも上空にも逃げ場がない状態だった。
「ブレイン、この魔法驚いただろ?この魔法は俺がつい200年前に完成させた我専用のオリジナル魔法、大業炎地獄《The Inferno Of Hell》だ!」
イフリートがそう告げると辺りの温度はどんどん上昇しまさに太陽の中心にいるような感覚だった。自分自身に環境異常耐性を付与しているがそれだけでは間に合わず汗がどんどん垂れ流れてくる。そして俺の汗が重力に従い地面に落ちようとすると、地面に着く前にあっさりと蒸発してしまった。俺の体に汗がまとわりついている時は環境異常耐性が効果を示している領域内だからすぐには蒸発しないがその領域内を出たから一瞬で蒸発してしまったのだろう。こんなことを考えているがそろそろ余裕がなくなってきた。暑さのせいで思考も急に鈍くなり始めてきた。さすがイフリートと言ったところだろうか。
「イフリート!俺の本気も味わってみろよ!」
俺はイフリートにそう告げると、
「もちろんだ!本気を出してくれ!シャトウゥゥゥウ!」
イフリートはそう叫びながら頭上に生成していた半径20m程の炎の塊を俺に向かって投げてきた。俺はその瞬間少しニヤけて、こう呟いた。
「奇蹟の模倣者《プラエスティギアトレス》」
その瞬間、辺り出現していた炎の壁も炎の槍もそして、頭上の炎の塊も全てが消え去った。
「なっ、何が起こった。」
一瞬のことでイフリートも驚いていた。俺はイフリートの目の前に瞬間移動し
「何が起こったか知りたいか?」
と問うた。イフリートはその場でこくりと頷き俺が行った魔法の仕掛けを聞く体勢に入っていた。それを確認した俺は、
「俺が今行使した魔法は奇蹟の模倣者《プラエスティギアトレス》という魔法だ。この魔法はイフリートがさっき行使した大業炎地獄《The Inferno Of Hell》と同じで俺のオリジナルの魔法だ。この魔法は俺の周りに生成されている魔法を全て無に返すという魔法だ。んまぁ、いわゆる最強の魔法に等しいな。あははは。」
と軽く笑いながら説明した。それを聞いたイフリートは「そりゃかなわんわ。」という顔をして、「俺の負けだ!降参!」と職員たちに聞こえるように叫んだ。それを聞いた職員は顎をアングリと開け、その場で固まっていた。もちろん、アリスもだ。やがて、防御用結界が解除されるとアリスが俺に近づいてきて、
「すっ、凄すぎます!シャトウ様!」
と前世の俺の名前で呼んできた。
「アリス。その名前はみんなの前では内緒にしてくれないか?」
「何故ですか?シャトウ様が生きてると知ったら皆さん喜びますよ?」
「あぁ、それはわかるが今世の俺は平穏に過ごしたいんだ。だから秘密にしてくれないか?」
「分かりました!」
俺は念入りにアリスに俺の前世の名前で呼ばないことを誓わせた。それを終えると今度はルシとメーティスが近づいてきた。
「お兄ちゃん、お疲れ様。」
「いやぁ久しぶりに翔太くんの戦いを見たなぁ〜。」
と口々に言った。俺はその返事をしながら、イフリートに回復魔法をかけていた。
「そういえば、メーティスとルシはどっちが勝ったの?」
ふと俺は聞いた。俺たちが戦っている時にこちらの観戦をしているってことは結構直ぐに決着が着いたことが伺えるからだ。すると、ルシが
「うーんとね、引き分けにした。」
てへぺろの表情をしながら俺に言った。俺は予想外の答えが返ってきたことに思わず「えっ?」と聞き返した。
「実を言うとね、メーティスちゃん以外みんなよわよわだったから全員をノックアウト状態にして私がメーティスちゃんに引き分けにしない?ってもちかけたら良いよってあっさり承諾してくれたの!あははははっ!」
と試験中にそんなことしていいのかというような行為を行っていた。
「じゃっ、じゃあ、メーティスの得点はどうなるの?」
「あぁ、メーティスちゃんの点数は100点中85点にしておく!」
「そっ、そんな適当な評価でいいのか?……」
俺は驚きを隠せなかった。昔からルシの性格は知っていたがまさか1200年で結構垢抜けした感じがした。なんというか、丸くなったというか楽観的になったというか……。そんなことを考えていると、自分の背後から恐ろしいくらいの足音がこちらに迫ってきた。背筋が凍る。なんなんだ?後ろを振り向くと、
「翔太くぅぅぅぅぅん!」
と大声で叫びこちらに向かって飛び込んでくる女がいた。「この声はまさか……」俺はそう呟くともう既に抱きしめられていた。しかも顔面には大きなおっぱいもとい、大胸筋が敷き詰められた。ダメだ……抵抗できない。俺はただただ大胸筋という渦巻の中に飲み込まれて行った。
「ルサールカ、翔太くんがキツそうだから離してあげな。」
ルシがルサールカに言うと、少し残念そうな顔をしながら俺を解放してくれた。
「ルサ姉、久しぶりだね。会えて嬉しいよ!相変わらず、胸はデカイな……」
俺は再会を喜びつつ、ボソッと胸の話を呟くとルサールカはいきなり涙を流しながら俺に、
「翔太くん!なんでチームの試験、お姉さんのところに来てくれなかったの?お姉さん、翔太くんが居ないことが分かった瞬間悲しくてその会場に居た受験生全員ふっ飛ばしちゃっただよ?!」
と受験会場で起こった事をサラッと自白した。それを聞いたイフリートはルサールカに
「てっ、手加減はしたのか?」
と聞くと、
「ううん、本気でやった。」
とまたまたサラッと答えた。そこに居合わせて俺たちはヒヤリと感じ汗を流しすと、「はっ、早く回復魔法で処置してあげないと……」と大急ぎでルサールカが試験監督を務めた会場に向かった。
会場に着くと、そこには1人の影があった。「誰だ?」と思い俺は慎重にその影に近づいてみると、
「全く、ルサールカの奴はぁ、いっつも後始末をしないんだからぁ。」
ルサールカの文句を垂らしながら、ルサールカの魔法をくらって伸びている受験生たちに回復魔法で手当をしていたのはオノケリスだった。俺はオノケリスと分かった途端、
「やぁ、オノケリス!久しぶりだね!」
と声掛け受験生たちの回復魔法での処置を手伝った。
「おぉ、翔太じゃぁん!久しぶりぃ〜。手当の手伝いしてもらって悪いねぇ〜。」
と2人で喋りながら回復を続けた。奥の方に伸びている受験生たちの手当はルシやルサールカ、メーティスたちが担当していた。30分程が経つと全員の手当が終わり俺たちは一息ついた。
「全くぅ、ルサールカは適当なんだからぁ〜。」
とオノケリスはルサールカに軽く怒る。ルサールカはごめんごめんと手を合わせて謝る。そんな中ルシが
「いやぁ、このメンバーで集まるのも久しぶりだね。」
と昔を懐かしむ形で言った。
「そうだな…実に1200年ぶりだな…」
俺はそう呟きながら過去の出来事を振り返り思い出に浸っていた。するとルサールカが
「そういえば、この試験を合格したのって翔太くんとメーティスちゃんだけ?」
と俺たちに問う。俺は
「まぁ、俺たち以外にももう1人合格した人はいるよ。俺の試験会場にいたアリスだ。」
「あぁ、あの隅っこにいた女か……」
心当たりがあったイフリートはそう呟く。
「ほぉ、まさか翔太くんとメーティス以外に合格者がいるとは……」
「えっ!?お姉さん、びっくりなんだけど!?そのどれくらい強いの?」
「いや、俺が端で待機しててくれって命令して端っこで大人しくしてくれてただけだから俺らクラスの強さじゃないよ。」
「あぁ〜そういう事ね。」
ルシは納得し頷いた。
「盛り上がっている中申し訳ございません。そろそろ受験生たちの合否の判定をするお時間です。」
俺たちの会話を中断させ、職員が介入してきた。ルシは「分かった」と頷き移動する準備を始めた。もちろん、ほかの魔王軍幹部たちも移動する準備を始めた。「次会うのは入学試験後かな……」心の中で俺は少しガッカリした。それを察したルシは、
「翔太くん!後で翔太くんの祝賀会をしたいからこの場所に来て!」
ルシはメモ用紙に店の名前と住所をササッと書いて手渡した。
「ルシ!俺とメーティスはギリギリ合格したことにしてくれ!あんまり目立たずに暮らしたい!」
ルシたちがワープする前にそう叫び合格の偽装をお願いした。それを聞いたルシは「分かったよ!」と親指を立てグットサインをだした。
第五章 元最強の意地と集結!魔王軍幹部 ー完ー