世界の歌姫には旅をさせよ   作:ベロベロベ

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遂に!ランキング入りを果たしました!!
投稿時点で総合ランキング七位、二次創作ランキング四位です!ありがとうございます!!

いやー、ウタちゃん人気凄いですね!
これからも頑張っていきます!
よろしくね!!


ウタ、幼馴染みの船に突撃する

 

「あぶねぇな!こん中には大事な弁当が入ってんのに!」

 

被った麦わら帽子を抑え、青年はどこかズレた抗議の声をあげる。

しかし周囲の海賊、海兵はそこには驚かない。

パシフィスタのレーザーをいとも容易く回避してみせた身軽さと微塵の恐怖も見せない堂々とした態度にこそ、驚愕してみせる。

その場の人間が手に持った手配書に目を落とす。

そして見上げる彼の顔。

それらは全く同じだった。

 

「て、手配書と同じ顔······!てことはアイツが!麦わらのルフィだったんだ!!」

 

すっかり縮み上がる海賊に対し、海軍は更に身を引き締める。

彼らは元より本物のつもりで来ている。偶々偽物が子分を集めていただけ。

結果として捕らえるのだから何の問題もない。

 

「俺達の出航の邪魔すんな!」

「安心しろ、出航する必要はねぇよ!お前はここで捕らえる!やれ!!PX-5!」

 

PX-5の掌が膨大なエネルギーに満ちていく。

放たれるは一撃で有象無象を凪ぎ払ったレーザー。

しかしルフィは慌てる事なく、また派手に動く事もなく、ただ首を捻ってそれを避けた。

その攻撃は彼にとっては余りにも()()()()

 

「ギア2(セカンド)

 

右腕が一瞬ポンプのように膨らみ、次いで全身から蒸気が溢れだす。

ルフィは右掌を張り手の様に突きだし、PX-5の顔面に狙いを定める。

 

「ゴムゴムのぉ·······JET(ピストル)!!」

 

目にも止まらぬ勢いで繰り出された掌底は鉄で出来た人間兵器をたった一撃で容易く砕いてみせた。

 

「おめぇ、今"覇気"を······!」

「ルフィスゴい!」

 

かつて戦桃丸はルフィが率いる麦わらの一味を壊滅寸前にまで追い込んだ男だ。

あれから二年。彼は油断などしていなかった。奴らはきっと更なる成長を遂げていると想定していた。そこまでは正しかった。

しかし、ここまでとはさしもの彼も予想外。

だが呆けている暇などない。

すぐさま彼は次のパシフィスタを差し向けようとする。

しかし、そう上手く事は運ばない。

パシフィスタの背後から聞き覚えのある声が響いた。

 

「居たぞ!おいルフィ!」

「やっぱりここか!何でてめぇはいつもトラブルの渦中にいるんだよ!」

 

黒足のサンジ、そして海賊狩りのゾロ。彼らもまた麦わらの一味であり、二年で急成長を遂げた者達である。

故に立ちはだかるパシフィスタにも恐れはしない。

 

ゾロは両手に2本、口に咥えた1本、計3本の刀に武装色の覇気を纏わせ、刀身に黒く染め上げる。

サンジもまた右足に覇気、そして燃え上がる情熱の炎を載せる。

 

 

「「どけぇ!!!」」

 

そして繰り出す渾身の斬撃、蹴り。

サンジは首を、ゾロは胴体を。軍艦一隻分の費用を投じられて作成された兵器を各々、またしても容易く鎮圧してみせた。

 

「俺が斬った!」

「俺が首を圧し折ったんだよ!」

 

相も変わらず下らない事で喧嘩する二人を眺めているとルフィの胸中に懐かしさと感動が溢れかえる。

しかし彼は涙ではなく、笑って彼らを出迎えた。

 

「ゾロ!!サンジ!!久しぶりだなぁ~~!!」

「急ぐぞルフィ!皆船で待ってる」

「おいルフィ、お前は九番だぞ」

「黙れてめぇはどんだけ自慢してんだ!」

 

しかしルフィは一度振り向き立ち止まる。そして自らを鍛えてくれた師匠に向け、自らの夢を改めて宣誓した。

 

「海賊王に!俺はなる!!」

 

そして三人は船へ向かって突き進む。

それを黙って見過ごす海軍ではない。

彼らもまたルフィ達を追うため走り出す。

 

そしてそれはウタもまた同じだ。

 

「──────!!待ってよルフィ!」

 

島中に轟いたのではないかと錯覚する程のルフィの宣言。

それを皮切りに麦わらの一味、海軍、ウタが揃って走る。

しかし海軍は突如として足を止める。

 

地面に引かれた1本の線。

その先にいるのはルフィの師にして海賊王の右腕、"冥王"シルバーズ・レイリー。

その姿を捕らえた海軍は皆足を止めてしまう。

彼を知る者で、まとも挑もうとする者はよっぽどの実力者かただの愚か者だ。

しかし、その名を知らない者がこの場に一人。

 

「おじさん!邪魔!!」

「む?」

 

レイリーに向かって猛然と突き進むウタ。

彼女の左右に別れた紅白の髪、その赤色を見た彼は目を見開き·······そして笑う。

その深紅の髪はかつて己が船に乗っていた際の見習いの一人を思い起こさせた。

 

 

「·······ああ、すまない」

 

少女を通し、改めて足踏みしている海兵へと剣を向け、現役を退いた老兵とは思えぬ程巨大な覇気を身に纏って忠告する。

 

「この線は·······越えない事を進める·······!」

 

■■■

 

《ウタウタ♪強化(エネルジコ)!》

 

ウタが響かせた歌から発生した音符が彼女の全身に溶けていく。

これによりウタは常人離れした身体能力を一時的にその身に得た。

 

「ハァ···ハァ···!!」

 

しかし中々追い付けない。

目の前で圧倒的な力を見せた三人の小さい背中がとうに見えなくなっている。

能力の多用は禁物だ。

ウタウタの実は悪魔の実屈指の強力な力を持つが、体力の消耗が激しい。

全力疾走しているなら尚更だ。

ウタの体力は人並よりは多いとはいえ、あの三人と比べるべくもない。

 

「このままじゃ、置いてかれちゃう·······!」

 

それだけは何としても避けなければならない。

しかし彼女の足では難しいのが現状だ。強力(エネルジコ)を二重三重とかければ、先に体力が底をつくだろう。

 

(もっと速い物が欲しい·······!)

 

ここでふと一つ、目についた物があった。

シャボンに専用の装置を取り付けて進む乗り物のボンチャリ、その派生品であるボンボード。

タイヤの代わりにシャボンを使用する事で滑走するシャボンディ限定のスケートボードだ。

 

「·······あれだ!!」

 

ウタは目を閉じ、思い描く。

彼女の脳内にはスケートボードが浮かんでいる。

彼女は歌う。スケートボード出でよと願う。

歌は願いを込めるもの。歌は祈りをこめるもの。

そして歌い手とは、その願いを叶える者。

故にスケートボードが現れるのは必然と言える。

 

「よし!」

 

そんな馬鹿な、と人は言うかもしれない。しかし何もおかしい事はない。

歌とは()()()()()()()()()

 

音符によって彩られたスケートボードにウタは飛び乗る。勢いよく滑り出したそれはウタ自身の速度の何倍も速い。

 

「待ってろ、ルフィーーーーー!!」

 

 

 

■■■

 

「うお~~~!!みんなぁ~~~!!」

「ルフィーー!!ゾロ!!サンジぃ~~~!!」

 

サウザンド・サニー号。麦わらの一味を頂点まで連れていく船。

その船上で彼らは再び、一堂に会した。

 

「男上げてんなぁお前ら!!!」

「ルフィさん!お会いしたかった!!」

「へへへ!!また揃った!!」

 

二年から大きく様変わりしたサイボーグのフランキー、ソウル・キングの名を得たガイコツのブルック、長鼻のウソップ。

そして二年前よりも更に扇情的になった航海士ナミと考古学者ロビン。

その様を見て女への耐性を無くしたサンジが耐えられるはずもなく。

最早何度目かわからなくなった鼻血噴射を起こす。

しかしそんな小さなトラブルなぞ気にしていられない。既に海軍の軍艦が一隻、サニー号に迫っている。距離は大砲の射程圏内。

当然砲口からは何発もの砲弾が放たれる。

しかしそれを食い止めた者が一人。

その者は自身の行いを何ら悔いる事はないと言わんばかりに堂々と海軍の前を凱旋する。

 

「誰じゃ!?わらわの通り道に、軍艦を置いたのは!」

 

九蛇海賊団船長にして王下七武海、そして世界一の美女と名高い"海賊女帝"ボア・ハンコック。

彼女によって弾丸ではなくなった石の塊は勢いを失い、海へと落ちていく。

 

「おのれ九蛇め!!」

「あ!!ハンコック達だ!ありがとうーーー!!」

「はぁん♡」

 

ルフィのお礼の言葉にその場から崩れ落ちるハンコック。

そんな彼女には目もくれず、ルフィ達はバルブからシャボンへと空気を入れていく。

この二年、彼らは様々な場所で数多くの修行を積んだ。

ある者は猛獣蔓延る森の中。ある者は追い剥ぎの森。ある者はこの世の地獄で。

その中で関わってきた者達は皆、彼らの出航を待ち望んでいる。

 

「浮き袋外したぞォ!」

「OK!すぐに沈むわよ、みんなすぐに帆を張って!!」

 

航海士の指示のもと、テキパキと準備を進めていく麦わらの一味。

彼らは二年前のこの場所で七武海と海軍本部大将に敗れ去った。

そしてルフィは戦争で大切な兄を失った。

赤犬によってつけられた傷に触れ、しかし彼は笑って漕ぎだす。

辛い過去を乗り越えて、全てはこの世界の頂点へと至るために。

あの日止まってしまった船を今再び動かそう。

 

「出航だぁ~~~!行くぞ!魚人島ォーーーーー!!」

『オオオォォォォォォォォ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

『誰!?』

 

まさに深海に潜ろうとしたその時。

一人の少女が空中からシャボンへと突っ込んできた。

シャボンは少女をスルリと通し、何事も無かったかの様に元の形を保っている。

 

「ハァ····ハァ····!やっと追いついたよ!ルフィ!!」

「は?ん~~?········はっ!お前!もしかして、ウタか!?」

「そう!久しぶりだね、ルフィ」

「おおおお~~!ウタぁ~~~!!久しぶりだなぁ~~!」

 

感極まり、互いにハグをする二人。

 

「お、おいルフィ·······!女ヶ島だけじゃ飽き足らず、そんな美女とまで知り合いにぃ~~!?クソ羨ましいぃ~~~!!」

 

いや本当に誰だよ。喜ぶルフィと血涙を流すサンジを除いた一味にそんな微妙な空気が漂う。

船長が全くの無警戒のため、敵ではないようだが。

しかし次の瞬間、そんな空気が一発で消し飛ぶ程の超爆弾発言がウタの口から飛び出した。

 

「ねぇ、ルフィ」

「ん?何だ?」

 

「海賊、やめなよ」

 

時間が、止まった。

 

『はぁ!?』

 

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