ストーカー事件から翌日
喫茶店リコリコにて、ミズキさんが俺のスマホで例の写真を見ている。
なんとなく不満げな顔だ。嫉妬してるな、これは。
「いちゃついた写真をひけらかすからこんなことになるのよぉ。」
ミズキさんは俺のスマホをボスに渡しながら言う。
「僻まない。」
千束が軽く注意するがミズキさんは止まらない。
「僻みじゃねーよ!SNSへの無自覚な投稿がトラブルを招くって言ってんのよっ!」
「どこだ?」
ボスは画像が粗いためか取り引きの場所が分からずに苦労している。
メガネも外してみるがわからないようだ。
それを千束が見かねて「ここ、ここ。」と取り引きされている場所を拡大する。
ってかボスがメガネ外しているとこ久々に見たな。
「あの日か?」
「3時間前だって。楠木さん、偽の取り引き時間掴まされたんじゃなぁい?」
「DAの司令官殿も遂にヤキが回ったか?」
俺は、大嫌いなあの人に向かって陰口をこぼす。ホントは面と向かって言ってやりたいぐたいだ。・・・いや、やっぱいいや。そもそも、会いたくない。あのオトコオンナ。
「ホントに楠木さんのこと嫌いだねぇ、ハチ。」
「大っ嫌い!」
特に何かあったわけではないが、単純にウマが合わない。
「その女を襲った奴らはどうしたのよ?」
ミズキさんが聞いてきたので、俺が答えようとすると代わりに千束が答えてくれた。
「クリーナーが持ってった。」
「アンタたち、またクリーナー使ったの?!たっかいのよ!」
「DAに渡したら殺されちゃうでしょ〜。」
「それに、ミズキさんがそう言うと思っていたのでクリーナー代は俺のポケットマネーを使わせて貰いましたから、大丈夫です。」
「アンタも、クリーナー代をポンと出せちゃうあたり流石としか言いようがないわ。」
ミズキさんは呆れたような声を俺に向けて吐く。
「お金は有効活用したほうがいいでしょう?」
「DAも、こいつら追ってんでしょ?私達が先に見つければ、たきなの復帰が叶うんじゃない?」
千束はボスに向かって言う。
その後、今現在、店の裏手で店の作業服に着替えているであろう自分の相棒に声をかける。
「そう思わない?たきな!」
「やります!!」
反応速っ!!!
ドアを開けながら青い着物姿に身を包んだ井ノ上さんが登場する。
その姿の自分の相棒を見て千束のテンションが爆上がりする。
「うぉほ〜〜!かわぁぁいぃ〜〜え!なになに!ヤバヤバ!?ちょ~似合うじゃん!」
テンションが天元突破した千束は、井ノ上さんにハグしにいく。
井ノ上さんは千束のテンションとは反比例し、心底面倒くさそうな顔で千束に手を引かれてカウンター席に連れてこられる。
その気持ちは理解できるぞ、井ノ上さん。
俺は心のなかで井上さんに向かって手を合わせる。
「ねぇ、皆んなで写真取ろうよ。ほらほら、先生もミズキも寄って寄って!」
千束は自分のカメラを起動する。
「じゃあ、俺が撮るよ。」
千束からスマホを受け取ろうとするが千束はこれを拒否する?
「?」
「皆んなで!!撮るって言ったじゃん。ハチも入るんだよ。ほら、こっちきて!」
「俺はいいよ。写真嫌いだし。」
俺は昔から写真映りが悪いのだ。
千束から無理やりスマホをひったくろうとするが、伸ばした手を逆に引っ張られてしまう。
「おい、ちょっとまっt」
俺はスマホのシャッターを止めようとするがその前に千束がシャッターを切る。
撮られた写真には、中央に美女が3人とその後ろに優しげな表情を浮かべる黒人男性。
そして・・・中央の紅い着物を着ている美女に手を引かれ倒れかけながらもスマホを手を伸ばして慌てている銀髪の青年の姿が映し出されていた。
「さっそく、お店のSNSにアップしたわ。」
「君はさっきのあたしの話しを聞いてたのかね。無自覚な投稿がトラブr」
「だ〜いじょうぶだって。ここには向かいのビルはないよ。」
そんなとき、店のドアの向こう側に人が来ていると察知する。
「千束、井ノ上さん。本日初めてのお客さんが来たようだ。」
2人にそう声をかけると、「ガチャ」っと店の扉が開く。
「ほら、お客さん!練習通りに!」
千束は井ノ上さんに緊張せずにお客さんへの始めの挨拶を自分と一緒にするように促す。
「いらっしゃいませ〜。」
「いらっしゃいませ。」
この日、初めてのお客さんはパリッとしたスーツを着た背の高い男性であった。
この人、何処かで?
俺は、既視感を覚えつつもその男性に好きな席へ座るように促す。
「やぁ、ミカ。」
その男性はウチの店長の名前を呼ぶ。知り合いなのか?とボスの見るとボスは信じなれないといった表情をしていたがすぐに表情を戻す。
男性はカウンター席に座る。
俺は、「どうぞ、ごゆっくり。」といい、男性にメニュー表を渡す。
男性はコーヒーだけを注文する。
男性が一口飲むとボスは男性に質問をする。
「なぜ、ここに来た?シンジ?」
「君に、会いたくなったからだよ。ミカ。」
やはり、二人は知り合いなのか。
俺はボスの隣でこれから来るお客さんが頼むであろう紅茶や煎茶の準備を進める。
なんか、ふたりの話しを盗み聞きしているようで気が引ける。
俺はこの男性からなかなか既視感が拭えずチラチラ話している二人を見てしまう。
そんな俺に、気付いたのか男性から俺に声をかけてくる。
「私に、何か用かな?」
しまった、露骨すぎたか?
「すみません。気分を害されたなら謝罪します。」
「はははっ。別に気にしていないよ。ただ、かなり情熱的な視線を感じたのでね。」
情熱的って。
「ご冗談を。」
「確かに今のは冗談だが、私に何か話したいことがあるのではないかい?」
「っ、つ、つかぬことをお聞きしますが、俺と以前に何処かでお会いしませんでしたか?」
「・・・さぁ、君とは初めましての気がするが。」
表情には出さないが一瞬心が揺らいだ?いや、気のせいか?
男性はニヤリと笑い俺に向けて口を開く。
「ははっ。まさかこんな時間からミカの店のイケメン店員に口説かれるとは思わなかったよ。冗談のつもりだったが、そちらは本気だったのかな?」
口説っ!?
何いってんだ?!この人!!
まさかこの人、ソッチ系の人なのか?!!えっ!じゃあ、ウチのボスともそのような関係なのか?!さっき、会いたかったからって言ってたし?!
俺の驚いた顔が面白かったのか再び笑う。
「はははっ!冗談、冗談だよ。安心してほしい。」
「いや、本当にすまないね、君が面白い反応をするからついからかってしまったよ。」
「いえ、お気になさらず。」
俺は少し、ぶっきらぼうに答える。
「まずは、自己紹介をしよう。私は吉松シンジ。ミカの旧友だ。」
吉松シンジ・・・聞いたことがあるようなないような。・・うーん、駄目だ。出てこない。
「大神史八です。この店の調理スタッフをやらせてもらってます。よろしくおねがいします。」
「ん?調理スタッフということはコーヒーも淹れるのかい?」
「いえ、俺は軽食や紅茶や煎茶がメインです。」
「ワタシが居ないときや手が離せない時にコーヒーも入れてもらっている。」
俺とボスのがそう説明すると吉松さんは笑って、俺に言う。
「では、今度は君のコーヒーを、飲みに来よう。」
吉松さんはコーヒーの代金をテーブルに置き、立ち上がりながらそう言う。
「俺は店長よりコーヒーを淹れるのは上手くないですよ」
「それでも、だよ。」
吉松さんは意味深なセリフを溢し、ドアに手をかけて振り返りながら「また来るよ。」と、ボスに言う。ボスは、それに対し「ああ。」と返す。
「またのお越しを。」
吉松さんは、そう言った俺に目線を向けニコリと笑い、店を出ていった。
その後、吉松さんは月に何度か店の方に顔を出すような常連さんとなり、俺や千束と軽口を言い合う程度に仲良くなった。
呼び方も向こうが名字にさん付けは距離を感じると言ってきたが流石に年上の男性であるため、俺は「シンさん」千束は「ヨシさん」となった。シンさんからは「史八君、千束ちゃん」となった。
シンさんは仕事の関係上海外に行くことが多いらしく、よく、海外土産を買ってきてくれるのだが、そんなときは申し訳程度の軽食やスイーツをサービスしている。
シンさんが俺の失った記憶に関係してるなど、このときの俺には想像すら出来なかった。
はい、ということで、シンジさんの登場です。
ホントに、この人の目的って何なんでしょうね?
自分は気になって夜しか寝れません(笑)
そんなことより、シンジさんが登場してから三人娘?いや、ひとりはおばsっケブンゲフン、お姉さんが完全に空気でしたよね。
文才がないので絡ませられなかったです。ゴメンナサイ。