闇に生き光に奉仕する男の話   作:ダレン シャン

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蒼が紺の実力を知る話

 

「仕事だ。」

 

朝、開店の準備を行おうと喫茶リコリコに出勤するとボスからそんなことを言われる。

 

「勿論、仕事をしますよ。そのために来たんですから。さ!早く、開店準b」

 

嫌な予感がプンプンするが現実逃避するために俺はしらばっくれるような言葉を吐くがそうは問屋(ボス)が卸してはくれなかった。

 

「残念だが、緊急事態だ。そんなに時間もない。それに、楠木からの直々の命令だ。」

 

ど畜生!!!と心のなかで叫ぶ。

 

「楠木曰く、「以前、こちらは貴様のお願いを聞いてやったのだから、今度はこちらの頼みを聞いてもらわなければ釣り合いが取れない。」だそうだ。」

 

釣り合い?たきなに会ってほしいと頼んだだけじゃん!リターンが重すぎだろ。

 

「これも、楠木から聞いたのだが、土下座なんてしたらしいな。本人はかなり面白がっていたぞ。いくらたきなと引き合わせるためでもお前がそこまでするなんて驚いたぞ。」

 

「その必要が合ったからやっただけですよ。たきながかなり会いたがってましたし。それに、俺の軽い頭ひとつ下げるだけで済むなら何度だってやりますよ。」

 

「やっぱり君は優しいな。」

 

「優しくないですよ。たきな風に言わせてもらうなら合理的な行動です。」

 

ボスは微笑みながら「そうか。」と一言だけ言い、俺は気恥ずかしくて咳払いをし無理やり会話を逸らす。

 

「それで!仕事内容は?時間がないのでしょう?」

 

ボスは「そうだった。そうだった。」と思い出したように言いながら今回の、仕事内容を俺に伝えてきた。

状況を纏めるとこうだ。

 

テロリスト10名が救急隊員に扮して都内にある病院に侵入し、病院内を占拠。全員ライフル持ち。警察はまだ介入していないが数人のリコリスが現場にいる。しかし、テロリストたちが病院内を占拠しているため医療スタッフや入院患者たちを人質に取られ手をこまねいている状態が続いている。この状況が進めば警察が介入してきてしまう。

つまり今回の俺の任務は警察が介入してくる前にテロリスト共を迅速かつ確実に無力化するというものだ。

 

俺が仕事の準備をしているときに、店のドアが開く。そこには見慣れた紅と蒼の制服を着たこの店の看板娘達がいた。

 

「おっはよ〜!千束が来ました〜。」

 

「おはようございます。」

 

ふたりはそれぞれ対照的な挨拶をし、店に入ってくる。

その時、ボスは俺にとって信じられない言葉を口にする。

 

「ちょうど良かった。たきな、仕事が入った。今日は史八と一緒に行ってくれ。」

 

たきなも急に任務が入り、少しだけ驚いていたが「すぐに準備します。」と言ってしまう。

そんなふたりには待ったをかけるが、ボスから反対意見が出てくる。

 

「もうそろそろ、たきなにも君の実力を知っておいてもらってもいいだろう。むしろ遅いくらいだ。」

 

「いや、別に知ってもらう程じゃn」

 

「知りたいです。お願いします。連れて行ってください。」

 

思わぬところでたきなから声が上がる。

デジャヴュ。

つい最近こんなことなかった?相手が千束から俺になっただけじゃない?

頭は下げてないけど・・・。

まぁいい、ここは折れよう時間もないみたいだし。

 

「分かった、分かったよ。ただし今回は俺の任務だ。俺がメインで動くし付いてくるなら最低限のことはやってもらうぞ。」

 

「もちろん。」

 

話が纏まり、たきなに準備するように促すが今まで蚊帳の外であった千束が口を挟む。

 

「ねぇ、私は?」

 

ボスから千束に待機命令が出されるが、千束は「嫌だ!嫌だ!」と駄々をこねはじめる。

 

「たきなにばっかりズルい!私も、ハチと仕事に行きたい!もし、連れてってくれないなら恥も外聞も捨てて全力で駄々をこねるよ!!」

 

コイツ、なんと恐ろしいことを言うのだ。世界広しと言っても自分の駄々を交渉材料に使ってくる事など千束だけであろう。

 

「たきな、お前の相棒だろ?どうにかしてくれ。」

 

「無理です。わたしの手には余ります。ハチさんのほうが千束と付き合いは長いのですからハチさんにお願いします。」

 

「ボス〜?」

 

「君に一任している。」

 

「貴様ら、もしかしなくても私を腫れ物扱いしてるな?」

 

結局、時間もないので千束も連れて行くことになった。

 

_____________

 

移動しながら千束とたきなに簡単に今回の任務の概要を伝えるが、たきなから質問がある。

 

「なぜ、楠木司令はハチさんに依頼を?リコリスが既に現場にいるなら制圧は簡単でしょう。」 

 

「すまん、説明が足りなかった。今回の問題は病院内の医療スタッフ及び入院患者が人質に取られていることと場所が病院であることだ。数人のリコリスでは対処は不可能だ。」

 

「でしたら、人数を動員すれば、」

 

「確かにリコリスを大勢動員すれば解決するが、それだと情報が何処からか漏れる恐れがある。それに、」

 

「?」

 

「リコリスのメインの戦闘は銃撃戦になる。病院内でドンパチすればどうなる?というわけで、ふたりには、射撃許可は出さない。どうしても駄目だという状況にならない限り発砲はするな。」

 

「では、どうするんです?」

 

「まぁ、百聞は一見にしかず。見てもらうほうが早い。」

 

「そうだね。たきな、見ればわかるよ。」

 

俺と千束は「見てればわかる。」といったがたきなは「?」を浮かべているようだった。

 

 

 

 

現場に到着し、千束たちに現場にいたリコリスに状況の確認をしてきてもらう。俺はリコリスから嫌われているため、俺が行かないほうがいいのだ。ここはふたりに任せよう。

そんなことを思っているとふたりが帰ってきて俺に、状況を説明してくれる。

 

「状況はあまり変わってはいないと。ですが、ひとつ問題が。」

 

「問題?」

 

「オペ中の患者がいるんだって。テロリストのせいでオペが進んでないみたい。」

 

「なんのオペだ?」

 

「詳しくは分かりませんが、開腹手術のようで、開腹状態のままみたいです。」

 

「不味いな、それだと患者が敗血症になって最悪死ぬぞ。」

 

「どうするの、ハチ?」

 

俺は通信機でクルミに聞く。

 

「クルミ、病院内のカメラをハッキングしてくれ。」

 

「もう、やってる。オペ室内の状況も分かるぞ。犯人がひとり、医者と看護師を見張っている。患者の腹は開いたままだ。」

 

「分かった。オペ室内の状況が変わり次第、逐一俺に報告してほしい。頼む。」 

 

「分かったよ。」

 

クルミとの通信を切り、俺たち3人は病院の地下にある霊安室から侵入する。

 

「さて、お仕事を始めましょうかね。」

 

俺はフードをかぶる。

 

 

 

_________________

 

 

そこからわたしは夢を見てるようだった。

 

ハチさんは1人ずつ犯人を背後から次々と無力化していく。銃器も使用せずに。複数人で固まって行動している犯人たちには、スモークグレネードで視界を奪い、煙が晴れる頃にはハチさんだけがその場に立っており、テロリストたちは意識を完全に奪われていた。

犯人たちはハチさんの存在に気づかない。否、気づけない。背後から忍びより完全に死角から奇襲していることや視界を奪っていることもそうだが、彼のあらゆるものが全く感じられないのだ。それは、足音だったり、殺気だったり、果ては彼自身の存在そのものが、そこに本当にいるのかどうか疑いたくなるほどに。

 

そんなときに、「たきな。」と隣から千束が声をかけてくる。

 

「初めてたきながお店に来て広場のベンチで休憩してたときに私がたきなの質問で笑っちゃったこと覚えてる?」

 

「もちろん。でも、今なら分かります。千束があの時、わたしを笑ったのか。」

 

「でしょ〜!だってたきな、ハチのことを何回も殺せるって言うから。思わず笑っちゃったんだよ。」

 

「でも、千束ならできるんじゃないですか?ハチさんを倒すの?銃弾だって避けられるし。」

 

「あはは!無理無理、ぜぇ〜たいに無理!だってハチに当たらないもん。弾。」

 

「えっ!ハチさんも銃弾避けるれるんですか?!」

 

「ハチもっていうか、あれ(弾避け)教わったのハチからだし。」

 

「は?」

 

「もっというと今までに何回もハチと模擬戦したけど一回も勝ったことないし。」

 

「はぁ!?」

 

「だってズルくない?こっちの攻撃は一切当たらないのに、あっちからの攻撃はバシバシ当ててくるんだよ。宝くじで3億円当てるほうがまだ当たる確率があるよ。って、どったの?たきな?」

 

「・・・いえ、何でも。」

 

情報が一気に来たため頭痛がしてきた。

このとき初めて気づくことができたのかもしれない。本当の強者とは弱者の皮を被った者だと。

敵に一切存在を悟らせず、敵も何故倒れているのか。いや、中には倒れたことにも気づいていない者もいるかもしれない。

 

「ハチさんは何者なんですか?」

 

「ん~~、私も詳しくは知らないけど、前にこう言ってたよ。」

 

「?」

 

暗殺者(アサシン)って。」

 

 

 

千束とそんな話しをしているとハチさんから声がかかる。

どうやら全てひとりで終わらせてしまったようだ。

最低限のことはやってもらうぞと言われていたが、完全に見学という形になってしまった。

 

「警察が介入してくる前に撤収しよう。」

 

わたしたちは病院を後にする。

 

______________

 

「どうだった、たきな。ハチの実力?」

 

「なんでお前がドヤるんだよ。」

 

「いえ、凄かったです。本当に。」

 

千束に指摘を入れるとたきなからお褒めの言葉をいただく。

面と向かって言われるとなんか照れるな。

横で千束がニヤニヤしてるが反応したら面倒なので無視。

 

「でも、分かりません。」

 

「何が?」

 

「あれ程の実力を持っているのに、何故DAのリコリスから軽蔑されているんですか?「はぐれ」なんて蔑称もあるし、尊敬されているならわかりますが、おかしくないですか?」

 

「そう、問題はそこだよ!流石、たきな!目の付け所が眉毛の下!!」

 

「ただの眼球の位置じゃないですか。」

 

千束のボケに冷静にたきながツッコミを入れる。いいコンビだよな、本当に。

 

「まぁ冗談は置いといて、ハチの任務は今回みたいなことが多いんだよ。」  

 

「?」

 

わかっていないようなので俺からも補足を入れる。

 

「つまり、リコリスでも何らかの理由で対処できないときに俺が駆り出される。リコリスは俺と入れ替わるように交代するからその後、事件がどうなったか分からない。少なくとも、俺が事件を解決したという風には聞かないだろうな。」

 

 

「理不尽だとは思わないんですか?自分の命を危険に晒してまで任務を遂行して。その上、尻拭いしたリコリスたちにバカにされて。」

 

「別に、DAに褒めてもらいたいから協力してるわけじゃないし、リコリスたちにもバカにされても、ねぇ。」

 

「悔しいとかないんですか?」

 

「悔しいと感じるより彼女らはそもそも知らないわけだし、俺は俺のことを身内にだけ知ってもらえればそれで充分なんだよ。」

 

たきなが俺をじっと見てくる。

あれ?俺変なこと言った?

 

「以前、千束の事をおかしな人と言いましたが・・・・・ハチさんも充分おかしな人ですね。」

 

「おい、ケンカ売ってんのか?」

 

 

俺たちは笑いながら喫茶リコリコへと向かう。

 

 

 

 

 

 





はい、ということでオリジナル話でした。
まだたきなちゃんがオリ主君の戦闘シーンをはっきり見たことがなかったためです。

次回はあのアニメ第4話を予定しております。

待っている人がいるかどうかわかりませんがお楽しみに
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