・ワンピ映画見たくてアニメ版ワンピ1から見てた
・1話投稿時点でプロットが皆無だった
・一人称のネット小説読みすぎて三人称の書き方が分からなくなってた
許してください
※独自設定、独自解釈タグを追加しました。ご注意ください
降りしきる雨が、どこにでもありそうな公園のぬかるんだ地面を強く打ち付ける。
先ほどまでの快晴が嘘のような天気の豹変ぶりに蜘蛛の子を散らすように小学校低学年くらいの子供たちが解散していく様は、逆にこの公園が近所の子供たちのたまり場であることを教えてくれる。
そんな同級生たちを、滑り台の下で眺めていた一人の少年がいた。
膝を抱えて
その子供は家以外でならいつも一人だった。
友達の作り方がわからない。
人との接し方がわからない。
雑談の仕方がわからない。
彼にとって「楽しい雑談」で盛り上がらないと仲良くなれない同級生より、「挨拶や礼儀作法」が最低限できるだけで褒めてくれる年上の人間のほうが遥かに接しやすかった。
だからだろうか、少年は自分でも気が付かないうちに年上好きになっていた。
故に、それは必然だったのだろう。
「大丈夫?」
傘をさしながら声をかけてくれた
「夢か……」
庶民が総額を聞いたら目が飛び出そうなほど豪華な造りの8階建てのマンション。その最上階のワンフロアを丸ごと所有している
そんなワンフロアの片隅に申し訳程度に存在した物置部屋を与えられた彼は、その窮屈な空間で朝を迎えた。
気分は複雑。
まだ
胸が苦しいような、変わってしまった自分への自責の念のような、甘いような酸っぱいような、よくわからない感情が渦巻いて胸がもやもやする。
「(あの人が今の俺を見たら、失望しないだろうか)」
大きな権力から逃げていると零す彼女に、あなたを護れる強い男になると誓った。
何かを護るには、力だけじゃなくて頭の良さも必要よ? とお茶目に笑う彼女に、じゃあ勉強も頑張ると誓った。
どんなにすごい人でも一人ではできることに限界があるという彼女に、じゃあ友達も沢山作ると誓った。
それから約十年。
天恢夕日は現在、殆どの誓いを果たせていなかった。
しかも唯一果たせた「強い男になる」という誓いですら棚ぼたなのだから救いようがない。
吸血鬼に攫われて抵抗できないまま無理やり血の従者にされただなんて、格好良さの欠片もない。
故に、夕日は彼女にもう一度会いたいけど会いたくないという相反する気分が混在していた。
「まあ、俺がどういう気分だろうとどうせ会えないんだろうけど」
ため息をつきつつ布団を畳み、窓を開けて部屋を出る。
部屋に鍵をかけようとして────
「そういえば、あの人の苗字も叶瀬だったな……」
古ぼけた記憶の中でも、何故かはっきりとその名前は少年の頭に浮かんできた。
◇◇
天恢夕日は考える。
叶瀬夏音という少女は、一見恵まれているように見えるがそうではないのではなかったらしい、と。
まず生まれは分からず修道院という名の保護施設に預けられ、現在の養父に拾われる。
そして、中学生ながらに同性の同級生に「綺麗過ぎて近寄りがたい」と言われるほどの美貌。
それによって勝手にファンクラブ爆誕。
「綺麗過ぎて近寄りがたい」美貌とファンクラブが悪い方に合体し、“叶瀬夏音に話しかける際の厳しいルール”が作られてしまっている。
例えば時間制限だったり、私語厳禁で事務連絡でしか話しかけてはいけなかったり等々。
結果、叶瀬夏音は周囲から浮いた。
悪意でもない、出来心でもない、勿論偶然でもない。
必然的故意による確信的判断によって浮かせられていた。
それを本人は銀髪碧眼が珍しくて避けられていると思っているのだ。
現状、誰も得をしていない。
叶瀬夏音は中等部の聖女と呼ばれるほど人気があり、誰からも好かれているというのに。
過ぎたるは及ばざるが如しとはよく言ったものだ。
もし現状で得をしている者がいるとすれば、遠くから見守ることしかできない癖に自分以外の誰か(特に男子)と夏音が親密になるのが許せないというみっともない一部の生徒だけだろう。
「(流石に可哀想になってきたな……)」
昼休みの教室。
そこで机をくっつけて弁当を食べる二人の男女。
叶瀬夏音とその護衛役、天恢夕日である。
彼が転校してきてから既に数週間、“中等部の聖女”の昼休みをほぼ完全に独占していた。
というか放課後や、隙あらば授業中の組み分けや班決めでも眷獣の力をこっそり部分的に行使して一緒に居られるようにしている。
高名な攻魔官。その助手見習いとして、彼の魔族登録証は特別性になっている。
本来高い魔力を感知するとセンサーが鳴り絃神島の公的機関に異常を知らせる役割もある魔族登録証という名の腕輪。
その機能を自分で勝手にON/OFF出来る。
職権乱用が服を着て歩いているような南宮那月にとって、自身の手駒にこの程度の恩恵を授けることなど造作もなかった。
まあその話は置いておくとして、結局転校生である彼が夏音を独占できている理由は、彼女の交友関係がほぼ皆無だからに他ならない。
もし彼女が普通に人気者だったなら、ヒトに囲まれて夕日が張り付く隙などなかっただろう。
今だって彼の目の前で黙って弁当をつつく彼女は、夕日が転向してこなければ一人ぽつんと昼食を取っていたのだろう。
そう考えると美人が苦手の彼とて流石に同情を禁じ得ない。
これが「人間強度が下がるから」とかいうタイプなら問題無かったのだろうが、悲しいことに夏音の中身は普通の女子中学生でしかないのだから。
現状を打破するにはファンクラブが掲げる身勝手なルールを破壊する必要がある。
だが、転校生であり悪い意味で浮いている夕日の学校での影響力は地の底だ。
夏音のことを言えないほどに友達も全く居ない。
これでは他学年、果ては高等部の生徒まで巻き込み大規模となっているファンクラブの鉄の掟には到底太刀打ちできない。
ではどうすればいいのか。
彼は1つ、妙案を思いついた。
「なあ、叶瀬さん」
「はい、なんでしょう」
「放課後、デートしようぜ」
「はい、わかりまし────ふえ???」
“誰も叶瀬夏音に手を出さない・出せない”“この先もみんなの聖女様でいてくれる”そんな幻想によって保たれている均衡を破壊する。
そうすれば、きっと我先にと抜け駆けする者が出てくるに違いない。
鉄の掟を力業で粉砕する。
固い物は逆に割れやすい理論。
そんなことを真剣に考える夕日の眼差しを正面から受け、夏音は赤く染まった頬を更に赤くさせるのであった。