闇に生き光に奉仕する男の話   作:ダレン シャン

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紅の彼岸花の相棒は蒼の彼岸花な話

 

延空木の上部にいる真島を討伐するために非常階段を使ってフキさんたちと一緒に上がる。

 

「ひぃ~、これしか方法ないんスか~。」

 

「行くぞ。」

 

延空木の中間地点とはいえ上空だ。想像以上に風は強い。

 

『各チーム選抜隊は、4つの非常階段で第2展望フロアに到達後、真島に押さえられている東西南北4つの直通エレベーターを奪還。第1展望台待機組は順次上昇。合流し殲滅してください。』

 

『慈悲は不要だ。皆殺しにしろ。』

 

通信機から司令部の指示が聞こえる。

 

「敵は目視出来ないっスねぇ。」

 

そんな時、再びクルミから通信が入る。

 

『たきな、千束のスマホを見ろ!』

 

クルミの指示通り千束のスマホを見ると、クルミが既にハッキングしたのかスマホには拘束された吉松の姿が映し出されていた。

 

「!」

 

『その画像が送られて、吉松からの着信が入ってた。今、ミカの車は押上だ。おそらく、3人は旧電波塔に向かってる。…つまり、心臓の持ち主のところに千束が行くってことだ!たきな!万事解決だぞ!』

 

「………。」

 

クルミは嬉しそうな声を出しているが、わたしは正直そうは思えない。こんな話しはうますぎる。

 

「そうでしょうか?」

 

『ん?』

 

「嫌な予感がします。罠かもしれない。」

 

『千束なら大丈夫だろう。それに、ミカと史八もいる。』

 

あの3人を信用していない訳じゃない。

しかし、あのバーでの吉松の台詞を思い出す。

 

(君には期待しているよ。)

 

あの意味深な台詞………。

 

「絶対に何かある。」

 

足を止めているわたしにサクラさんから声がかかる。

 

「さっさと来いよ~。」

 

『おい、たきな?』

 

「他チームに負けちゃうだろ?!」

 

「……すみません、わたしはここで……。」

 

「またかよぉ!お前!」

 

「たきな、どういうこと?!」

 

「千束の所に行きます。」

 

「バカがうつったか?任務中だぞ!」

 

「すみません!」

 

千束のもとに行こうと任務放棄をしようとするわたしにチームから非難の声が上がる。

しかし、わたしは決めたんだ。

…千束を守ると。

 

そんな時、エリカが口を開く。

 

「フキ、行かせてあげて!私がたきなのポジション埋めますから!」

 

「ハハハハ!無理無理ぃ、そもそもこいつがクビになったのはぁ……あんたのヘマが原因だろ!!」

 

「……そう、全部私のせいよ!」

 

エリカはわたしに抱きついてくる。

 

「あの時は本当に…、ごめんなさい。」

 

エリカは泣きながらわたしに自分の気持ちを伝えてきた。

そう言ってから階段を駆け上がっていく。

 

「な、なんスか。ホントのことっスよ~。」

 

「……この任務を降りればもうDAには戻れんぞ。」

 

 

フキさんは最終確認をしてくる。

しかし、わたしの気持ちは既に決まっている。

 

「分かってます。」

 

「最後のチャンスなんだぞ。」

 

「………此処では千束を救えない。それだけです。」

 

「……はぁ、行けよ。」

 

フキさんにお辞儀をする。

 

「行くぞ。」

 

「し、司令部になんて報告するんスか~。」

 

「アイデア募集中だ。」

 

「えぇ~。」

 

後ろからそんなふたりのやり取りを聞きながらわたしは旧電波塔へ向かう。

 

_____

 

俺達は旧電波塔に到着した。

車の中で話し合って千束とふたりで行くことになった。

 

「じゃあ、行ってくるよ。」

 

「本当にふたりで行くのか?私も、」

 

「大丈夫。店に戻ってお茶飲んでて。」

 

「…そうか、シンジによろしくな。」

 

「うん。」

 

千束は頷いてから俺たちを監視しているドローンをライフルで撃ち落とす。

 

「いってきます。」

 

「あぁ、行ってこい!」

 

「よぉし!ハチ、行くぞ~!」

 

「あぁ。」

 

俺は千束と共に旧電波塔へ入ろうとボスに背を向けたところでボスに話しかけられる。

 

「史八。」

 

「?」

 

「…必ず、千束と共に帰ってこい!……必ずだ!」

 

「…もちろん。まだ、死ぬわけにはいきませんから。千束は絶対に護り抜きます。……この件が片付いたら、千束とたきなに美味しいコーヒーでも淹れてあげてください。」

 

ボスの言葉に俺は笑って答えてから旧電波塔に入る。

 

_____

 

私は旧電波塔に入っていくふたりの背中を見つめる。

 

本当に大きくなった。心も身体も。

私のような人間にはもったいないくらいの自慢の子どもたちだ。

 

「千束とたきなにコーヒーでも淹れてやってくれ………か。」

 

私は先程、史八が口にした言葉を反芻する。

 

「史八、その時………、お前は。」

 

私は2人が入っていった旧電波塔を見上げる。

ここに……、シンジがいる。

私はもう決意した。

いや、こんなもの決意なんて高尚なものじゃない。

これはただの………私の我が儘だ。

 

 

 

やはり私はふたりとも…………助けたい。

 

 

____

 

俺は旧電波塔のドアを無理やり開けて、千束と共に侵入した。

 

「今日は押してもいいんだよね?」

 

「あぁ、好きなだけ強く押せ。」

 

「はぁい皆さぁ~ん、逃げてぇ~。」

 

千束は非常ボタンを押す前に俺に確認してくる。

昨日、俺が言ったことを根に持っているようだ。

そんな千束に許可をだし、千束がボタンを押すと警報のベルが喧しく鳴り響く。

 

俺と千束は急いでエレベーターに乗り込み、階を上がっていくが途中でエレベーターが止まってしまった。

周囲を警戒しながらエレベーターを降り、上へ向かうため階段を利用する。

 

わざと足音をたて敵をこちらにおびき寄せる。

 

「いらっしゃいませ~。」

 

千束が非殺傷弾で敵のひとりを無力化する。

まだ、上に3人ほどいるのか威嚇射撃をされるが、俺はスモークグレネードを投げる。

スモークが晴れない内に俺も千束と同様に非殺傷弾で残りの敵を無力化する。

気絶して階段から落ちないように体を支える。

 

「さっすが、ハチ!分かってるぅ~。」

 

「頭打って死なれでもしたら目覚めが悪いからな。」

 

その後、階段で行ける最上階まで行く。

 

「んじゃ、頼む。」

 

「オッケぇ~!」

 

外へ出るため千束はライフルをボルトアクション式にして、10年前に壊れて閉じたままのドアを撃つ。数発撃ってからドアを蹴り破ったが思いの外簡単に開いたようで勢い余って千束は外に飛び出そうとしてしまう。

 

「うおぉ~!」

 

「ちょっ!まっ!」

 

俺はドアにしがみつく千束を引き寄せる。

 

「お前なぁ~!転落死なんて洒落にならんぞ。」

 

「あっぶなぁ~。さんきゅっ!」

 

「ったく。」

 

そんな会話をしてから上の様子を探る。

やはり、真島もバカではない。

外にも敵が配置されていた。

 

「これじゃあ、狙い撃ちにされるな~。」

 

「どうしよっか?」

 

「ちょっと待て、今考える。」

 

こんな足場の悪いところでは千束はいつものように避けられないかもしれないし、あまり千束の心臓に負担をかけたくない。

となると………。

 

「俺が千束を背負って敵の銃撃を避けるから、千束は俺の分まで敵を無力化してくれ。」

 

「おぉ~、りょ~かい!!」

 

俺がそう提案すると、千束は目を輝かせ身を預けてくる。

 

「よし、準備はいいか?」

 

「いつでも!」

 

「よし!」

 

俺は千束を背負ったまま近くの鉄骨を足場にして縦横無尽に駆け上がる。

当然、敵に見つかるが千束が当てやすいように接敵し千束は次々に非殺傷弾を当て無力化するが、一人だけ足場から落ちてしまいそうな奴がいた。

 

「やっば!」

 

千束はそいつにもう一発お見舞いして足場に倒れさせる。

 

「ごめんちゃ~い。」

 

「千束!2時の方向に、」

 

いるぞ、と言いきる前に敵が発砲する。

当たらなかったが千束から死角だったため驚いたのか後ろの千束が暴れる。

 

「え?あっ、あ、あぁ~!!ちょちょちょちょ!」

 

「ちょっ!あまり暴れ、」

 

千束が暴れてしまったため俺は足を滑らせる。

 

「う!う、おぉ~!!」

 

俺は意地でも落ちないように外壁にある縁に掴まる。

後ろの千束の安全を確認する。

 

「すまん、千束!大丈夫か?!」

 

「ビックリした~。けど、大丈、」

 

千束が言い終わる前に敵に狙い撃ちにされる。

しかも、ライフルを落としてしまったようで千束は鞄の中からハンドガンを取り出す。

敵の射撃で外壁の一部が破壊され俺の掴んでいた縁も破壊されてしまう。

 

「ちょ!ハチ!?落ちる!落ちてる~!!!」

 

「大丈っ夫!」

 

後ろの千束が耳元で喧しいが、俺は上にある鉄骨に右のリストブレードで狙いを定める。

リストブレードからワイヤーを射出し、鉄骨に引っかけてからワイヤーを巻き上げる。鉄骨に掴まり、俺たちを狙っていた敵を千束に狙って貰う。

敵が落ちそうになるが足場に掴まり、自力で上ってきたところを俺の背中から降りた千束が眉間に一発撃ち込む。

 

「よく頑張りましたぁ~。」

 

「容赦ねぇな。」

 

「それよりもハチ!なに今の?!初めて見たんだけど!?」

 

千束が目をキラキラさせて尋ねてくるが、説明するのも面倒なので話題を変える。

 

「それよりも千束。明日からおやつ禁止な。」

 

「あぁ~!ハチが女性に言ってはいけないセリフ言ったぁ!!!」

 

「オブラートに包んだだろ?重いなんて一言も、」

 

「ほら、今言ったぁ~!!」

 

「……いや、今のは誘導尋問だろ。」

 

「いい、ハチ?私自身は重くない!絶対に!!私の持ってる装備が重いの!!分かった!?!?」

 

「分かった分かった、悪かったよ。」

 

「まったく!失礼しちゃうよ!!」

 

千束は頬を膨らませながら向こうへ歩いていく。

俺も千束に続くが彼女は中に入れそうな窓の前で立ち止まった。

 

「どうした?」

 

「ううん、またここかぁって思ってさ。」

 

「………そうだな。」

 

窓から下を見ると10年前の景色がそのままあった。

そこから旧電波塔内部に侵入するが、吉松さんの姿は見当たらない。

 

「千束、まだ敵が潜んでいるがここは二手に別れよう。敵をあらかた片付けたらまた合流するぞ。」

 

「おっけぃ~!」

 

千束と別れ、俺はわざと相手から隠れずに索敵していると反対側から5人の敵に奇襲される。

銃弾を避けながら走って接敵しハンドガンとスタンナイフで一人ずつ確実に無力化する。

しかし、1人だけまだ意識があるようだ。ちょうどいい。

銃口を男の眉間に突きつける。

 

「吉松さんはどこだ?」

 

「……お前らに教えると思うか?」

 

「そうか、じゃあいいや。勝手に探すから。」

 

眉間に非殺傷弾を撃ち込もうと引き金を引こうとするがその前に目の前の男が尋ねてきた。

 

「…何故お前らのようなガキが俺たちの邪魔をする?」

 

それはこちらのセリフだ。

お前らのせいで俺の計画に修正をいれることになったんだからな。

 

「…あんたらのような子どもみたいな考えを持つ大人がいるから、あいつらのような子どもが大人の真似事をしなくちゃいけないんだよ。」

 

男の質問にそう答えてから俺は容赦なく引き金を引いた。

 

周囲に敵がいなくなったので千束と合流する。

 

「ハチ?!どう?ヨシさんいた?!」

 

「いや、いなかった。そっちは?」

 

千束にそう尋ねるが彼女は首を横に振るだけ。

この階にはいないということはもっと上か?

千束と共に階段を使って上にあがると俺たちの足音が聞こえたのかは分からないが吉松さんの呼ぶ声が聞こえた。

俺達は顔を見合わせ声のする方に走る。

 

着いた場所は展望台。

外を見渡せば、都心が一望できる。

しばらく、展望台で吉松さんを探すと拘束された吉松さんを見つけた。吉松さんの横にはケースも置かれている。

良かった。千束の心臓もある。

 

「ヨシさん。」

 

千束から安堵した声が出る。

その瞬間、どこからかフィンガースナップの音が聞こえた。音が反響し、ハッキリした位置が特定できない。

それを合図にシャッターが降りた。

外からの光が遮断されたことで辺りが暗くなる。

 

俺達は吉松さんの両サイドに移動する。

千束はハンドガンを構え周囲を警戒する。

 

「ハチ、ヨシさんの縄を!」

 

「分かってる。」

 

俺はリストブレードで縄を切り始めるが、吉松さんの横に置いてあるケースに意識がいっていた。

そんな時に延空木にいるはずの真島の声が聞こえる。

 

「よぉ、ヒーロー。」

 

「真島ぁ!」

 

真島が発砲する。

千束はそれを避けるが、銃弾は吉松さんに当たってしまった。

 

「うわぁ!…う゛ぐ…。」

 

「ヨシさん!」

 

吉松さんはうめき声をあげながら椅子から倒れてしまいその拍子にスマホが床に落ちる。

 

「ハハハハハ!避けると大事なヨシさんに当たっちゃうぜぇ!」

 

真島に再び撃たれる前に俺は千束より前に移動し、防刃・防弾用コートで真島の銃弾を防ぐ。

真島の姿がハッキリ見えていればリストブレードの籠手で防げたが光が遮断されたことでハッキリ見えない。

隠れたのか?

 

「ハチ、大丈夫?!」

 

「あぁ、コートで防いだから多少痛いが問題ない。それよりも、吉松さんは?」

 

千束は鞄からライトを取り出し、後ろにいる吉松さんを確認するが彼は既にそこにはいなかった。横にあったはずのケースも失くなっていた。

 

ケースをもって避難したか。

ならいい、ここで真島とドンパチやって流れ弾がケースに当たったら大変だ。

 

千束は鞄を盾にして警戒しながら真島に尋ねる。

 

「あんた!なんでぇ?!」

 

「ここにいるんだってかぁ~?フフフ。」

 

俺と千束はそれぞれ左右を警戒しながら索敵する。

再び、フィンガースナップが聞こえる。

今度はそれを合図に、展望台についていた複数のモニターが起動し、映像が映し出される。

現在、放送されているニュースのようだ。

しかし、放送されているものは信じられないものだった。

 

『映像は延空木からの中継です。…武装した少女が発砲を繰り返しています!』

 

モニターには数名のリコリスの姿が映し出されていた。

たきなの姿は見られなかったが中には知っている顔のリコリスもいる。

しかし、問題はリコリスの存在が公になってしまったことだ。

これじゃあ、あいつらが動くかもしれない…。

 

「あっちのリコリスは今や全国デビュー中だぁ。ハハ、これでお前らは終わりだ。」

 

千束が真島の声のする方向に銃口を向けるが、姿が見えないのでむやみに撃てない。残弾は残り少ない。真島が発砲するが千束はすんでのところでそれを避ける。

 

千束がお返しに一発返すが当たらない。

ライトで照らし真島の姿を確認しようとする。

 

「ダメだ、千束。光は!」

 

自ら自分の位置を教えるようなものだ。

 

真島が奇襲をかけてきた。

千束の手からライトが離れ再び辺りが暗闇になる。

しかし、一瞬でも真島の姿が確認できたため、千束と真島の間に割り込み、奇襲から千束を守る。

 

「へぇ、やるじゃねぇか。流石は暗殺者(アサシン)と言ったところか?」

 

「……。」

 

敢えて、なにも答えなかった。

仮説を立てるためだ。

何故かは分からないが真島には俺たちの位置がハッキリと分かっている。

だから、迷いなく発砲できるのだ。

 

真島は再び暗闇の中に消える。

 

「見えてんの?!」

 

「聴こえるのさ。」

 

千束の後ろから真島の声が聞こえる。

千束が発砲するが真島には当たらなかった。

それよりも聞こえるか……。なるほどな。

 

「エコーロケーションか。」

 

「えころ……けー…………なに?」

 

俺のひとり言に千束が反応する。

 

「エコーロケーション。反響定位とも言われるが、…蝙蝠やイルカは自分から超音波を出し、その反響を利用して周囲の状況を把握する。それと似たようなことを真島はしているんだ。そうだろ?」

 

「ほぉ~、物知りだな暗殺者(アサシン)。それも、ヨシさんから教わったのかぁ?」

 

真島は煽ってくるがそれを無視する。

 

「ん~、つまり………どゆこと?」

 

「あいつは蝙蝠男……、だとあの有名なダークヒーローになっちまうな。……あ~つまり、真島・耳・とてもいい・真っ暗・俺たち・位置・わかる。OK?」

 

俺の説明を理解していない千束にいつかしたように分かりやすく説明するの。

 

「なるほどねぇ~。って、なんで片言!?またバカにしたなぁ~!ずっと前にもこんなやり取りしたような気がするんですけどぉ~!」

 

「気のせいだろ。」

 

そんな会話をしていると真島のいる方向から舌打ち…クリック音が聞こえる。

 

「正解だよ、暗殺者(アサシン)。」

 

シャッターが閉じて展望台が密室になっているため音が響く。

これで周囲の状況を確認できるのか。

 

「相手の微細な動きで射線と射撃タイミングを判断する…。そして、何人もの暗殺者(アサシン)たちの力をその身に宿す…。すげぇ、能力だ。アランが興味持つわけだぜ。」

 

俺と千束は背中合わせに立つ。

俺達は真島の場所を判断できない。

真島は音で俺たちの位置を判断できる。

この状況、真島に地の利がある。

後手に回るのは必至。ならば、できるだけ真島の行動を単調なものにするために俺は真島を煽ることにする。

 

「あんたはその聴覚をアラン機関に気に入られたのか?」

「10年前、あんたは目に包帯をしていたが、あれは視界を塞ぎ、限界まで聴覚を敏感にさせるためか?それとも……あんたのその目はアラン機関からの贈り物か?」

 

「ハッ!残念だがその手には乗らねぇよ、暗殺者(アサシン)。だが、まずはお前からだ!」

 

俺だけにターゲットを絞ってくれるなら願ってもないことだ。

千束に負担はかけられない。

どう攻撃されようとカウンターを取れるように迎撃体制にはいるが俺の後ろから千束のうめき声が上がる。

 

「うぐっ!」

 

しまった、発言はフェイクか!

千束を守ろうと俺は彼女の前に立つが真島の銃弾を数発くらってしまった。

 

「ぐっ!」

 

「ハチ!」

 

「コートで防いだ。出血はないが4番と5番が折れた。肺には刺さってない。大丈夫だ。」

 

俺は迅速に自分の状態を把握し、千束に簡潔に伝えるが動くと右腹部から激痛が走る。

まずいな。いや、痛みなんて関係ない。こいつを早く何とかしないと千束の命が…。

 

「ハハッ!お前ならそう来ると思ったよ!お前ひとりだけならこの暗闇の中でも俺と対等に闘えたかもしれねぇが、お荷物がいるんじゃあなぁ。お守りも大変だろ?」

 

「真島ぁ!!」

 

「落ち着け、千束。大丈夫だ。」

 

「聞いたぜぇ、ヨシさんからよぉ。つまんねえ縛りで才能を枯らしてんだってなぁ。…けど、俺はお前らのそういうとこ好きだぜぇ。人に生き方を強要されんのは俺も嫌いだ。」

 

「一緒にすんなぁ!!」

 

千束は真島の声のする方に発砲するが真島は再び姿を暗闇に消す。

 

それから真島からある提案をされる。

 

「俺たち3人でこれからのアラン機関を叩かねぇか?ヨシさんは痛め付けてもなかなか口を割らねぇんだ。お前らとなら組めるかもしれねぇ。」

 

また千束の後ろから真島の声がして千束と共に警戒する。

クソ!どうしても後手に回ってしまう。

 

「どうする、ハチ。」

 

「う~ん。」

 

打開策が思い浮かばない。

真島はさっきから千束ばかりを狙っている。背後を取るのも千束だけだ。

千束への奇襲が成功すれば俺が助けにはいる。助けにはいれば大きな隙ができる。真島はその隙を狙えばいい。

時間が経てば経つに連れ状況は悪くなる。

ジリ貧状態だ。

 

そんな時、吉松さんのスマホに着信が入る。

 

「「?」」

 

俺と千束はほぼ同時にスマホを見る。

スマホは3コール鳴った後に切られ、再び鳴ったがワン切りされた。

 

俺はその不審なスマホを見て、千束が眠っていたときに聞いた彼女の台詞を思い出す。

 

(わたしからの電話は3コール以内で出るようにと。出ない場合は危険と判断して次のワン切りで千束のもとに向かう通知にするって。)

 

「ハチ!!」

 

「あぁ!」

 

千束も気づいたようだ。

当たり前か。千束は彼女の相棒なのだから。

 

千束と共に真島から距離を取るために走る。出来るだけ足音を立てて。

非殺傷弾も残り少ないが、真島に当たらなくても撃つ。

………今からここへ来る彼女に知らせるために。

 

真島からしたら不審な動きに見えるのだろう。

だから奴は勝負をつけるために接近してきた。

 

その時、俺たちの横にあるシャッターが鈍い音をあげながら凹み始める。

凹んでいたシャッターは壊れて、そこから外界の光と共に蒼い彼岸花が舞い降りた。

 

真島は突如現れた彼女に不意を突かれ蹴りをくらっていたが自分に向けられた銃口から自分を外すようにずらす。

 

「お前には用がないって言ったろぉ。」

 

千束が相棒を守るために真島の腹部に非殺傷弾を当てる。

真島はうめき声をあげながら反撃するが姿は見えているため千束は銃弾を避ける。

 

真島は銃を奪いながら千束たちを1ヶ所にまとめ奪った銃で止めを刺そうとしたが俺がリストブレードの籠手で弾き返す。

 

「遅くなって申し訳ありません。」

 

彼女から謝罪の言葉が聞こえるが俺も千束も気にしていない。

まぁ、なぜ延空木に居るはずの彼女がここにいるのかは気にはなるが…。

 

「ううん、ありがとう。たきな!」

 

「あぁまったく、いいタイミングで来てくれた。」

 

さぁ、反撃だ。

 

 

 

 





という事で、オリ主君の新装備はロープランチャーでした。
しかし、この作品では、ジップラインは出来ないようにしています。あくまでも、ワイヤーを射出し、どこかに引っ掻けてワイヤーを巻き上げながら登るのを補助するためのものにしてあります。

シンジケートで登場し、ちゃちゃっと作られていましたが一体、このロープランチャーはどういう構造をしているのでしょうか?
とても気になります。
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