エレジアの不響和音 作:匿名P
「みんなーまたね!」
ウタはその後も歌い続けライブも終わりを迎えた
「ウタ!かっこよかったよ!」
ウタが帰ってくるとビビが目を輝かせてウタに近づく
「えへへ、ありがとう」
照れ笑いをしながらウタが言う
「いいライブだったよ」
キールが優しく微笑みながらウタに言った。ゴードンもキール言葉に頷いている
「ありがとう、キールさん、ゴードン」
「休んでくるね」
ウタは戻ってくるとキール達にそう言って自分の部屋に入っていった
「あぁおやすみ」
「ウタってすごいね」
「ウタ自身、辛い思いを何回もしてきたからね…ただそれを乗り越えて強くなっている」
「辛い思い…」
ビビは部屋で引きこもっていたウタを思い出す
「ウタにとってはあんなの
「…(あの2人ってどことなく似てると思ったらそういうことね)」
ビビはキールの言葉を聞いてルフィとウタを照らし合わせた
「ありがとうキールさん。おやすみなさい」
「うん。おやすみ」
次の日にはファンから手紙が大量に届いていた。悪党に立ち向かうウタの姿に心を打たれた人も多かった
「準備はできたかい?」
「うん!ばっちりだよ」
「じゃあ行こうか」
ウタ達が宮殿の外に出るとT・ボーンが船へ案内するために待っていた。船へ行く途中、ファンからの歓声にウタは笑顔で応えた
「ウタ、じゃあね」
ビビはウタと離れてしまうのが寂しく俯いていた
「いつか会えるよ!だから笑顔でいこうよ」
ウタもビビと会えない寂しさはあるが、シャンクスが言っていた「笑顔で別れようじゃねぇか」という言葉を心に刻んでいた
「うん!」
「じゃあね!」
ウタはそう言うと船に乗り込んだ
「「またねー!」」
ビビとウタはお互いが見えなくなるまで手を振り続けた
「次の場所はシャボンディ諸島だから時間はある。ライブに向けて練習しよう」
「うん」
______
「センゴク元帥。T・ボーン大佐からご報告が」
センゴクが雑務をしている途中に海兵が報告のため部屋に入ってくる
「なんだ?」
「この前行われたUTAのライブで元帥殿が言う通りに警備の兵を増やしたんですが、会場にいた兵が全滅したとの事です」
「……」
雑務をしていたセンゴクの手が止まった
「元帥殿?」
「「何をしてるんだ!!!」」
センゴクの突然の怒号に海兵は体の震えが止まらない
「これ以上警備兵は増やせん!!もう一人大佐を同行させろ!」
「了解しました」
「またお前さんか」
ガープがのんきに部屋に入ってくる
「ガープ中将!」
「今度はなんだ!」
「報告じゃよ」
「報告だと…!」
「わかった。外してくれ」
海兵はそう言われると部屋を出ていった
「はっ!失礼しました」
「で…何の報告だ?」
「実はのう、UTAの警護にあたっているT・ボーン大佐から随時報告をするように言っておるんじゃ」
「そしたらUTAのボディガードにフードで顔を覆った人間がいたそうじゃ。そいつの名前はキールというらしい」
「…!?」
黙って聞いていたセンゴクが眉をひそめる
「顔を見ないと本人がどうかはわからん」
「じゃが、警戒はしておいた方がいい」
ガープは1呼吸置いて話す
「あぁ手遅れにはさせない」
そう言ったセンゴクの目はまっすぐ前を見ていた
______
「今回は海賊の侵入を許してしまい大変申し訳ございません!」
アラバスタを出てからしばらくしてからT・ボーンがウタに謝った
「大丈夫だよ。あの人達にはライブを盛り上げてもらったから」
「しかし…」
ウタがいいと言ってもT・ボーンにとっては失態もいいところである
「海軍の人ってみんな固いの?私がいいって言ってるんだからいいよ」
「恩に着させていただきます」
T・ボーンはウタに深々と頭を下げた
「じゃあ着いたらまた呼んでね」
ウタが部屋に戻っていくとキールとゴードンもそれに続いて戻って行った
「次はどこに行くんだ?」
練習部屋に入るとキールがフードを外しながら言う
「シャボンディ諸島だ」
「あそこはあまりいい噂は聞かないが…」
海軍本部が近いというのに人身売買が行われていることを知っているキールは次のライブも何かが起こると思っている
「これはライブツアーのようなものだからね。仕方ないところもある」
「大丈夫だよ。私のライブは誰にも邪魔できないんだから」
「ライブ自体は心配はあまりしてないが、着いてからライブが始まるまでが心配だ」
キールは誘拐など平気である場所だと思っている
「それも大丈夫だよ。だって、キールさんが守ってくれるんでしょ?」
ウタがキールに安心しろと言わんばかりに笑顔を向ける
「確かに。じゃあ島に着いたら私の傍にいるんだぞ」
「うん!」
ウタが首を縦にブンブンと振る
「私は…」
ゴードンが気まずそうに会話に入ってくる
「ゴードンは大丈夫でしょ」
ウタがズバッと言い斬った
「…でも一応"元"国王だから」
ウタに斬られたのが相当効いている
「"元"でしょ。今はただの一般人じゃん」
「……それもそうか」
TKOされたゴードンは言い返す言葉が見つからない
「ハハハ、ゴードンも傍にいればちゃんと守ってあげるから。私達は
ゴードンが完膚なきまでに叩き潰される様を見てキールが笑う
「そうだな」
「うん、そうだね」
ゴードンとウタが
「キールさんはやっぱり優しいね」
「当たり前だろう。
苦労人T・ボーン