内政? ハーレム? 立身出世? そんなことよりレベル上げだ!(仮) 作:トシアキウス
ガバガバ適当ナーロッパで無自覚サイコパス系主人公がひたすら俺TUEEEをする話。
モチベ上げのためとりあえず執筆済みの分まで。徹夜明けのテンションで投稿します。続くかどうかは不明。
転生者ケン・シースレスが初めてレベルアップを体験したのは、十歳になった年の春のことである。
月明かりの明るい夜であった。風も凪いで暖かく、猫のうなり声が響いていた。春の陽気でさかりがついたのは獣ばかりではない。ケンが家族と暮らす村外れの一軒家に、三人の若者が押し入った。
リーダー格は村長の三男で、冒険者になろうと都会に行って出戻りしたが落ち着かなかった。悪童二人と徒党を組み、剣とバックラーをちゃらつかせて村を練り歩いては、若い娘にちょっかいをかけたり、強請たかりをしたりした。厄介者であったが、村長の息子ということで村人は強く出られなかった。村長はというと、田畑を継げず、夢を目指してもうまくいかなかった三男の気持ちを慮り、どうにか穏便に済ませようと一軒一軒住人に詫びて回った。
三男に率いられる悪童二人は冒険者志望の乱暴者で、弟分でもあった。真っ当な武器と防具を持ち、都会の冒険者らしい振る舞いを教えてくれる兄貴分を慕い、慕われる三男は、都会にいた頃と正反対の扱いを受けて段々と気が大きくなって行った。
「俺たちは冒険者のパーティだ。三人一緒なら、今度こそうまくいく」
悪童二人が成人したら三人で村を出ようと約束した。訓練と称して往来でチャンバラをするようになった。度胸付けのため村人を脅し、それで得た戦利品で酒宴を開いて三人の仲間は絆を深めた。何もかもが順調で、自分はきっと再起できる。そんな良い気分は長く続かなかった。父親である村長が小言を言い始めたのである。無粋にもほどがあった。
人間は苦労すると、良い成長をするときと良くない成長をするときがある。三男の場合は後者であった。みじめにさせまいという親心が効き過ぎたせいでもある。
夜の空き地で焚き火を囲み、不貞腐れて飲み始めた酒が頭に回って来ると、あることを思い付いた。
「ジャンの家に夜這いに行くぞ」
ジャン・シースレスの嫁さんのランは気立ての良い美人で評判であった。なんであんな小作人上がりのさえない旦那にと村の男たちは羨んでいた。娘のリンもまた、母の血が濃いのか村一番の美少女であった。
「リンだっているしな。お前ら、そろそろ童貞捨てたいだろ」
「けど、リンは兄貴の兄貴の嫁になるんじゃ」
リンはこの年、村長の次男に嫁入りすることが決まっていた。
「どうせ俺らは村を出るからどうなったっていい。それにあの野郎への嫁入りは政略結婚ってやつさ。水飲みなりのな。リンが中古嫁だってばれればジャンは底辺に逆戻りだ。泣き寝入りするしかないだろうさ」
「でも兄貴」
「一端の、男らしい男になるための通過儀礼だぞ。それにこいつは冒険だ。冒険しない冒険者はただのカスだって俺、言ったよな? 冒険者になりたくないのか? なるよな? なろうぜ。出世してハーレムをするんだろ。童貞のままじゃ無理だぜ。将来の予行演習がいる。ジャンはヘタレだしちょうどいい。二三発ぶん殴りゃ、言いなりさ。俺らはおもてなしを受けるんだ。いざって時にはこいつもある」
これみよがしに鯉口を切った。包丁や農具とは違う、他者を殺傷するためのちゃんとした武器である。このショートソードに、父に持たされた支度金のほとんどを費やした。夢を抱いて都会に出て、唯一手にした成果であった。
シースレス一家はたった四人の家族である。父親のジャン、母親のランと娘のリン、そして残った息子のケンはぼんやりしたところのあるただの子供に過ぎず、男手は実質ジャン一人で、あとは女子供だけである。自分たち三人ならどうとでもなる。
「ああそれと、リンは俺が貰うからな」
仲間には言わないが、たとえジャンが泣き寝入りせず村長に訴え出ようとも、むしろ村長のほうこそが不祥事の隠ぺいを図ってくれるだろうという下心があった。なんとなれば発覚すればシースレス一家のみならず村長にとっても身内の不名誉である。もしリンの腹が膨らんだとしても、自分と兄は同じ血だ。何かにつけなあなあで済ませたがる父親は兄の子として育てさせるに違いない。
不公平にも、次男の兄はなぜか自分と違って分家を許されている。新雪を踏む快楽もあるが、目の上のたんこぶに意趣返しをする暗い喜びに胸を躍らせて、村外れのジャンの家へ向かった。
扉を蹴破る勢いで蹴りつけると木の香りが散った。
「ジャーンーくーん。あっそびましょー」
反応がない。
「居留守はだめっしょジャーンーくーん」
「ヘタレかよジャンくん」
「よわよわかよジャンくん」
ひとしきり騒ぎ立てると、たまりかねてジャンが扉を半開きにした。
「こんな夜更けになんだ。帰ってくれ」
「遊びに来たっつってんだろーが! 空気読めねーのかよ愚図!」
「帰れ」
すかさず扉に体を手足を挟み、三人がかりの腕力差で押し入った。
「なんだ、なんのつもりだ」
「ちょっとくらいいいだろジャン君。俺ら仲良しだろ」
「酒臭い。酔ってるのか?」
「そう意気がんなよ。びびってんのばればれだぞ」
「帰れ。今すぐ帰るなら、村長には言わないから」
「チクリかよ、雑魚。ランとリンはどうした。奥の部屋か?」
「ランは子供を連れて実家に泊まりだ。家には今日僕一人だ」
「嘘つけ。晩飯四つ出しっぱだぞ」
「嘘じゃない。二人に何の用だ」
「ちょっくら夜這いに。うちの特権で昔ながらの風習っての? 弟の義務として兄嫁に男を教えに来た。まあ奥さんはついでだがね。ランママにはこいつらの童貞を切って貰いたい。初めて同士の交換でとんとんだろ?」
「どどど童貞じゃない」
「ちょ、ばらすなよ兄貴」
「馬鹿を言うな。今すぐ出て行け」
「聞き分けの無いやつだな。奥さーん、いまからこいつボコっから。さっさと表出て来いや!」
「家には誰もいない! 帰れ!」
「かーえりーませーん」
茶化して三人で笑い合うと、ジャンを押し退けて奥へ向かおうとした。
「こら、まて、やめろ!」
不意に視界が回って頭に衝撃を受けた。遅れて痛みがやって来る。
「え? あ?」
「兄貴? 頭血ぃ出てる」
ジャンに掴みかかられて引き倒されたのである。家具の角に頭がぶつかり切れていた。
「ちょ、ま、なにおま」
めまいが治まると、ジャンがこちらを見下ろしていた。
「今すぐ、ここを、出て行け」
表情にも声色にも、恐怖の色はもはやない。
日ごろの温厚さとは裏腹なジャンの目つきは、次兄のそれを彷彿させた。
「なんだよ、その目。なんだその目は!」
発作的であった。柄に手をかけ振りかぶって振り下ろす。体が勝手に動いていた。
気が付けばジャンの首元に剣の刃が薪割りのように食い込んでいた。咄嗟に引き抜くと、ジャンは血液のこんこんとわき出る傷口を押さえながら少しふらつき、間もなくくずおれた。
「ちがっ、俺、そんなつもりじゃ」
弁明すべく振り向けば、悪童二人は「ひっ」と声を上げた。
「おい、おい。おい起きろ」
血まみれになるのも構わず揺すったり顔を叩いたりする。しかしジャンは動かなかった。完全に死んでいた。
物音がした。
「あなた?」
ジャンの妻のランであった。奥の扉から身を乗り出し、呆然と見つめたと思えば、絶叫した。
「人殺し!」
「うるせえ黙れ!」
ドン、と机を叩くが、ランは怯まず、ジャンの死体にすがりつき、狂乱したまま人殺し人殺しと繰り返した。
「ほんの弾みだろうが。ついカッとなったんだ。俺じゃない他のみんなでもこんな失敗するはずだ。ガン飛ばすから、俺をカッとさせたからだ。俺のせいじゃない。こいつが生意気すぎるせいだ」
誤解を解こうとしてもランは聞く耳を持たなかった。人殺しと一方的に責められ続け、三男はつい逆上した。
「さっさと黙れやクソ女! 犯すぞ!」
ようやっと反応し、夫の亡骸をかき抱いたままにらみ付ける。月明かりに照らされた青ざめた肌がいやになまめかしく見えた。
「……そうだった。俺たちは夜這いに来たんだった」
勃起していた。
「夜這い? 夜這いってなんで? 兄貴は今人殺しを――」
「――冒険者なんざ人を殺して一人前だろうが! 殺す覚悟が、男だろ! びびってんじゃねえ!」
「でも」
「でもでもだってとやかましい! いいからセックスだよ! はなっからそのつもりで来たんだろうが!」
ランを押さえつけるよう命じてベルトを外した。
数分後、ふぅ、と血塗れの床から立ち上がって息を吐く。夫と貞操を奪われた女が、ぐったりしてすすり泣いている。
「次はお前らの番だな」
達成感があった。あまりの心地よさににやけていた。おすそ分けしようという気分にもなる。
「遠慮すんなよ。こいつは必要なことでもある。通過儀礼って言ったろ? それにお前らもやる気じゃねえか」
行為を見せつけられた悪童二人のズボンはすっかり膨らんでいた。殺人の衝撃を上塗りしようという精神の働きもあり、入り交じった体液の匂いと規則的な水音とに促されて、下半身の衝動がわき上がっていた。
「俺たちは仲間で家族だ。みんなで犯るから尊いんだ。絆が深まるんだ」
だらしなく手足を投げ出したランの姿に、二人が生唾を飲み込んだ。
殺人現場でのイニシエーションは次第に乱交の様相を呈して、衣服を身につけるのは死体ばかりとなった。
「そういやリンを忘れていた」
男と女と男とが、嬲るの文字通りにひとかたまりになってうごめいている。熱中している仲間を尻目に、血塗れの剣をぶらつかせて立って行った。
「仲間はずれはよくないもんな」
姉弟は奥の部屋のクローゼットに身を隠していた。抵抗されるが罵声を浴びせて引きずり出し、剣をちらつかせて怯ませる。
「お父ちゃんみたいになりたくないならお母ちゃんみたいに大人しくしろ。言い付けを良く守ればいい子いい子してやる」
父親がおねんねしているすぐ横で、母親が男二人と仲良しするのを見せつけてやった。
「いいご両親だな」
姉弟は絶句していた。嫁入り前の少女と思春期前の少年には、不倫現場の光景は刺激が強すぎたようである。
「寝取られパパと阿婆擦れママでお似合いだぜ」
からかってやると、弟のケンがピィと笛の音に似た声を鳴らして泣き出した。腕で顔を覆って、いかにも子供らしい号泣であった。
「クソガキがきったねえ声で泣くんじゃねえ! 萎えんだろうが!」
拳骨を食らわせてやれば、顔を隠したままよろめいて食卓にもたれかかり、食器をぶちまけながら床にうずくまった。
「ケンくん!」
と駆け寄ろうとするリンの髪をつかみ、顔を寄せてぺろりと舐める。
「弟殺すぞお姉ちゃん」
剣の腹で足を叩くとびくりと震えて大人しくなった。
先ほどまで裸体ばかり目にしていたせいか、薄手の寝間着の控えめな膨らみが、いやに欲望をかきたてる。這わすというより揉みくちゃにするような勢いで手を動かしてみるが、剣を持ったままの片手ではやりづらいし物足りない。
「仰向けになれ」
剣を置く。スカートをたくし上げ、両足首をつかんで持ち上げる。お楽しみはまだまだあって中途半端であるが、もはや我慢ならぬ。
「いや、やだ、助けてママ!」
いよいよとなって少女が腕を振り回す。こんな体勢ではか弱い抵抗に過ぎない。あざ笑った。
「お前がママになるんだよ!」
いざ、と腰を突き出そうというそのときであった。不意の異物感に、一拍遅れて身体の中心から凄まじい激痛が広がった。息が止まる。声が出ない。リンが後ずさりしていた。意識が明滅すると、横倒しに身体を丸めている。両手は少女の足首ではなく、己の股間を押さえていた。
ケン・シースレスであった。うつむいて泣きじゃくっていたはずのその少年は、男が地獄の苦しみを味わうのを能面面で観察していた。中腰で宙ぶらりんという無防備になったその瞬間、急所を全力で蹴り上げていたのである。少年の左右の手には、くすんだ食器のナイフがあった。
剣を求める手が床を這う。何もない。見ればなぜか手が届かない位置に移動していた。
「てめっ、死んだぞ、ガキィ!」
四つん這いで顔を上げて凄む。まだ身体の自由が利かないが、今に思い知らせてやると闘志を燃やす。
「兄貴!?」
結合状態のまま硬直しているものの、仲間もこちらの様子に気付いている。
「お前ら俺を助けるんだよ!」
「兄貴うしろ!」
「へ?」
振り向くと目玉にナイフが突き刺さった。
「あっ、ひぃ?」
そのことを理解して絶叫した。唐突に視界が欠け、痛みを上回る欠損の恐怖に無事な片眼までも瞑ってしまい、暗闇のなかでのたうち回る。
「やめっ、たすけ、ごめんなさ――」
固いものが首にごりっと差し込む感覚がした。もはや助からなかった。
ケンの目の前で、村長の三男が瞼と首からナイフを生やして痙攣していた。もはや何をせずとも息を引き取るであろう。
不意打ちでリーダーを仕留めたものの、残る取り巻き二人と真正面からやり合うのは子供の非力な身体では難しい。父親の仇のうち、どうにか一人は討てたので及第点といえる。
泣き喚き、食卓に向けて倒れ込んで武器となる食器のナイフを二本確保する。顔を覆う泣き真似を続け、目を瞑ったと見せかけて機会をうかがう。最も無防備になる瞬間を狙って忍び寄り、確実に動きが鈍るであろう一撃を食らわせる。床に置かれた剣を蹴飛ばして拾えなくする。片方のナイフと引き替えに片眼を潰し、パニック状態に陥らせて反撃を封じる。残ったナイフを両手持ちで、全身全霊を込めて、首をめがけ、致命傷を負わせる。綱渡りであった。
「兄貴が死んだ?」
「この人殺し!」
呆然としていた三男の取り巻きが立ち直った。今は手元に武器がない。ナイフは再利用してもいいが心許なく、転がっているショートソードは子供の腕力では満足に振れないであろう。己が生き残るのに最善の手段は逃亡であるが、母と姉を置いてはいけない。
取り巻き二人がそろそろと身動ぎして立ち上がる。縮こまって自然と連結が外れている。母が人質にされないのは僥倖ではある。今し方兄貴分を殺されたにもかかわらず、相手が非力な子供であるという認識は拭いきれなかったのか、あるいはまだそこまで頭が回らないのか、いずれにしても、そうした油断や隙を最大限利用しなければと思考を加速させたとき、突如、もの凄い感覚に襲われた。
それを無理矢理例えるならば、少年が精通の間際に感じる、射精を快楽と学習するより以前の安心感に似た暖かみを、途方もなく拡大した感覚である。それでいて肉の喜びにあるような余韻がない。刹那というよりもいっそ、時間感覚を超越した法悦であった。白昼夢のようなあやふやな時を過ごしたと思えば、現実ではまったく時間が流れていないのが直覚される。視界の中、足を踏み出しかけた取り巻き二人の姿は、法悦の以前以後で寸分違わず同一である。
不意に、こいつら弱そうだなという錯覚に襲われた。もちろんそんなはずはない。もうじき大人になろうという十四五歳の若者二人と十歳の子供の自分とでは腕力において比ぶべくもない。
ないはずであるが、試しに拳を握ってみた。ぎちりという音がした。
「よくも兄貴を」
すかさず身を翻して得物を拾う。やはり、思ったよりも重くない。
「それは兄貴のだぞ!」
怒りを募らせる二人を尻目に素振りする。剣というものを手にするのは初めてである。一振り目はショートソードの重さに身体を持って行かれ、二振り目にはぶれが残り、三振り目で腕に馴染んだ。上昇した身体能力も把握した。
いける、と確信した。
ケンは相手の懐へ忍び込むように踏み込んだ。
「おわっ」
わざと一拍置いての切り上げに、相手は腰を引っ込める。回避行動を許したので手応えは軽い。だがそれでいい。致命傷狙いではない。剣の尖端を滑らせるような振り方は、精密だが非常に軽い。片方の無力化を目的としたこの奇襲は全裸だからこそ狙いやすい。
幼子のような悲鳴が上がった。股の間でぶらつくそれが、切れ目を入れすぎたソーセージのように千切れかけていた。
「ひぇっ、ま、魔族だ……」
惨劇にもほどがある。兄貴分の仇への怒りは消え失せた。もはや恐怖しかなかった。一方は患部に触れることも足を動かすこともできずに泣き喚き、もう一方は無表情で凶刃を振るった子供が恐ろしくて戦意喪失した。一対一に持ち込むどころか、戦いにもならなかった。
この様子ならばと、ケンは上段に構えて微笑んで見せた。
「く、来るな……来ないで……ひゃあっ!」
相手が恐怖に耐えかねて逃げ出そうと背を向けると、未来位置を狙った飛び込み斬りがふくらはぎに命中する。
「もうやだ。痛いよぅ……」
びっこを引いてなおも逃げようとする。追撃でお尻を切り裂くと仰け反った。人体を斬ってみた感覚からして一撃で致命傷を与えるのは謎の現象で強化された腕力でも難しい。
あまり時間をかけては割礼攻撃で足止めしておいたもう一方が根性を発揮して立ち直りかねない。聞きかじりの急所を試している暇は無い。
よってとりあえず学習を兼ねて裸体を滅多切りにした。程なく頸動脈に当たって失血死した。
残るは後一人となった。相手は無防備かつ負傷していて、こちらは武器を持っている。戦力がやや勝っている今ならば、殺害以外の選択肢も見えてくる。
「姉さん」
と、まだ生きている悪童に剣を突きつけながら、
「物置にロープがあったよね。それでこいつを――」
横目で見れば、姉のリンは青ざめた顔でこちらを見つめている。どうも怯えきっている様子である。
「俺一人じゃ無理なんだ」
声をかけるがびくつくばかりで動かなかった。拘束は任せられそうにない。母のランの方を見ても、目を開けたままぼんやりになっている。父のジャンは言わずもがなである。
「助けてください……お願いです……謝るからごめんなさい……」
今は股間から血と糞便を垂らして命乞いしているが、村の乱暴者であることに変わりない。単純な腕力においては今のケンと同等で、再び暴れ出せば母と姉に被害が及びかねない。
ケンは溜め息をついてショートソードを振りかぶった。
「だ、駄目!」
姉の声であった。人殺しはいけないことであり、今まさにそのいけないことをしようとしている弟を思いとどまらせようと、手を伸ばしていた。
ケンは少し考えて、それから武器を振り下ろした。あからさまにほっとした顔が絶望に歪んだ。
父を殺し、母を辱めた三人の若者は三人とも死体になった。