結局、アニメでのDAにいた頃のミカさんの立ち位置がよくわかりませんでした。
訓練教官をしていたとは言っていましたが、OPではミカさんが楠木さんが着ていた白いコートのようなものを着ている描写もあるため司令官だったのかな?とも思います。
なのでここでのミカさんは司令官かつ訓練教官だったと想定しています。
今日分の業務を自室で片付けていると、楠木が部屋に入ってきた。
「指令、報告します。」
「どうしたんだ、楠木?」
「先ほどラジアータが電波塔での犯罪を検出しました。」
「はぁ、またか。」
ラジアータはDAが誇る最強AIだ。
日本中で起こる犯罪を事前に検知しすることが出来る。
私はため息を吐きながらモニタールームまで移動しようと楠木と共に部屋を出る。
「それで、状況は?」
「電波塔をテロリストがジャック。数ははっきりとはわかっておりませんが50名程度、全員武装をしています。」
「そうか、公安や警察は?」
「まだ情報は漏れてはいません。こちらで対処可能です。」
「では、リコリスを動員する。隊を編成し、テロリストどもを鎮圧する。」
「了解。」
私と楠木は共にモニタールームへと入る。
私たちがモニタールームに入ると下にいるスタッフの視線が私に集まる。
「作戦を開始する。」
________
リコリスが現着し、本格的に作戦が開始したが、状況は芳しくない。セカンドとサードのリコリスでは武装した集団相手は厳しいか。
状況が悪いため横にいる楠木が私に尋ねてくる。
「指令、どのように?」
この状況を打開する策はある。
それは……千束を使うことだ。しかし、彼女は1ヶ月前に心臓の手術をしたばかりでまだ本調子とはいかない。
千束を現場に行かせるわけにはいかない。
「…………。」
楠木の問いに答えずにいると入り口から普段ならここにいないはずの男の声が聞こえてきた。
リリベルの司令官である虎杖だ。
「状況が思わしくないようだな。」
「…何をしにここへ?」
「そんなことはどうでも良い。それにしても何故、錦木千束を使わない?彼女は歴代最強のリコリスなのだろう?何故彼女が現場にいないんだ?」
「貴方も知っているでしょう。千束は生まれつき心臓が弱い。1ヶ月前に心臓の手術をしたばかりだ。ベストコンディションではn、」
「それがどうした?リコリスは使い捨ての駒だ。孤児だから代わりなんてものはいくらでもいる。」
「ふざけるな!千束は!」
私は虎杖の言葉に激昂し胸ぐらを掴むが奴は表情を変えずに淡々と言うだけだった。
「彼女だけが特別なわけではないだろう?君がその司令官の椅子に就いてから何人ものリコリスが死んだ?今この瞬間もそうだ。この作戦で何人死んだ?」
何も言い返せなかった。
事実だったからだ。
「上層部からの命令だ。錦木千束を使え。」
「くそっ!」
私は部屋から出ようとする。
「指令!どこに行くのですか?」
「………千束に出撃命令を出してくる。しばらくの間、楠木お前に任せる。」
楠木は黙って頷き、この場は彼女に任せて、部屋を出る。
部屋を出てから、私は考える。どうやれば良い?何が最善だ?
上層部からの命令だ。千束には現場に行ってもらうほかない。しかし、現場で無理をして何かあれば……。
私は今まで以上に頭を回転させた。
娘には生きていて欲しいから。
千束と共にテロリストを無力化し、且つ千束の心臓に負担をかけさせないように彼女以上の実力があり、彼女以上に動いてもらわなければならない。
そんな人物、
そんな時、私の頭にあの少年の顔が浮かぶ。
親としては情けないが…娘の事は息子に頼るしかない。
_______
千束の手術から約1ヶ月が経とうとしていた。
俺は本日、訓練室で
そう…、一人でだ。
今、この場には俺しかいない。
何故か今日はボスからの食事が届かなかった。
こんなことは初めてだ。いつもなら多少の時間のずれはあったが毎日欠かさず食事を届けてくれていた。
食事が来ないことに不満はない。一日、二日抜いたところでさほど影響は見られないからだ。
リコリスの訓練が忙しいのか?
そんなことを思っていると訓練室の前でボスが静かに立っていることに気づいた。
ボスは無表情で感情が読めなかった。
「どうしたんですか?ボス、そんなところに突っ立って?」
俺は流れた汗を吹きながら話しかける。
「史八……、君に頼みがある。」
そして、俺はボスから現状を全て聞いた。
電波塔に武装したテロリストがいること。リコリスを動員したが状況が芳しくないこと。千束の出撃命令。
「史八。私は、」
「ボス。」
ボスの言葉を遮るように言う。
「ありがとうございます。」
「…ありがとう?何故だ!?私は君を闘いに駆り出そうとしているんだぞ!それなのになんで?!」
ボスが泣きそうな顔でそう言うが俺は笑って答えた。
「もし、ボスが俺に何の相談もなく千束だけを現場に向かわせて千束に何かあったら俺は貴方を赦せなかった。でも、貴方は俺をこうやって頼ってくれた。だから………ありがとうございます。」
「史八。」
「もちろん、殺しはまっぴらですけど殺しはなしで、テロリストは無力化すれば良いんですよね?なら、大丈夫です。任せてください!」
「し、しかし君が電波塔に行けばDAに君の存在が明らかになる。そうなれば、」
「ボス、後の事は後で考えましょう。それにその件に関しても大丈夫な気がします。そんなことよりも、千束は?」
「…外で待機させている。」
「では、俺たちも行きましょう。時間が惜しい。」
そう言って俺はボスに背を向けて歩き出す。
「…ありがとう。」
「ん?何かいいました?」
「いや、何でもない。急ごう。」
_______
俺は部屋で装備を整えてからボスの案内で外に向かう。
久しぶりに外に出ると待機している車のそばで千束が待っていた。
「ふたりとも~、遅いよ!はやくはやく~!」
「悪い。じゃあ、行くか。」
「ちょっと待て、ふたりとも。渡すものがある。」
俺と千束は車に乗り込もうとするがボスに止められ、一つのケースを渡される。
「先生、これは?」
「以前、お前たちから頼まれていたゴム弾だ。」
「おほぉ~~~お!!!」
千束はケースを開け、目を輝かす。
「ただし、ゴム弾だから、通常弾とは勝手が違う。弾道がバラけるし普通に撃っても当たらないぞ。」
「え?じゃあ、どうやって当てるの?」
「近距離で使う…ですよね。近ければ弾道も関係ない。」
「そうだ。しかし、あまり数を揃えられなかった。大事に使ってくれ。」
「了解です。」
「ありがと、先生!」
「後、もう1つ、史八にこれを。」
そう言ってボスからの紺色のロングコートを渡された。
「ボス、これは?しかもちょっと重いですね。」
「特殊なアラミド繊維で作った防弾・防刃を兼ねたオーダーメイドだ。」
俺はボスの話しを聞きながらコートを羽織る。
不思議と体に馴染む気がした。
「どうだ?」
「うん。サイズも丁度良い、少し重い気もしますがすぐに慣れます。」
「カ、カッコいいぃ!いいな!いいな!ハチばかりズルい!先生!私の分はないの?!」
「お前にはその制服があるだろう?」
「え~、先生。ハチばかり贔屓してない?」
千束はブー垂れたように言うがボスが両手で俺たちの肩に手を置く。
「……ふたりとも、無事に帰ってこい!」
「大丈夫。任せて、先生!」
「はい。」
俺たちはそれぞれ返事をしてから車に乗り込もうとするが俺だけ再び止められる。
「史八。」
「?」
「……千束を頼む。」
「はい、任せてください。」
ボスにそう言ってから車に乗り込み、目的地へと向かう。
______
現場へと到着する。
車の中で非殺傷弾をマガジンへと詰め、準備は万端だ。
俺は電波塔を見上げる。
「それにしても高いな、ここ。」
「そうだね。その内、首が痛くなっちゃうかもね。」
(一緒に見上げよう。首が痛くなるまでね。)
千束の言葉に一瞬だけ見たこともない情景が頭の中に浮かぶ。
今のはなんだ?
顔は見えなかったが誰かにそんなことを言われた。
アニムスの記憶?いや、今のは……俺の?
そんなことを考えていると横から千束が話しかけてくる。
「ハチ?大丈夫?」
「ん?あ、あぁ、悪い。少し考え事をしてた。」
「集中してよ。」
「あぁ、そうだな。」
俺はそう言ってフードを被る。
「さて、お仕事を始めようか。」
千束と共に電波塔へと侵入する。
______
私はモニタールームで現場の映像を見ている。
状況は変わらない。しかし、このままではジリ貧だ。
時間がかかればかかる程状況が悪くなるのはこちら側だ。
そんな時にモニターに千束が映る。しかし、千束の隣にはフードを被った者がいた。
千束と歳が近いだろうが、顔が見えないため男か女かも不明だ。
ふたりが電波塔へ入っていくところで指令が戻ってきた。
私は今起きたことを指令に報告する。
「指令、大変です!たった今千束が現着しましたが、謎の人物と一緒に、」
「大丈夫。彼は味方だ。」
指令は私の言葉を遮るように言う。
「ここは、あいつらを信じよう。」
指令はそう言って黙ってモニターを見つめるだけだった。
_______
俺たちは今、電波塔内の土産売り場だった場所で訳のわからないガキと闘っている。
味方からの通信が入った。
「西側、どうした?学生?」
俺は周囲の音を広い状況を仲間に伝える。
「ここにも来る。…………上だ!」
俺が仲間にそう伝えると仲間がライフルを敵に向かって乱射する。
再び銃撃戦が始まり、流れ弾が俺の付けていたサングラスを破壊した。
そんなことより敵の増援の足音が聞こえる。
「大時計の下!……クロークに4人、右の売店、レジ下に3人!」
俺は仲間に指示し訳のわからない学生のガキを殺していく。
敵をクリアした爆弾を持った仲間がやってくる。
殲滅したと思われたがまだ、敵がいるようであった。
足音と心音が聞こえる。しかし、あり得なかった。それぞれが
一人は心音は聞こえないが足音が聞こえる。
逆方向から心音は聞こえるが足音が聞こえない。
挟み撃ちにされていた。
その事を伝えようとしたときに銃声が響く。
味方が撃たれた。
次々と味方が倒れていく。俺も応戦するが動きが速すぎて的が絞れない。
…何故だ?
得たいの知れない恐怖感を感じる。
白髪の少女とフードを被った顔の見えない子供が銃口をこちらに向けているのがわかる。
突如、腹部に激痛が走り立っていられない。撃たれたのか?
「真島……起爆しろ………。」
「……くっそぉ!」
俺は仲間の言葉に反応し、最後の気力を振り絞り手元にある起爆ボタンを押した。
_____
俺と千束は最後にお土産売り場にいる敵を挟み撃ちにして奇襲する。
最後に残った緑色の髪の敵に俺たちは銃口を向けた。
俺は千束と共に引き金を引く。
銃声に反応したのか隣で気絶していた敵が目を覚まして口を開く。
「真島……起爆しろ………。」
「……くっそぉ!」
起爆。
その単語に反応する。
男の手には起爆ボタンのようなものが握られていた。
情報にはなかった。完全に油断していた。
すぐに千束を守るため彼女に覆い被さる。
次の瞬間、ものすごい轟音と衝撃に包まれた。
______
ハチと最後のテロリストを無力化した瞬間、テロリストの手の中にある起爆ボタンが押された。
私が気づいたときにはハチが私に覆い被さってものすごい音と衝撃が起こる。
数秒後、ようやく音と衝撃が収まった。
「千束、無事か?」
「う、うん。ありがと。」
ハチが体を起こしてから私も体を起こす。
「むちゃくちゃだ。爆弾があるなんて情報にはなかったぞ。」
「だよねぇ。とりあえず先生に連絡して迎えに来て貰うよ。」
「あぁ、頼む。」
私は通信機で先生に連絡をする。
「先生、聞こえる?」
『千束!無事か?史八は?』
「大丈夫、ハチも無事だよ~。それよりも迎えに来てほしいんだけど。」
『了解した。すぐに回収班を向かわせる。その場で待機しててくれ。』
「りょ~か~い。」
数分後、DAからの回収班が到着し、私たちは車に乗ってDAに帰還する。
車内でハチが話しかけてきた。
「心臓はどうだ?千束。」
「大丈夫みたい。戦闘中も特に気にならなかったし。」
「あっ、そうだ!ハチにはまだ話してなかったよね!これすごいんだよ!音がね、全くしないの!スゴくない!?」
「本当か?」
「あぁ~、疑ってるだろぉ?耳当ててみても良いよ!」
「いいよ、別に。」
私はそっぽを向くハチをからかうように言う。
「あ~、恥ずかしがってるぅ~!」
「ちげぇよ。ただ…、」
「ただ…、なにさ?」
「…音がしないってのは千束が死んでるみたいでなんか…やだ。」
ハチは言いづらそうにそう言った。
「…かもしれないけど私はこうやって生きてるわけだし……。」
「それに今回の件だってふたりで解決できたし万々歳ってやつじゃない?」
「万々歳…ねぇ。俺の本番はむしろこれからがって感じがする。」
「どう言うこと?」
「DAに着いたら分かるさ。」
私にはハチがこのときに言っている意味がよく分からなかった。
______
電波塔爆発後、千束と通信がつながり千束と史八が無事であることが確認できた。
モニター映像も爆発時の煙でふたりの姿を確認できなかったが煙が晴れて千束と史八の姿を確認することが出来た。どうやら大きな怪我は負ってはいない様子だ。
回収班を向かわせふたりにはDAに帰還して貰う。
しかし、喜んでばかりはいられない。
この後にはまだ試練が残っている。
予想通り、虎杖が口を開く。
「彼は何者だ?」
「さっき言ったでしょう。彼は味方だと。」
「味方だと?彼はDAのことを知っているのか?いや、リコリスと共に行動しているということは少なからず
「…………。」
「…まぁいい、この後直接本人から聞くとしよう。」
虎杖は楠木に向かって命令を出す。
「奴を拘束し私のもとへ連れてこい。」
「了解しました。」
楠木は私に一度だけ目線を向けたが、すぐに虎杖の命令通りに史八を拘束するため退室していった。
________
DAに到着し、車から降りると数十人のリコリスたちに銃口を向けられていた。
リコリスたちの中央には赤い髪の毛の女性が立っていたが顔を見ると男か女か判別できない。しかし、スカートを履いているということは女性なのだろう。
俺はこの人に初めて会ったし名前も知らない。だが、本能的にこの人とはウマが合わないと感じていた。
俺は抵抗の意思がないことを証明するために両手を挙げるが隣では千束が慌てていた。
「ちょちょちょちょちょい待って!待って?!なに!?なに!?なんで私たち狙われてんの?!?」
「狙われてるのはお前じゃない、俺だけさ。」
「なんでハチが狙われなきゃいけないのさ!?何も悪いことしてないのに!?」
「俺がこの場にいるこの事態が異常なことなの。車内で言っただろ?俺の本番はこれからって。」
「とりあえず、俺から離れろ。何されるか分からんぞ。」
「でも!」
「いいから。……俺は大丈夫だ。だから、ほら。」
「…ハチ。」
千束を俺から離れるように促すと彼女は渋々といった感じにゆっくりと離れていく。
さて…と。
「大勢での手厚い歓迎痛み入るが、こちらには交戦・敵対の意思はない。拘束して貰っても一向に構わない。」
俺がそうリコリスの中心にいる赤い髪の人物に話しかけると近くのリコリスに指示を出し、俺の身体検査をし、ハンドガンとリストブレードを回収した後、俺はひざまずき両腕を後ろを回され手錠をかけられる。
ハンドガンとリストブレードは赤い髪の人に手渡された。
「ふむ、君には幾つか聞きたいことがある。付いてきなさい。リコリスはもういい。次の命令まで待機していろ。」
その言葉でリコリスはそれぞれバラけて行ってしまった。
「ハチ。」
千束が俺を心配して近づいてくるがそんな彼女に静止の声がかかる。
「千束。お前にも色々と聞きたいことがあるがまずは自室で待機していろ。」
「楠木さん!なんでこんなことを?!」
「命令だ。早く自室へ戻れ。」
「楠木さん!」
千束が抗議してくれているがそんな彼女を俺が止める。
「千束。」
「でも、このままだとハチが!」
「俺は大丈夫だ。それに、このままだとお前の立場まで危なくなる恐れもある。だからここは命令に従っとけ。俺がお前に嘘付いたことあるか?」
「……………………分かった。」
千束も納得して自室へと向かう。
千束の姿が完全に見えなくなったときに千束に楠木と呼ばれた女性が話しかけてくる。
「…ずいぶんと懐かれているようだな。」
「えぇまぁ、人徳の差じゃないですか?」
「ふんっ、軽口を叩けるのも今のうちだ。ついてこい。」
俺は楠木の案内でDAの中にある一室に案内される。
楠木がドアをノックする。
「楠木です。」
「入りたまえ。」
ドアの向こう側から返事が聞こえた。
楠木が失礼しますと言いながら入ったため、俺もそれに続く。
部屋の中にはボスと紫色のスーツを着た見たこともないおっさんがいた。