縛りプレイで女の子を落とす簡単なお仕事です   作:畑煮丸太

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クラス替えレースその1!

「神無、縛業!なあなあ聞いたか?今月末のクラス替えレースの話!」

「クラス替えレース?」

「聞き覚えないですね」

「エリートクラス1人と通常クラス3人でレースして、勝てたらエリートクラスに昇格出来るんだってよ!」

 

 はぇ〜、そんな行事が……しかし今月末となると、神無さんがUTM(氏部特性水着)を脱いで必殺技を身に付けることが間に合うかどうか……

 

~~回想始まり~~

『真空烈尻?』

『あなたが先日の模擬レースで偶然撃った技の名前です。強力な回転エネルギーと筋力で打ち出す最強の一撃、その威力は撃った直後にかまいたちが発生するほどだと言われています』

 

 なんか、こんな感じの会話をしてるのを聞いた。真空烈尻は強力な技だが、その分反動も大きく数発撃つだけで選手生命に関わることもあるとかないとか。それでも神無さんがそれを使いこなせるようになりたいと言い、腰周りとその他の筋肉を真空烈尻に耐えられるように強化するためにUTMを着ているという訳だ。

 あのレースで私の水着が破れたのは真空烈尻に付随するかまいたちのせいらしい。

 ちなみに競女では肌色面積が八割を超えるとオーバーエロとなり敗北する。

 当たれば落水、半端に避ければオーバーエロ。確かにこれは紛れもない最強技だ。この技を使いこなす者が賞金女王になると言われるのも納得だ。

 

『という訳で、私にもUTMをください』

『はぁ?どういう訳でその結論に至ったのか、きちんと話してください』

 

 私だってそんな最強必殺技使いたいに決まっている。最悪使えなくてもUTMを着てたら自然と体を鍛えられるはず。完璧な作戦だな。

 

『縛業さん、さっきの話は聞いていましたか?そのような軽い気持ちで使っていい技ではないのですよ』

『軽い気持ちなんかじゃありません。私は本気です』

『……はぁ、いいでしょう。流石は"あいつ"の弟子と言ったところですか、まるで好奇心の塊ですね』

 

 あいつ……たぶん"先生"のことを言っているんだろう。先生と氏部先生は競女養成学校時代からの付き合いだと言っていた気がする。

 先生は色んな競女選手の話をしてくれたが、どうしても自分の話はほとんどしてくれなかった。『流石に自分の話をするのは恥ずかしいかな……』とか言って照れたように微笑むだけで、悔しいが可愛かった。

 

『ん?あいつがどんな競女選手だったか知りたい、ですか?いいですが、会議の時間が迫っているのでとても簡単に話すとしましょう』

 

 氏部先生曰く、先生は変尻自在という異名で呼ばれ、数々の技を使いこなすトリックスターだった。競女養成学校時代からずっとライバルで、プロに上がってからも賞金女王の座をかけて競い合った仲らしい。

 

『あいつは生粋の天才でした。教えられてもないのに1度見た技を完璧に出来るだけの観察力と身体能力がありましたから……っと、もう時間ですね。話はここら辺にして、また今度ゆっくり話すとしましょうか』

『ありがとうございました』

 

~~回想終わり~~

 

「おーい、遊理ちゃん?聞いてる?」

「ごめんなさい、聞いてないです」

「素直!」

「ウチらみんなでエリートクラス行こうなって話してたんよ」

「なるほど、ではそれ相応の努力をしないといけませんね。うっかり私だけエリートクラスに上がっちゃったなんてことにならないようにしてくださいね?」

「言うじゃねぇか縛業!」

 

 しかしクラス替えレースか……当たる相手はランダムなのかな?だとしたら309号室の誰かとぶつかってしまうとちょっと気まずくなってしまうから嫌だなぁ。

 今度こそ日下生さんに勝ちたい。だから日下生さんと当たることを1ヶ月近く祈り続けようかな。

 


 at 大浴場の脱衣所

 ネコっぽい 少女が 現れた!

 

「ボクは六堂鈴、西日本最速のアウトファイターさ!」

「最速言うてもあれやで、宮田ちゃんもめっちゃ速いで!」

「いーや、それでもまだ足りないね。最速はボクさ」

「そんなん分からんやん!」

「じゃあ、試してみる?」

 

 軽い口喧嘩みたいになってる……

 なんか、六堂さんがこれから尻撃を放つからその回数を数えろとか言ってるけど何そのゲーム?それで最速かどうか確かめるの?イマイチピンと来ないんだけど……

 あれだよね、瀬戸内競女養成学校に来てる人達って軽くアホっぽいよね。よく言えばキャラが立ってるとも言う。

 

「さて、さっきボクは何回撃ったでしょう?」

「み、見えなかった……」

「60回でしょう」

「遊理ちゃん!」

「へぇ、目がいいんだね、君」

「視るくらいならやろうと思えば誰にでもできますよ」

「神無さんと、縛業さんだっけ?2人は一般クラスには勿体ないな、ボクたちと一緒に練習しようよ。一般クラスの子たちはみんなパッとしなくて失望してたけど、2人なら大歓迎だよ!」

 

「なっ!そんな言い方──」

「うーん……自信を持つことは競技をする際にとても重要なことですが、その自信をもとに他人を見下すのは頂けませんね」

「なっ!?いつの間に後ろに!?って、なでなでするな!」

「他人を見下すようになってしまうといざという時に足下をすくわれてしまいますよ」

「ちょっやめっのどは……首筋はだめぇ……っ!ゴロゴロゴロゴロ……か、身体が勝手によろこんでしまう……♡」

「なので、競うのはいいですが相手を見下すようなことはいけません。これからゆっくりでいいので直しましょうね?」

「わ、わかった♡わかったからぁ……♡もうやめてぇ……♡」

「遊理ちゃん、六堂さんがもうふにゃふにゃなってるで!」

「あっ……やりすぎました」

 

 ナメた口きかれてムッとした感情と猫っぽくて猫可愛がりしたい感情が同居して凄いことになってしまった。

 

「フ-ッ♡フ-ッ♡い、今のは挑戦状として受け取るよ!今度のクラス替えレース、誰と当たっても勝つのはボクだよ。最速はボクだって証明してやる!」

 

 私の手が止まった隙に六堂さんは私のハグから抜け出し、よたよたと内股気味に歩いて去っていってしまった。もう少し撫でてたかったな。

 

「いつまでも手をワキワキさせてないで、服きて移動するわよ。次来る人の邪魔しちゃいけないでしょう?」

「はーい」

「あ、待ってや宮田ちゃん!」

 

「(さっきの尻撃、目で追うのがやっとで数えることなんてできなかった……同じアウトファイターのはずなのに……まだ足りない。もっと速くならないと)」

 


 

 完全に説明を忘れていたが、競女選手はその戦い方で3つに分類できる。

 相手に対してガンガン距離を詰め、大きな一撃を与えることを狙う"インファイター"

 ヒットアンドアウェイを徹底し、スピードで相手を翻弄する"アウトファイター"

 相手の攻撃後の隙を突いたり攻撃に迎撃を合わせて大きなダメージを狙う"カウンタータイプ"

 

 現在授業ではこの3つのタイプに別れてそれぞれの基礎となる事を学んでおり、私はカウンタータイプに分類された。

 そんなカウンタータイプな私は今、アウトファイターの授業でどんな内容をしているのかを体育館で自主練中の宮田さんに聞きに来ていた。

 

「という訳で、私にアウトファイターの基礎を教えてください」

「どういう訳よ、ちゃんと説明してくれないかしら……」

 

少女説明中……

 

「なるほど、アウトファイター対策をする時の参考にする感じね。インファイターの方は既にのぞみに聞きに行ったと」

「はい、対価はしっかり払いますので、どうか」

「分かったわ。じゃあ対価として、脱衣所で言っていたことについて教えてくれないかしら?」

「脱衣所というと……豊胸マッサージの話?」

「そういえばそんな話もしてたわね……ってそうじゃなくて、見ることだけなら誰にでもできるって話の方よ」

 

 宮田さんはお胸が控えめなことを気にしている風だったから仄めかしてみたんだけど、そっちではなかったようだ。

 

「そうですね……視る方法はいくつかあり、人によって向き不向きがあると思うので、私が言ったことを鵜呑みにしてはいけませんよ?

 視る方法は大きくわけて2つ。『目で追う』方法と『1枚の絵として捉える』方法ですね。目で追う方は見逃しなどが起きにくい一方フェイントに引っかかったりするとすぐに見失ってしまいます。1枚の絵として捉える方法はその逆で、フェイント等に惑わされにくくなりますが1部に注意を向けることが出来ず、小さな動きを見逃しやすくなります。

 自分に合った方法を見つけるか、このふたつを上手く切り替えることが出来るようになるとなかなか便利ですよ。

 それと、速い戦いをすること前提で考えるなら瞬きを意識してコントロールできるようになるといいでしょう。高速戦闘では一瞬の隙が命取りになりますしね。

 

 まぁ、ここまで長々と話しましたが、最終的には慣れがものを言うようになります。普段から速いものを見たり、自分が速く動いていると自然と目が追いつくようになり、目で追う方法の精度が上がったり余裕を持って視ることが出来るようになります」

「なるほどね。メモもバッチリよ、ありがとう」

「いえいえ。では、こちらもしっかりとメモを取らせていただきますね」

「そうね、まずは重心移動による急加速と急停止の話から始めましょうか──」

 

 いや〜、めちゃめちゃためになる話が聞けた。っていうか、何も見ずにスラスラと出てくる宮田さん凄いな、超優秀じゃん。さっきの自主練見ててもすごく速くて、実力も知識もある人が最強だと仮定した場合、私の知り合いの中で最強筆頭候補となる。まあ日下生さんが存在するせいでこの仮定は成り立たないんだけど。

 

「そういえば、自主練見てたんですけど、やっぱり体操服だと水着の時と比べたら動きにくいですよね。スピードが上がれば上がるほど負荷は大きくなりますし……あ、いっそレース中に水着脱いじゃいますか?そうすれば腰周りの可動域が──」

「いや、それはオーバーエロで失格よ」

「あっ……」

「でも、そのアイデアは良いわね。参考にさせてもらうわ」

 

 え、どう参考にするの?脱がせてオーバーエロで勝つとか……?

 

「さて、もういい時間だし寮に戻りましょ」

「あ、片付け手伝いますよ」

「……ふと思ったのだけど、あなた何で授業でもない時に、プールでもない場所でUTMを着てるの?」

「これを着てると体にすごい力がかかって自由に動けないんですよ。それこそ最初は神無さんみたいに歩くので精一杯でした」

「最初は、ということはもう慣れたのかしら?」

「ええ、ある時ふと思ったんです。『これってある意味縛りプレイじゃね?』と。これは初出しなのですが、私は縛りを設けると身体能力が上がるという能力を持っています。それのお陰で今は何も着ていないのとほぼ同じ運動量をこれを着た状態でこなすことが出来ます」

「そう、そんな能力があるのね……え?能力?体質みたいなものかしら?」

「まあ、そんなところですね。では、片付け終わったので帰りましょうか」

 

 宮田さやかの頭に疑問符を残し、この日は解散となった。

 

「能力って何よ……詳しく説明してから帰りなさいよ……」

 


 

 ついにクラス替えレースの日がやってきた。

 ここまで長かった。各スタイルの授業内容を頭に叩き込みながら309のみんなと特訓を繰り返し、不完全ながらも新しい戦法を考えた。そして私のアイデアを参考にしたという隠し球をついに宮田さんが完成させ、私も一緒に練習した。UTMを着ていても普通に動けるようになった神無さんとじゃれ合い(尻技のぶつけ合い)、青葉さんと分析談義を行い、豊口さんの柔らかいお尻を揉みまくった。

 

「対戦カードは……宮田さんと六堂さん、豊口さんと吉田さん、青葉さんと日下生さん、神無さんと藤崎さん、私と河合さんですか」

「1レース目からいきなり因縁の対決……いや、因縁の対尻やな!」

「やかましいわ」

 

「ボクと当たるとは運がないね、宮田さん!」

「いいえ?むしろあなたの方が運がなかったわね。私はこの5人の中で唯一あなたにスピードで勝てる人間よ」

「ふ、ふ〜ん……随分と自信があるんだね」

「勝つために鍛えてきたんだもの、当然よ」

 

 2人は睨み合い、少しの言い合いを挟むと「それじゃ」と言ってプールに向かって行ってしまった。

 

「あわわわわ……」

 

 隣では豊口さんと青葉さんが心配そうな顔で宮田さんを見送っている。

 私?私は心配なんてしていない。なぜなら……

 

「大丈夫です。宮田さんは必ず勝ちます」

 

彼女が自分の限界をひとつ超えるためにしてきた努力を間近で見てきたから。彼女が勝つと確信しているから。

 

〜〜

 

レース開始から約30秒、宮田さんを除く2人は既に六堂さんによって落水させられていた。

 よって今は宮田さんと六堂さんの睨み合い、一騎打ちとなっている。

 

「やはりエリートクラス、一般クラスとは格が違いますね。30秒とは……」

「分かってたつもりやったけど、こんな違うんやな……」

「遠目で見てこれなら、近くで見てたら体感速度はもっと速いでしょう」

「あわわ……宮田さん大丈夫でしょうかぁ……」

 

「ワォ☆リンちゃんと互角に戦えるなんて、あの子すごいわね♪」

「んー、でもこのままだと彼女厳しいんじゃない?」

 

 そう言って近寄ってきたのは日下生さんと……私の対戦相手の花火さん。

 河合花火。瀬戸内競女養成学校・実力第三位、異様な程の踏み込みスピードと正確な狙いで急所に攻撃を当てる一撃必殺型のインファイター。趣味は旅行で現在イケメンの彼氏募集中。

 いつか戦うこともあるだろうと調べていたが、まさかこんなに早く戦うことになろうとは……

 

 彼女の言葉に疑問符を浮かべながらレースを見守っていると、宮田さんの様子がおかしいことに気づく。

 ……いや、この場合おかしいのは六堂さんの方か。

 

「なんで宮田ちゃんだけあんな疲れとるん……?」

「全力を出すとき、人は無呼吸状態になります。尻マシンガンともなれば相当スタミナを持っていかれるでしょう」

「そっ、リンリンの強みは異常なほどの肺活量。天性のスピードと何度も撃ち合える無尽蔵のスタミナで相手を追い詰めていくのが彼女の戦い方なの」

 

 正直このままでは宮田さんに勝ち目はない。レースの残り時間は33秒、宮田さんのスタミナはもう尽きかけており、33秒戦い続けられるかすら怪しいレベルだ。

 だがそれはあくまで「このままでは」の話だ。33秒持たないなら20秒で終わらせればいい。20秒でもきついなら10秒で済ませればいい。それだけの事だ。

 

「33,32,31…30!」

 そうだろう?宮田さん!

 

「K-アクセラレーション!」

「なっ、水着を……」

「食い込ませた……!?」

 

 これが宮田さんが見つけた最速に至る手段。水着を食い込ませる事で腰周りの自由度を上げ、低負荷で高速機動を可能にする奥の手。

 

「宣言するわ」

「私の予想では」

 

「このレース……」

「このレースは……」

 

「あと10秒で終わらせるわ」

「あと10秒で終わります」

 

 奥の手を解放した宮田さんの逆襲劇がこれより始まる……!

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