「さて...行くとしよう」
夕日も沈み薄暗くなった町中。私は独り言を呟き走り出した。転生してはや十数年。すっかり馴染んだ身体は動かすという行為に一切の違和感を抱かなくなった。そんな身体を得た世界が昔読んでいた暗殺教室の世界だとわかって1日。私は原作で悲劇の死を迎えてしまう女性、雪村あぐりを助けるために真っ黒な衣服に身を包み動いていた。
記憶通りなら今夜、雪村あぐりは対触手用武器に身体を貫かれ死んでしまう。それを防ぐには何とかして触手用武器を破壊するか雪村あぐりを治療する必要がある。だが前者の作戦には死神が正気を取り戻さず暴れ続けてしまうという致命的な欠陥があるため、必然的に後者の作戦を行う必要がある。幸い医療知識の特典を貰っているため触手を使えば治療自体は不可能ではないだろう。だがどうやってそこまで侵入しようか...
そんなことを考えながら屋根の上に跳び乗り周囲を見渡す。暗くなってきたのでそろそろあれが起きるはずだ。
ドゴォォォォォォォン...
来た。研究所の爆発だ。あれから少し経った後、雪村あぐりは死んでしまう。それを見た私は全速力で走り出した
「クソッ、思ったより時間がかかった!」
あれから数分、予想より遅くなってしまった私は焦って研究所まで来ていた。近くには警察が数人いたが難なく躱し、研究所に入っていった。細かい地形などは描写されていなかったため完全に手探りで探していく。しばらく歩き回ると倒れている人影を見つけた。
「間に合わなかったか...!」
倒れた雪村あぐりの近くには死神はおらず、それどころか触手の種がない、つまり雪村あかりも既に来ていたということだ。ということは彼女はもう...
いや、まだだ!
人体の蘇生のタイムリミットは約4分。死神はあぐりの心肺が停止してからすぐ離れただろうだしあかりも精々1~2分程しかいなかった筈。ならまだ蘇生は間に合う筈だ!
貰った医療知識を総動員しながら触手を動かす。おそらくこの時代より進んでいるだろう知識はあっという間に傷を埋め、心肺を動かそうとする。
「頼む...!」
祈るような気持ちで蘇生を始める。理論上は目覚める筈だ...!
胸骨圧迫を初めてしばらくが経ち、心臓が自立して脈動を始めた。成功したとわかった瞬間私は深いため息をついた。
だが安心するのもつかの間、貰った医療知識はいらない結論をも同時に出していた。
一度血液が止まってしまった脳へのダメージは深く、雪村あぐりはいつ目覚めるのかわからない。
それが私の頭脳が出した結論だった。ショックだったが、生き残ったという事実と、同時に出された高確率で数年以内に目覚めるというもう一つの予測が大事だと思い、気持ちを切り替え私はその場を離れた。
ちなみにこの世界線の雪村あかりは姉が助かった事実に安堵しますが、いつ目覚めるかわからないという事実からそんな状態に姉を追い込んだ怪物に対して復讐を誓います。なので結局は茅野カエデとして椚ヶ丘に潜入します。
2号ちゃん潜入フォーム
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