あれは三回目……いや、四回目だっただろうか。正直心が折れそうになっていた。ミクとの婚約が決まり嬉しいはずなのに、また逆行してしまったらと考えると精神不安定になっていた時、俺はクロモトさんに夜呼び出された。
「カイト坊……お前何に悩んでんだ? 親しい連中は皆心配してんぞ。これからミクの嬢ちゃんと婚約だってーのにお前がそんな顔してんじゃな」
「……それは」
話したところで信じてもらえるかも分からない……けれどこのままではどうしょうもないとしたカイトは全てをクロモトへと話す事にした。
「なるほどな。そういう事だったか」
「信じてくれるんですか?」
「他の連中は兎も角、俺はカイト坊を信じるぜ。お前の瞳に嘘は感じなかったし、言ってしまうとな俺も逆行の経験者だ」
クロモトの経験者発言にカイトは持っていたグラスを床に落としてしまうが、それすらも無視してクロモトへ縋るように側に寄る。
「教えて下さい! どうしたらこれから抜け出せるのですか!?」
「落ち着けって。ちゃんと話してやっからくっつくのは止めろ。俺にそっちの気はねーぞ」
「す、すみません…………」
こうしてクロモトの経験談を聞いたカイトは何度かの逆行を繰り返した後、改めてクロモトと話し合い、これで最後と今旅をしているのだ。
「…………(今度こそ君を幸せにしてみせる。だからもう少しだけ待っててね、ミク)」
「んっ? カイトどうかしましたか?」
「いや、何でも」
そして僕は再び歩み出した。
クロモトさん達を諦め、街道を進む俺とミク。流石にこの辺はレベルの低いモンスターしか出てこない為問題なく先に進む事ができていた。
「流石です、カイト! この辺では一番の強敵のワーウルフも問題なしですね!」
「まぁね……って言いたいけど、こっち見ながら、そのワーウルフ数匹の攻撃を余裕で躱しながら倒してるミクの方が凄いよ」
ワーウルフさん。Lv.12
本来なら冒険初心者の登竜門的相手なのだが、俺達にとっては……。
「あっ、あそこに休憩所がありますよ! 二人を待つのも含め、一息入れましょう」
そう言って街道沿いにある休憩所にミクが走っていく。こういった休憩所は冒険者のオアシスとして非常に便利な場所なんだけど、だからこそ気を付けないといけない場所でもある。
「…………(今回も居るな……隠れてはいるけど)」
休憩所はオアシスであると同時に、冒険者の気が緩みやすい場所でもある為、余計な族達のターゲットにもなりやすいんだよ。
「カイトも早く座りましょう。飲み物も用意しますね」
「ありがとう。だけど気を緩め過ぎだよミク。こういう場所だからこそ周りを警戒しないと」
「あっ、すみません。つい――って!?」
ミクも今の現状を悟ったのか、表情が険しくなる。ザコ敵ばかりならいいんだけど。
「さて、坊主に嬢ちゃん……素直に金目のモン置いて逃げるなら今の内だぜぇ? あぁ〜嬢ちゃんの方は逃がさねぇけどな! ガハハ!」
下衆な視線でミクを眺める盗賊団のボスに、サブリーダーまで居るし……今までで一番最悪なパターンだな。
「カイトに手出しはさせません!」
ミクが俺を庇うように前に出る。その背中に自分の背中を合わせ剣を構える。
「背中は任せたよミク。クロモトさん達が追いついて来るまで粘るよ」
「カイト……お任せを!」
「逃げる気はねーか……ならやっちまえ野郎共!」
冒険序盤最大の難所ともいうべき戦いが始まる。
盗賊団。ボスLv.25、サブリーダーLv.20、シーフ達Lv.10〜15
この辺一帯を縄張りとする盗賊団で、ザコは兎も角、ボスはカイトが冒険を始めて最初の自分より格上の敵となる。
この時点でカイトLv.21、ミクLv.25である。(忘れてる方の為記載)
カイト君は無事ミクちゃんを守りきる事ができるのか!?