6番町学園の教師   作:しがない22/7ファン

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24、才を持つ者の弊害

さて、俺とみうが車で向かったのはツナ料理専門店『おつな様』だ。

 

「先生、ここは?」

「見ての通りツナ専門の店だ。こないだチラシを貰ってな」

 

そういうとみうは目を輝かせた。

 

「ほら、入るぞ」

「はい‼︎」

 

俺とみうは店に入る。

店の中は人はそこまでおらず静かで落ち着いて夜ご飯を食べられそうだった。

 

「さて、みうはなにを食べる?」

「わ、私はこの5種のツナ丼にします」

「そうか、なら俺はこのツナチャーハンにするよ」

 

俺たちはメニューを決めて店員を呼び料理が出てくるまで雑談をすることにした。

 

「そういえば、先生ってダンスやってたんですか?」

 

突然みうがそう聞いてきた。

 

「ん?いや趣味で軽くだからそこまでだぞ」

 

俺は適当に誤魔化す。

するとみうは少し目を細めて不機嫌そうにした。

 

「先生、それって嘘ですよね?」

「え⁉︎」

 

みうは普通に俺の嘘を見抜いてきた。

 

「どうしてそう思うんだ?」

「私、人の嘘とかが嫌いで嘘かどうかを判断するには得意なんです。それで、今の先生はなんとなく少し嘘ついてそうだなって思って……」

「そうか……あまりい話じゃ無いが聞くか?」

「お願いします」

 

俺は隠すことをあきらめて素直に話すことにした。

 

「俺の名前は藤生だが元からそうだった訳じゃないんだ」

「そうなんですか?」

「あぁ、俺の元の名前は高木というんだ。歌舞伎の高木家って聞いたことないか?」

「高木ってあの有名な奴ですか?」

「あぁ、そうだ。俺は高木家現当主の娘の子だよ」

「そうだったんですね」

 

みうは少し驚いた様子だ。

 

「それで、今は話題になっていないが俺の母親である高木美沙は逮捕されているんだ」

「え‼︎」

 

「罪状は児童虐待だ」

「それって……」

「そう俺は虐待されてたんだよ、実の親に」

 

みうは目を見開いてこっちを見つめていた。

俺は此処から思い出したく無い過去を話す。

 

「元々次期当主は決まっていたからうちの母親は結婚する前からダンスをしてたんだ。けど親のダンスの才能は一般人よりは凄いけどあの高本家の娘としては普通という評価で周りにも受け入れてもらえなかったんだ。そして結婚して俺っていう子供ができた事もあってダンスは辞めたんだ。それまでは良かったんだが俺が生まれて最初は可愛がってくれてたんだ。だけど……」

 

そこまで話したとこで店の人が料理を持って来てくれた。

 

「取り敢えず食べよっか。そんな暗い顔すんなよ」

「ご、ごめんなさい。そんな話させちゃって」

「気にすんないつかは話さないといけなかった事だしな。それじゃあ頂きます‼︎」

「い、頂きます」

 

俺とみうは同時に一口目を食べる。

味はとても美味しくツナの味が引き立っていてとても良かった。

みうの顔も明るくなっていった。

そんなこんなで30分一心不乱に食べて俺らは店を出た。

 

「少し行きたいところがあるんだけど大丈夫か?」

「は、はい」

 

俺はみうを車に乗せて街の外れにある高台へ向かった。

 

「うわぁ、綺麗です」

「だろ?ここは俺が虐待される前に両親が連れてきてくれた場所だ」

 

俺はそう言いながら近くの自販機で買った暖かいお茶を渡す。

 

「それで、話の続きだが俺が5歳の時だ。母親のダンスの動画を見て俺もダンスをしたいと親に言ったんだ。親は笑顔で許可してくれてレッスン場に行ったんだ。けど……そこで問題が起きたんだ」

 

俺は手に持っているお茶を握り締めながら言葉を紡ぐ。

 

「俺はなんでかダンスの才能があったみたいで気づいたらダンス大会の幼稚園児部門で優勝してたんだ。そこで親、というか俺の母親は耐えれなくなったのか家に帰ったら殴られたんだ。あの時の俺はなんでお母さんが殴ってきたのかすらわからなったけど今ならわかる。嫉妬だよ。高木家の人は必ず当主と比べられる、そこで俺はその名前に恥じぬ結果を出した。それが親には許せなかったんだろう。父親が出張から帰ってくるまで俺はずっと暴行を受けていた。父親が帰ってきた頃には膝がボロボロで一時期は車椅子生活も余儀なくされたんだ。もちろん母親は捕まり離婚して今の藤生って言う名前になったんだ。それに激しい運動ができないから俺はその時得意科目だった世界史で大学に行って世界史の教師になった。これが俺がダンスができる理由とそれをあまり言わない理由だ」

 

俺が一通り話し終わるとみうは此方を向いて俺を見ていた。

 

「話してくれてありがとうございます。先生にそんな事情があるとは知らずに質問をしてしまってごめんなさい」

 

「さっきから何回も言ってるけど気にしなくて良いよ」

「はい、後先生が自分の話をしてくれて嬉しかったです。後、今度は嘘はついて欲しくないです」

 

みうは少し口角を上げて笑った。

 

「そうだな、今後はそうするよ。それじゃあ帰ろっか」

「はい」

 

俺とみは車に戻り寮へと帰った。

 




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