女神様の御心のままに   作:テポドン

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 はじめまして。

 初作品なもので至らない点が多々あるかと存じますが、精一杯制作して参りたいと思っている所存でございます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 


第一章 アストレア・レコード
1話


 

 

 

 一柱の女神が地上に降り立った。

 かの女神は正義と秩序の女神と言われ、胡桃色の長い髪を持ち、慈悲深くそして心優しい。

 

 その女神が降り立ったこの地、世界的に見ても最も有名、活気のある都市と言っても過言ではないだろう。

 都市名はオラリオ。

 この都市の中心部には、ダンジョンと呼ばれている地下迷宮がある。内部構造は様々、何層からなっているのかすら不明。

 未だにその全容は解明されておらず、わかることは攻撃性を持つモンスターが多数出没する死と隣り合わせの非常に危険な地下施設である。

 

 にも拘らず、冒険者と呼ばれる者たちが毎日のように殺到する。あるものは富を得るた為に、あるものは名声を得る為に、各々が神の名を冠した“ファミリア”に属してダンジョンへ潜る。

 

 斯様(かよう)な地に降り立った女神。名をアストレア。

 かの女神の名を冠したファミリアは正義の眷族と呼ばれ、オラリオの民からは敬畏(けいい)を、同業者たちからは畏怖(いふ)を抱かれている。

 これは女神アストレアが初めて眷族にした元少年とその仲間たちの眷族の物語(ファミリア・ミィス)である。

 


 

~~某日 アストレアファミリア拠点~~

 

「アストレア様!」

 

「あら、大声を出してどうしたの?テオ」

 彼の名前はテオ。姓はなく今年で18歳になる子で[最強の眷族(ゼウス・ファミリア)]、[最恐の眷族(ヘラ・ファミリア)]が隻眼の黒竜に敗北し、かつて栄華を欲しいままにしていた二大ファミリアが消滅。それによって都市最強格にまで繰り上がった青年。そのレベルは”6“。[フレイヤ・ファミリア]の猛者(おうじゃ)と同等。そしてアストレア・ファミリア唯一の男性である。

 

「御身だけでどこに向かわれるのですか?」

 

「孤児院に行ってからお茶会に行くだけよ?」

 

「私も同行致します。御身だけで外出などとても認められません!」

 この子はとても過保護なのだ。ひとりで拠点の外に出ようとするとどこからともなく現れて「同行します」と言ってくる。

 

「また団長のアストレア様が何故かこの身の近くにいないと何か駄目だ病が始まったよ」

「通称アナコンダ病ね」「男の嫉妬って嫌だわー」「あれが団長だなんて…ハァ、情けない」「団長、お静かに願います」「ガネーシャ様と同じぐらいの声量だねー」

 私の子どもたちとその友人がテオに意見したわね。眷族(かぞく)たちが仲が良いのは良いことだわ。

 

「アリーゼ!輝夜!ライラ!ネーゼ!聞こえてるからな!?何でそんな落ち着いていやがる!?それとリューごめん。もう少し待ってて。アーディはいらっしゃい。いつもお疲れ様です。」

 それはそうと!と続けて

 

「アストレア様。今はゼウス・ファミリア、ヘラ・ファミリアがいなくなって闇派閥(イヴィルス)の蛆どもが活気づいております。御身だけでは危険が過ぎます!せめて、私ではなくてもアリーゼたちの内誰かを同行させて下さいませ!」と懇願してくる。

 

 私のことを大切に思ってくれるのはとても嬉しいことだわ。けど、人のことを蛆と呼ぶのはいけないことだわ。悪い子ね。

 

「テオ駄目よ。人のことを蛆だなんて言うような悪い子に育てた覚えはありません。」

 

「………」

 

「ごめんなさいも出来ない子になってしまったのね?残念ね。お義母さんがっかりしちゃったわ。」

 

「…申し訳ございません。以後言葉遣いには気を付けます。」

 

 床に膝をついて両手を額につけ頭を下げた。声音からも覇気がなくなりしっかり反省している様子が伺えるわね。

 

「しっかり謝ることが出来て良い子ね。それではテオ、皆行ってくるわね。」

 テオの頭に手を置いてひと撫でし、アリーゼたちに外出をすることを改めて伝える。

 

「「「「「「行ってらっしゃいませ!」」」」」」

 

「何故お一人で行くような感じになっているのですかぁぁ!?着いていきますぅぅ!!」

 

 

~~孤児院道中~~

 

「ねぇテオ。街の人々の表情とても暗いわね。」

 呼び掛けに対してはいと一言。暗黒期に入ったばかりの頃よりは幾ばくか活気が戻って来てはいるが、やはり二大ファミリアが台頭していた神時代とは比べ物にならないほど暗い。

 

「活気ある笑顔の絶えないオラリオを取り戻しましょうね?」

 笑顔を向けると彼は、必ずや御身の為に取り戻してご覧にいれますと力強く宣言してくれた。

 

 孤児院到着後は、孤児院の子たちとテオに力を貸してもらいながら商店街での手伝いをし、スープを作って回った。

 

 その結果フレイヤとロキに誘われていたお茶会に遅刻して、ロキにお小言を頂く事になってしまいそれを聞いたテオが悪神滅ぼす!と怒気を(あらわ)にしたが、駄目よと言ったら、素直に引き下がってくれた。

 

 お茶会では終始オラリオの現状、闇派閥(イヴィルス)の動向、目的の話しがメインだった。その間テオは周囲の警戒をしていた。あの子はいつ休んでいるのかしら?

 

 お茶会も終わり私たちの拠点の[星屑の庭]への帰路についた。

 夕食中テオが何か嫌な予感がするから今夜警らしてきますと伝えられた。

 

 

~~テオside~~

 

 不安だ。アストレア様に警らする旨お伝えして出ては来たがあの方から離れるのは不安だ。あの方は美の化身だ。正義と秩序の体現者だ。あの方のご尊顔を拝見するためにバカをする冒険者や男神(おがみ)がいないとも限らない。

 

 どこぞの猪が奉り上げている欲しいものの為なら何でもしそうな女神の事を美の女神とか言ってるがどこが美しいんだ?

 どいつもこいつも見る目が無い。結局一番美しいのはアストレア様だ。

 

 と、警らそっちのけで物思いに(ふけ)っていたらガネーシャ・ファミリアがぞろぞろと教会に入っていくではないか。シャクティさんとアーディまでいるではないか。

 

 少し離れているが舐めないでいただきたい。レベル6アイは見逃さない。

 団員を何十人も連れて団長自ら小ぢんまりとした教会に乗り込むとはなんと大仰なのだと嘆息した。

 

 次の瞬間、食らったことのある忘れたくても忘れられない魔力を教会から感じた。

 直後フードを被った人が出てきた為、全速力で追走したが振り切られてしまった。

 

 ただこれで殆ど確定だろう。あの人は[最恐の眷族(ヘラ・ファミリア)]幹部の[静寂]のアルフィアさんだ。

 海の覇王(リヴァイアサン)にトドメを刺した逸話を持つ圧倒的な魔法を放ち、接近戦では第一級冒険者をも圧倒する能力があったあのアルフィアさんだ。

 魔法の詠唱を止めようと接近戦に持ち込んでもあの人、平行詠唱するから手に負えない。

 

 

 ………けど、それでもオラリオ最強とは言われていなかった。レベル7よりも更に上の人たちがいたからというのもあるが、前時代では止められる人がいた筈だ。それこそ同レベル、それより下の自分と同じレベル(レベル6)にもいたかもしれない。

 

 そう思うと情けない気持ちになってきた。自身でそう思う分にはこの程度の感情で済むが、あの先輩方に情けない等と思われたり、いや思われるだけなら良い。頭の中なんてわかるわけがないのだから。

 

 ただ面と向かって口で伝えられたのなら話が変わる。

 

 こういうことを考えてると自分も冒険しなければならないと思う。迷宮の孤王(モンスターレックス)でもソロで倒しに行くべきだろうか。

 

「やるしかないか。」

 一言だけ漏らし帰路につくため一歩踏み出した。

 それはそうとアストレア様は頭のてっぺんから爪先まで美しい。

 

 

~~翌朝~~

 

「テオおはよう」「団長おはようござまーす!」「「団長おはようございます」」

 

 アストレア様からご挨拶をいただき、アリーゼを始めとした団員の元気っ娘たちからも挨拶をされた。内は女所帯だ。男は自分ひとりしかいない。何て素晴らしい、心より素晴らしいと感じる。諸事情により俺は地上で眠ることはないが、挨拶は大切だ。深呼吸をして一言。

 

「おはようございます!!!」

 

 返事をした。輝夜とライラからうるさ…と聞こえたが気にしない。リューが冷めた目でこっちを睨んでいる。まだ眠いのであろう。

 

 食事を終えて、今日の予定を確認する。

 [本日は灼熱(バーニング)炊き出し!!]

 要は炊き出しを行うのだろうが頭に灼熱(バーニング)を付ける必要はあったのだろうかと考えたが、まあないだろう。

 とりあえず市場へ向かおう。

 

「アストレア様行って参ります。非常に心苦しいですが!」「「「アストレア様行って来まーす!」」」

 アリーゼたちが続く。

 

「ふふ、行ってらっしゃい。皆気をつけてね。」

 アストレア様は今日も美しい

 

「さあ━━炊き出しよ!!」

 何かアリーゼが偉そうにふんぞり返っている。

 

「さて、それじゃあ役割分担をしようか。」

 

「輝夜、ライラ、ネーゼは調理に回ってくれ。アリーゼ、リュー、俺は分配だ。では散開。」

 

「まっかせて団長!リオンは私と行きましょう?ひもじい思いをしている人たちをみんな可愛いブタさんに変えてあげるわ!」とアリーゼが快活にアホみたいなことを言う。

 

「[ファミリア]に苦情が殺到するので止めてください……」とリューが呆れながら返答する。

 

 

「俺は俺で人手が足りないところのカバーに入りつつ炊き出しの分配をしてくる。一応周囲の警戒は怠るなよ?闇派閥(イヴィルス)のドブネズミどもは活気があるところを好んで狙う陰険どもだからな。」

 

「まっかせて団長!周囲を警戒しつつひもじい思いをしている人たちをみんな可愛いブタさムー…「アリーゼ、それ以上はいけない。」

 

 リューに止められた。

 

 

 アリーゼたちと別れてから少しして、歩いていると市場の方から殺気を感じた。こんな日が出てる内から殺るつもりかよと嘆息しつつも急ぎ殺気の出所まで駆け出した。

 

 どうにか死者が出る前に間に合ったが、相手はまさかの殺帝(アラクニア)ことヴァレッタ・グレーデ。ギルドのブラックリスト筆頭のシリアルキラーだ。

 

「おいおばさん。こんな日が高い内から何やろうとしてんだ?自分より弱そうなやつしか辺りにいないから粋がったか?小物もつけ上がると人様の迷惑ってのを考えないから始末が悪いな?」とりあえず煽った。

 

「なっ!?お前は!?」

 驚愕の表情を見せるが流石長いこと捕まることなく悪事を働いていただけあって直ぐ様逃走しようとしてきた。

 

「逃がすはずがないだろう?」

 

「[消滅(エリミネーション)]」

 

 と、一言。魔法を発動する。

 次の瞬間、彼女の右脚が消えた。

 

「え?あ…あたしの脚がぁぁぁぁ!!?」

 踏み出した筈の脚が突然なくなり地面に倒れ伏す。

 

「[静寂]アルフィアさんの[福音(ゴスペル)]には初動では負けるが中々だろう?同レベル(レベル6)やその上の怪物たちにはこんな芸当は出来ないが、それ以外にはその限りではないんだよ。」

 

「アストレア様には人に向けて使用しないよう厳命されているんだが今回ばかりは仕方がない。何はともあれ、二大ファミリアが消滅して活気付いてるみたいだが一つ言えることはだな…」 

 

「あまりオラリオ(俺たち)を舐めるなよな闇派閥(イヴィルス)?」

 

「とりあえずお前が武器を二度と振るえないように両手も消しとか。」

 

「ちょ…ちょっと!ま…待っておくれよ!?」

 待つよう声を荒げる。

「もう二度と悪事には手を染めない!人を殺めることもしない!あんたの主神様に誓うよ!」

 

「……アストレア様に誓う?」

 

「そうさ!だから許しておくれよ!?」

 

「悪人風情があの方の名を騙るな。」

 レベル6の膂力で首を握り、少しずつ力を込めていく。彼女から恐怖からなのか苦痛からなのか、声にならない声とカチカチと歯がぶつかり合う音だけがする。

 

 殺めてはいけない。わかってはいるのだが怒りからか手が止まらない。

 

「ちょいちょいちょーい!団長待ってーー!」

 あと少しというところでアリーゼが到着、遅れてリューがやって来て止められる。

 

「ひとまずテオよ、落ち着くのじゃ。其奴からは聞かなければならないことが山ほどある。」

 アリーゼたち一緒に来たのであろうロキファミリアの幹部ガレスに止まるよう促される。

 

「ガレスさん…すみません。そうですよね、捕らえて情報を吐かせないといけませんもんね。」

 落ち着くよう自分に何度も言い聞かせる。徐々に力を抜いていき、ヴァレッタを地面に下ろし咳き込む彼女の手をアリーゼが拘束する。

 

「改めて、申し訳ありません。自制すらままならないだなんて情けない限りです。数少ない幹部クラスを棒に振るところでした。

 アリーゼとリューもごめん。みっともないところを見せた。団長失格だな」

 頭を下げる。止められなければあのままやってしまっていただろう。

 

「団長のみっともない姿なんてアストレア様とのやりとりで毎日も見てるから今さらですよー?そんなことでウジウジしてるなんてさては灼熱(バーニング)が足りてないんじゃないんですか!?」

 

 朗らかに言われた。だから灼熱(バーニング)とは何だ?

 リューもそうですよ団長。アリーゼの言う通りですと、続く。

 

 「フハハハハ、相変わらず良いファミリアじゃのう。さて、ガネーシャファミリアが来るまでに逃げ遅れた残党の捕縛と怪我人の治療に当たらねばならんのう。ここはお主らに任せても良いか?」

 

「もちろんよおじさま!」

 おま、ガレスさんをおじさまだなんて友達か?少々困惑しているとリューに袖を引かれわかりますと言わんばかりに頷かれた。

 

 ~~その日の夜拠点にて~~

「アストレア様、入室してもよろしいでしょうか?」

 三回ドアをノックし許可を取る。

 

「ええ、どうぞ。」

 

「失礼致します。」

「夜遅くに申し訳ございません。お耳に入っていらっしゃるかと思われますが、改めて私の方からご報告とお願いがございましてお伺いさせていただきました。」

 報告というのは日中市場で起きた騒動のことだ。今オラリオでは毎日のようにあちこちで騒動が起きている。原因は云わずもがな闇派閥(イヴィルス)関係だ。

 

 いつもの報告なのだが、今回は訳が違う。確実に幹部クラスであろうヴァレッタ・グレーデを捕らえたからだ。ただ、捕らえるまでの過程がよろしくなかった。

 

 理由はただひとつ。

 俺はアストレア様の命令を破った。約束を違えてしまったからだ。あの時は逃がすわけにもいかないし、相手は殺人犯だから構わないだろうと軽い気持ちで放ったが、時間が経過するにつれて自己嫌悪の念に駆られ始め、懺悔しなければ心が破裂してしまいそうになってしまった。

 

 しかし懺悔したからといって怒られないとは限られない。人間誰しも怒られたくはない。特に自身が10にも満たない小僧の頃からお世話になっている、母同然で大恩ある御方が相手となっては尚更だろう。

 

 俺には怒らせたくない相手が十数名いる。まずは今目の前にいらっしゃるこの御方、神アストレア様だ。次いで、副団長アリーゼを始めとした[アストレアファミリア]のみんな。最後にヘラ。

 

 ほぼ身内だ。

 兎も角怒らせたくない。怒られたくない。だから緊張するし、先延ばしにしてなあなあにすれば時間と言うものが勝手に有耶無耶にしてくれるのでは?とか考えていつもならすんなり出来る報告が出来ず、結果報告が遅くなる。

 

「テオどうしたの?それで報告とお願いというのは何かしら?」

 

「あっ…失礼致しました。」

 

「アストレア様、初めに謝罪をさせてくださいませ。」

 

「大変申し訳ございません。私はアストレア様の命に背きました。厳命いただいておりました魔法を人に向けて放ちました。如何様な罰もお受け致します。

 アストレア様のお許しさえいただければ私の二つ名を冠した魔法を自身にかけて命でも何でも没収致します。」

 

「必要ありません」

 ピシャリと断られた。そのまま続けて

 

「貴方があれを放たなければならない状況だったのでしょう?そうしなければ後に多くの命が失われてしまう。そう判断しての行動したのでしょう?仕方ないこと、とは言えないけれど謝罪なんて必要ないことよ?」

 

「…ありがとうございます。出過ぎた提案を致しました。

 それではこのままご報告に移らせていただきます。

 市場にて殺帝(アラクニア)ことヴァレッタ・グレーデと接触、逃亡を謀った為私の魔法でこれを阻止。ロキファミリアのガレスが合流し、逃げた部下を追走しましたが時間経過、私がヴァレッタに集中し過ぎていたこともあり捕らえるには至れませんでした。」

 

「続きまして市民及び市場の状態ですが、結果を申し上げますと、死者0、重傷者0、軽傷者30名。家屋の倒壊や損傷はありませんが、出店の木製棚の破損が何店かで見受けられました。」

 

 「申し上げました軽傷者ですが、ヴァレッタの部下たちが逃走時、市民を押し退けた際に転倒してできた怪我で、こちらはリュー・リオンの回復魔法にて治療。その後二大医療系ファミリア(ミアハ・ディアンケヒト)が現場に合流、リュー・リオンが大体の治療を済ませていましたが、念のために治療の対応をしていただきました。」

 

「以上がご報告となります。

 長々と申し訳ございません。何かご不明な点はございますでしょうか?」

 

「そうね…テオが捕らえたヴァレッタ・グレーデはどうしたのかしら?」

 

「はい。ガネーシャファミリアに引き渡しました。腐ってもレベル5。私の魔法で片脚が無いとはいえ手は無傷の為厳重に拘束し、荷台に乗せられた檻に入れられ惨めったらしく連行されました。いい気味です。」

 

「もう…テオの悪いところが出てるわよ?

 それで、報告は完了したとしてお願いと言うのは何かしら?昔のように一緒に寝て欲しいのかしら?」

 

「はい。是非お願い致します。毎日お願い致します。」 

 

「ふふふ。テオったら仕方のない子ね?昔っから甘えん坊で大きくなって強くなってもまだまだ子どもなのね?」

 口元を手で隠して笑っていらっしゃる。その所作すら美しい。

 

「ええ、私はいくつになろうともあなた様の子でございます。そしてあなた様を最も信仰する眷族でもございます。あなた様が正義を求めるのであれば正義を、秩序を求めるのであれば秩序を、破壊を求めるのであれば破壊を。私の[天秤]はあなた様の求める方にしか傾かない不出来な物でございます。」

 

「私のことを大切にしてくれるのは嬉しいことだけど、テオも自分のために行動しなさい?例えばそうね…恋愛とか!テオには気になる子とかいないの?オラリオには色々な子がいるじゃない?」

 俺にはアストレア様しか見えていない。うちファミリアの娘たちを蔑ろにするつもりは毛頭無いが、恋愛感情等は全くない。

 

「そうですね……確かにオラリオには見目麗しい女性が大勢いますね。正直目を引かれてしまうこともあります。」

 何故だろうアストレア様が少し、むっとしていらっしゃる。俺は何かしてしまったのだろうか?

 

「ですが…

 私にはアストレア様だけです。産まれてすぐ母の命を奪い、弟2人の命も才能も喰らい、父を狂わせた生まれながらの咎人。誰からも愛されることなく人々が化物を見るかの如く邪険する中、あなた様だけが幼き頃の私の手を取ってくださいました。愛と言うものを教えてくださいました」

 

「あの頃から私は決めているのです。私の愛は全てアストレア様のものだ。あなた様が要らないと仰られても私はあなた様だけを想い、想いを抱えたまま天に還ります。」

 我ながら重い。引くぐらい重い。これはドン引きされただろうこのまま天に還りたい。

 

「まあ、私のような咎人は天ではなく地獄に落ちると思われますが…」

 はははと、目を伏せて自嘲混じりの笑いを溢す。

 

「話が逸れてしまいましたがお願いと言…!?」

 伏せていた目をアストレア様の方に向けると頬に朱に染め、涙目のアストレア様のご尊顔が映った。

 

「あ、あ、アストレア様!?大変申し訳ございません。気持ち悪かったですよね!?自害致します!ここでは私の血で汚してしまいますので都市外にて首を落として参ります!!」

 脳が壊れる。

 

「そんなこと許さないわ!ずっと傍にいなさい。勝手に死ぬだなんて絶対に許さないわ!わかったわね?」

 首に腕を回され、ご尊顔を私の肩に寄せられた。

 

「は、はひぃ。」

 脳が壊れた。

 

 少しして、本来のお願いの話に戻った。

「アストレア様、予想ではございますがこの抗争、さらに激化していくと思われます。そして相手には私よりも更に上、埒外の怪物が2人います。」

 

「ひとりはアダマンタイトの壁を力業で抜ける戦士。もうひとりは教会にてガネーシャファミリアのシャクティさんを中心とした30名にもなるメンバーを手玉に取ることが出来る魔法を放てる魔法使い。

 都市内の者なのか外の者なのかはわかりませんが確実にいます。」

 嘘だ。2人いる内の片方は本当にわからないがもうひとりは自分の中では当りが付いている。だからこそ信じられない。故に言えない。昔鍛えてもらった恩もある。戦うしかないのであれば戦うし、無論勝たなければならない。その為にも……

 

「故に【ステイタス】を上げて少しでも対策をしなければなりません。私自身が過去の英傑達のようにレベル7の世界へ踏み込まねばなりません。

 ですので更新をお願いしたく存じます。」

 

「……わかったわ。すぐにでも始めましょう。そこのベッドに背中を出してうつ伏せになってちょうだい。」

 

「!?は、はひ。あ、あの、よろしいのでしょうか?椅子に座って背中を見せるだけでも……」

 アストレア様のベッドでうつ伏せになると、に、に、なほひががが…

 

「?どうしたのテオ?貴方のことだから更新してすぐダンジョンに潜って更に【ステイタス】の向上をさせるつもりなのでしょう?早く済ませてしまいましょう?」

 

「…はい。お願い致します。」

 

 テオ

 Lv.6

   力: A899→S902

  耐久: S999

  器用: S990→S993

  敏捷: S988→S990

  魔力: S999

 

《発展アビリティ》

  魔導:D

 耐異常:D

  槍士:D

  魔防:E

  治力:E

 

《魔法》

 [消滅(エリミネーション)]

 ・速攻魔法

 ・付加魔法(エンチャント)

 

 [星乙女の天秤(アストライア)]

 【生者の仇篝(あだかがり)、死者の怨嗟(えんさ)

 【堕落を憂い、豊穣(ほうじょう)を想う】

 【正義の威光、秩序の安寧、其が(くだ)るは女神の法】

 【我は執行者、(いづる)は天秤】

 【其の罪を以て此処に顕現(おろ)す】

 【告げる】

 

 [星幽界の一撃(アストラル・スマイト)]

 【親弟(あい)を滅する我が身の原罪】

 【失墜する平穏、虚無の大地、愚者の慟哭】

 【神の降誕、有翼(ゆうよく)への憧憬、星の慈悲、己の全てを賭して祈れ】

 【天賦(てんぷ)に愛されし恩寵者よ。星に殉ずる者と成り此処に示せ】

 【喰らい滅ぼせ。神愛(あい)に報いて万物を無に帰せ】

 【穿て、星幽界】

 

《スキル》

 正義親愛(ディア・アストレア)

 ・親愛(おもい)が続く限り全能力に超高補正

 ・親愛(おもい)の丈により効果向上

 ・親愛(おもい)が続く限り武装に不壊属性(デュランダル)付与

 

 星生異端(テオ・テス・カトル)

 任意発動

 ・対象に恒久的に生命吸収(エナジードレイン)発動

 ・対象に恒久的に魔力吸収(マジックドレイン)発動

 

 破邪一掃(フル・エリミネート)

 ・悪に準ずる者に対して全能力高補正

 

 

「【ステイタス】オールS…本当に立派になったわね。」

 お褒めの言葉をいただいた。大変嬉しいことだ。今日を祝日にしたいぐらいに。しかし…

 

「ありがとうございます。ですが、足りません。この抗争で相手取るのは私より更に上。真性の怪物たちです。こんなところで足踏み等していられません。」

 

「では、アストレア様。私はダンジョンに潜ってレベルアップの切っ掛けを掴みに行って参ります。

 本日はありがとうございました。お休みなさいませ。」

 

 退出時にあまり無茶をしては駄目よとお声をかけていただいた。はい、失礼します。と返事をし、退出してダンジョンへ向かった。

 

 

 




 
 文才が足りない身で見切り発車なんてするもんじゃないなと書いてて自己嫌悪の念に駆られております。
 
 読んでくださった皆様にはお手数おかけしてしまい心苦しいのですが、感想等いただけると幸いです。
 感想を参考にして文章作成に努めたいと考えております。

 ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
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