エリカの花言葉って「孤独」らしいですよ。
それはそうと主人公の名前出ます。完全に後付だから無理やり差し込んだ感すごいけど許してちょんまげ。
ちなみに主人公の父は歌手です。結構有名です。かっこいいですね。
俺の歌でまふゆを救う。
そうと決まれば話は早い。俺は早速準備に取り掛かった。
―――何事も基礎が大事。
よく耳にする言葉だ。そしてこの言葉には俺も同意する。故に俺はその言葉に従い、地固めから始めていくことにした。
まず手始めに、ボイストレーニングの教室に通い始めた。親に土下座し、バカ高い費用を払ってもらいながら片道2時間掛けて自転車で通っている。
幸い、俺には歌の才能があったらしく中学3年生の冬頃には、超厳しいと評判の田中先生に「小夏、ワシより上手くね?」と歌唱力について太鼓判を押してもらえるほどに成長した。
ちなみに小夏というのは俺の名だ。
俺の名前は【
少し暑苦しい気がしなくもないが、父に付けてもらった大事な名前だ。とても気に入っている。
そして、成長をするためには努力というものが付き物だ。無論、俺のこの急成長にだってその裏には計り知れない量の努力が隠れている。
この場で言う努力とは、歌うことだ。歌って経験を積み重ねる事が成長への近道になる。少なくとも俺はそう考えている。
だからとにかく歌った。かさぶたが剥がれるくらい歌った。
一時期は学校の授業をサボって屋上に来てまで歌の練習をしていた。そのせいか、学校でのあだ名がみのもんたになったのは良い思い出だ。*1確かあだ名を命名したのはB組の石楠花君だったな。よし、アイツに次あった時は絶対に一発殴ってやろう。
そしてこれは別件だが、ちょうどその頃に屋上で出会い仲良くなった友人が居る。関係は高校に進学した今も続いていて、俺の良き理解者となってくれる仲間だ。その友人の話も今度ゆっくりと、時間があるときにしようと思う。
歌の練習をしていた傍ら、作曲ついての勉強も始めた。近くの古本屋で専門の知識が載っている本をワンコインで買い、その本を教材として勉強を始めた。これに関しては完全に独学だ。
楽器は元から家に置いてあったものを使っている。父が音楽関係の仕事ををやっていて良かったと常々思う今日この頃だ。
キーボードにギター、ベースにドラムと、種類が豊富でどれから着手しようかかなり悩んだが、キーボードから学び始めることにした。理由としては、キーボードは曲の大部分を担うメロディを奏でる。メロディは作曲の基礎となってくるので曲作りの勉強と並行して行うには最適だと判断したからだ。
そんなこんなでまふゆを救うべく本格的に動き出した俺、この行いがまふゆへの救いとなることを願い、今日も歌おう。
◆
時は進んで中学3年生の春、受験期が終わり殆んどの学生が肩の力を抜いて次の学年への準備をしている頃であろう。
「出来た!出来たぞ!出来たあああああ!っっしゃああああああああい!!!」
うるさぁい!とリビングから母の怒号が飛んでくるが気にも留めずに、ピョンピョン跳ねたり部屋中を駆け回ったりと大はしゃぎ。今思い返すと少し舞い上がり過ぎではないかと恥ずかしくなってくる程だ。
俺は一つの楽曲を完成させた。作詞作曲は勿論俺、音の打ち込みからレコーディング環境の確保、ミックス作業など全て自分の手で行った。
「圧!倒!的!達成感!!!うおぉぉぉ……」
全て自力で行った分、達成感が半端じゃない。感動のあまりに家中を跳ねて回る姿はさながら打ち上げられたマグロだ。百戦錬磨の凄腕漁師もたじたじの活きの良さであったことだろう。
だがここで満足してハイ終わり!というわけには行かない。曲を作り終えただけでは終わらない。曲を完成させる事が目的ではない。真の目的はこの曲、この歌でまふゆを救うことだ。だから、一刻でも早くまふゆに俺の歌を届けに行くべきなのだが……。
いつまでも浮足立って入られない。そうは思っているものの、やはり落ち着かない。あと少し、ほんの少しだけ、この心地よい余韻に浸っていたい。そんな意地汚い欲望が微かに溢れてしまう。俺も所詮は人間なんだなぁと、染み染み思った。
◆
次の日、まふゆを俺の部屋に招いた。当日の誘いになったが、運良く予定が空いていたらしく、二つ返事でOKを貰えた。まふゆを招待した理由は言うまでもない、俺の歌を聞いてもらうためだ。結局日を跨ぐまで曲が完成したことの達成感に打ちひしがれていた俺だが、寝て起きたら流石にそれも無くなっていた。今はまふゆに俺の歌を聞いてもらいたい一心だ。
「お邪魔します」
「あぁ!ぜひ邪魔して行ってくれ!」
「あはは……小夏って、時々ズレたこと言うよね……」
苦笑が漏れるまふゆの顔、これが演技だなんて信じられないと思うが、俺には分かる。やはり幼なじみだからだろうか、長い期間まふゆと一緒にいた分、彼女の小さな感情の変化にすら機敏に気付けるようになっていた。下手したら変態の域に足を踏み入れてしまいそう、というかもはや片足突っ込んでいた俺だが、そんな俺だからこそ分かる。今の彼女は、無だ。何も無い。何も感じない。虚無なんだ。
今日というこの日はその現状を変えるためにある。俺の歌を聴いて彼女が何を思うかは、誰にもわからない。神のみぞ知る、というやつだろう。
「とりあえず座ってくれ!座布団はもう出してあるぞ!」
「ふふ、ありがとう。それじゃあお先に座らせてもらおうかな」
座布団へと腰を下ろし、肩に掛けていたトートバックのから教材と筆箱を取り出すまふゆ。今日の目的は俺の歌をまふゆに聴いてもらうことだ。だがしかし、バカ正直に「俺の歌で君を救いたいから家に来て」だなんてこと俺には言えるはずもない。言ったところで何いってんだコイツと想われるのが関の山だ。まふゆは優しいから、内心何いってんだコイツと思いながらも付き合ってはくれるだろうが、流石に俺のメンタルが保たない。ということなので今日は、『高校へ向けての勉強会』という建前のもとまふゆを我が家に招待した。
「それにしても珍しいね。小夏の方から勉強会のお誘いなんて」
「俺達ももうすぐ高校生だ!進学すれば、授業のレベルも上がるはず!ならば、早めに予習しておいて損はないだろ?」
「ふふ、そうだね。まずはどの教科から始める?」
「やはり数学のどちらかだろう! やるとしたらまふゆは数1と数Aどちらをやりたい?」
「うーん、数1かなぁ。やっぱり、関数とかはまだ苦手意識が強いや」
「分かった!数1だな!」
◆
男たるもの、惚れた女相手に一歩リードし手を引いてやることくらい当たり前に出来なければならない。父の口癖だった。どんな口癖だよというツッコミが入るのはしょうがないことだと思う。
当時8歳、まふゆへの恋心を自覚した俺は父の言葉に習い、彼女のことをリードできるような男になることを決心した。
勉強・運動・自分磨きetc……目に付くものは全て抜かりなく、少しでもまふゆに相応しい男になるため血と汗と涙を流しながら死ぬ気で努力した。それで死んだら元も子もないが。あ、そういうことじゃない?
そしてその結果として、直近の全国模試では490点だったり、バスケットのインターハイに助っ人として出場させられたり、校内イケメンランキングとかいうプライバシーもへったくれもない酷すぎる番付では堂々の一位に輝いたりと、大妖怪完璧超人スーパーダーリンへと変貌を遂げた俺であったのだが、一つどうも気に掛かることがあった。
何故か女子に全くモテないということだ。いや、別にモテたいとかそういう浅ましい欲望の元に努力を積み重ねたわけではない。ただ、ここまで色々やってきて全くと言っていいほどモテないのは流石に来るものがあるというかなんというか……あぁいやしかし、俺にはまふゆが居るのだ。むしろモテない方が好都合かもしれない。……うんうん、そうだそうだそういうことにしておこう。じゃないと、辛い。
「小夏」
「なんだ?」
「ここの二次関数の問題がちょっと難しくて……」
「! あぁ!そこはだな―――」
まふゆは要領がよく基本的にどんなことでも自分でこなしてしまう。俺がまふゆの手を引こうにも、いかんせん彼女は誰の手も借りずに一人でやりきってしまう。本当はもっと頼ってほしい。しかし、彼女がそれを必要としない以上俺が口出しするのもどうかと思う。
だから、滅多に人を頼らないまふゆが俺のことを必要とし、頼ってくれたときには思う存分甘やかす。そう決めている。
「―――んで最後、ここにこの公式を当てはめるだけだ!一見複雑そうだが、順を追って解いていけば案外楽に解ける問題だな!」
「なるほど……うん。ありがとう、小夏」
「どういたしまして!一回の解説で分かるなん
て流石はまふゆだな!賢い!」
「もぉ〜、褒めても何も出ないよ?それに一回で分かったのは、小夏の説明が分かりやすかったっていうのもあるんだから。小夏、将来は学校の先生とかやってそうだよね」
「声のデカさは人一倍だからな!教師に向いていると言われたら、確かに!ってなるぞ!」
◆
時計の秒針の音が等間隔で俺の左耳に落ちてくる。カリカリとペンを走らせる音が俺の右耳に入り込んでくる。
二人だけの空間。そこに会話らしい会話は存在せず、聞こえる音は無機質なものばかり。
ふと、右手の動きを止めペンを寝かせるまふゆ。一息ついたかと思うと、俺の顔を見て口を開いた。
「そろそろ休憩にしよっか。」
もうそんな時間かと思い時計の方を見てみると、時針が先程目にした時から45°程傾いていた。3時間も経っていたのか。
好きな人と共に過すと時間が経つのが早く感じる。よく聞く言い回しだが、これは本当だったかもしれない。
「そうだな!もうかれこれ3時間は参考書とにらめっこだったしな!少し休もう!」
さて、茶でも入れて来ようか……ってちがーう!何普通に勉強してるんだ俺。いや勉強はするけど、本来の目的は別だ!
俺の歌をまふゆに聴いてもらう。そのための今日だろうが!
「小夏、お手洗い借りてもいい?」
「ん? あ、ああ!もちろん!」
「ふふ、ありがとう」
そう言って俺の隣からすくりと立ち上がり、俺の部屋を後にするまふゆ。
さて、普通に参考書を3時間以上もしばき回してしまっていたのだが、一旦落ち着こう。
冷静に考えれば、この状況はチャンスだ。勉強と勉強の合間時間、唯一フリーなこの時間。俺の歌をまふゆに聴いてもらうためには今しかない。
ポケットにしまっていたスマホを取り出し、ファイルマネージャーを起動する。音楽ファイルと名付けられたフォルダを開くと、中には一つのMP3形式のファイルが入っていた。
栓が予め刺さっているイヤフォンを耳にはめて、再生ボタンを押す。
しっかりと音が流れていることを確認して、再生を止める。
よし、後はまふゆが部屋に戻ってくるのを待つのみだ。
(……胸の高鳴りオブ・ザ・イヤー上半期受賞レベルだな)
凄く緊張する。ふざけたことでも考えていないと、どうにかなってしまいそうだ。
◆
数秒もしないうちに扉が開いた。お手洗いを済ませたまふゆが、ハンカチを握りながら部屋へと入ってくる。
「おまたせ~って、あれ?どうかした?」
可愛らしく首をかしげるまふゆをよそに、俺の心臓はバックバクだ。ギアセカンド使えちゃいそう。
「ま、まふゆ!実は、まふゆに聴いてもらいたいものがあってだな―――」
運命の時は、刻一刻と迫ってきている。
長くなりそうなので分割
主人公の過去を小出しにして最後のほうで一気に伏線を回収するのが将来の夢です
主人公の名前も出たことだし、ちょいとキャラ設定をば
名前 日向 小夏
性別 男
誕生日 2月1日 身長 175cm
学校 神山高校 学年 2-A
趣味 努力
特技 まふゆかそれ以外かを足音で判断できる
苦手 まふゆの親・お化け
本作の主人公もとい「まふゆに相応しい男になるためだ!」とか言って全国模試のアベレージ98取る変態。認めるのは悔しいがスパダリ。まぁオリ主だからね、しょうがないね。
スパダリ地雷の方はまじでごめんなさい。
でもさ、好きな子の隣に立つために血反吐が出るくらい努力して、ようやく相応しくなった!って思った矢先に好きな女の子がぶち壊れちゃうの。良くない?良いよね。
ちなみにネテロ会長のパロディするためだけに主人公の名前が小夏になりました。こなつとこいつ、頭とけつが子音で韻を踏めます。
小夏君のアーティスト名は次回出ます。たぶんおそらくきっとめいびー
拙作のことを少しでも良いな、と思っていたただけた方がいらっしゃったら、感想、評価、お気に入り登録の方をしていただけると作者の励みになります。
8/28追記:評価バーに色がついててバク宙しました。しかも9.4って高すぎんだろ!
てことで評価をつけて下さった神々に敬礼を送りつつ、僭越ながらお名前の方紹介させていただきます。
枕の巨人 様
Kanata1112 様
10評価ありがとうございます!まさかこんな怪文書に最高評価を付けてくださる方が居るとは……神ですか?
本当にありがとうございます!
orutorosu2 様
kumorase 様
ほひほ 様
9評価ありがとうございます!実質最高評価の9、ハーメルンで長いこと読者をやっている私ですので、その価値がえげつなく高いということはよく知っています。本当にありがとうございます!
これからも定期的にバーが伸びるタイミングにでも、評価してくださった方々のお名前を紹介させて頂こうかなと考えてます。
至らぬところが多い、というかもはや至らぬところしか無い拙作ですが、最後までお楽しみ頂けるように私、尽力してまいります!
ところでスパダリは
-
ええんちゃう?
-
いやーちょっとね……
-
きっしょ、しねば?