闇に生き光に奉仕する男の話   作:ダレン シャン

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リスにお願いを聞いて貰う話

 

ボクがここに来てから数週間が経過していた。

ミカから依頼されていた銃取引現場の画像を分析していたらボクがいる襖のの戸を軽く叩く音が聞こえる。

戸を開けると、そこにはモノトーン調の男物の着物を着て銀髪をたなびかせた容姿の整っている青年がいた。

 

「何の用だ、フミヤ?」

 

ボクが、そう聞くと彼はボクの部屋の中を覗き込むようにして見る。

 

「ここも、すっかり変わっちまったな。前まではもっと質素だったのに。」

 

彼は皮肉めいたことを言いながら話しかける。

 

「別に良いじゃないか。羨ましいのか?」と冗談混じりにきくが「俺は、どっかの青狸じゃない。」と返してくる。失礼なやつだ。

 

「仕事しなくて良いのか?」

 

「昼休憩に入ってるから大丈夫。ちょっとクルミにお願いがあって来たんだ。」

 

お願い?こいつが、ボクに? めずらしいこともあるものだ。

 

「なんだ?」

 

「千束とたきなの戸籍とパスポートを偽造してほしいんだ。リコリスは孤児で戸籍がないって前に千束が話してただろ?」

 

確かに以前、ここ(リコリコ)に依頼して追っ手から車で逃走している際にそのような話しはした。だが、純粋に疑問に思ったためそれについて尋ねてみる。

 

「今更どうしてだ?ふたりと海外旅行に行く計画でもしてるのか?」

 

「そんなんじゃない。ちょっとした、事情があってね。それに俺も戸籍はないし。」

 

彼は笑いながらそう言った。詳しい理由は分からなかったがボクからすればそんなもの、朝飯前だ。片手間に出来る。しかし、無償でやる気はない。

 

「別に構わないが、タダ働きするつもりはないぞ。」

 

「もちろん。報酬は払うよ。おいくら万円ほd」

 

「金じゃない。」

 

ちょうどいい機会だ。以前から気になっていたことを報酬として貰おう。

 

「お前のことを教えろ。」

 

彼の表情は変わらなかったので話しを続ける。

 

ここ(リコリコ)に、依頼を出す前に事前にここにいる人間のことは調べさせてもらった。」

 

「当然だな。相手のことをなにも知らずに自分の命を預けるやつなんていない。・・・で。」

 

「DAのこともリコリスのことも勿論調べた。千束とたきなはリコリスでミズキは元DAの情報部、ミカもDAで訓練官を勤めていたことも知っている。・・・だが、明らかに一人だけ情報が少ないやつがいた。」

 

お前だ。そう伝えると当の本人は肩を竦める。

 

「どんなに調べても解ったのはお前の顔と名前といった基本情報。DAに協力し、ここ(リコリコ)で働いていること。そして、お前に関係していると思われる単語をいくつか入手しただけだ。」

 

 

「・・・「アニムス」、「流入現象」、「エデンのかけら」。」

 

3つの単語がを聞くと、初めて彼の顔が曇る。

 

「・・・・お前は一体、何者だ?」

 

「・・・・・・・・・。」

 

沈黙を貫いていたが、観念したのか「ふぅー。」息をはきながら

口を開く。

 

「確かにクルミの予想通りその3つは俺に少なからず関係している。流石、自他ともに認める最強ハッカーだ。」

 

「やはりそうか!じゃあ、教えr」

 

ボクがそう言いかけたとき、彼から待ったをかけるように彼の右手がボクの前に現れる。

 

「つまり、クルミは俺と取引きがしたいとそういってるのか?」

 

あっちの条件をこちらが飲む代わりにこっちの条件も飲んで貰わなければならない。

これは、正当な取引だ。

 

まぁ、そうだな。と肯定するとやつは「そうか。残念だ」と、一言だけ言う。

 

「?」

 

 

_______________

 

まさか、クルミからあの言葉が出てくるとは思わなかった。流石、自他ともに認める最強ハッカーだ。だが、それ以上は調べられなかったのは僥倖だ。知らない方が良いこともある。俺も、俺の過去には覚えてないことも多いが覚えている部分もある。話しても面白くない話しだ。

あまり、仲間にこのようなことはしたくはないがこれ以上調べられても困るため手札を切ることにする。

 

「クルミ、数ヵ月前に都内のビルで銃取引があったのは勿論知ってるよな。」

 

「?、あぁ、さっきまでその取引場面の画像を解析してたところだが。」

 

「あの日、DAの最強AIがハッキングされて通信障害があったみたいなんだが、何か心当たりがあるんじゃないのか?ウォールナット(・・・・・・・)?」

 

「・・・何のことだ?ボクには関係のない話しだろ?」

 

「気になって色々と調べてみたんだが、銃取引があった翌日の夜に東京にある高層マンションの一室が原因不明の爆発を起こした。」

 

クルミは何も言わない。

 

「時間からしてその数分後にウチ(リコリコ)に狙われているから助けてほしいという旨の依頼が来た。それも、依頼主は最強ハッカーと来たもんだ。なかなか、話しが出来すぎていると思わないか?」

 

「ぼくがやったという証拠がない。」

 

「証拠なんて必要ない。問題は信用の有無だよ。」

 

「?」

 

「もし、俺がこの事を明日にでも店の皆んなの前で話せば、最近知り合ったばかりの君と付き合いの長い俺、どちらの言うことを信じると思う?」

 

クルミは俺の狙いが分かったようで顔をしかめる。

 

「たとえ、俺の言ったことが店の皆んなが信じなくても君への疑惑は残る。たきなは人一倍強いだろうな。なんせ通信障害が起きたせいで現場の責任を全ての背負わされたんだから。」

 

「・・・脅しか?」

 

「脅しなんかじゃないさ。俺は最初から言っているがクルミにお願い(・・・)をしている。」

「俺のお願いを聞いてくれるんだったら俺はなにもしない、でももし、聞いて貰えないんだったら店の業務中の会話のなかで口の固い俺でも、ポロっと口にしてしまう可能性があるって話し。」

 

「それを世間一般では脅してるって言うんだよ!」

 

「で、どうする?」

 

「・・・分かったよ。結局、ボクはタダ働きということか。」

 

クルミは諦めて負けを認める。

 

「口は災いの元だと言うことを学べたな。」

 

「ずいぶんと高い授業料をふんだくられた気分だ。」

 

「はははっ!じゃ、お願いね。後、この事はふたりには秘密にしておいてくれ。出来たらクルミのほうで保管していてほしい。」

 

「はぁ、わかったよ。」

 

「じゃ、俺は仕事にもどるから。」と言って襖の戸を閉めようとするがひとつ言い忘れていたことを思い出した。

 

「あっ。」

 

「なんだよ、まだ何かあるのか?」

 

「そう警戒しないでくれ、今度はただのアドバイスだよ。」

 

「?」

 

「俺が言うのもなんだけど、出来るだけ早く、店の皆に伝えた方がいいんじゃないか?良いタイミングならダメージも少なくなると思うし。それに、」

 

「嘘をつき続けるって、思いの外しんどいからな。」

 

俺は実体験の基、クルミにそう伝えてから喫茶リコリコの業務に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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