裏のある天使と前向きな少女   作:はちみつレモン

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一巻
出会い


「…はぁ。だからあれほど言ったのに。」

 

俺はスーパーで無料の食材と肉を買い外に出る。俺は小さくため息を吐きたくなることばかりだ。

部活帰りに立ち寄ったとはいえ流石にこの状況は頭を抱える。

この学校は本土と隔離された東京都高度育成学校という学園であり、日常品などもお金では買えない。

そこで必要になるのがプライベートポイントだ。この学園でお金の代わりに必要となるものであり、最初に十万という大金を配布された。手に入れた俺たちは俺以外は毎月10万ポイントを振り込まれるなんか嫌な予感がした俺は忠告していたのだ。そして予想通りプライベートポイントはクラスポイントというこというものと比例しており、今回俺たちのクラスは見事0ポイント1ポイント100円だが計算のいらない0ポイントとなった。

俺の野球部の部活でもプライベートポイントを使っているのもあり、普通なら余裕はないのだが、俺だけは違った。

先輩に聞いてみたところスタメンってこともあり、俺は部活手当というものが支給されているらしく、初っ端4万ものプライベートポイントが支給された、

…まぁ、紅白戦で二試合両試合猛打賞そのうちIホーマーに4盗塁だったからだろうけど。月に2万が安定してもらえると聞いており、練習試合も球場がこの中にあるので、対外試合も多い。なのでポイントを稼げる機会は多いようで練習試合を既に二試合行った結果打つ方は控えめだったが守備で確実に稼ぎ、儲けさせていただいた。その分のプライベートポイントが入っている。

春季大会にも出場し、一試合で負けたがスタメン起用され、ある程度活躍はした方だ。

そういうこともあるので自分はこの学校には合っているとは思う。

そんな中普段使っている素振りをしている通りへと向かう。

人通りが少なく、素振りをするには浜風が涼しく心地のいいのでこの場所を使っている。

そして今日は先客がいるが海の方を向いているので多分邪魔にはならないだろう。

いつものメニューに取り組もうとした時だった。

 

「あ〜。本当にムカつく。」

 

そんな低い声が聞こえてきたのだった。

 

 

 

「あのクソギャル。女王様気取りやがって。てめぇが使いすぎたからこうなったんだろうが。なんで私のポイントを渡さないといけないんだよ。」

 

少し離れた位置からも聞こえてくる声。確か同じクラスの櫛田桔梗という女の子の声だったはずだ。クラスで男女問わず人気のある女子であるためストレスはかなり溜まっているようだ。

素振りしてても全く気づかないくらいには、ストレスを溜め込んでいたらいたらしい。人望があり、天使と呼ばれるくらいには、人気者だが裏を見せるのは決してすることがない。

……声かけるべきかかけないべきか迷う。

それでも俺は少しだけ興味を持ってしまった。そして何よりも一番敵に回してはいけない人物だからここは上手く立ち回るとしようか。

 

「櫛田さん。全部聞こえてるけど?」

「……えっ?」

 

呼びかけた声に少し遅れて、櫛田が俺の方を向き驚いたようにしている。

 

「俺ここで毎日素振りしてるから。野球部だし。」

「……どこから?」

「どこからっていうか?最初からだと。素振りしてたけど、俺も思っていたことをズバズバいうなって思ってた。」

「そう。って有原くんもって。」

 

櫛田はどういうことか分からそうにしているが、実際櫛田の意見はかなり的を射ている。まぁ、俺も愚痴をこぼす時がなかったのでちょうどいいのでストレス発散にも付き合ってもらうか。

 

「いや。俺忠告してたじゃん。授業態度について。嫌な予感や先輩の態度から何かあるだろうとは思ってたけど、注意しても誰も聞かなかったじゃん。」

「まぁそうだけど。」

「本来ならクラスポイントとプライベートポイントで文句を言えるのは忠告した俺だけだと思っているけど?……つーかあれに関してはお前らもお前らだろ?あんなにうるさいのに注意一つもしないなんてな。まぁ俺含め自業自得。……まぁ、それに軽井沢の女王ぷりにも結構イラついているしな。女子に集って男子には集らない。まぁ多分自分が強いと思った相手にしかやらないと思うからこそできる。まぁ櫛田は人付合いでかなりプライベートポイントは使っているだろうけど性格的には3万くらいは残っているんだろ?それにあのクソ担任に呼び出しくらって不機嫌なんだよ。」

 

俺が溜まっていたことを全部吐き出していくと櫛田も途中途中口を挟みながらクラスメイトを罵倒、口撃していく。俺自身少しだけ驚いていたが少しだけ話しやすい。聞き上手であることやもう既に櫛田の性格を理解しているからか自分でもどの話題を振ればいいのかがよく分かるのだ。

そして一通り話し終わったらしく櫛田はどこか呆れたようにしていた。

 

「有原くん言いたいことは沢山あるけど。どういうこと?」

「ストレス発散しただけだけど。まぁ櫛田さんに話したところで別に問題はないだろうしな。それに俺は愚痴を言う権利はあるだろ?」

「そういうじゃなくて私のことなんとも思わないの?」

「あのクラスメイトを見てたらストレスだって溜まるだろ。人気者であり誰にでも好かれるってどんだけしんどいことなのかは見たらすぐに分かるしな。……俺にはできないことだから素直にすごいと思うけど。う〜ん。それ以外は特に。」

「凄いって……はぁ。そういえばなんでここにいるわけ?」

「自主練。スーパーついでに素振りしにきただけ。野球部だし。」

「スーパー?料理できるんだ。」

「出来るって言っても簡単なものだけだしな。俺は部活でプライベートポイント手に入るから。」

「部活動で?ってそういえばあまり困ってなさそうなのはそういうこと?」

「やっぱりあのクソ担任話してなかったな。実はな。」

 

そして説明を始める。なんでポイント獲得できたのかなどを詳しく話すと呆れたような顔をしていた。

多分俺が担任がどれほど嫌いなのか愚痴をこぼしまくっているからだと思うからだろう。

 

「つまりあなたは野球部で結果を出してるってこと?」

「まぁな。一応これでも全国にはでたことはあるしな。」

「ふ〜ん。それで?」

「それでって。」

「なんでそれを私に話したのよ?なにかあるんじゃ。」

「目的はないって。調べたらわかることだしな。まぁ一つだけいうのであればなるべくでいいから話してほしいっていうのと、人目のないところでは本当に櫛田でいてほしいってところかな?本当の姿の方が俺にとっても気を使わないでいいし。愚痴だって言えるから結構俺にとっても利点は多いし、これから堀北とか絡んでくるだろうから、ストレス溜まるし。」

「堀北?あんた堀北と付き合いあったの?」

「今日放課後クソ担任の呼び出しであいつに俺にいくら振り込まれたのか知っているんだよ。結構な額入っているしあの性格上クソ面倒なことになりそうだしな。」

 

本当に余計なことをしてくれた。あのクソ担任のせいで俺がどれだけの情報を引き抜かれたのか分からない。

俺は特にクラスについては興味はない。この学校ではAクラスというクラスポイントを多く所持していたクラスがなれ進路先を自由に選べるというもの。部活の用具はある程度学校が払ってくれているのと、一応申請して数ヶ月前から面倒臭い申請を受けたこともありスパイクとグローブだけは中学時代のやつを使っていることもありこの時点でクラスで唯一10万以上を持っている生徒である。

 

「それにストレスの発散先がいないと櫛田さんが危ないだろ?ストレスが溜まると明らかに」

「私?私は別に。」

「ここは家じゃない。だからこそ誰かが寮に来ることだってある。だから知っている人がある程度ストレス発散に付き合った方がいいだろ。別に俺はどうでもいいけど櫛田さんは人目を気にしているんだろ?実際俺に見つかっているわけだしな。」

「それを言われると何も言えないけど。」

「それに一応見張りという意味でも安心だろ?櫛田さん目線は俺が漏らす可能性はあるんだし。」

「それも心配してない。あんたが私に害がないのはもう分かっているから。……あんなこと言われたら信じるしかないじゃない。」

 

どの言葉か分からないがまぁ信用されたなら別にいいけど。

一番問題なのは櫛田が敵になること。そして俺を退学へ持って行くこと。

今現状で敵にしてはいけない人はこのクラスでは四人いる。その中でも櫛田だけは味方につけておきたい生徒の一人だったので一安心ではある。

それに本心から櫛田の裏を知っても感心する。どれだけストレスを溜めているのか分からないけどそれでも既にクラスの殆どの人と交流があるのは素直に櫛田の才能だ。

 

「そういえば、何買ったの?あまり料理できないんでしょ?」

「ん?無料の山菜と海老と天ぷら粉と卵。」

「本当に普通の食事だ。……ねぇ?私も一緒してもいい?」

「別にいいけど警戒心薄すぎないか?」

 

呆れながらに言うと櫛田はどこかモードを切り替える。

 

「有原くんを信用してるからね。料理そんなにしないんだよね?」

「しないけど。」

「それに有原くんと一緒に作った方が安くなりそうだから。私は当分の間ポイントは入らないし。」

「あ〜。なるほど。それなら別にいいけど。スーパーにはもう一度行かないとなぁ。一人分しか買ってないし。」

「ふ〜ん。まぁ私の分の無料品あればもっと具材は増やせるだろうから。」

「……食事代の節約にはなるのか。面倒くさいとか思わないのか?」

「元々家では私が作っていたから。ご飯を作るだけでストレス解消とプライベートポイントを節約できると思えばね。」

「ならいいけど。一応料理器具は揃えているからな。申請したし。」

「あなたあの面倒なことを全部やったの?」

「野球部は普通にグローブやバット、スパイクとか一から買おうと思えば10万は初期費用かかるからな。自分のグラブなんて5万以上するし。さすがに買えないことは分かっているからな。基本的には全員申請してるんじゃないか?」

 

金の掛かるスポーツに野球はまず入る。ここではヘルメットとユニフォーム、バットやチーム帽は無料で貸し出しが聞くがアンダーウェアや練習着、グラブにスパイクなどは自費になる。どうせ申請するのであればということで日常生活の物は一応100円ショップやホームセンターで買ってある。

 

「まぁ、それでも練習着とかは買ったし普通の生活をしとけば5万くらいは減ったけど練習試合やスタメン起用で6万のプラス。これでも春季大会にスタメンされたこともあって一応11万は残ってる。」

「私に話していいの?」

「いい。どうせすぐにバレるし。」

 

といいもう一度スーパーに向かう。表の姿の櫛田で外を過ごしていたがすぐに俺の寮に入ってからは素の櫛田に戻り愚痴や悪口をずっと聞き続けることになった。

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