女神様の御心のままに   作:テポドン

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 二話遅れてしまい申し訳ありません。


 読んで下さった皆様。感想、評価をして下さった皆様。
 心よりお礼申し上げます。

 ありがとうございます!

 今後も頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 2022/08/22 没収した場合のデメリットを加筆致しました。


2話 闇派閥(イヴィルス)対策会議

 

~~ギルド内会議室にて~~

 

「各【ファミリア】代表、揃ったな。

 ではこれより、定例の闇派閥(イヴィルス)対策会議を始める」

 

 口火を切ったのはギルドの長ロイマン・マルディールさんである。本当にあの誇り高いエルフなのかと疑うほどでっぷりとしていると言うか、私欲にまみれてそうな外見をしている。

 

「その前に現状の体たらくはなんだ、お前たち!連日のように襲撃が絶えず、つい先日には人的被害は無かったものの日中に奴らに堂々と街を歩かせおって!」

 

「さっさと害虫を駆逐してえなら、闇派閥(イヴィルス)も追ってダンジョン攻略も進めろなんざ、間抜けな注文を押し付けて来るんじゃねぇ豚が。」

 

 この口の悪い黒猫くんがフレイヤファミリアの【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】ことアレン・フローメルくん。

 

 何かロイマンさんとアレンくんが言い合い始めた。ダンジョンに潜っていたせいもあって非常に疲れているし、目の前でガミガミ騒がれると段々鬱陶しくなってきたな。

 

 ふっと名案が浮かんだ。

 罪でっち上げて天秤で両者の声帯を没収しよう!

 思い付いてからの行動は早い。

 

【生者の仇篝(あだかがり)、死者の……】

 

 詠唱を開始して早々、アストレアファミリア以外の面々が後ろに飛び退いた。

 

「てめぇ!【星乙女の天秤(アストライア)】いきなり詠唱なんざ始めやがってどういう了見だ!?あぁ!?」

 あぁ…怒っていらっしゃるよ。全く仕方ない。

 

「会議が進まないですし、目の前で騒がれていい加減鬱陶しくなってきましたので。二人に対して放って黙らせようと思いましてね。」

 

 天秤の能力は俺たちアストレアファミリアの面々しか知らない。理由は単純、殺傷能力が高過ぎるためだ。この魔法の能力が口伝されると要らぬ不安を市民、冒険者に与えてしまう。

 

 特にレベル6になってからのこの魔法の能力は破格も破格だ。この魔法は片方に対象者の魂を乗せて、もう片方に対象者がこれ迄犯してきた罪を乗せていき、傾き具合で相手から没収するものを決めることが出来る。

 軽いもので髪の毛一本の没収。重いものでは当然命だ。 

 

 レベル5の頃までがこのような能力である。

 しかしレベル6になってからは一気におかしくなった。そう。罪をでっち上げられるようになってしまったのだ。

 

 アストレアファミリアの団長がこんな極悪な魔法を行使するだなんて許されるのだろうか?そう。許されるはずがない。

 

 人にしか効果がなく罪の意識なんて全くないモンスターには通用しない魔法だが、人に使ってはいけない魔法。需要なんかあるのだろうか。

 

 実はある。それも非常に有用な使い方がある。

 

 例えば病を患っている人。この天秤は対象者の物なら全てを没収できる。故に天秤の対象にかけて罪をでっち上げる。命を没収できるようになるまでだ。

 

 あとは対象者の病気を没収する。ただそれだけだ。どんな死病だろうとこいつは否応なしに持っていく。

 病を持っていかれた相手はもちろん完治。まさに医療要らずである。

 

 しかし、デメリットもある。

 体外にあるものを没収した場合、自身の目の前に出現する。では、体内にあるものを没収した場合は?

 

 そう。俺自身の体内に移動して来る。

 移動と同時に身体を侵してくる病を、【消滅】を付与魔法(エンチャント)して消して行く。

 今でこそ上手いこと消すことができるが、昔は何度も死にかけた。

 

 その度にアストレア様と団員たちに心配をかけてしまい己の不甲斐なさというものを悔やむ。それの繰り返しだった。

 

 ……何となく心の中で独白していると横にいるアリーゼに肩を捕まれた。……この子口の周りに菓子くず沢山付いてる。

 

「団長!いきなり魔法ぶっぱは正義に反する行いよ!!」

 

 おぉう…。顔にすごい飛んでくる。

 

「そうだよな?ごめんな?俺反省したよ。次からは警告してから詠唱するようにするからな。ほら、お口の周り菓子くず拭きましょうね?」

 

「はぁ……うちのトップ2名はアホしかおりませんねぇ……」

 

 輝夜に嘆かれてしまった。

 

「チッ!お前んとこの主神は一体どんな教育をしてやがるんだ……程度が知れるな。」

 

 ……あ?

 

「おい黒猫お前い…」 「悪かった。」

 言い終える前にオッタルがアレンの頭を掴みに無理矢理下げさせた。 

 

 先日反省したばかりなのにまたやってしまった。つくづく青いな。

「だが今回はお前も悪いぞ」

 

 オッタルの言う通りである。ぐうの音もでない。

 

「その通りだ。申し訳ない。会議に参加している各【ファミリア】代表の皆さんにも重ねて謝罪致します。申し訳ありません。」

 

 謝罪を済ませ、着席。無駄に高価そうなテーブルの上に肘を置き、顔の前で手を組んで一言。

 

「どうぞ、続けてください」

 

 …みんなの視線が冷たーい。

 

 

 …会議が再開されてから少したち闇派閥(イヴィルス)側にいるであろう強者の話になった。オッタルの予想も俺と同じでレベル6以上ががいるだろうというものだった。

 

「発言してもよろしいでしょうか?」

 

 ロキファミリア団長のフィンさんとアリーゼからどうぞと言われた。全くこの子ったらもう!両頰をこねくり回してやった。はっとして咳払いをひとつ入れて

 

「ここにいるメンバーには各【ファミリア】の主神及び幹部にしか伝えないということ約束して貰いたい。」

 

 皆一様に頷く。

 

「…ありがとうございます。結論から言います。敵側にいるであろう強者二人、見当がつきました。まあ内一人は推測の域を出ませんが…」

 

「それで、誰なんだい?」

とフィンさんから一言。

 

「勿体ぶった言い方をしてしまいすみません。

 その一人というのは元ヘラファミリア【静寂】アルフィアさんです。シャクティさんが教会内部でガネーシャファミリア総勢三十名を手玉に取ったという魔法使いですね」

 

「何だと!?」

 リヴェリアさんが、ばんっとテーブルを叩き声を荒げる。

 

「シャクティさんたちが潜入するところを丁度見かけまたのですが、俺が加わって邪魔するのも悪いなと思い踵を返したんですけど少しして、身に覚えの有る魔力を感知しましてすぐに戻ったら教会から出ていく人物がいたので全力で追走しました。」

 

 「しかし追い付くどころか振りきられてしまいましたよ。敏捷には自信があったんですけどね。」

 

「ケッ!のろまが……」

 そうやってすぐ悪態つくなよお前。とりあえず今は無視しよう。

 

「それでもう一人というのは元ゼウスファミリア【暴喰】ザルドさん。」

 

「何!?」

 お次はオッタルが、ズドンとテーブルを叩き驚愕。

 テーブル傾いてないか?

 

「こちらは推測でしかないから言う言わないは任せますが、下の者たちには絶対に言わないで下さい。

 それが原因で士気が低下しました。だなんて事になったら笑い話にもならない。

 なので皆さん約束守って下さいね?」

 

 忘れるところだった。すみませんと一言謝罪して注目を集める。親指を自身に向けて…

「アルフィアさんは俺一人にやらせてください。」

 

「「「「「「「何ぃぃぃぃ!!!!?」」」」」」」

 

 正気なのかと問われた。

 失礼な。正気だとも。

 

「冒険したくないですか?」

 ピシャリと言い放つ。

 

「全員に言えることですが、最強(ゼウス・ヘラ)がいなくなって自分達が最強になったと勘違いしていませんか?」

 

 「昔何度も挑んだからわかるんです。あの人たちは本当に強かった。今の俺たちじゃあ足元にも及ばない。だろう?オッタル?」

 

「……ああ。」

 

「今の俺たちを見たらあの怪物たちは呆れ果てると思うんですよ。悔しくないですか?闇派閥(イヴィルス)をあそこまで活気付かせて、守らなきゃならない市民も守れず、やらなきゃならないことも出来ず右往左往。あの人たちからしてみたら酷く滑稽に見えるでしょうね」

 

 何よりも、と洩らしてアリーゼと輝夜の肩を抱き、引き寄せる。輝夜からはひゃっ!という悲鳴が、アリーゼからはボリボリと咀嚼(そしゃく)音が聞こえる。

 

家族(こいつら)が大事にしてるもんを俺も守りたい。家族(こいつら)を笑顔を見ていたい。そのためなら多少無理な冒険ぐらい何てことない。」

 

「…という理想を口にしたはいいですけど、その理想を押し通すには結局力が必要なんですよ。」

 

 「そのためには冒険だ!故に!アルフィアさんは俺が貰いますね?

 それで?俺がアルフィアさんを貰うわけだけど、好敵手(オッタル)あんたはどうする?」

 

「愚問だ。ザルド(暴喰)は俺が貰う。」

 

「よし。まあ、相手がザルドさんとは限らんが………」

 

 

 ……会議もそろそろ終わりかな。嗚呼、早くアストレア様にお会いしたい。

 

 現在会議はフィンさんが中心となってヘルメスファミリアが発見した闇派閥(イヴィルス)の拠点を各【ファミリア】で分担して襲撃、制圧しようという話になっている。

 

 そして会議の結果、連合(アストレア・ガネーシャ)ファミリア、ロキファミリア、フレイヤファミリアで分担して拠点に襲撃を仕掛ける事が決定し、散会することとなった。

 

~~会議終了後~~

 

「アスフィさん少々お時間よろしいでしょうか?」

 

星乙女の天秤(アストライア)どうされたのですか?」

 

「実は折入ってお願いしたいことがあるです。」

 

 先ほどの会議で疲れたのだろうか?はい。と返事は貰ったものの目が荒んでいる。

 

「作戦当日までに拠点周辺の市民を都市外に避難させることは可能ですか?勿論、闇派閥(イヴィルス)の連中に悟られないよう極秘に。因みに範囲で言うと半径100M(メドル)位なんですが……」

 

「100ですか……因みにどういう意図があるのでしょうか?」

 当然の質問である。お願いしている身としてきっちり説明をしないと示しがつかない。

 

「まず一つは闇派閥(イヴィルス)どもがタダで拠点を制圧させるわけがない。出来る限り多くの冒険者を施設内に引き込んで、何かしらの方法を用いて施設を破壊。冒険者を瓦礫で押し潰す。襲撃する施設は全て地下が存在するため道理にかなうと思いませんか?」

 

「二つ目、万が一相手に神秘のアビリティ持ちがいたとして盗んだ撃鉄装置で何を作るかなって考えたときに会議でも話していましたけど、爆弾かなあと思いまして。

 それも只の爆弾ではなく、武装もしていない人間にくくりつけて保護したと思いきや……ドカン。」

 

「飽くまで可能性の話ですが、闇派閥(イヴィルス)の連中ならやりかねない。それに安全に上限は無いでしょう?」

 

「最後にですが、各ファミリアの最高火力。要は魔法を敵拠点に落とします。この後フィンさんたちにも相談をして納得いただけたらの話ですけどね。」

 

「ですが、俺たちが攻めるところには確実に落とします。そのためには避難してもらわないと、守らなければならない市民まで消し飛ばしてしまう。」

 

「なっ!?貴方は何を言っているのかわかってるのですか!?」

 まあ、レベル6やレベル5の魔法を市街に放つと言うのだから当然の反応であろう。

 

「わかっていて話しています。

 うちの【ファミリア】の娘たちは皆優しいんですよ。可能性の一つで話しましたが、武装していない闇派閥(イヴィルス)が助けを求めて寄ってきたらあの子達は助けてしまうかもしれない。

 そして爆発なんかされたら一溜りもない。最悪死んでしまう。」

 

「アスフィさん俺はね。そんなこと看過出来ないんですよ。

 俺の最も大切なものはアストレア様です。……あの方を”もの“だなんて不敬極まりないですが…

 次いで【ファミリア】の子たち、次がその友人たち。…まあ、言い出したらきりが無いですが、それらの心身が傷付くことなんて許さない。」

 

「そのためなら汚泥にまみれようが、罵詈雑言を浴びせられようが構わない。偽善者だろうが、殺人者だろうが何にでもなる。」

 

 これは絶対だ。己自身との約束だ。この抗争が始まって何年も経っているため、既に守れていないと言われたらそれまでだが、これ以上は認めない。

 

「…ヘルメス様に話を通してもよろしいでしょうか?

 許可が出れば出来る限りは尽くします。」

 

「はい。構いません。どうかよろしくお願い致します。」

 

 

 ……作戦実行二日前 夜

 

 【ロキファミリア】、【フレイヤファミリア】に魔法を放ち拠点地上部を破壊、その瓦礫で以て敵を押し潰すという作戦を提案したが両【ファミリア】から拒否されてしまった。

 

 理由は市街を破壊することは許容出来ないとのこと。各々がギルドから等級Sを戴いている【ファミリア】だ。第一優先は都市なのだろう。仕方ない。

 

 かく言う俺たちもSとはいかないが、等級Aを戴いている。俺が抜けるとBにまで落ちるが……

 

 だが、AだろうがSだろうが俺には関係ない。

 俺は必ず放つ。うちの【ファミリア】の子達も当日止めるよう言ってくるだろう。【ガネーシャファミリア】のシャクティさんにも止められるだろう。

 

 しかし関係ない。

 そうしなければ失ってはいけないものを失ってしまう。…ような気がする。

 

 俺たちが攻める拠点の闇派閥(イヴィルス)たちは全員命を落とすだろう。

 皆から戦闘の意思のない者たちもいたやも、と責められるかもしれない。失望されるかもしれない。蔑まれるかもしれない。

 

 それでも俺はやる。

 明確な殺意を持ってやってやろう。

 何一つ失わせない。俺が一方的に奴等から奪ってやろう。

 

 

 そうして時が経ち…

 

 『大抗争』まで、あと一日━━━

 

 





 一話より4000字ほど少ないです。

 ボリュームが少なくて申し訳ない限りでございます。

 三話目もこれから作成して、明日の夕方には投稿出来ればなと思っております。

 既になのですが、ここからオリジナル展開をどんどん入れて参ります。
 お目汚しにならないよう文章作成に励む所存でございます。

 最後ではございますが、読んで下さいました皆様。

 ありがとうございます。
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