裏のある天使と前向きな少女   作:はちみつレモン

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アンケートは今日までで締め切ります。


日常

「お~い。孝介。今日どうする?」

「先輩すいません。当分の間は晩飯ご一緒できません。」

 

GW中の最後の野球の試合が終わり、グラウンド整備を行っている最中に2年の田中先輩たちに呼ばれる。今日も櫛田が晩メシも作っているか準備をしているので断る。

 

「ん?どうした?最近付き合い悪いが。」

「ちょっと最近節約のためにクラスメイトの女子と飯食ってまして。折半しつつ無料品をある程度分け合う生活をすることになっているんですよ。」

「あれ?でも孝介って、クラスではあまり上手く行ってなかったんじゃなかったか?お前。」

「あ~まぁ一年のやつに聞けば分かるんですけど櫛田っていう奴なんで。誰とでも仲がよくてクラスで一番信頼されている女子って言っても過言ではないですね。」

「へぇ~でもお前って人付き合い得意だと思うんだがそんなにお前のクラスひどいのか?」

「ひどいですよ。まぁ少し尖ったやつばっかりだと思いますから。」

 

実際俺含めかなり異常と呼べる人ばかりである。

過去最悪の劣等生と呼ばれてもおかしくはないだろうと思っていたしな。

 

「尖ったねぇ。四月から0ポイントって流石に酷すぎだろう。お前がいるにもかかわらずな。」

「一応注意はしてたので。自業自得ですよ。俺が何度言っても変わらなかったからしょうがないですよ。」

「…そういうところお前は本当に厳しいよな。」

「当然ですよ。特にこの学校じゃ甘い考えは通用しない。自分に厳しく他人に厳しく。甘くてもいいのは友達や好きな人への態度くらいですよ。」

「お前結構交友関係上手いからな。野球だけは厳しいけど。」

「好きなので。……好きなことで後悔は二度としたくはないですから。先輩片付けますよ。」

「おう。サンキュー。」

 

田中先輩からトンボを預かると用具室に向かう。

今日も俺たちは勝利しフル出場を果たした俺は来月もプライベートポイントを獲得できそうである。

 

「あっ。そうだ先輩。プライベートポイントを払うので一年の一学期中間テストの過去問くれません?できれば多分受けたと思う最初の小テストも含めて。」

 

といい俺はあることを告げる。すると田中先輩は俺をどこか諦めたかのように苦笑しうなずくのであった。

 

 

「ただいま。」

「おかえり~。どうだったの?」

 

いつのまにか占拠されているリビングソファーで寝転びながら雑誌を見ている櫛田に俺は少しいいたいことが多いが俺はグッと堪え小さく息をつく。

 

「試合には勝ったな。まぁ結果的に勝ち越せたから良かったけど、そのぶん疲労も大きかったな。」

「ふ~ん。ご飯はどうする?」

「シャワー浴びてからかな?まぁ明日からは試合明けでオフだし勉強でもするかなぁ。」

「ふ~ん。それなら時間ある?少しだけ付き合ってほしいところがあるんだけど。」

「ん?」

「勉強会を開くのだけど堀北が参加する条件にあんたを引き出しに出されたってわけ。」

 

……なるほどなぁ。これまた面倒臭いことになった。

俺は小さくため息を吐く。また面倒なことになったのかよ。

 

「……参加メンバーは?」

「池くん、須藤くん、山内くん、綾小路くんの4名かな。」

「流石櫛田さんだな。どうせあの三人を呼び出せたのも櫛田さんが勉強会を促したんだろ?まぁいいか。俺が入ると厳しくなると思うけど。」

「どうせ堀北のやつが空気の読めないことを言って勉強会にならないと思うから。」

「それ参加する意味あるか?」

 

俺が呆れてしまうがまぁ櫛田の評判を下げるわけにはいかないだろう。

これから櫛田に動いてもらわないといけないこともあるしここはお礼のことも兼ねて気乗りはしないけど参加しようか。

 

「櫛田さんがなるべく堀北と話さないようにしてくれるなら別にいい。俺と堀北って特に馬が合わないからな。俺もこのクラスでなければ普通の学校生活だったと思うし。」

「私は有原くんがいたおかげで大分楽になったかな。ここにいること知っている人少ないから。」

「ん?知っている人いるのか?」

「うん。佐藤さんには話したかな。ちょっと色々あって。」

「…?まぁ知っている人がいるんだったら別にいいや。ついでに一応俺自身も野球部内では夕食費の節約ってことで同じクラスの女子生徒と食べてるってことになっているから。」

「は~い。それで何がいい?」

「任せるよ。キウイが入ってなければ別に好き嫌いはないし。」

「アレルギーだったよね?買ってきてないから安心して。」

 

いつのまにかこんな日常を送っている。まぁ一度キウイが朝飯に出てきて食べれなかった時があるから申し訳ないときがあったから。

一緒にいることが多くなったので互いの好みや嫌いが重なった結果である。

 

「ねぇ。有原くんは先輩とかの誘いはないの?」

「ん?」

「有原くんって私とご飯一緒に食べてばっかりでしょ?それ以前って先輩とかの誘いって多かったと思うんだけど最近はないの?」

「あるけど基本的には俺が帰ったら櫛田さんが準備してる時が多いから最近は断ってるな。その分昼食に奢られる回数は増えたな。それならば櫛田もだろ?誘いとかないのか?」

「みんなプライベートポイントがないから誘いは少ないから。それ以前はほとんど暇はなかったけど私は有原くんと食べている方が気楽だし。でも有原くんが先輩から誘われているんだったら食べてきてもいいんだけど。」

「そっちが作るのが大変ならそうするけど基本的には櫛田さんの方を優先するつもりだから。櫛田の作る料理美味いし、それに結構奢られるのしんどいんだよ。気をつかうから。割り勘にしますって言っても他のクラスの人が奢られているぶん俺まで奢られる羽目になるし。まぁ結構仲がいいという人には気を使うからなぁ。櫛田さんにもそうだけど。」

「有原くんあんたって女たらしってよく言われない?」

 

その言葉に俺は少しだけ首を傾げる。確かに中学時代はよく言われていたけど、俺ってそこまで酷いか?

褒めるところはちゃんと褒めて悪いところはどうすればいいのか友達には伝えていただけなのになぁ。

 

「でも本当に有原くんって態度で交友関係分かりやすいよね。私みたいに接してたら皆と仲良くなれたんじゃないの?」

「…ん?相手にどう思われてもいいからな。人と合わせてもいいけど納得ができるかとなればできないからな。それに俺があんな風になったら櫛田さんとここまで仲良くなれてないだろ?それなら今の自分でいいんだよ。」

「……」

 

すると櫛田が下を向き顔を隠す。少しだけある推測を立て今まで櫛田が俺のどの言葉に一番効果があったのかを探る。

そうすると明らかに素の櫛田自身が褒められた時にだけとても困ったような、照れたような反応をよく見せる。即ち外見は褒められることがあれど、本当の櫛田が褒められなれてないってことに気づいた。

 

「お前は後悔しているか?あの時見られたの。」

「見られたのが有原くんで良かったと思うかな。私も結局おいしい思いをしているわけだから。でも他の人に見られていたと思うとぞっとするけど。それとあんたは私に気を使いすぎでしょ。学校でもあまり話しかけないし。」

「話しかけるときは話しかけるけどな。まぁ色々と考えてあの頻度なんだよ。櫛田の良さを一つ潰してまでも介入するつもりはないしいつも構っていて家で食事とっているのがバレたら色恋沙汰でメンドくさくなるだろうが。」

「別に私はいいけどね。色々と都合がつきやすいから。」

「お前は相変わらずだな。まぁこの時点で俺も櫛田も言い逃れできないからな。最近櫛田の私物も増えてきてるし。」

「知ってたの?」

「バレないと思ってたのか?」

 

すると軽く自分の頭を叩き、漫画だったらテへっという擬音が使われそうなあざといポーズをとる。一つ一つの動作が可愛いからどうも責め辛い。

 

「別にいいけど。ちゃんと何を持ってきたのかちゃんと事前に言ってからにしろよ。もう諦めてるし。」

「うん。化粧品とかも持ってきていい?お風呂もここで入ることが多いから。」

「別にいいけど。まぁいい時間だし汗臭いから風呂入ってくるな。沸かすか?」

「私は入ってきたから大丈夫。じゃあ私もご飯作るね。」

「了解。」

 

そうやって櫛田はキッチンの方に向かっていく。着替えとかはいつのまにか櫛田が用意してくれることもあり本当に通い妻というより私物も多いので恐らく遠くない未来櫛田が寝泊まりする可能性もある。

……落とす気はなかったのだけどなぁ。

俺は小さくため息を吐き他の人とは明らかに異なる態度をとる櫛田はどうするのか少しだけ考えることになった。

 

 

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