エレジアの不響和音 作:匿名P
「何を書いているんだ?」
ウタがライブの練習をしない間にノートに何かを書いていた
「これはね旅のことを歌にしたいから歌詞を書いてるんだ」
「旅か…いい曲ができそうだね」
「一生の思い出だもん」
「一生の思い出か……」
______
「着いたー!」
ウタが背伸びをしながら言う
「……!?」
キールは降りるなり異様だが懐かしい気を感じ取った
「こちらです」
T・ボーンがウタ達の前に立ち言う
「すごーい!このシャボン」
ウタは楽しそうに近づいてきたシャボンをつつく
「あまりはしゃぎすぎるんじゃないぞ」
ゴードンが慌てて注意する
「大丈夫だよ」
ウタはそう言うと前を向き歩き出した
「少しくらいいいじゃないか」
キールがフード越しに言う
「だが、ここは…」
「キールさんが守ってくれるんだから大丈夫に決まってるでしょ」
「ゴードンは気にしすぎなんだよ」
キールがこう言うとゴードンとすっかり黙ってしまった
「わぁー!すごい観覧車!」
ウタは見慣れない乗り物・建物・風景に心を踊らせていた
「…」
キールはフード越しにウタを微笑ましく見る
「これほどまでとは…」
ゴードンもウタ同様に見とれている
「…!?」
何かが迫ってくる音ともにキールが振り返り刀を抜き構える
「ウタは頂いていくぜぇー!!」
トビウオのような乗り物に乗った男達がウタを攫おうとしてきた
「
キールが刀を振り上げたまま止まると男達が後ろから現れた黒檻に捕まった
「くそっ!なんだこれ!」
男達は必死にもがいているがビクともしていない
「諦めが悪い男、ヒナ嫌い」
黒い手袋をとりながらウタ達の元へやってくる
「T・ボーン大佐、案内するのはいいけど護衛もしっかりやって。私まで来ることになったんだから」
ヒナは元帥に護衛を頼まれ来ている
「は、はい!申し訳ございません」
T・ボーン大佐はウタに向かって深々と頭を下げた
「あなた、攻撃しようとしなかったのはなぜ?」
ヒナはキールの方に振り向くと不自然に止まったことを問いただした
「…」
キールは答えようとはしなかった
「そう…(只者ではないわねってことは…やはり…)」
ヒナは一瞬考えるような素振りを見せたがすぐにウタの方へ振り向いた
「あなたの護衛をすることになったヒナよ」
「護衛はキールさんだけでいいのに」
「そうでしょうね。これほど強い人がいれば海軍すらいらない気がするけど…」
ヒナはキールの佇まいから只者じゃないと判断した
「でもね、万が一に備えておかないと」
「では皆さんこちらです」
ウタ達の会話が一区切りついたのを見計らってT・ボーンが再びライブ会場へ案内する
「部屋はこちらでございます」
部屋に着くとウタとゴードンはさっそくライブの練習を始めた
「外へ行ってくる」
「あとでねキールさん」
キールはウタに頷くと外へ出ていった。キールのあとをついて行く人影が1つあった
「…ここら辺にいるはず」
キールは島についた時に感じ取った異様ながらも懐かしい気をたどっていた
「誰かと思えば」
キールの前から歩いてくる人物がいた
「キールじゃないか!!」
前から現れた人物は馴れ馴れしくキールの肩を抱いた
「久しぶりだなレイリー」
「一緒に飲まないか?」
「もちろんだ。だが、その前に…」
キールはあたりを見渡す
「つけられてるな」
「振り切ったと思ったが勘違いだったか」
「…!?(嘘…!?この島に冥王がいるの!?それに冥王とあの男にどんな関係が?)」
キールのことを尾行していたのはヒナだった。ヒナはウタの護衛という他にキールという男がどういう人物なのかを調査する任務があった
「少し寝ていてもらおうか」
「そうだな」
キールとレイリーは目を合わせると2人同時に覇王色の覇気を出した。これによりヒナは気絶してしまった
「さぁ行こう!」
______
「かなり時間が経ってしまったな」
「私たちの時代はもう終わっている」
「金獅子は捕まり、白ひげは逝った。取り残されてしまった」
「あぁ…ただこれから始まる
「それはそうだな…」
「私は未だに覚えているよ。お前があの日1人で来たことは」
「生きていることも衝撃だったが、1人で来るとは予想だにしなかった」
「あの時か」
キールはゴッドバレー事件から1年も経たないうちにロジャー海賊団の元を単身で訪れていた
「来るなり赤ん坊のことを抱っこしたからな」
「勝手に赤ん坊の世話を押し付けてしまったからね。赤ん坊の様子を見に行っただけだよ」
「あの日はずっと飲んでいたな…懐かしい」
キールはロジャー海賊団を訪れた日に三日三晩飲んでいた
「あの時お前もうちへ来れば良かったじゃないか」
「私はあの人について行くと決めていた。あの人が死んだら海賊からは身を引くと決めていたからな」
「そうか…それと大丈夫だったのか?」
「エレジアでの件は大丈夫だ。私達には何も無い」
「シャンクスがあんなことをするとは思ってもいなかった」
「あの事件の犯人はシャンクスじゃないからな。気にする事はない」
「シャンクスではないのか…あいつというやつは」
レイリーにはシャンクスがやったことがなんとなく想像できた
「シャンクスは大人だ。どの大人も認める大人だ。あいつは器がとにかく大きい」
「そこまでになっていたか…嬉しいものだ」
レイリーはシャンクスのことを聞き笑顔で酒を飲む
「さすがだろう。
レイリーってかっこいいよね