とある賢者の教導奇譚   作:リョウ77

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今回はガッツリめの独自考察回です。
独自解釈も多分に含みます。


古の真実、賢者の正体

アニスフィアとユフィリアの決闘、その最中にユフィリアが精霊契約を果たした後に、クルーガーから衝撃の事実がもたらされた。

神代の生き証人などという突拍子のない答えだけを聞かされ、各々が思うように夜を明かした。

そして、翌日。

王城の執務室ではなく、アニスフィアが過ごしている離宮に集まった。

ここには、クルーガー、アニスフィア、ユフィリア、オルファンス、シルフィーヌ、グランツ、イリア、レイニ、ティルティ、リュミが揃っている。

いよいよすべての真実が明かされようという時に、クルーガーはジッとアニスフィアとユフィリアを見つめていた。

 

「・・・クルーガー、私たちがどうかしたの?」

「いえ、昨晩はお楽しみだったようですね」

「な、ななっなっ、何を言ってるのかな!?」

 

唐突に投下したクルーガーの爆弾発言にボフッと音を立てそうな勢いでアニスフィアが顔を赤くし、ユフィリアがそっと目を逸らした。

オルファンスらが「何をしていたんだ・・・?」と胡乱気に2人を見やるが、さすがに悪いと思ったのかクルーガーが弁明をした。

 

「まぁ、ユフィリア嬢が精霊契約に至った弊害と言いますか、その影響ですね。不変となった精霊契約者に食事や睡眠などは基本的に必要ありませんが、糧にするものはあります。それが魔力です。魔力が濃い空間であればそこにいるだけで事足りますが、最も効率的なのは他者の魔力を摂取することです。その点、お2人はよほど相性が良かったようですが・・・いえ、私からあれこれ言うのはお門違いなのですが、さすがに重要な話の前夜にするというのは、その・・・」

「はいはい!この話は終わり!!それよりもクルーガー!早く話してもらってもいいかな!?!?」

 

羞恥心で爆発しそうなほど赤面しているアニスフィアは、微妙な感じになっている雰囲気を振り払うように無理やりクルーガーに本題を投げつけた。

さすがのクルーガーもここで変な空気になるのは望んでいなかったようで、アニスフィアの要求に素直に応じることにした。

 

「え、えぇ、わかりました。えっと、昨日は私が1000年前の神代の存在だと話したところまででしたね」

「う、うむ。だが、にわかには信じられん。たしかにリュミ殿が500年も生きておられる以上、理論上はあり得なくはないのだろう。それでも、一晩考えた今でもいまいち現実味を感じん」

「そもそも、我々にとって神代そのものが御伽噺としても曖昧に過ぎるものだ。それこそ、王国の成り立ちや精霊契約者の真実以上に情報が存在しないほどに」

 

パレッティア王国における精霊信仰は初代国王が精霊契約を成し遂げたことから始まったものだが、精霊信仰やそれに伴う神話はパレッティア王国が生まれる以前から存在していた。

曰く、この世界は1000年前に神によって生み出された大精霊によって作られたものである、と。あるいは、大精霊そのものが神であるという解釈も存在する。

言ってしまえば、それだけ。

それ以上のことは誰にも分かっておらず、一切の情報も残されていない。

だからこそ、クルーガーが神代の生き証人であると言われても、リュミのこと以上に実感が湧かないのも無理はなかった。

 

「そうですね。神代に起源を持つ国も過去には存在しましたが、すでに滅んでいますし、皆様が知らないのも当然と言えば当然の話です。ですので、まずは神代のことについて話しましょう」

 

自然と、リュミ以外の面々の背筋が伸びてしまう。

ここに、学者であればどんな代償を支払ってでも話を聞こうとするであろう神話の真実が開かされていくことになった。

 

「まずは、世界を作ったという大精霊についてです。リュミから聞いたと思いますが、大精霊とは器を失った精霊契約者の成れの果てです。これは神代においても例外ではありません」

「なら、この世界を作ったのは精霊契約者である、ということですか?」

「少し違いますね。いえ、もしかしたら真の意味でこの世界を創造した本物の神もどこかに存在するのかもしれませんが、こればかりは私にもわかりません。今回の場合、重要なのは“世界”の解釈の仕方です。大精霊が元をたどれば人間である以上、神話における世界とは何のことを指すと思いますか?」

 

クルーガーからの質問に、全員が考え込む。

そもそも世界という言葉自体が非常に曖昧なものであり、引っ掛かりが掴めない。

だが、前世の記憶を持つアニスフィアだけが、その答えにいち早くたどり着いた。

 

「・・・もしかして、国?」

「その通りです。厳密には、人類の絶対生存圏、と言う方が正しいでしょう。そもそも国という概念すら存在しない時代の話ですから」

 

クルーガーが言うには、1000年以上前の人々もかつてのパレッティア王国と同じように魔物の恐怖に晒され続けたという。

そんな中、まるで示し合わせたかのように各地で同時に生まれた精霊契約者たちこそが、神話における大精霊の前身だった。

 

「生まれた精霊契約者たちが望んだのは、『人々が安心して暮らせる土地を生み出す』こと。そのために、精霊契約者たちは偶然魔物が少ない平地に集まり、協力して魔物が入ってこれない領域を作り上げました。その時点で都市国家と呼べるほどの規模だったようですが、『魔物の脅威にさらされることのない土地』という噂はあっという間に大陸中に広がっていき、人が集まっては都市も拡張され、ついには最古にして史上最大の統一国家が生まれました。その名を『フロンティア』と言います」

 

人類が生存するための最前線にして最先端。

その気概はかつてのパレッティア王国よりも高く、それこそ魔学によく似た技術も開発されていた。

フロンティアが発展するほど噂はより広がり、その領土は際限なく広がっていった。

だが、そこで一つの問題が生じた。

 

「目を見張る速度で発展し続けたフロンティアですが、ある時に足りないものがあることに気が付きました。それが“統率者”です。人類の絶対生存圏を作り上げるという目的は一致していたものの、当然のことですが人が増えるほど文化や価値観は多種多様になり、相応に衝突の機会も増えていきました。それにも関わらず、フロンティアには『王』の役割を持つ人間がいなかったのです」

「ですが、その役目を果たせるだけの能力を持った方はいらっしゃらなかったのですか?あるいは、そのフロンティアを作り上げた精霊契約者を王に据えることもできたと思いますが」

「もちろん、それだけの能力を持つ人間もいるにはいました。ですが、せいぜいが一つの村の長であり、当時では史上最大の大国を動かすだけの知識と経験までは誰も持ち合わせていませんでした。さらにパレッティア王国の初代国王とは違い、原初の精霊契約者が望んだのは『救済』ではなく『開拓』でした。そのため、国を広げることはあっても民を導くのは彼らの契約外だったのです」

 

ある意味では、自らを道具と割り切った合理的な願いだったと言えなくもない。

だが、それゆえにフロンティアには絶対的な統率者が存在せず、集まって話し合おうにもその間に続々と新たな民が増えるため、とても手に負えるような状況ではなかった。

 

「さらに問題となったのは、精霊契約者の器の寿命です。統率者の必要性に気付いた段階で、契約者の器は限界に近づいていました。それこそ、遠くないうちに器を捨ててしまうほどに。開拓の最前線を担っていた彼らが消滅すると知ってからは、さらに混乱が広がったそうです」

 

目に見えるような暴動は起きなかったものの、それでもこれからの生活に不安を覚える者は多く、何か一つの衝撃で崩壊しても不思議ではなかったという。

だが、さながら天から降りた蜘蛛の糸のような希望が生まれた。

 

「民の救済は契約外だったとはいえ、自分たちが築き上げたものが崩れてしまうのは本望ではなかったのでしょう。原初の契約者たちは、ある人物に目を付けました。契約者たちの身の回りの世話をしながら、不安に駆られることなく国の将来を考え続けた、魂に精霊を含まない一人の青年に」

「それって・・・」

「はい、それが私です。私も元は稀人でした」

「だったら、なんで魔法を使えるの?稀人なら精霊契約はできないはずでしょ?」

 

クルーガーもまた、アニスフィアと同じく魂に精霊を含まない稀人だった。

だが、クルーガーは精霊契約者に引けを取らないほどの魔法を扱える。

その矛盾をアニスフィアは指摘し、クルーガーもその問いに答えた。

 

「たしかに魂に精霊を含まない稀人は、己の魂を精霊に返事させることができないため精霊契約ができないのも確かです。ですが、例外がないわけではありません。いえ、裏技と言った方が正しいでしょうか。まぁ、ある意味では皮肉でもありますが」

「・・・どういうこと?」

「稀人は自らの魂に精霊を含まないため、外部から精霊を取り込むことも可能なのです。もちろんいくつか条件はありますが、私はそれを満たしていました」

「ッ、それってまさか・・・!」

「えぇ、パレッティア王国で信じられていた、事実とは異なる精霊契約。稀人であれば、それが可能なのです」

 

衝撃的、なんて言葉では言い表せなかった。

クルーガーは“皮肉”と一言でまとめていたが、パレッティア王国の貴族たちに聞かせればそれどころでは済まないだろう。

なにせ、散々自分たちが迫害してきたアニスフィアこそが、真に精霊と契約を交わすことができる可能性を秘めていたと言うことなのだから。

 

「条件は主に3つです。1つ目、稀人であること。2つ目、器を捨て去った大精霊であること。3つ目、両者が契約を合意していること。3つ目の条件について、本来であれば精霊を認識できない稀人では不可能に近いのですが、私の場合は契約者が器を捨てる直前に契約を交わしたので、契約を果たすことができました。他にも相性など諸々の細かい条件も存在しますが、本題から逸れるのでこの辺にしておきましょう」

「ならば、その杖についている精霊石は・・・」

「原初の精霊契約者の成れの果てです。これについても、統治のための象徴として必要ということで合意した上でこのようになりました」

 

淡々となんて事のないように言うクルーガーだったが、オルファンスらは微妙な表情を浮かべる。

リュミから精霊契約者の真実の聞いた今では人道から外れているとしか思えない所業だが、逆に言えばそれほどまでに危うい状況だったのだろう。

パレッティア王国と比べてさらに規模が大きく、加えて地位や身分の差が少ないからこその問題。それがどれほどのものが想像できない以上、その手段をとやかく言うことは出来なかった。

なんなら、徹底したクルーガーの合理には舌を巻きそうにすらなった。

 

「そのような経緯で私は特殊な精霊契約者となったのですが、私自身が王になることはしませんでした」

「どうして?」

「私に国王を務めるほどの気概がなかった、というのもありますが、最大の理由は私が一人で統括できる範疇をすでに超えていたからです。当時のフロンティアの規模は、少なくとも現在のパレッティア王国の倍以上はありました。当然、その中には私が統率者となることに反対した者も存在します。そのような状態で円滑な統治を行うのは非常に難しいものです。ですので、私は3名の優秀な者を集め、その者たちを王にしました」

 

クルーガーが選んだ3人には、人の上に立つ器量を持っている他にそれぞれの得意分野を持っていた。

魔物を相手に怯まず立ち向かうほどの力を持つ戦士、計算や計略に優れ人を動かし統制することに長けた知略家、飛び抜けた発想力を活かすことで暮らしの発展に貢献した発明家。

それぞれの分野の代表を集めトップにすることで、民衆の軋轢は非常に軽微なものになった。

 

「とはいえ、3人とも王としての心構えは皆無でしたので、それらを教えるのには苦労しました」

「なるほど。だが、3人も王がいては国が分裂するのではないか?」

「最初の頃はさほど問題はありませんでした。すべてが手探りの状態でしたので、そこまでの余裕がなかったというのが正しかったでしょうが。ですが、余裕が生まれると共に対立関係が顕著に出てきたのも事実です」

 

武、知、技。どれも国にとって必要不可欠なものだが、この3つすべてが納得のいく案を出し続けることはほとんど不可能であり、次第に軋轢が生まれ始めた。

それは日ごとに増していき、フロンティアはいつ分裂してもおかしくない状況だった。

 

「ですが、それが私の狙いでした」

「「「は?」」」

 

唐突な種明かしに、オルファンスらがポカンと口を開けた。

分裂状態になった国家の危うさは、言うに及ばず理解している。特にオルファンスとシルフィーヌ、グランツはクーデーターという形で身をもって実感していた。

ならば、なぜ分裂を仰ぐようなことをしたのか。

その狙いは、その場にいた全員の理解を超えるものだった。

 

「たしかにフロンティアは過去に類を見ないほど大規模な国家になりました。ですが、それは大陸のあらゆる人々が集まった結果であり、一か所に集め続けるのは不可能と言っても過言ではありません。ですので、あえて国家を分裂させることで規模を縮小させ、各地に新たな国を興させるよう促したのです。そのために、3人の王を始めとした者たちに国を統べる方法を教え、私の手を借りずとも国家を運営できるよう育てました」

 

たしかに、クルーガーの言うことは理にかなっている。

だが、国家の分裂は内乱に暗殺、陰謀など少なくない血を流すことを強いる。

それを()()()()()として合理的に判断した上で実行するなど、果たして誰ができるだろうか。

少なくとも、オルファンスやアニスフィアには到底考えられなかった。

まさしく“悪魔の所業”。

もしこの場にアルガルドがいれば、クルーガーがかつて『悪魔』と呼ばれていた所以を理解できていただろう。

 

「こうして都市国家フロンティアは滅亡し、代わりに3つの新たな国が生まれ、それらから派生するようにいくつかの小国も誕生しました。これで私も役割を終えたということになったのですが・・・契約の影響か、私の性に合っていたのか、あるいはその両方か。私はフロンティアが滅んだ後も、才ある者を見つけては導くということを続けました。念のために言っておきますが、私はすき好んで破滅に導いたことは一度もありません」

 

逆に言えば、結果的に破滅に向かっていった者は少なからず存在する、ということなのだろう。

その上で、クルーガーは自らに落ち度はないと主張していた。

破滅を選んだのは、あくまで賢者の教えを受けた者自身が選んだ結末であると。

 

「パレッティア王国の初代国王も、その旅の中で会いました」

「つまり、あなたはこう言いたいのかしら?契約の影響で手を貸しただけであって、父上をあのような存在に陥れるつもりはなかったと?」

「ずいぶんと棘が多いな。まぁ、精霊契約者が興した国がどうなるか興味があったという私欲もないわけではなかったが。とはいえ、私が何も言わずともいつか至っていただろうし、私ばかりのせいにしないでもらいたい」

「ちょ、ちょっと待って?」

 

リュミとクルーガーによる棘しかない言葉の応酬が始まる前に、アニスフィアが手を上げて割り込んだ。

今の不機嫌なリュミを引き止めるのはちょっとどころではなく勇気が必要だったが、それ以上に先ほどから気になっていることがあった。

 

「えっと、今までの話の中でいろいろと気になることがあるんだけど、聞いてもいいかな?」

「えぇ、どうぞ」

「まず、リュミから精霊契約者は人としての在り方を捨てるものだって聞いたけど、どうしてクルーガーは今まであんな人間らしく振舞えていたの?それと、さっきからまるで未来のことが分かっていたかのように話しているけど、それもどういうこと?」

「ふむ、そう言えば話していませんでしたね。前者について、いろいろと理由があります。まず、私は通常とは異なる手段で精霊契約に至りましたので、元から願いに縛られることなく生きることができました。もちろん差異は少なからずありますが、矯正できる範疇です。また、私はそこの引きこもりと違って、今まで生きてきた時間のほとんどを他者と共に過ごしていたので、人としての在り方を忘れずにいました。そして、これは小技というかズルの類ではありますが、精霊契約者は生物の魂に含まれる精霊にも干渉することができるのです。それによって、私は無害な存在であるという認識を植え付けていました」

「それってまさか、レイニの魅了みたいな・・・?」

「魅了とは違います。精霊とは世界の欠片、それは魂の精霊も例外ではありません。只人が世界の在り方や流れに囚われやすいのもそのためです。ですので、魂の精霊への干渉はいわば暗示や刷り込みを越えた認識の改竄、物が上から下へと落ちるが如く、それが当然のことであると認識するようになるのです。これを応用すれば、精神干渉魔法を越える精度で暗示や催眠をかけることができます。アニス様を懐柔したのは、単純に私の年季による話術ですね。当時のアニス様は敵が多かったので、初めて会った時の偶然のトラブルを助けたことを足掛かりに私が味方であると刷り込ませました。ヴァンパイアであるレイニ嬢にも気づかれる可能性がありましたが、出来るだけ接触回数を減らすのと初対面で違和感を塗りつぶすほどの衝撃を与えたことで誤魔化しました」

 

この場にいる全員は、クルーガーの言葉に今日で何度目かもわからない戦慄を覚えた。

クルーガーは、あまりにも人の中に紛れ込むことに長けている。

もし本人がその気になれば、国家の掌握など容易く行えるだろう。というより、クルーガーを相談役にした時点で半ばそうなりかけていた。

クルーガーにその気がなかったから良かった、などと片付けることはできない。逆に言えば、必要となればクルーガーはあっさりと国家元首を懐柔し、自分の教え子のために国の在り方を変えるだろう。

パレッティア王国がそうならなかったのは、アニスフィアがそうなることを望んでいなかったからに過ぎなかった。

 

「そして後者についてですが、たしかに私は未来がわかります。ですが、特別な能力だとかそういうものではありません。私にとって、未来の予測は物語の展開を読み解くのと大して変わりません。舞台が置かれた状況に登場人物、そして各所に散らばった伏線、それらからいくつかの予想を立てる。それが外れたことがないというだけです。もちろん、パレッティア王国の初代国王の結末もその予測の範疇でした」

「・・・何ですって?」

 

未来視について、絡繰りだけを聞けばまだ「そんなことも可能なのか」という納得だけで済んだだろう。人の域を超えた技であることに変わりはないが、まだ理解できる範疇だった。

だが、最後の一言がリュミの逆鱗に触れた。

激情と共に噴き上がる魔力によって生じる威圧はドラゴンにも引けを取らないものであり、オルファンスたちもあまりの圧迫感に脂汗を流しながら生唾を呑み込んだ。

そんな周囲の様子にも気が付かない様子で、リュミはクルーガーに詰め寄る。

 

「まさか、あなたが予測した未来を父上に伝えないまま精霊契約を促したのかしら?あのような化け物に成り果てると知りながら?」

「私を低く見積もりすぎじゃないか。当然、伝えたに決まっているだろう。『民の道具に成り下がるとしても、精霊契約の道を選ぶのか』と。あれはそれを理解した上で精霊契約者になった。自分一人の犠牲で民を救えるなら、それで構わないとな。それほどまで当時の集落は逼迫していたし、私が施した塀や堀も一時凌ぎや気休め程度でしかなかった。もちろん、私が集落を守り続けるなどという選択肢はない。見ず知らずの人間を生涯守り通すほどの義理はなかったし、仮に滞在を続けたとしても役割を果たすのが私に置き換わるだけで結末は大して変わらなかった。それと、魔力を抑えろ。陛下たちが怯えているぞ」

 

クルーガーの指摘にリュミはギリッと歯ぎしりをしながらも、大人しく指示に従って魔力を抑える。

ようやくリュミが落ち着いたことでオルファンスは大きく息を吐き、ソファにもたれかかった。

 

「さて、ここまでが私の正体に関することです。他に何か聞きたいことはありますか?」

 

聞きたいこと、というよりツッコみたいことはなくも無かったが、必要なことはわかった上にこれ以上は本題から逸れそうだったため、アニスフィアは次の本題かつ最も聞いておかなければならないことに切り込んだ。

 

「そうだね・・・正直に言って、今までの話の全部を理解できた気はしないけど、だいたいのことはわかった。その上で、クルーガーの目的はなに?どうして私のためにこんなことをしたの?」




書きたいことを全部詰め込んだら、過去一レベルで長くなりました。
でも、これで前編みたいなものなんですよね。
次はクルーガーのパレッティア王国でのあれこれについてです。
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