クラス最強となった俺が二度目の転生をして、平凡(?)な学園生活を送る俺物語 作:渡月 夢幻
〜第八章 アリスの正体〜
最初に火花を散らしたのはメーティスのところだった。メーティスの相手をした10人はまず、5人に先陣を切らせてメーティスの能力を図ろうとした。だが、その5人はメーティスの「聖雷砲《ライジングノヴァ》」の一言で一瞬で消し炭になり、黒い煙が立ち込める。そして、メーティスは、「他愛もない。」と視線を残りの5人に向け冷酷な態度をとった。
「ばっ、バケモノかよ?!……聞いてた話と違うじゃねぇか!」
メーティスを相手にしていた奴の1人がそう呟く。そのつぶやきを聞いた他の奴らも動揺し剣先を震わせながらメーティスに構えた。
「私に剣を向けたことを後悔しながら死になさい。もちろん、私の慈悲として一撃で楽にしてあげる……冥府の始まり《タルタロス》」
メーティスは冥府の始まり《タルタロス》を発動させると襲撃してきた5人の敵の周りを闇属性の壁が囲い、その一部に禍々しいオーラを放つ門が出現した。そしてメーティスが自身の右手を軽く握ると、禍々しいオーラを放つ門が開き5人はその中に吸収された。まるで吸引力の強い掃除機に吸われる埃のように。全員を吸い込んだ門は役目を終えて徐々に消えていった。それを最後まで見届けたメーティスはやりきった感をだし、「ふぅ、一丁上がり!」と高々と言った。俺は残りの襲撃者と戦闘を繰り広げる中でメーティスが冥府の始まり《タルタロス》発動時に放った台詞に、どっちが悪役だよと心の中でツッコんだ。しかも、敵相手に闇属性の最凶魔法、冥府の始まり《タルタロス》を使うなんて……。
「スキあり!」
俺が頭の中でそんなことを考えていると敵は俺との間合いを詰めてきて右ストレートを繰り出す。そして俺の左頬にヒットした。だが、俺は吹っ飛ぶことも無く傷を負うこともなかった。なぜなら俺は戦闘開始時に相手のレベルを鑑定していた。その時に見えたレベルは高くてもせいぜいレベル100だった。俺とメーティスのレベルは1000。ルシは1200年前より力をつけて今はレベル997に到達していた。まぁ、つまりレベル差が約10倍なので奴らの攻撃はほぼ意味をなさなかった。
「ん?蚊に刺されたのか?」
俺は平然としながら右ストレートを繰り出したやつに聞いた。すると、そいつは俺の左頬から手を離し冷や汗をかき始めた。やがて、後退りしメーティスにやられた敵と同じように「ばっ、バケモノ!」と叫び怯えだした。
「歯ごたえのない奴らだ……。」
俺はそう呟き、戦意喪失した奴らを捕縛して尋問を開始した。
一方、ルシが相手をしているリーダーらしき人物は俺たちが戦った奴らよりも歯ごたえはあった。だがそこまでルシを満足させられるような相手では無かった。ルシはそいつの攻撃をのらりくらりとかわし初級魔法だけで相手をした。これはいわゆる舐めプという奴だ。
「くそっ、くそっ!攻撃が当たらねぇ…くそっ!」
リーダーらしき人物は1人嘆きながら魔力をどんどんどんどん浪費する。
「そんな、魔法じゃいつまで経っても当たらないよ〜ほら、本気出さないとね。」
ルシはそう言って相手を煽る。もちろん奴の攻撃をかわしながら。そして5分も経つと奴は体内に存在する魔力を使い果たしヘトヘトになっていた。
「あれ?もう終わり……つまんないなぁ」
再びルシが煽ると「うるせぇ!黙ってろ!クソビッチがぁぁぁあ!」となりふり構わずルシに暴言を吐いた。そして左腰に装備していた剣を抜いて「うぉぉぉぉお!」という声と共に突撃してきた。だがこの時、奴はルシを怒らせてしまった。もちろん俺とメーティスはそれに気づいていたので自分の周囲に結構頑丈な結界を張った。そう奴は触れてはならない禁忌に触れてしまったからである。ルシに向かって「クソビッチ」または「おっぱい女」と言ってしまうと殺される。そう、その言葉を言って生きていたものは誰もいない……。
「誰が……誰がクソビッチだって?」
ルシは怒りを顕にし突撃してきた奴に向かって火属性の最上位魔法、爆裂魔法《エクスプロージョン》を繰り出した。しかも4回も……。そして、ルシの自室と言っても過言では無いこの部屋は一瞬で亡き物となった。ルシが怒りの感情を収め、冷静さをとり戻した時にはもう既に遅かった。
「私の部屋がぁぁぁあ!」
ルシは嘆き悲しんだ。これを自分でやらかしてしまったことを知らずに……。怒りで我を忘れていたことは伏せとおこうと俺とメーティスは心に決めた。そして俺は話を元に戻すため「なぁ、ルシ。奴らがここに奇襲してきた理由聞くのが優先じゃね?」と質問すると、ルシは涙を拭い「確かにそうだね。」と頷いた。俺は俺が捕らえた奴らの1人の胸ぐらを掴み少し強引に
「おい、俺たちを襲撃した理由はなんだ?」
と聞くとそいつは少しの間沈黙した。なかなか埒が明かないので「おい!」と少し強めに脅すと、そいつが左手に身につけていた腕時計が「ピピピッ、ピピピッ」と音を立て始めた。すると奴らはいきなり笑いだし始めた。俺たちは何が起こっているかよく分からず、もう一度問いつめた。すると、
「いやぁ、もう計画は終了したよ。だから、全てを話そう。俺たちがお前たちに襲撃を仕掛けた目的はアリス・グラジオを誘拐する為だよ!」
俺はその発言を聞いて言葉を失った。目的は俺の正体を探ることかルシが持っている秘密文書か何かを盗み出すことだと予想していたが、全くもって予想外の答えで自分の推測力に恥を感じた。
「俺たちのボスが今頃アジトにアリスを連れていったはずだ!」
奴らは再び笑いだした。俺は自分自身の怒りを抑え、この部屋のドアを思い切り開け、体育館の方へ走っていった。その行動を目にしたメーティスとルシは俺の後をすかさず追いかけた。
「アリス!アリス!返事をしてくれ!」
俺は体育館までの道のりを大声で叫びながら探した。突き当たりに差し掛かり角を左に曲がるとそこには、グロテスクな光景が広がっていた。アリスを体育館へ案内するためにつけておいた職員2人がとても惨い姿で倒れていた。1人の職員は四肢を綺麗に切断されて両脚は天井に両腕は左右の壁にめり込んでいて、床には胴体と頭が職員が流した血の海の中に放り出されていた。もう1人はあるゆる関節という関節が可動域の限界を超えて折り曲げられて首は180°回転された状態で床に埋め込まれていた。そこへ俺の後を追いかけてきたメーティスとルシが合流しこの光景を目にした。2人とも言葉を失いただその場に立ちつくすだけだった。俺はふと、
「なぁ、メーティス。蘇生魔法は使えるか?……」
とダメ元で聞いた。しかしメーティスは黙って首を横に振った。蘇生魔法は蘇生する対象が死後10分以内であれば使用可能の魔法だ。だが、この2人の職員はもう既に死後10分以上が経過していた。
「くそっ……」
この一言が静かな廊下を響き渡らせ、辺りの寒気と絶望に飲み込まれて行った。
カラン、コロン、カラン、コロン……地下下水道に再びこの音が響き渡る。
「えぇっと、この壁の開け方はどうやりはるんでしたっけな……」
先に集合場所に到着した颪はあの部屋へ通じる壁の前で立ち往生していた。
「全く、アルゾラはんはいっつも私より来るのが遅いんどすから。」
すると、新しく配属された3人の下僕が颪の元へとやって来た。彼らは颪のことを見るとすぐに跪き、
「ご苦労様です、颪様。」
とひれ伏す。
「なぁ、あんた達はここに来る途中、アルゾラはんを見なかったどすか?」
「いっ、いえ。我々がここに来るまでにはお見かけしておりません。」
「そうですか……じゃああんた達は、はよ自分の持ち場に戻りなさい。」
「はっ、はい!承知致しました。」
3人はそう言って自分たちの持ち場へと駆けて行った。彼らが颪の視界から消え去ってから20秒後ガタガタと言う大きな地震のような音が響くと先程の3人の「うわぁぁぁぁあ!」という悲鳴が聞こえた。それを聞いた颪は、
「ようやく着きましたか……」
と呟き、音のする方をじっと眺めた。カッ、カッ、カッ……聞き覚えのある音が颪の元に接近する。
「待たせて〜悪かったな、颪。」
その低めの声とともに闇から姿を現したのはアルゾラだった。アルゾラはアリスを肩に抱えて疲れた表情を見せた。
「アルゾラはん、来るの遅すぎませんか?」
「おう、だから〜謝ったろ〜。ちょっと〜一服させろや。」
「タバコをお吸いになるのはええけど、せめてこの壁を開けてからにしてくれまへんか?」
「ちっ…わぁったよ。パージ」
少し苛立ちながらアルゾラは壁の封印を解いた。
「ほな、この娘を連れて先に行ってはりますね。」
そう言って颪はあの部屋へと通じる道を通って行った。タバコを吸って疲れを癒しているアルゾラは、ふと考えた。「あの娘には〜あの方を〜復活させるための〜力が備わっているのか。そういえば〜あの方って〜誰なんだ〜?」と……
道の終着地にはあの時と同じ景色が広がっていた。
「作戦は終了したのですね、颪。」
「はい、私とアルゾラはんでスムーズにこなしました。適当に放った我々の下僕は今頃ルシに殺されておるか尋問を受けとるでしょうね。しかし……様。何故足止めはルシだけだったんでしょうか。XodiacKの天蠍宮と天秤宮もあの会場に控えておったと思うのに……。」
「なるほど、確かに颪の言う疑問は誰しもが1度は考えたでしょう。ではお教え致しますね。何故私がXodiacKの天蠍宮と天秤宮を足止めするように言わなかったか…それはですね、あの方々がルシを信用しきっているからです。」
「ほぉ……」
少し納得しない様子で颪は頷いた。
「あの会場にいたXodiacKは当然、ルシへの襲撃は知っていたでしょう。ですが、ルシにとっては取るに足らない相手だと言うことは分かっていたですし、何よりあの場にはかつての英雄シャトウと思われる人物が同席していたからです。だから、奴らは安心していました。もちろん、あなたとアルゾラには私の力で気配を完全に消し去りましたからね……。全ては神の思し召しなのです。」
……様と言う方は両手を大きく広げて颪に熱弁した。それを聞いていた颪は
「我が神は〜道《未知》の終焉〜知られたり〜」
と感情の高ぶりで思わず一句歌った。
「今回は〜82点だな〜。」
と颪の句を評価しアルゾラがカッ、カッ、カッと音を立てて入ってきた。
「はぁ……アルゾラはん、やっと一服終わりはったんですか?」
と颪が肩を落とし、ため息を少しついて言った。それを受けてアルゾラは「悪かったな〜。」と両手を胸元で合掌させて謝った。
「アルゾラさん、例の人物は連れてきたんですか?」
二人の間を割って……様がアルゾラに質問する。
「あぁ〜もちろん連れてきた〜。コイツだろ〜?」
アルゾラは一旦部屋を出て気絶した状態のアリスを連れてきた。そして、……様はアリスの上着を脱がせ上裸にさせた。
「……様〜。いきなり〜上裸にしてどうするんですか〜?」
咄嗟にアルゾラは聞くが、彼女は無視して窓側に備えていた魔法陣の元にアリスを引きづり連れていった。そして、アリスを魔法陣の中央にセットすると……様はアルゾラに「まぁ、見ててください。」と一言呟くと、……様は魔法陣の左、約1mの所に置かれていたテーブルに向かいそこに備え付けられていた果物ナイフを取って自身の右人差し指を軽く切った。そこからは鮮やかな赤い血が姿を見せた。だが、……様は切った痛みを感じる様子もなくただ無心で魔法陣の元へと向かった。そして、魔法陣の端に自身の血を使って「了£₰”〆ヾ[]▬△€○θγ」と書くと、……様は深呼吸して、
「我らが主人を冥界より解放すべく為、汝の身体を贄とし復活の導きを現したまえ。漆黒を司る烏よ、この贄に紋章を授けたまえ。」
呪文を唱え終えると、……様はその場に意識を失うかのように倒れた。その様子を見ていた颪とアルゾラは急ぎ……様の元へ駆け寄った。
「……様!大丈夫ですか?!アルゾラはん、急いで魔力回復のポーションを!」
「もう持ってきてるぞ〜ほら。」
アルゾラはポーションを颪に軽く投げ渡す。それを受け取った颪は……様の口元にゆっくりと注いだ。すると、……様の体は一瞬紫色に光り、魔力を全回復させて目を覚ました。
「アルゾラさん、颪さん助けて頂きありがとうございます。」
……様は深くお礼をした。2人は「そこまで謝んなくていいよ」と軽く照れて、少しむず痒くなっていた。
「んで〜……様。この娘に〜何をしたんですか〜?しかも〜我らが主の復活が〜行えていないじゃないですか〜?」
不思議に思ったアルゾラは意識を取り戻したばかりの……様に聞く。……様は少し息を荒くしながら「順を追って説明致しますね。とりあえず、向こうの椅子におすわりください。」と案内し、自分もそこへと向かった。
「では、説明致しますね。先ほど魔方陣内に置いた生贄は我らが主を復活させるための鍵です。」
「鍵?」
颪とアルゾラは声を揃えて首を傾げた。
「はい、まず我々の最初の目的としてあの方の復活がありますよね。あの方を復活させるためには黒烏御三家と呼ばれる三家の女が必要となります。その三家は、クロックカス家、レイブン家、グラジオ家です。そして今回連れてきたのはグラジオ家のご令嬢です。この女はあの方を復活させるための魔力量を保有していますので贄はこの女1人で十分という訳です。仮に他のクロッカス家、レイブン家からも1人ずつ連れ去ると我々の作戦を危険にする可能性が高くなるのです。だから、今回はグラジオ家のみ攫ってもらったという訳です。」
颪とアルゾラは「なるほどな。」と頷く。
「そういえば、俺ら〜五帝の内……様しか知らないあの方とは誰なんだ?復活させるなら俺達も〜知って置きたいぜ〜。」
「そうですね、あなた方にもそろそろお告げしないとですね。我々が復活されるあの方はですね約1200年前に生きていたあの……」
と話を続けようとすると、いきなりアルゾラと颪と……様が潜伏する部屋のドアが「ガチャッ」と音を立てた。急ぎ全員が警戒態勢に入りドアの近くで待機すると、
「お前ら調子はどうだ?」
とドアの前にあった気配は後ろにあり、3人に声をかけた。その声は少し渋く頂点に立つ者としての威厳がある声だった。3人は警戒を解き、
「もう、毎回気配を変えないでくださいよ、我らが主、クレバー・デリトール様。」
「悪ぃな、……。まぁこれも俺の身を隠すための手段だ。いつも同じ気配を漂わせてると、すぅ〜ぐルシの野郎に見つかっちまうからな。」
と微笑しながら……の問いに答える。
「なるほど、承知致しましたわ。クレバー様。あと、鍵の回収は済みました。そろそろ次の段階に移してもいい頃ではないでしょうか?」
……がクレバーという主に進言する。すると、彼はうなづいて、
「お前ら、これより作戦を次の段階に移す。ルシ、俺をXodiacKから追放した罪は重いぞ?」
クレバーは口元をニヤリとさせて呟いた。
第八章 アリスの正体 ー完ー
ご愛読ありがとうございます。
途中まで「……様は」と書いていて最後の方は「……は」に変わっています。これは誤字ではなく身分差を表すためです。クレバー様に……様は言った。にすると少し身分がややこしくなるかなと思ったので途中で書き方を改めました。そこの所を踏まえて読んでいただくとありがたいです。
(↑ホントはまえがきに書いた方がいいのかな?)
もし、上記の文を前書きにして欲しいという意見があれば前書きに書き直します。語彙力が足りないのは許してください!