千年樹に栄光を   作:アグナ

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伝承再現・英雄降誕

 ──自らの身に霊を降ろす。

 

 いわゆる降霊術とカテゴライズされる魔術体系において、その行為は極めて原始的な術式にして最も危険な魔術でもある。

 理由は言うまでもないだろう。

 自らの存在を他に委ねる、とは危険性が余りにも高すぎるからだ。

 何せ、純粋な魂に全く別の情報体を混ぜ込むようなものだ。

 これが危険でない筈がないだろう。

 

 ……ある世界線においては、憑依・降霊に類する『複写』を使う吸血鬼がいた。

 その吸血鬼は自らの魂を加工し、情報体として周辺に電波を流し、無垢な赤子に情報を転写することによって、悪性情報として永遠に存在し続けるという能力を行使していたが、この際、被写体となる人間はこの悪性情報を受けた影響で悉くが発狂し、吸血鬼という他意識に飲み込まれている。

 

 魂という情報体が変化に不可逆である以上、一度取り込んだ情報を都合よく削除することはできない。

 その情報体が初めから受け入れた器を乗っ取り壊すような悪性情報(ウイルス)であるならば尚のことだ。

 

 情報媒体(コンピューター)などにして例えるならば、多くの情報体(コンテンツ)を導入することは媒体としての機能性を大きく拡張する行為であるが、一方で許容量に対して過ぎた情報(データ)を取り込んだ場合、受け取る側の容量や情報の内容如何によってはかえって機能性を壊す、とでもいうべきか。

 

 ましてそれが一個一個体の(情報)肉体()ならば、他情報に自らを侵す危険性の程は自殺行為にも等しいと言える。

 故に当然の結論として現代を生きる魔術師にとって降霊術は他に他を降ろす術だ。

 嘗てのように、神話のように、自らの智慧の意思を拡張するために自らの身に魂を降ろすなどという原始降霊術は時代遅れの遺物に過ぎない。

 

 なればこそ時計塔の魔術師たちがデミ・サーヴァントなどという理論を卓上の空論だと投げ捨てたのも当然だろう。

 神代は終わり、神秘も薄らいだ脆弱性の中に生きる現代の人間に高位の霊を憑霊させればどうなるかなど目に見えている。

 

 良くて存在が塗りつぶされるか、自壊するか。

 最悪は器ごと周辺に甚大な被害を及ぼすことになるだろう。

 

 真っ当な魔術師ならばまず考えない。自らを傷つける術式などそれ自体が未熟の証明になるからである。

 それが英霊の枠を超え、神霊ともなれば狂気の沙汰だ。

 この現代において神降ろしなどという行為を成立させていること自体が時計塔の魔術師にしてみればそれだけで『封印指定』が確定する偉業である。

 

 まして──元の自我を保ったまま。

 降ろした力のみを利用しようなどという都合のいい発想。

 

 人理戦線(グランドオーダー)のみで成功した特例事項を。

 あろうことか規模を拡張し、神を相手に成そうなど。

 

 そんな人知未踏を歩もうなどと……そんなものは『封印指定(物珍しい)』ですらない。

 不可能を可能となす人類史に刻まれるに等しい偉業。

 紛れもなく──■■の領域だ。

 

『────』

 

 白──ただ白。

 弱視者の視界のような光景が彼方にまで広がっている。

 死と言えば大抵、暗闇が脳裏を過るが、こういう冥界も成立するだろう。

 ただただ光に満ちた世界。

 そこには色はなく、変化はなく、白が広がっている。

 純黒と同じように純白もまた何もないという印象を与えるもの。

 

 なればこそ光満ちる世界も死者の国と何が違おう。

 光を漂う『意思』は漠然とそう思った。

 

『────』

 

 微睡むように『意思』は思考する。

 我の形は思い出せず、我の意味は思い出せぬ。

 然るにそれ(・・)は死んだのだろうか。

 

 では今に思考する()は天に行き着いた死者の魂か。

 であれば空の思考も頷ける。

 過去も未来も現在も、思考に移せる風景はなく。

 視界はこの通り「白」一色。

 

 記憶が脳に依存するならば器を失った魂だけでは何も写せないが道理。

 純白の世界に漂うこの『意思』はもはや失われた何者かだ。

 

『────?』

 

 不意にはてと、『意思』が無い首を傾げる。

 降って湧いた疑問、『意思』は何故、この光景に動揺しないのだろうか。

 もはや魂だけともなれば何も感じることはないということか。

 それともこうして思考していると思っている『意思』でさえ、『意思』が『意思』だと思っているだけの無機質なテキストだとでも?

 

 軽く考え、ああ、と思い出す。

 結論は単純だった。

 『意思』はこれに似た光景を識っている。

 生前? というのが正しいかは分からないが一度だけ『意思』は此処に似た道を歩いたことがある。

 

 無意識に刻まれた魂の航路。

 生まれ出でたもの、世界に生じたもの。

 その全てが行き着く最終地点。

 空想と現実の垣根など無意味だ。

 

 此処は「」。三千世界、次元宇宙の全ての集積地。

 数多の知性体があるだろうと仮定し、されど証明も不明も文字通り最期にしか出来ない終着地点。全てがあり、何もない何処か。

 遍く世界の螺旋の果て──空の境界。

 

『────』

 

 ついでに思い出す。

 そういえば前に通った時も同じ感想を抱いたのだったと。

 『意思』はぼんやりと思い出しながら、そのまま前と同じことを思う。

 

 空の境界。

 

 そんな印象と感想を抱いたものだから。

 つい、こんなことを願ったのだ。

 

どうせなら、型月世界に、転生したいものだ

 

 それが何だったのかは思い出せない。

 それが何を指すのかは思い出せない。

 ただ『意思』に深く刻まれたその思考は明日へのささやかな展望だったのかもしれない。

 

 死んだか何だかは知らぬが、()があるなら、そのように。

 そんな冗談にも似たニュアンスだったのかもしれない。

 

『────?』

 

 ふと。気づいた。

 ──光を、見た。

 

『────』

 

 『意思』によぎる感想は『星』だ。

 反射的に手……を伸ばす感覚で意思を伸ばす。

 先ほどの感想と似た既視感。

 

 あの『星』に、『意思(わたし)』は見覚えがある。

 そうだ、『  』はアレに手を伸ばして、そして……。

 

『──些か、尚早が過ぎると思うがね』

 

 懐かしい、誰かの声を思い出す。

 

『そんなことは無いだろう。計画の時期を考えれば寧ろ、遅すぎるぐらいだ。聖杯大戦までもう十年も無いという。であれば基礎的な部分の履修が終わっている以上、早々に仕上げ、戦に備える段階に入るべきだ』

 

『それは……そうではあるがね。いや、そもそも私としてはお前をマスターとして戦場に立たせることからして反対したいのだがね』

 

『当主自ら全てを賭ける(ベット)する計画なのだろう? ならば次期当主候補である私も参加するのは当然だ。何よりフィオレ嬢含め、ユグドミレニア一族期待の後進を生死の懸かった戦場に立たせる以上、本家だけは都合よく後方に下げようなど一族の民意が許してくれまいよ』

 

 識らない/これから知る。

 誰かと誰かの会話。

 数十年の懊悩をただ一人背負い続けた男と、ようやく十年と少しの人生を歩み出した少年のお話。

 

『幸い『時計塔』には我らが本意は未だ悟られず……折角だ、獲れるものは獲れるうちに獲っておくべきだ。もう数年すればフィオレ嬢含め何人かも『時計塔』に入学するのだろう? 貴方の残した基盤は残っているとはいえ、貴方も時計塔内部から離れて久しい。私が先駆けとして入学すれば色々と都合がいいだろう』

 

『むぅ……』

 

 ……奇妙な光景だった。

 或いは彼らの背景事情を知る者が居合わせたら絶句していただろう。

 あの■■■■■が。話術と詐術と魔術を使い、敵味方を問わず数多の人々を翻弄し続けた政治屋(怪物)が、まさか後継とはいえ、齢十と少しの少年に押し込まれるなど。

 あまりにも想像に難い光景であった。

 

 だが……それは当然のことだろう。

 何しろ、彼こそは……彼こそは■■■■■が夢にまで見た理想の──。

 

『言って折れる奴ではない、か。良いだろう時期尚早ではあるが入門を認めよう。学び、取れる部分は存分に取って来い。だが無茶はするな。こちらも手は回すがあくまで我らにとっては敵地である。踏み込みすぎるなよ』

 

『一族に余計な手間は掛けさせんよ』

 

『……心配しているのはそっちではないのだがね』

 

 男が嘆息する。

 仕方のない奴だと言いたげなその態度は彼には似合わないほどに人間的だった。

 

『ふぅ……全く。お前は優秀だが、少々身軽にすぎるな』

 

『ん、それは……どういう意図だ?』

 

『聞き流せ。軽い愚痴のようなものだ』

 

『そうか……──ふむ、成程。貴方も愚痴など口にするのだな。まあ生きているのだから当然か』

 

『お前は私を何だと思って──いや、そうだな。こういう機会だ、一つだけ聞かせてくれ』

 

『何だ?』

 

『お前は優秀な魔術師だ。その歳で既に魔術師としての心得を体得し、悩みも迷いもなくユグドミレニアの後継者として今のところ例にしたいほど完璧に歩んでいる』

 

『当然のことだろう。私はそういった定めに生まれたのだから』

 

『……後悔は、ないのか?』

 

『何?』

 

 それは、男にはらしくもない隙だった。

 もしくは数十年の懊悩が故の言葉だった。

 

 期待していなかったから、心のどこかで信じていなかったから。

 あり得もしない幻想だと、諦観を抱いていたから。

 迷うように描いた“もしも”が此処にきて、目の前に現れたからこその、逡巡。

 時間圧に抗ってまで一族の未来を夢見た男に残された最後の人間性。

 

 それが此処にきて僅かに顔を出したが故の、紛れもない本音(ことば)

 自分の運命に後悔はないのか。

 これから歩む道に後悔はないのか。

 

 可能性を──自らの生まれ持った人生(チカラ)の全てを一族(誰か)のために使うことに後悔はないのか。その、年老いた老人の苦悩(ぎもん)に少年は笑った。

 まるで春風を思わせるような、何の迷いも疑念もない、年相応に夢を語る子供のような笑みで──。

 

 

無い(・・)。貴方の願望(ユメ)()望み(ユメ)だ。誰も見たことがない未来(未知)を見るために、()は生まれてきたのだから」

 

「────」

 

 

 この時の()は自分の言葉の意味を知らない。

 純粋に、ただただ純粋に自分の意思を、願いを告げただけの彼は自分の言葉が他者に及ぼす影響など想像すらしていない。

 

 その、なんてことのない感想(ことば)が誰かにとって、どれほどの救いになったのかなど……考えつきもしなかったから。

 

 

「そう、か……そうか──ああ、いやはや全く、お前は──」

 

「──お前は、一族(ユグドミレニア)の誇りだ」

 

 

 

 

 

 ────────────────────

 ────────────────────

 ────────────────────

 ────────────────────

 ───────────────思い出した。

 

 そうだ。思い出した。思い出した。思い出した。思い出した。

 俺が誰か、私が誰か、我が誰か。

 何のために生まれ、何のために歩み、何のために此処まで来たのかを。

 

「…………まだだ」

 

 終わっていない。

 

「…………まだだ」

 

 数奇なるこの運命は。

 

「…………まだだ」

 

 望み、焦がれ、自ら立ったこの人生は。

 

「…………まだ、終わりに足る、美しい紋様(アートグラフ)などと呼べはしない」

 

 満足を謳う(ピリオド)には、早すぎる。

 

 我は想う──たとえ全てが漂白され、様変わりし、何一つ信じるに値しないのだとしても。

 我を思う──この意志だけは何者にだって侵せやしない。

 

 己は誰だ? 何を成す? 行先は? ──総じて、愚問なり。

 そんなもの、生まれる前から決まっていた。

 

「私は、聖杯大戦に勝利し、一族に栄光を齎すために祝福された魔術師。誰も見たことがない未知の結末を手にするために戦う者──誇りあるユグドミレニアの魔術師だ」

 

 告げた瞬間、像が成る、形が成る。

 上書きされかけた魂が再び駆動を開始する。

 

 蘇った知覚(視界)が捉える。

 纏った名前(アバター)の向こう──太陽がこちらを見ている。

 

 ずっと、こちらを見ていた。

 

「は──」

 

 神を差し置いてご指名は私らしい。

 過分にすぎる評価だが、かの英霊に敵と認められるとは光栄だ。

 だが、魔術師では英雄に相対するには不足だろう。

 神すら認めた献身の大英雄。焔を背負う、太陽の現身。

 で、あれば──。

 

「私もまた──相応しい名前で相対せねばなるまいよ」

 

 かくして伝承は此処に再現され──英雄譚が降臨する。

 

 

 

 

 ──それは神話に謳われるに相応しい原風景であった。

 

 銀色の世界を彩る蒼い居城。

 荘厳にして玲瓏なる深淵に座す氷雪の魔境。

 第五世界観(ニヴルヘイム)──詩人の主観によって、とある女王の異聞に等しい風景へと変じた此処は平和と安寧を望み、世界を愛した彼女の意思を反映するかの如く透き通った氷のように美しい世界だった。

 

 世界を侵す巨人の歩みはなく、切り捨てられ行く命もない。

 何一つ失われることのない静寂。

 

 本来であれば、そのような世界なのだろう。

 

 ルオォォォォォォンンン──……。

 ルオォォォォォォンンン──……。

 ルオォォォォォォンンン──……。

 

「……正直、ボクとしても此処を戦場にするのは気が進まないのだけれど、ね」

 

 少しだけ申し訳なさそうに、神話の主は……光神バルドルは呟く。

 記憶と記録にある彼女と彼女は別神であり、別世界であることは理解している。

 それでも、大切な母親(家族)であることには違いない。

 

 なればこそ、そんな彼女の世界を戦場にすることは心痛む、が。

 

『────! ■■■■■ッッッ!!!』

 

「って……いうか、さ。ボク自身、別に慢心も油断もしたわけじゃないんだけど、さ」

 

 ……無数の群狼が地を駆ける。

 其は悪評高き群狼(フローズヴィトニル)、災いを呼ぶ呪いの獣(ヴァナルガンド)

 かの神喰らい(フェンリル)を輩出した天災一族であり、千年級の神秘を内包した怪物集団。

 一匹一匹が並みのサーヴァントさえ容易く屠りうる牙と爪を持った狼であり、悪知恵に長けた狩人たちである。総じて五十四匹の災いが嵐のように駆け抜けていく。

 

 地を駆ける四足獣は大気の壁を容易く破り、常人には突風としか思えない猛烈な勢いで駆け抜ける彼らはそれだけで一種の災害だ。彼らが駆け抜けるたび、雪原が巻き上げられ、周辺に大規模な吹雪をまき散らし、雪崩を引き起こしている。

 合図のように猛る遠吠えはそれだけで周辺の魔力を散らし、あらゆる魔術的現象を無力化していく。

 古来より狼の遠吠えは魔性を払うというが、かの魔狼たちもそういった生態機能を有しているのだろう。

 仮に神代に通じるキャスターとて、この魔性払いには歯が立つまい。

 

 ……天空に竜の憎悪が響き渡る。

 其は怒りに燃えてうずくまる者(ニーズホッグ)。吼える背神者。

 世界樹の根を齧る邪竜。

 抑止の輪より現れた聖戦の徒を咆哮一つで薙ぎ払った恐るべきもの。

 

 制御不可能ゆえ深淵に生きたまま封印されていたはずの邪竜は完全なる顕現を果たし、その身を虚空に泳がせている。その瞳は相も変わらず憎悪に燃えており、怨念と憎悪渦巻く両眼はそれだけで一種の魔眼だ。一目直視されようものならばそれだけでメドゥーサに睨まれるが如く氷像へと変貌させられるだろう。

 相互理解などハナから不能。敵を絶滅させるまで不退転を掲げる竜は仇であるはずのバルドルに目もくれずただ空を目指して昇っていく。

 

 文字通りの災害としか言えない光景。

 如何にサーヴァントとはいえ、秒と持たない神話の具現。

 およそ敵対者に同情すら抱くだろう過大戦力にしかし。

 

 ボヤくように、嘆くように、或いは愚痴るように。

 次の瞬間、バルドルは摂氏五兆度──人類が粒子加速の実験によって観測した最大温度に匹敵する冗談のような超火力の直撃を全身に浴びながら天を仰いだ。

 

「やれやれ……アルドルが警戒を向けた一人なだけはある。まごうことなく、こりゃ最強としか言えないねぇ」

 

 群狼が鎧袖一触にされていく。

 邪竜が一薙ぎで地に叩き伏せられる。

 氷の世界が、神話の基盤が、深紅によって塗りつぶされる。

 

 神が見上げる──凍てつく蒼銀の空。

 深淵をも照らす太陽の具現が、そこにあった。

 

「────ふむ」

 

 英霊カルナ──いいや、英霊の枠を超越した太陽神の息子が、眼下に神を見下ろしている。

 

 アルドルが構築したこの世界は抑止の規制に弾かれている。

 だからこそ神霊バルドルはその規格外の権能を余すことなく振るうことが出来ているが、逆に言えばその条件は敵にも当てはまるのだ。元より英霊として在ることそれ自体が規格の矮小化に等しいカルナにとってもこの世界は優位に働く。

 たとえ北欧神話基盤(土地)不利(アウェー)があれど、全力を出せる環境というのはそれだけでカルナにとっては十分すぎる。

 何故ならば彼は半神半人の大英雄。

 

 神々が相手であろうと……自力のみで十分すぎる。

 

「いやはや、これで通常攻撃とは恐れ入る。純粋な火力だけで言うならば、星の聖剣(エクスカリバー)すら上回っているだろうね。天の聖杯(ヘヴンズフィール)の加護があっても届くかどうか。君ほどの英雄はボクらの神話体系には存在していないね」

 

 グツグツと煮えたぎる紅焔(プロミネンス)を感心するようにバルドルは撫でる。

 常軌を逸した高火力のせいで電撃すら発生させているそれらは触れれば英霊であろうとも問答無用に一瞬で灰と化す代物のはずだが、バルドルは防ぐことも何かの術を行使するでもなく、平然としている。

 “黒”のセイバー(不死身の剣士)の鎧すら通す高火力に何の痛痒も抱いていない。

 

「成程、“赤”のライダー……いや、かのヴリトラが如き肉体の守りか。貴方の伝承から察するに、その身体を傷つけるはヤドリギのみ、か」

 

「ご明察──というより不服にもボクの逸話で最も有名な神話だからね」

 

 納得するように頷くカルナをバルドルは肯定する。

 光神バルドル──その多いとは言い難い彼を語る神話の中で最も有名な彼の死因。

 自らの弱点ともいえる神話を。

 

「悪夢に魘されるボクを心配した母上(フリッグ)は、この惑星と契約してボクに不傷を約束させた。故にボクはこの惑星に由来するおよそ全ての事象・現象に傷つかない性質を有するようになった。疑似的な地球の精霊化、ま、出来損ないのアーキタイプみたいなものなんだよ。ボクは」

 

 宝具『汝、不老不変たれ(ナンナ・ディース)』。

 

 対人、対軍、対国、対星、対界──規模も威力も関係なく。

 ただ完璧(バルドル)を侵す全ての不純を無意味化する絶対防御。

 対粛清宝具に匹敵する光神の肉体。

 

「盾というよりは伝承防御に近しい性質を持っているな。オレの攻撃を弾いているというよりはそもそも届いていないというべきか。成程、オレの炎をまともに浴びて顔一つ歪ませていないのは当然だな」

 

「まあね。ボクを倒すならヤドリギを持ち出すか……或いはさっさと切り札を切ることをおススメするよ?」

 

「そうか」

 

 バルドルの視線がカルナの手元──インドラより授かりし神槍へと向けられる。

 あからさまな挑発。

 それをあっさりと受け流しつつ、槍を形どった無数の炎を虚空へ呼び出し、バルドル目掛けて振り下ろす。

 当然、バルドルはそれを躱す様子もなく直撃し、やはり無傷のまま涼し気に微笑んでいる。

 

 ……自身の宝具が効くという告白に嘘はないだろう。

 カルナ自身、槍を抜けば勝てるという確信があるし、余裕気に振舞うバルドルも常に視線をカルナの槍に固定して警戒している。

 神殺しの神槍──カルナの宝具の性質は恐らくかの神の契約を無効化できる。

 ましてや神殺しの槍(ミスティルテイン)を握る今の光神はかの世界宗教に語られる聖者の北欧神話におけるアバターとも解釈できる存在だ。

 

 神を殺す槍との相性は最悪(さいこう)だろう。

 そしてだからこそ、カルナはこの槍を容易には振るわない。

 敵は、槍を警戒している。

 だが、使わせないという選択肢を取っていない。

 

 それはつまるところ──。

 

“警戒さえ怠らなければ、防ぐ手段があるということか”

 

 相手は正真正銘、英霊の枠にすらいない神霊の本体。

 何らかの防御手段は持ち合わせていることに全く疑いはない。

 加えて舞台は敵の北欧神話(テリトリー)だ。

 自分自身に手段がなくとも手段を持ってくる可能性は大いにある。

 

“まずは注意を外さねば、この槍は当たるまい”

 

 バルドルが槍を注視している限り、宝具を切ったところで意味はない。

 とはいえ悠長にもしていられない。

 英霊の枠を超え、自爆覚悟で神域に手を出したのだ。

 

 今こうしている間も霊基は焼け焦げていき、消滅を示す魔力の燐光が絶え間なくカルナの身体から漏れ出している。意識的に消滅を遅らせていなければ、次の瞬間にも消えてなくなってしまっていただろう。

 だが……。

 

「まだだ、オレの身体よ、悪いがもう暫し持ってくれ」

 

 その無茶振りをカルナは気合で押し通す。

 時間は敵の味方、手数は多く、完全なるアウェーでの戦闘。

 何十苦にもほどがあるが──問題ない(・・・・)いつものことだ(・・・・・・・)

 

 不利であることなぞ百も承知、それでも尚、勝ち取るが英雄というものだ。

 

「……ヤドリギ、か。そうだな。ならば、こちらも試そうか」

 

「ん──」

 

 ぼそりとカルナは呟く。

 不意に焔の雨が止み、バルドルが眉を顰めた。

 

 ──パターンが変わった。何かくる。

 

 そう判断すると同時、その間隙にバルドルが指を鳴らす。

 刹那、虚空に浮かび上がる光の槍──総数一万二千に及ぶ砲門。

 

 戦乙女の振るう偽・大神宣言(グングニル)を模した魔槍をカルナ目掛けて打ち放つ。

 一つ一つの威力は流石にカルナほどの火力ではないが、数が異常だ。

 驟雨の如き光撃は文字通りの絨毯爆撃であり、逃げる隙間などなく、しかも絶え間ない。

 展開された砲門は一度ならず二度三度と砲撃し……百を数えても止まらない。

 

 カルナには無敵に匹敵する太陽神の鎧が存在するが、威力減衰効果の太陽神とて、この数の暴力が相手ではどうしようもないだろう。

 回避は不可能。防御は不可能。ならば死ぬしかないという焦土の攻撃。

 

 絶望さえ覚える光景を前に、されど英雄に恐れはなく。

 飛び込んでくる全ての光跡。槍の一本一本を斯くと見定め、

 

「──撃ち落とす」

 

 宣言したその刹那、一瞬にして全ての槍が爆散した。

 

「む──ッ!」

 

 耳を劈く衝撃と爆発。

 突如とした出来事にバルドルが当惑するが、それも一瞬の出来事。

 次の瞬間には背を這う悪寒に反射的に飛び退いた。

 

 死への予感ではない、いうなれば生理的な嫌悪感(・・・・・・・)

 果たして、先ほどまでバルドルが立っていた地点に無数の何かが飛来する。

 

 それは……。

 

()……? ──おいおい、君。自分のクラスを忘れたかい?」

 

「問題ない、きちんと覚えている。認知機能に支障はないとも」

 

 皮肉気に言うバルドルに律儀に応えるカルナ。

 槍を握っていたはずの手にはいつの間にか黄金の大弓が収まっており、対の手には矢が握られている。

 ……今のカルナは英霊としての枠に留まらず神々の領域に踏み込んでいる。

 故にクラスの縛りは既に無きに等しく、生前に伝承される武具を、全力を自らの意思で引き出すことが出来る。

 よって正しく弓兵とも言える堂に入った姿でカルナはバルドルを狙っていた。

 

「フッ──」

 

「……チッ」

 

 一息に放たれた矢は、矢というよりも熱線の類だ。

 太陽フレアを思わせるようにオーロラを発生させながら伸びる矢は幻想的かつ破滅的。

 偽・大神宣言(グングニル)を打ち砕いただけあって、尋常ならざる威力を秘めている。

 

 とはいえ、矢のそれ自体に一切の脅威を感じ取れない。

 少なくともカルナの矢にバルドルの死因に繋がる由縁はないのだろう。

 

 だというのにバルドルは防ぐ必要のない矢を槍で弾いた。

 苦々しい態度を見るに意識的にというよりも条件反射のような行動。

 それを見て、カルナはやはりと確信する。

 

「──どうやら飛来するもの(・・・・・・)は、苦手なようだな」

 

「……不敬だぞ?」

 

「是非も無し」

 

 ──光神バルドルを殺した死因はヤドリギ。

 そしてバルドルは投擲され、矢と化したヤドリギに射抜かれて死んだのだ。

 

 知性体である以上、分かっていても本能的にそうしてしまうという事態はままある。

 まして知性体……かつてそれで死んだことを経験的に知っていれば尚のことだ。

 たとえヤドリギでなくとも、飛来する物体にバルドルは機敏に反応する、してしまう。

 

「ランサーの癖に、アーチャーの真似事とはね……!」

 

「こちらにも覚えはあるとも。同じ条件ならばアルジュナにとて、負けん」

 

 そう言ってカルナは一息に数千にも及ぶ矢を打ち放った。

 手数は“赤”のアーチャーの宝具に匹敵するほどでその威力は彼女の宝具を優に上回る。その上、これだけの数にも拘らずきちんと照準しているらしく、洩れなく全てが直撃コースだ。

 

 まさに人力の災厄(カタストロフ)だ。

 

「こ、の……『弁えろ、下郎!!』」

 

 直撃を受けたところで意味はない。

 そんな確信は反射的に強張る体が、受け付けない。

 珍しく苛立たし気に顔を歪めたバルドルは金色の虹彩を放つ眼で迫りくる矢を睨め付け喝破した。

 

 刹那、迫る矢が全ての物理法則を無視して時を止められたようにピタリと止まる。

 あらゆる運動にすら干渉するフレイアの『魅了』。

 それを間借りした神の命令が世界ごと、現象を縫い留めたのだ。

 

「──注意が逸れたな、此処だ」

 

「ッ!?」

 

 カルナの言葉が至近距離で耳元に響く。

 視線をやるとそこには深々と身を下げた姿勢でバルドルの懐まで走りこんできたカルナの姿がある。

 寄り付くカルナを嫌う様にバルドルが槍を振るうが、ひらりとカルナは躱し、次の瞬間、渾身のアッパーカットがバルドルの顎を捉える。

 

「……!」

 

 痛みも損傷もバルドルにはない。だが、衝撃までは殺しきれない。

 慣性と筋力が乗った一撃はバルドルを揺らした。

 意識と肉体、二重の意味で動揺するバルドルに、カルナは手を緩めない。

 

 立て続けに一撃二撃と拳を加えていき、軽やかなフットワークで様々な角度から猛烈な勢いで打撃を入れいく。さながら拳闘士(ボクサー)のように見事な連打である。

 

「『盾のアース』!!」

 

「むっ……!」

 

 立て直す暇は与えまいと渾身の右ストレートを控えたカルナに対して、バルドルが不意に檄を飛ばす。

 カルナの足元に突如として浮かび上がる原初のルーン(エイワズ)

 それを起点に無数の植物が縄のように伸び、カルナの身体を拘束した。

 

(アグニ)よ……!」

 

 しかし不意の出来事にもカルナは冷静さを損なわず即座に対応した。

 カルナの全身から噴き出す焔の陽炎。

 忽ち発生した炎熱が全ての植物を燃やし、灰に変え、拘束そのものを破壊しに行く。

 ……だが。

 

「なに……?」

 

 拘束が解けない。否、拘束が絶え間ない。

 カルナの焔によって悉くが火に巻かれる植物たちは灰と化していくが、そこで終わらない。

 その灰を土壌に次の、そのまた次の、次の次の次の次のと。

 まるで自然の循環のように絶え間なく草の縄が伸びてくる。

 

 予想外の出来事に気を取られる。

 その一瞬に、光神は既に反撃の用意を整えていた。

 

「お返しだ」

 

「!」

 

 カルナをなぞる様にいつの間にか槍ではなく矢を構えるバルドル。

 鏃を寸分違わずカルナに照準し、

 

打ち砕け(アトリーズ)!」

 

 矢が放たれると同時にカルナは両腕を交差させながら身体を庇い、同時に鎧を展開する。

 防御は間に合った、が、威力は想定以上のモノだった。

 中空を一閃する矢はカルナに当たるや否やそのままの速度でカルナを押し出し跳ね飛ばす。

 

 踏みとどまることなど許さないとばかりに減衰することのない矢の勢いはカルナをあっさりと吹き飛ばし、その身を空へと投げ出した。

 そして、体勢の崩れたカルナを狙い撃つように、地には槍を構える光神の威容。

 

「──ッ、『梵天よ、(ブラフマーストラ)

 

「『大神号令(ミスティルテイン)──」

 

 間に合うか──否、間に合わせる──。

 

 姿勢は崩され、空中に投げ出され、行動は一拍遅れた。

 されど、それでも。

 

我を呪え(クンダーラ)』!」

 

神軍突撃(グングニル)』!」

 

 渦巻く膨大な魔力が界を分かつように衝突する。

 光の世界と焔の世界。

 発動した宝具は互いを喰い合い対消滅した。

 

「っ、ぐ……間に合った、か……!」

 

「……やっぱり油断も隙も無いね、英雄(君たち)は」

 

 致命傷を避けることに成功したカルナは息を入れ、その姿にバルドルは苦々しく呟く。

 今の逆撃で仕留めるつもりだったが凌がれた。

 基本的に定命無きこちらと違って英雄(人間)は常に必死だ。

 その執念たるや神々など及びもつかない。

 

「でも、踏み込まれたのには面を喰らったけど失策だったね。今ので余力は使い切ったんじゃない?」

 

「安心しろ、そちらと違って無茶はしているがこの程度で英雄は死にはしない」

 

「へえ……言ってくれるじゃん」

 

 いよいよ霊体の霧散が無視できないほど輝きが増す中でしかし、それでもカルナは平然としてバルドルの言葉を正す。本人は事実を告げただけのようだが、その言動に思わずバルドルの眉間に皺が寄る。

 とはいえ、流石に強がりも多少はある。

 戦いが始まってから時間は経過した。

 攻防の規模もあって魔力も尋常じゃない速度で失っている。

 

 切り札発動の余力を残さねばならぬことを考えれば猶予はない。

 

「──そうだな、後も(・・)控えている。悪いが、そろそろ貴方との戦いは決着とさせていただくとしよう」

 

 故に勝負を決めると遂にカルナは決断する。

 ……今の幕で大体は計り終えた。

 その特性、その総軍、その技能、次代の主神として完璧なる神の在り様。

 確かに君臨者としては優秀だ。これ以上なく相応しい。

 

 だが……。

 

「お前はやはり、戦士ではない(・・・・・・)

 

 言うや否や、黄金の鎧が霧散し、太陽を思わせるほどの膨大な魔力が渦巻いた。

 

「やはり来るか、神殺し……!」

 

 空に浮かび上がる死相。

 神々すら穿つ極大の宝具発動の予兆にバルドルが最大の警戒を向ける。

 ──『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』。

 評価規格外の神殺し。

 アルドルが最大限にカルナを警戒する理由であり、英霊カルナの最大の切り札。

 

 バルドルの意識が槍に集約する。

 

「浮上せよ、我が世界……!」

 

 槍を掲げて呪文を唱える。

 瞬間、大地が天空が世界そのものが軋みを上げて脈動する。

 『建国宣言(リーヴ)()伝承降誕(ユグドラシル)』。

 魔術師がそう呼称し、姿と規模を変えたバルドルの第三宝具。

 

 バルドルの呼びかけに応じ、その本来(・・)の姿へと立ち戻る。

 ……黄昏より次世代に命を繋げ、送り出すために用意され、現代にまでバルドル含め北欧神話の遺産たちを運んできた理想船。かの彷徨海バルトアンデルスと同じく惑星の時間圧に抗い、異なる軸に存在することで永遠を謳う箱舟。それこそが──。

 

 結界宝具『光り輝く世界船(フォルセティ・フリングホルニ)

 

 神話そのものを事象収納し、あらゆる外因より守り加護する。

 光神バルドルが持つ真なる絶対防御。

 その強度たるや騎士王が持つ『全て遠き理想郷(アヴァロン)』と同等。

 即ち天地開闢する原初の剣すら完全に遮断する宝具。

 

 神殺しをすら届かない……バルドルの切り札。

 

 

そこだ(・・・)

 

 

 ──しかし、それが完成を見るより先に。

 カルナは、一瞬にしてバルドルに肉薄していた。

 宝具発動に見せたその超火力──その全てを推進力に転換し、瞬きほどの余裕すら許さない勢いで接近して、勢いのまま神槍をバルドルへと突き立てた。

 

「こ、ふっ……な、ぜ……!?」

 

「──宝具に固執したな。灼熱を用いずとも是こそはインドラより賜りし、必滅の槍。この槍が鬼門だというのであれば、オレはただこれを抜き、当てるだけで十分だろう」

 

「────!」

 

 ──それは、当然の指摘だった。

 英霊カルナ最大の切り札『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』。

 一つの世界を盾にしてようやく防ぎうる最大火力。

 竜殺しの剣すら退ける恐るべき赤熱巨星。

 

 しかし──バルドルが恐れるべきはそれ(・・)ではない。

 どれほど火力があるともバルドルの肉体は火力そのものを恐れない。

 

 恐るべきはその逸話。神殺しの槍という特性の方だ。

 なればこそカルナに真名開放は必要ない(・・・・・・・・・)

 鎧を脱ぎ捨て、槍を抜き、当てる。

 

 神を殺すだけならば、これで十分なのだ。

 

「課題は当てること、それのみ。オレに貴方の立ち回りを観察する余裕を与えた段階で勝負は決まっていた。察するに──知識に足を引きずられたな。貴方はオレの宝具を知識として知っていても、理解にまでは及んでいなかった。偏に、その知識の持ち主では無いが故に(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「は──なる、ほど……参った、ね……これは……」

 

 ハハハと乾いた笑いを漏らすバルドル。

 持っている知識への本質的な理解とカルナの行動の意図。

 それを読み切れなかった時点で勝負は見えていたのだ。

 

「やれ、やれ……勿体ぶらせて、登場してこれとはね、我ながら情けない、けど……やっぱボクは戦いとか、向いてない、ね」

 

 自嘲するように、それでいて何処か朗らかに笑うバルドル。

 致命打を受け、明らかに気配が減退していってるにも関わらず、その顔に死相はない。

 

「餅は餅屋、だったっけ。()の、故郷的には。なんで、選手交代(・・・・)だ」

 

「…………」

 

 バルドルを仕留めたにも関わらずカルナの表情に油断はない。

 槍を携える姿も、残心というよりは次なる戦場を見据えているといった風情だ。

 ──そう、次だ。

 

 そもそもの話──カルナの敵はバルドル(・・・・)ではない。

 彼が終始一貫して警戒し続けるのは神などではなく。

 

「じゃ,後はよろしく我が化身(マスター)──君の英雄譚(物語)を語るがいい」

 

 そう言って、光神はふらりと気を失う様に身体を倒していき──。

 

 

「──『バルデルス(・・・・・)』」

 

 

 鋼の意思を感じさせる声が聞こえたと同時に倒れるはずの身体が踏みとどまる。

 神へと変容した容貌。

 神へと返上した肉体。

 しかし、その蒼鋼(メタルブルー)の瞳に宿る意思は紛れもなく。

 

 

「──他ならぬ英雄(オレ)が断言しよう。その魂、もはや現世の魔術師に留まるまい。ユグドミレニアを救わんとする英雄(・・)よ。貴様を倒さねば、聖杯には届かないと確信していた──故に」

 

「約定の刻だ。決着をつけるとしようか──“黒”のアサシンのマスター」

 

 

 

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