俺と真島の一騎討ちが始まる。
奴がライフルの銃口を俺に向ける前に、俺は非殺傷弾で真島の腹部を狙い撃つ。
「うぐっ!」
真島はそれで怯み前屈みに倒れようとし、俺はそんな真島の意識をスタンナイフで奪おうと奴に近づいたときに真島が突然、タックルをしてきた。
油断していた俺はタックルで吹き飛ばされないようにするが、持っていたスタンナイフを手から離してしまう。
俺は真島とお互いの腕を抑え合う形になる。
数発、非殺傷弾を撃ち込んだのになんで動ける?
そう思って、真島を見てみると奴のシャツの中に黒いものが見えた。
「防弾ベストか。……良いの着てんじゃん。もしかしてお宅、ファッションにうるさいほう?」
「ははっ!ヨシさんの贈りモンだぁ!」
真島はバックステップで距離を取り、ライフルをこちらに向けて発砲してくる。
俺はそれを走りながら避けて、物陰に隠れる。
まずはあのライフルをどうにかしなきゃな。
「ほらよ、プレゼントだ。」
俺がそんなことを考えていると俺が身を潜めているところにグレネードが投げ込まれる。
それを真島のいる方に蹴り返すが、真島はそれを避ける。
俺はグレネードの爆発で出た煙を利用にして真島との距離を詰める。
リストブレードでライフルについているスリングを切り裂き、回し蹴りで、真島の手からライフルを飛ばす。
これで現状、真島の手に銃火器はない。俺はリフトブレードを構える。
腹部は駄目だ。ベストで防がれる。
狙いは頸部。
これで終わりだ。もう誰にも千束の幸せの邪魔はさせない
右のリストブレードで真島の頸に狙いをつけて腕を伸ばす。
リストブレードの刃が真島の首筋に当たりそうなところで脳裏に笑顔の千束の顔や千束との思い出がチラつく。
(ハチぃ~。)
(たくさんの人を助けたいんだ。)
(出来るよ。私と一緒にやろ。)
(やっぱり、ハチは優しいね。)
「っ!」
千束の言葉が頭を過り、俺の動きが止まる。
動きの止まった俺を真島が蹴り飛ばす。
不幸にも、真島が蹴った箇所が肋骨が折れた場所で体を起こせないほどの激痛が走り、俺は踞ってしまう。
「はぁ、はぁ!はぁ!」
なんとか呼吸をし、状態を確認する。
…大丈夫。嫌なところを蹴られたが肺には刺さってない。
踞っている俺を真島は足で乱暴に仰向けにして話しかけてくる。
「はぁ、しらけるなぁ。
「はぁ、はぁ、はぁ、ぐっ。」
「痛みで答えられねぇか?まぁ、いいや。もう一度だけ聞くぜ。俺と一緒にアランを潰さねぇか。」
真島は俺のそばにしゃがみそう尋ねてくる。
「
俺は息を整えながらその問いに答える。
「お前の、」
「あ?」
「……はぁ、はぁ。お前の言葉に……はぁ、嘘偽りはない。…お前は本当に……弱い者の味方をしているつもりなんだろう。」
「あぁ、そうだぜぇ。俺はいつも弱い方の味方だ。」
「…はぁ、はぁ。ははは……、弱い者の味方?笑わせんな。じゃあ、今の状況はなんだ?お前が銃をばらまいたせいでどれだけの市民が傷ついたと思っている!その尊い命を散らしたと思っている!はぁ、はぁ……。知らないようだから教えてやるよ!お前の言う弱者の味方って言葉はな、お前が自分の正義を正当化したい理由に過ぎないんだよ!」
「……そうか。残念だよ、
真島はそう言って立ち上がり、数発の銃弾を俺に撃ち込む。
「~~っ!!」
撃たれた箇所から血が滲んでくる。
痛い。熱い。体から流れ出る血が温かい。
……意識が遠くなる。
「まだ、意識があるのか?まぁ、その傷ならじきに死ぬだろう。……まぁ、そんな寂しがることはねぇよ。直ぐに
その言葉を最後にどんどん真島の足音が遠くなるのを感じる。
耳に残った真島の言葉を反芻する。
………あのリコリスも?
あのリコリスって誰だ?……千束か?千束のことか?
千束を殺すつもりなのか?こいつを千束のもとへは行かせない。
どうすれば奴を止められる?…どうすれば?
そうだ。簡単じゃないか。
こいつを、
殺せばいいんだ。
_______
これで
あのリコリスのもとへ向かおうと延空木から降りるため階段へ向かう途中、背後から音が聞こえる。
振り返るとさっきまで何も出来なかった
「おいおい、こんなのヨシさんから聞いてねぇぞ。
致命傷と言われるだけの傷は負わせたはずだ。なのに何故立てる?
「……まだ、契約外だから覚悟が出来てなかった。」
「?」
「……俺はこれから多くの人を殺す。」
何を言っているんだ、こいつは?
「お前ひとりの命がひとつ増えるぐらい………誤差だよな。」
「……真島、お前の死を俺が地獄へと向かう第一歩としよう。」
その眼を見たとき、理解した。……いや、理解させられた。
俺は踏まなくてもいい虎の尾を踏み、触れてはいけない龍の逆鱗に触れていたのだと……。
______
私は姫蒲君と共に旧電波塔の廊下を歩いている。
真島の残党がいる可能性もあるが、姫蒲君と一緒ならだいじょうぶだろう。
そう思っていると、前からロフストランドクラッチをつきながら見知った顔の男性がこちらに向けて歩いてきた。
「ミカ……。」
「シンジ……、そいつが千束を襲った女か?」
ミカはただならぬ雰囲気を醸し出していた。
それにあてられたのか姫蒲君は所持していたナイフでミカを襲う。
しかし、ミカは持っていた杖でナイフを弾き飛ばしてから、杖を振り回し姫蒲君を窓際まで吹き飛ばす。
距離が出来たことでミカはライフルで姫蒲君を撃つがおそらく千束や史八と同じ非殺傷弾であろう。
姫蒲君は数発、撃ち込まれ意識を失う。
ミカが杖を使わずにこちらに歩いてくる。
「お前………、足は?」
「戦士は全てを見せないものだ。愛する者には…、特にな。まぁ、史八には見抜かれてしまったが。」
逃げることは不可能か……。
ここまでのようだ。
「ははっ、流石だな。史八は。」
「……彼にお願いされたのか?……私を殺して欲しいと。」
「…そんなことをあの子が言うと本気で思っているのか?」
「…………。」
「あの子は……史八は強くて弱い分、厳しくて優しい子だ。だからこそ、人一倍考え葛藤し、命が尊いものだということを誰よりも理解している。……しかし、その尊いものの中に自分の命は入っていない。そして今、千束のために自分を犠牲にしようとしている。」
「ふっ、甘さの捨て方も教えるべきだった。…私の命ひとつで史八が本来の道へ戻ってくれればよかった。………千束も、」
ミカは懐から銃を取り出し、銃口をこちらに向ける。
「シンジ…、お前が生きていると……、あの子たちは幸せになれないんだ。」
「恨まれるかもしれないぞ。」
「…殺されてもいいさ。覚悟は出来ている。これはただの……私の我が儘だ。」
「………そうか。…ミカ。」
「なんだ?」
「…最期にひとつ、伝言を頼まれて貰えないか?彼に伝えるのを忘れてしまっていてね。」
「なんだ。」
「━━━━━。」
「しっかり、伝えてくれよ。」
「あぁ。」
そう答えたミカの声は震えて、涙を流していた。
「狂わされたな、お前も…。あの子たちに。」
「………そうだな。」
銃弾がどこに当たったのかはわからない。
だが、銃声とほぼ同時に私の意識は無くなった。
_____
「殺す。」
さっきとは全く違う雰囲気を纏った
先程よりも段違いで疾い。奴に向かって撃つが最小限の動きで避けられてしまった。
今までに感じたことの無い命の危険を感じるが、それに比例して気分が高揚する。
「ハハハッ!そうこなくっちゃな!面白くなってきたじゃねぇか、
「黙って、死ね。」
気付いたら
銃口を向けようとするが、腕を抑えられ銃弾は明後日の方向に飛んでいく。
近距離は不味いため、バックステップで距離を取ろうとするが、腹部から激痛が起こる。何事だと視線を落とし腹部を確認すると奴の手首に付いていた刃がめり込んでいた。
防弾ベストを着ていたため出血こそないが、普通に刺された方がましだったと思えるほどの痛みだ。
俺が痛みで前屈みになった瞬間、
体を倒された瞬間、息をする間もなく俺の頸に奴の刃が迫ってきた。
「俺が殺すと言った以上、お前の死は絶対だ。」
俺は自分の死を覚悟した。
_____
これで終わりだ。
俺が右のリストブレードで真島の頸を突き刺そうとした。
その瞬間……。
「だめぇぇぇぇぇ!!!」
千束の声が聞こえる。
俺は腕を止め視線を声の聞こえた方向へ向けるとそこには千束とたきながいた。
なんで千束がここに?!
たきなと一緒に下へ降りて病院へ向かったんじゃないのか?!
そんなことを考えていたら倒れている真島に中央にあるガラス張りの場所まで蹴りあげられる。
「がはっ!」
俺が倒れ込んだことで下のガラスにヒビが入る。
立ち上がろうとしたときに真島に骨折部を踏みつけられて痛みがぶり返してくる。
「あ゛ぁぁぁ!!」
「お前には、ガッカリだぜ。
真島はそう言いながら何度も俺を踏みつける。
「真島ぁぁぁ!!!」
千束とたきなが真島に銃口を向けるが真島は落ち着いて口を開く。
「おっとぉ、撃たない方がいいぜ。見てみろ、下はガラス張り。ちょっとの衝撃で割れちまいそうだぜぇ。そしたらお前らの大好きな
ふたりが歯を食い縛っている姿が見える。音がこっちにまで聞こえてきそうだ。
血を流しすぎた。体が思うように動かない。意識が朦朧とする。遠くで千束とたきながなにやら叫んでいるがなにも聞こえない。
さっきから千束たちはなにを叫んでいるんだ?
そんなことより、お前はこんなところにいないで早く病院へ行けよ。
時間がないんだ。たきな、早く千束を病院へ連れていってくれ。
折角、新しい心臓が手に入ったんだ。これで千束はまだまだ生きられる。
今までに出来なかったことが………、諦めていたことが出来るんだぞ。嬉しいだろ?なぁ……、千束。
………なのになんで、なんでそんな泣きそうな顔してんだよ?
泣くなよ。俺が悪いことしてるみたいじゃないか。
お前には笑っていて欲しい。幸せになって欲しい。
それが俺の……、唯一の願いなんだ。
真島が俺に話しかけてくる。
「ほら、頑張れ頑張れ。あのリコリスたちの応援に応えてやれよ、期待されてんぜぇ、
真島は俺の髪を掴み上げる。
「さっきまでいい感じだったのになぁ。…腑抜けた眼になりやがって。もう一度だ。もう一度あの眼になれよ!そして、俺と闘えぇ!」
「たいした奴だよ、お前は。」
「あ゛?」
「地下鉄でも、警察署でも、お前は短時間で何人殺した?」
「さぁな、数えたこともねぇから知らねぇな。」
「…だよな。こっちはひとり救うので精一杯だよ。」
俺は左のリストブレードの銃口を下に向ける。
真島は一瞬俺の狙いが分からないような表情をするが、俺の狙いが分かった途端、表情が変わる。
「待て!正気か?!」
「わりぃな、真島。
真島に髪を掴まれたまま告げる。
「
そう言って、俺は躊躇なく、下のガラスに向けてリストブレードから非殺傷弾を発砲する。
その瞬間、ガラスが割れる。足場がなくなり俺と真島は共に落下する。
「「ハチ(さん)!!」」
俺は左手で真島の手を掴み、右のリストブレードからロープランチャーを射出し、上にある手すりに引っ掻ける。
俺は延空木に宙吊りになっていて真島の体重も加わっているため、体に今まで以上の激痛が疾り、出血も少なくないため、真島の手を掴んでいる手の力が抜ける。
そんなときに下から真島が話しかけてくる。
「……おい、何をやってる。」
「見てわからない?助けてんの。……ここで見殺しにしたら目覚めが悪くなるからな。……というかあまり、話しかけないでくんない?お前に撃たれた傷がめっちゃ痛いから。」
「はっ!やっぱ、甘ぇな。お前は。なんだその腑抜けた眼は。俺を殺すと言ったときの眼の方が似合ってたぜ。…やっぱり、お前の本質は殺しだよ。俺が言うんだ、間違いねぇ。」
「…そうかもしれない。けど、
「………そうかい。なら、仕方ねぇな。」
「?」
「そんな腑抜けたお前には、俺の生も死もくれてやらねぇよ。」
そう言って真島は俺の掴んでいた手を離す。
「っ!おい、馬鹿!!」
「
そう言った真島の姿はどんどん小さくなり、やがて見えなくなってしまった。
「……………バカ野郎が。」
俺がそう口にしたとき、延空木の周りの夜空に巨大な花が咲き誇る。
最後に延空木に花火が打ち上がったときに、edの「花の塔」が伏線だったのか!と思っちゃいました。
…………考えすぎか!
さぁ、そろそろクライマックスです。そんなわけでこの物語が終わりしだいネタが思い付いたら番外編のような小話も書きたいと思っています。オリ主君離反ルートも考えていますがどう考えても鬱展開というか我らが千束ちゃんを曇らせてしまいます。
-
番外編・小話を書いてほしい。
-
曇らせてもいいから、離反ルート。
-
黙ってどっちも書け。コノヤロー。
-
別に書かなくてもいい。