闇に生き光に奉仕する男の話   作:ダレン シャン

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テロリストに侵入された話

 

翌日 喫茶リコリコにて

 

開店からしばらくして、常連の後藤さんが来店した。

 

「こんにちは!たきなちゃん。」

 

「後藤さん。いらっしゃいませ。」

 

後藤さんを、店に招き入れると店に入りながら後藤さんが聞いてくる。

 

「今日、史八君と千束ちゃんは?」

 

「千束は遅番なんですけど、ハチさんは今日急に休みになりまして・・・。」

 

そう、今日出勤してきたとき店長からハチさんは休みだという報告を受けた。

今までこんなことはなかったがハチさんは働きすぎだと思っていたし、今日ぐらいはゆっくり、休んで貰いたいものだ。

 

「ヤッホー、ゴチュウモンドウゾー。」

 

千束の着物を着せたロボリコ(人形ロボット)が後藤さんに注文を取りに来た。

 

「大丈夫なのか?あれ。」

 

「千束の服じゃん。」

 

___________

 

お手洗いをすませ、座敷に移動すると襖が開いており、PCには喫茶リコリコのSNSのページが開かれていた。

興味本意で見てみるとわたしが最近発案した、パフェの感想が載っていたのだが・・・・・、その感想はわたしの心を抉るには充分過ぎるほどのものだった。

 

 

「たきなぁ!パフェできたよぉ!・・・・あ?」

 

「もう、そのパフェ止めます。」

 

「あ~。」

 

「気づいたかぁ。いぃじゃない!人気なんだからさぁ!じゃ、ロボリコこれお願~い。」

 

「ハイ,ナガシテオキマース.」

 

「あ、ちがっ!くそが!」

 

わたしは何故あんなものを嬉々として作ってしまったんだろう。

そんなことを思っていると店に電話が掛かってくる。

電話に出ると山岸先生だった。声から察するとなんだか少し怒っているようだが。

 

「あの~、お店によぉ、千束は居ます?」

 

「いえ、そちらにお伺いしてませんか?」

 

「来てないのよぉ。ケータイもでなくてよぉ。」

 

「そうですか、私も探してみます。」

 

そういい、受話器を置く。

千束は今日は検診があるため遅番だし、電話にもでないとなると寝坊か?ハチさんのところにいる可能性もあったため、休みのところ悪いが彼のスマホにかけてみたが、コール音がなるだけで出ることはなかった。

次にダメ元で千束のスマホにかけると、数コールで出た。

 

「千束?どこです?定期検診行ってないんですか?」

 

「あぁ~、ごめんごめん!急用でさ~、ちょい遅れるぅ。って山岸先生にも言っといてぇ。」

 

そう言われ通話を切られてしまった。

少し、おかしいと思ったため、店長に許可を取り、制服に着替えてから歩いて千束のセーフハウスに向かう。

 

____________

 

朝、起きたら既にハチは店に向かっていて、私も定期検診に行こうと玄関のドアを開けた瞬間に、銃を構えている真島がいた。

とりあえず、家の中に入るように促されたためリビングにある椅子に座る。そんなときにたきなから電話が掛かってきた。

 

「取っていい?」と真島に許可を取ってから電話に出る。

 

「千束?どこです?定期検診行ってないんですか?」

 

「あぁ~、ごめんごめん!急用でさ~、ちょい遅れるぅ。って山岸先生にも言っといてぇ。」

 

たきなからの通話を切ってから真島が声をかけてくる。

 

「健康は大事だぜ。体が資本だろ?俺等はさ。」

 

()って何?等って。銃を向ける相手に言うこと?」

 

「殺すにはまず生きてなきゃなぁ。」

 

そう言って、真島は発砲してくるがこの距離でも簡単に避けられる。

銃弾が後ろの照明に当たり、壊れてしまう。

そして、これで後でハチに怒られることが確定。

この野郎、どうしてくれようか。

 

「ははっ!すげぇな!どうやってんだ?」

 

「秘密。」

 

「その心臓にタネがあんのか?」

 

「何でそれを知ってる?こんにゃろう。」

 

「ふっ、秘密だ。」

「今日はあいつは居ねぇのか?」

 

「あいつ?」

 

「アサシンだよ。いつも一緒だろ?」

 

「教えない。」

 

「はっ!だよな。まぁ、アサシンが居ないのは僥倖だ。さすがの俺も化け物ふたり相手じゃ身が持たねぇ。」

 

真島はそう言ってからテーブルの上に目を向ける。

そこには私が片付け忘れた映画のDVDの山がある。

 

「ガイ・ハードじゃん、好きなの?」

 

真島の予想外の質問に驚く。本当に何をしに来たんだ?こいつは。

 

「えっ、うん。」

 

「誰が好き?」

 

「パウエル。」

 

「警官な。マクレーンと会ってもないのに相棒になるあの感じ、」

 

なかなか分かってるじゃないか。犯罪者の癖に。

 

「「そいで、ラストシーンで!」」

 

何をやっているんだ私は。

そう思い、一つ提案する。

 

「はぁ~、あ~、コーヒーいれるけど。」

 

「苦いの駄目なんだ。他のもんない?」

 

ハチと似たようなことを。その点ではハチと気が合うかもしれない。

とりあえず、真島には角砂糖を用意する。

 

私たちはコーヒーをひとくち飲むが、砂糖を入れても苦かったのか一瞬だけこっちを睨み付けてくる。

 

「で、何の用?」

 

「おまえ、俺のこと覚えてるか?」

 

「あ~ん?ツバかけられた。」

 

「もっと前だ。覚えてないのか?んじゃ、昔話をさせて貰うか。・・・・・・電波塔事件。」

 

真島は思い出すように当時のことを語るが私にはやっぱりこいつに覚えはない。

しかし、そうか。ハチが前どっかで会ったことがあるような気がすると言っていたのはこの時か。合点がいった。

 

「さっきも私たちふたりのことを化け物っていってたけど、人を怪物のように描写するな。」

 

「実際、化けもんだよ。思い出したか?」

 

「いや、おまえのことなんか知るか。」

 

「はっはっはっはっは!だよなぁ!」

 

そう言って、真島は胸ポケットを探り、何かを取り出そうとした。

 

「俺も持ってるぜぇ。」

 

真島は私に見せつけるように私たちと同じ梟のチャームを私に見せつけるように取り出す。

 

「じゃあ、何でこんなことしてんの?!」

 

「は?」

 

「それ持ってるからには何かすごい才能があるんでしょ。人を幸せにするような。あんたがやってることは逆でしょ!」

 

「お前だって殺し屋じゃねぇか。」

 

「おい、一緒にすんなぁ!私はちゃんと人助けしてるぅ!」

 

真島はチャームを再び胸ポケットにしまう。

 

「お前、アランを平和推進機関みたいに思ってるのかぁ?」

 

「あんた以外は皆そう言う結果を残してるんでしょ。」

 

「私もメダリストみたいに世界に感動を与えた~い!!!ってか、は!おめでたい奴だなぁ。」

 

真島はバカにするように言ってくる。

実際、ちょっとカチンときた。

 

「お前、アランはそんな連中じゃねぇぜ。」

 

「何て言われても私にはヨシさんとの約束がある。これはその証。」

 

私は首から下げたチャームに手を当てて言う。

 

「ヨシさん?って~アラン機関の奴か?」

 

「あんたには関係無い。」

 

「アランと接触してるのか、お前?」

 

「あんたが私よりなに知ってるか知りませんけどね、私はやりたいようにやりますぅ。ハチだって自由のために戦ってる。」

 

「いいねぇ、やっぱ俺とお前らは同じだ。」

 

「?」

 

「殺しの腕を買われて支援されたのさ。」

 

「ぜぇたい、そんなんじゃありませ~ん。」

 

「アランの連中は純粋なんだ。俺たちの殺しを肯定できるくらいにな。」

 

真島はそう言って、銃を胸ポケットにしまい立ち上がる。

 

「え?帰んの?」

 

「おまえの相棒が来たからな。」

 

「え?」

 

そう言って、真島は部屋から出ていった。

 

______________

 

 

わたしは今、ハチさんの家に向かっている。

千束が居るとしたらハチさんのところが一番可能性として高いからだ。

インターホンを押そうとしたときにドアが開くと真島がいた。

何故ここに!!

わたしはすかさず銃を取り出し、発砲するが手首を上から押さえられ射線をそらされる。足払いもかけられ体勢を崩されながらもダメ元で発砲するが当たらず逃げられてしまった。

 

「またなぁ!電波塔のリコリスぅ!アサシンにもよろしく言っといてくれよぉ!!」

 

わたしは数回発砲するが当たらない。

逃げ足の速い奴だ。

 

 

_________

 

私たちは今回のことを報告するためにリコリコへ移動する。

 

「真島が家に来たぁぁ~!」

 

今回の出来事を皆の前で報告するとミズキの声が響く。

 

「やったかぁ?たきな?」

 

「残念です。目の前に居たのに。」

 

「あいつもこれ持ってたわぁ。」

 

チャームに手を当てながら言うと皆驚いている様子だ。

 

「「「「え!」」」」

 

「あんなのにどんな才能があんのよぉ?」

 

「凶悪犯も支援されるものなんですか?!」

 

「ミカ?恋人から聞いてないn」

 

「デュクシ!!」

 

クルミが口を滑らせる前にミズキがクルミの首にチョップを入れる。すでに遅かったかも知れないが。

 

「あらぁ~、どうしたの~クルミちゃん!眠たいのかなぁ?」

 

「どっかで拾ったんでしょ~。ヨシさんがあんな奴を助けるわけ無い。ねぇ!先生?・・・・・先生?」

 

先生は何かを心ここに非ずのようだった。

 

「ん?あっ、あぁそうだな。」

 

「ん~?あれ?そういえばハチは?お店に居ないの?」

 

「えっ?ハチさんは今日お休みですよ。どこかに出掛けてるんじゃないですか?」

 

「朝起きたら居なかったからなぁ?どこ行ったんだろ?」

 

そんな私たちの疑問には先生が答えてくれた。

 

「史八は、楠木からの極秘任務中だ。場所が場所だからな、今日中には戻れないだろう。」

 

「場所ってどこ?」

 

「さぁな、何せ極秘だから私も詳しいことは分からんのだ。まぁ、史八なら大丈夫だろう。無事を祈ろう。」

 

無事を祈ろう?普段、先生が使わない言葉に違和感を覚えるが気にするほどでもないだろう。

 

「そうだね。」

 

_________

 

夜も更け、人通りも少なくなったので、店の外に置いてあるベンチに腰掛けながらヨシさんから貰ったであろう大事な愛銃を磨いているとたきなから声がかけられる。

 

「DAの銃じゃないですよね、それ。」

 

「うん。コレと一緒に貰った。」

 

チャームを店ながら答える。

 

「吉松氏に?」

 

「そう・・・だね。大切。」

 

私たちの間に無言の時間が流れる。

店のなかではまたクルミがお皿を割ったようだ。

 

「あぁ~!あんた!もういいから!押し入れ戻って、寝ろぉ!!!」

 

無言の時間を断ったのはたきなだった。

 

「寒くなりましたね。」

 

「ねぇ~、たきなが来た日は桜が咲いてた。・・・あれからぁヨシさん来ないねぇ。」

 

たきなは自分のバックをあさりなにかを探しだす。

 

「はい。」そういい、たきなは保育園の子供達に渡していたプレゼントを差し出す。

 

「おぉ、これ保育園の。」

 

「欲しかったんでしょ?」

 

「くれるの~!」

 

私は袋を開けると犬のストラップが入っていた。

 

「おぉ!イッヌ!!可愛いぃ!」

 

早速、それをバックにつける。

 

「たきなぁ、最近大活躍だね。」

 

「ハチさん程じゃないです。それに、店が潰れないようにと思っただけです。・・・大切な場所なんでしょ。」

 

私はたきなに今バックに付けた犬のストラップを店ながら気持ちを伝える。

 

「・・・たきな、ありがと。」

 

「て、定期検診行って下さいね。」

 

「う~、分かったよぉ。」

 

「何が嫌なんです?」

 

「嫌なんじゃなくて・・・。」

 

「なんです?」

 

ハチにも笑われたからあまり言いたくないのだが。

 

「ち、ちゅ、注射ぁ。」

 

注射が怖いことを告白するとたきなも以前のハチと同じように笑ってくる。

 

「注射が怖いんですか?銃向けられても平気なのに。」

 

「そうだよぉ~!だって注射避けられないしぃ!」

 

「ははははは!電波塔のリコリスが、ははは!注射が!ははっ!可愛いですねぇ。」

 

「もぉ~~~!」

_______

 

時間は遡り 真島が家に来た日の早朝

 

俺は何時もより早く目を覚まし、出かける準備をする。

どうしても、千束の顔が見たくなったため、自分の部屋を出て向かい側の千束の部屋の扉を開ける。

普段はノックをしてから開けるがどうせ寝ているだろうと思い今回だけはノックはしなかった。

千束の部屋のドアをゆっくり開けると、ベッドに無邪気な顔で寝ている千束が目にはいる。

そんな千束の頭を撫でると彼女は寝言を言う。

 

「ふふっ、ハチぃ。」

 

夢の中に俺がいるのだろうか?悪い気はしないがせめて夢の中の俺にはワガママを言わないでくれよ。

 

一通り頭を撫でてから聞こえるはずはないが眠っている千束に挨拶をする。

 

「ちょっと行ってくるよ。」

 

そういって、千束の部屋から出て目的地に向かう。

 

________

 

私は自室に戻るため今日の予定を姫蒲君から聞きながら歩く。

自室の前にたどり着いたためいつものように扉を開けると、私の椅子に()が座っていた。

 

「おはようございます、シンさん。いい朝ですね。」

 

姫蒲君が史八の存在に気付き彼に銃口を向けるが私はそれを止める。

 

「銃を下ろしたまえ、姫蒲君。ここで君を失うわけにはいかない。君には例の仕事をして貰わなければね。」

 

姫蒲君は私のその言葉に銃を下ろし、史八は、立ち上がりながら言う。

 

「失礼ですね、殺しはしませんよ。まぁ、出る杭は打たれると言いますか、正当防衛はさせて貰いますけど。それよりも俺がここにいることに驚かないんですね。」

 

「そろそろ来る頃だと思っていたし、君ならここにたどり着くと確信していた。」

 

「何故?」

 

「タカの眼を使ったんだろう?」

 

「タカの眼?なんですか、それ?」

 

「ふっ、惚けなくてもいい。君がここにいる。それがその証明だ。君は私の居場所を知らない。しかし、タカの眼を使って他者には見えない痕跡を追ってここにたどり着いた。違うかい?」

 

彼は何も答えなかったが沈黙は肯定として受け取らせて貰う。

 

「姫蒲君、史八君とふたりで話しがしたい。君は例の準備を始めてくれ。」

 

例の準備とは千束の心臓のことだ。彼女は私の言葉に頷いてから退室する。

 

私は史八がさっきまで座っていた椅子に座り、代わりに彼をソファーに座らせる。

 

「参考までに聞きたいのだがどうやってこの部屋まで?警備の者だっていただろう?」

 

「この建物の警備体勢がザルということが証明されましたね。今いる警備の人を解雇するか警備体勢を一から見直した方がいいんじゃないですか?こんなご時世ですし、要人暗殺とかもあるかもしれませんしね。」

 

彼は笑いながら答えた。

 

「はっはっは!そうだね。考えておくよ。」

 

史八は私をじっと見つめてくる。

 

「・・・シンさん、あんたが言ったとおり俺は来た。約束どおり教えてくれるんでしょう?俺の過去を・・・俺に何があったのかを。」

 

「・・・・私の口からは教えられないよ。それは機関として禁止しているからね。」

 

「嘘だったと?」

 

「違うよ。私は・・見せられる(・・・・・)と、そう言ったんだ。」

 

「見せる?」

 

「アニムスだよ。」

 

「!!、アニムスがあるのか?!ここに?!!」

 

アニムスという単語が出た瞬間、表情が代わり、立ち上がる。

そんな彼に私は説明する。

 

「君も知ってのとおりアニムスは対象者の遺伝子記憶を解析し、個人にその対象者の人生を追体験させられる装置だ。」

 

「・・・まさか。」

 

「ミカも言っていたが君は話しが早くて助かるよ。そう、今君が想像したように、まずアニムスに君の遺伝子記憶を解析させる。そのアニムスに君が接続されるだけでいい。」

「今の君の脳からは過去の記憶が消えているが、君の細胞、DNAといった遺伝子はそれを覚えている。君は君自身の記憶を見ることで失った過去を取り戻すことができる。」

 

「何でこんな回りくどいことを?あんたから話せば手っ取り早いと思うんですが。」

 

「さっきも言ったとおりアラン機関はそれを禁止している。それに・・・私の発した言葉を君は鵜呑みにするのかな?」

 

彼は何か考えているがそんなときに彼のスマホの着信音がなる。

彼はスマホを確認するが電話に出ることはなかった。

 

「出なくてもいいのかい?私に気を遣わなくてもいいんだよ。」

 

「今は・・・いいです。」

 

「そうか。」

 

彼は意を決したように立ち上がる。

 

「アニムスはどこにあるんです?」

 

「この建物の最下層だ。エレベーターでこのカードを使えば行けるようになる。」

 

私は史八に、デスクの中に保管していたカードキーを手渡す。

カードを受け取って彼が私に問う。

 

「シンさん、一つ聞いてもいいですか?」

 

「なんだい?」

 

「貴方は・・・何がしたいんですか?」

 

「・・・・・・才能を世界に届ける。それだけだよ。」

 

「そうですか。」とそう言って、彼はドアを手を掛けてからこちらを振り向かずに再び聞いてくる。

 

「もう一つ聞いてもいいですか?」

 

「答えられるものなら。」

 

「・・・・貴方は俺たちに、千束に何をして欲しいんですか?」

 

ここでその問いに答えるのは愚策だと感じ黙っていると史八は黙って部屋を後にした。

 

______________

 

俺はエレベーターの前でエレベーターが来るのを待ちながら考える。

シンさんはタカの眼がどういったものか知っていた。いや、俺に何かしら関係してるのだからアサシンのことも知っていて当然か。

・・・今、考えてもしょうがない。じきに分かる。

でももし、シンさんが千束に彼女のやりたくないことを強いるというのであれば、俺は・・・・。

 

そんな事を考えていたらエレベーターが来たので乗り込み、貰ったカードキーをボタンの横にある溝に差し込むとエレベーターが下がっていくのが分かる。

エレベーターの扉が開くと無人の研究室のような場所が広がっていた。

何故かこの場所に来てから嫌悪感が止まらない。言葉になら無い嫌な感じがする。

通路を道なりに進んでいくと部屋の中心にベッドのようなものがあるのを見つける。

 

「あった。」

 

アニムス。

俺が触るとアニムスが鈍く光る。どうやら起動したようだ。

 

「まるでパンドラの箱だな。鬼が出るか、蛇が出るか。最後に希望があるかは分からないが。」

 

俺はアニムスに横になり、アニムスから出ているコードを自分の腕に繋げる。

眼を閉じると千束の顔が浮かび上がる。

 

「千束。」

 

これは俺の目的に必要なことだと気を引き締める。

そして、アニムスが完全に起動し俺は眠るように意識を失った。

 

________

 

史八がここを後にしてから数十分後に姫蒲君から報告が入る。

 

「どうやら、彼がアニムスに接続されたようです。」

 

「そうか。」

 

「今のうちに拘束しましょうか?」

 

「拘束?そんなことはしなくてもいい。アニムスから目覚めたらそのまま帰らせるつもりだからね。」

 

「何故そこまで彼に気を掛けるのですか?」

 

姫蒲君の質問に答える。

 

「・・・・彼はね未完成なんだよ。いや、未完成になってしまったと言った方が正しいかな。」

 

「?」

 

「彼を完成させる。これにはそれ(記憶を取り戻すこと)が必要なんだよ。」

「そんなことより千束の件、よろしく頼むよ。」

 

「分かっております。明日、実行する手筈です。」

 

「そうか。」

 

姫蒲君が退室し、一人になった部屋で呟く。

 

「史八・・・、千束・・・。」

 

私は10年前のことを思い出していた。

 

 

 

 





すんません!前回、過去編を書くと行っておきながら結局、ワンクッション挟みました。
まぁ、書くかもと言っていましたから許してください。

次回は確実に過去編に入ります!
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