「や、やっぱ無理だべ~!!」
ある日の放課後。スペシャルウィークの担当トレーナーは、トレーニングの内容を考えるためにトレーナー室に向かっていた。その途中で通りかかった教室から、何やらスペシャルウィークの困っているような声が聞こえてくるではないか。
(何事だ?)
トレーナーは教室の中を覗くか迷ったが、担当しているウマ娘に何か一大事があっては困る。そう判断し、スペシャルウィークの声が聞こえた教室の中に足を踏み入れた。
「アッハッハ!またスぺちゃんの負けデース!」
「ううう、無理だよこんなの~!なんでみんな平気で言えるの~!?」
「ふふ、スペシャルウィークさんには少しハードルが高かったかしら?」
「そう言うキングも耳真っ赤だったけどね~?」
「なっ!よ、余計なことは言わなくて良いのよ!」
「セイちゃんも目が泳いでましたけどね~?……あら、スぺちゃんのトレーナーさん。こんにちは、お疲れ様です」
グラスワンダーがトレーナーの存在に気づいたことで、教室にいた五人の視線が彼の方に集中する。
「わぁっ!?と、トレーナーさん!?い、いつの間に!?」
「いやさっき来たばかりだけど……。五人は何してたの?」
「ふっふーん!知りたいデスか!?」
「愛してるゲームというものですね~。これを先程からやっていたところです」
「あぁー!?なんで言っちゃうデスかグラスー!」
「そんなもったいぶることでもないでしょ。まぁ、とにかくそのゲームをやっていたのよ」
「そしたら見事なまでにスぺちゃんが全敗しましてね~」
「はぁ、なるほど……」
事の顛末を聞き、トレーナーはずっこけそうになったがなんとかこらえた。なんとも仲がよろしいことだ。スペシャルウィークの無事に安堵するとともに、学友に恵まれていることもわかってトレーナーは肩の力を抜いた。
「も、もしかして騒がしかったですか?」
「いや、スぺが無事で何よりだよ。それになんだかんだ楽しそうだしさ。良い友達に恵まれたね」
「!はい!みんな自慢の友達です!」
「スぺちゃんは素直で可愛いね~。そんなスぺちゃんには飴ちゃんをあげよう」
「わぁ、ありがとうセイちゃん!」
「そうデース!」
急にエルコンドルパサーが大きな声をあげたかと思うと、彼女は悪戯っぽく笑った。
「良いことを思い付きマシター!」
「エル、うるさいですよ?」
「ひっ!」
「まぁまぁ、そんなに怒らなくても。で、何を思いついたの?」
「トレーナーさんも交えて愛してるゲームをしましょうー!」
「「え!?」」
エルコンドルパサーの発案に声をあげたのはトレーナーだけでなくスペシャルウィークもだった。
「いやいやいや駄目だって。ほら、今のご時世セクハラとか厳しいんだよ?」
「そ、そうだよ!それにトレーナーさんは忙しいんだから!」
「あれ~?なんかスぺちゃんずいぶん必死だね?」
「顔が真っ赤よ?熱でもあるの?」
「え、大丈夫かスぺ?保健室行った方が良いんじゃ……」
「だ、大丈夫です!大丈夫ですから!トレーナーさんは早くお仕事に戻ってくださーい!!」
トレーナーを半ば強引に教室から追い出したスペシャルウィークの姿を、他の四人達は暖かな目で見ていた。
スぺちゃんのトレーナー
男性。優しくも時に厳しくスぺちゃんを導く大人の男性をイメージしてます。