裏のある天使と前向きな少女   作:はちみつレモン

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優先すべきもの

テスト範囲の変更を伝えた時のクラスは阿鼻叫喚だった。

泣き出すものや怒鳴り混乱状態になっているものもいる。

しかし櫛田のフォローやクソ担任からバカにされた須藤がやる気を見せたことで一定の士気が高まった日の放課後俺は約束の場所に立っていた。

 

「てめぇが有原か。」

 

旧校舎のカメラがなく空き校舎になっている教室。そこに現れたのは最後の1人であるCクラスの代表生徒龍園である。大柄な男性がやってくる。Aクラスの代表候補の杖をついた少女坂柳とは大違いであり一之瀬曰く一番危ない生徒である。

 

「…うん。でも意外だね。まさかクラスの中心人物が集まるなんて。」

「えぇ。でも何で私なのでしょうか。葛城くんでも良かったのでは。」

「…無理だろ。葛城は保守派で元々リーダーに向いていないのは分かる。まぁそっちについては彗月の見る目を信じたってことで。派閥扱いには関わるつもりはないから。彗月がどっちにいくのかもどうでもいいしな。」

「……御託はいらねぇ。それで本当なのか?お前が中間考査の問題を持っているって噂は。」

 

すると教室の雰囲気が一段と冷たくなる。元々取引のつもりで呼び出したのでやることは変わりはない。

野球部の中にDクラスの生徒が中間考査のテスト範囲が変わる予言を名前を伏せてリーダー格に届くように細工を行っていた。もちろん勉強会に参加してなかったのは、AクラスとCクラスが確実に乗ってくるために工作作業を行っていたからだ。

 

「ほぼ確実に中間考査の問題だと思うが、俺は手に入れる時期が早かったから先生が気づき変更になる可能性はある。ただ今回のテスト範囲の変更をページごとなんて予言できないだろ。」

「でも、もし持っていて他のクラスに教えたとなればそれってクラスの裏切りになるんじゃ。」

「ならないだろ。俺が手に入れた情報だ。俺が使う権利がある。今回のテストはチュートリアル的存在だ。だからこそ差がつくことは少ない。だからこそプライベートポイントを集める方にシフトした方がいいだろ。ただでさえ俺たちのクラスは1ポイントもプライベートポイントの収入はないんだから。」

 

だからこそプライベートポイントが今はクラスポイントよりも重要なのだ。

最悪クラスメイトから不穏な雰囲気が流れる可能性がある。既に金銭トラブルになりそうなことはあるから余計に面倒臭い。

 

「……なるほど。でも5万とは少々高すぎじゃないでしょうか?」

「その価値はあると思うぞ。今回の収支は赤点回避ではないからな。学校の意図に気づいたことが大切なんだよ。一之瀬のところは必要ないと思うが他のクラスのリーダーは実績を作ることが大切だ。坂柳は派閥争い。龍園はまだ実績が足りないんだろ?相変わらず元々赤点候補が多いクラスなのは櫛田から聞いてる。」

「櫛田?あぁテメェの女か。」

「もう否定はできないな。あいつ俺の寮に住み着いてるし。」

 

もう彼女というより同居しているのもあるし、俺が櫛田を特別視してることは否定できないからな。

 

「えっ?住んでいるの?」

「まぁな。元々は料理を作ってもらうだけで、落とすつもりはなかったんだけど…恋愛に慣れてないだけで積極的だし外堀埋められたから。どうせ見つかるのも時間の問題だろうからな。」

「まぁ、恋愛話は置いといて、確かに五万の価値はあります。リーダー格を呼び出したのはそれだけ正当性があるということでしょうし。今その方法を知っているのは。」

 

誰かに漏れたということは徹底的に抑えていた。櫛田も他言無用なのは分かっていたらしく、野球部には先輩からちゃんとした助言をもらっている。

 

「野球部と櫛田かな。あとはクラスに1人気づいた奴が1人いるって櫛田から報告が来たくらいか。」

「なんだ野球部の奴らは知ってるのかよ。」

「そりゃ味方だろ?許可がない限り広めない協定を結んでいるからな。野球部の奴らに聞こうとしても無駄だぞ。赤点回避のために見せるかわりにテストの答え及び知った方法に関することをクラスのやつに告げたら問答無用で退学って契約を結んだから。」

「漏洩対策も完璧と言ったところでしょうか。分かりました。お支払いしましょう。」

「ちっ。それしか無さそうだな。」

「…にゃはは。私を呼んだのはそういうことかぁ。来なかったら良かったなぁ。」

 

3人が購入する特に1番利益が少ない一之瀬が肩を落とす。

一之瀬のBクラスは金銭を落とさないことは予想できた。だからこそAとCが取引を見せる必要性があったのだ。

即ちBクラス以外にテストの問題が持っている状況ならBクラスも支払わなければいけない。そして派閥争いのAクラスと赤点を取る可能性のあるCクラスにとっても悪い話ではない。いわゆる今回に限ってはBクラス以外には損はしておらず。一番得したのはもちろん俺だ。それが分かっているからこそ取引が成功したのだ。

 

「買わなくちゃいけない状況を作るのは商売の基本だからな。ついでに証拠もあるから信憑性もかなり高い情報だし悪い取引じゃないと思うぞ。」

「そういうことじゃないんだけど……。」

「有原くんにしてやられましたね。それじゃあお支払いしますので。」

「ついでに録音はしているからな。クーリングオフとか揉め事とかは無しだぞ。」

「本当隙もねぇ奴だな。」

「一度払うことを急にキャンセルされたら面倒だし、それにそのポイントを使うのは俺ではなく櫛田だからな。生憎わざわざ金銭トラブルを自分で作りやがった寄生虫がいたからその後処理をしないといけなくなったんだよ。」

「……ろくでもねぇな。そいつ。」

 

外道で言われる龍園すらドン引きしている。

まぁこのまま変わらなければいつかは潰すだろうけど今は別に何もすることはない。

変わるか殺すか。たとえクラスであれど変わらない。

 

「一応送っておいたから確認してくれ。それと自分で言うのはなんだけどだからDクラスなんだろ。俺だって同じだ。生憎クラス抗争には興味はないからなこうやって危ない橋を渡る。まぁ言いくるめは出来る自信はあるし一応クラスのためにはなるからな。その利益の半分をもらうだけ。……正当な利益だろ。クラスの赤点のピンチを救って金銭トラブルを一個解決。それにクラス1の美少女を落とし寮に連れ込んでいるんだから十分クズだと思うけどな。」

「ん~そうかな?どちらかといえば桔梗ちゃんが有原くんにベタ惚れのような気がするんだけど。」

 

否定はしない。一之瀬が言っていることも分かる。

でも本当は違うのだ。

ただ俺が櫛田という女の子の性格に依存しているだけであることを。




次回一巻最終回。
次回が長くなることもあり一度ここで区切ります。ついでにテストは全カットです。
全クラス赤点無しの原作よりも点数が上がっているだけなので

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