エレジアの不響和音 作:匿名P
「君は海賊が嫌いだったな」
キールはご飯を食べている途中であるにも関わらず席を立ち上がろうとする
「待って、キールさん。続けて」
「え?わかった」
「私は今から30年以上も前に壊滅した海賊団の副船長をやっていた」
「その海賊団は当時世界最恐と言われていた。
「だが、その海賊団の
「そんな海賊団もゴッドバレー事件によって壊滅した」
「世界貴族である天竜人を殺そうとした我々を海軍と海賊王・ゴールドロジャーが手を組み、防ぐ形で戦ったのがゴッドバレー事件だ」
「その事件で船長であるロックスは亡くなった。船長が亡くなったことで海賊団は壊滅。私はその後故郷であるエレジアで第2の生活を送っていた」
「そして10年前この島の時は止まった」
「これが私の過去だ。黙っていてすまなかった」
「キールさん、でもあなたは今海賊じゃないんでしょ?」
「そうだが…私がやってきたことは許されることではない」
「キールさんは優しいよ。ちゃんと過去のことを反省してる。それにキールさんが海賊をやっていたなんて私には見えない」
「私には余る言葉だ。ありがとう」
キールはウタに頭を下げる
「だからさ、私が許してあげる!みんなで幸せに暮らそうよ!」
「そんなことを言ってくれるのか…君は器が大きいな」
ウタはキールに向けてニカッと笑った
「そろそろ本当のことを話してあげてもいいんじゃないか?」
ウタが寝た後キールとゴードンは話していた
「…ダメだ。彼と約束したんだ。ウタには本当の言葉伝えないと」
「本当のことを知った時彼女は苦しむ。時が経てば経つほどだ」
「…」
ゴードンは何も言わない
「承知の上か…」
「おはよう。キールさん」
ウタが部屋から出てくるとキールは椅子に座って紅茶を飲んでいた
「おはよう」
「ゴードンは?」
いつもならキールとゴードンはウタが起きた時には既に起きている
「まだ寝てるよ。寝かせてあげてくれ。夜まで曲作ってたからね」
「そう、ちょっと外に出てくる」
「うん。いってらっしゃい」
「元気だな。ウタは」
「キール、ウタは?」
ウタが出かけてからちょっとしてゴードンが起きてきた
「ゴードンか。ウタなら外に行ったぞ」
「そうか。ん?なんだそれは」
キールの持っている手配書がゴードンの目に留まった
「ルーキーらしい。止まることを知らないなこの時代は」
キールが見せる手配書には麦わら帽子を被った青年が写っている。彼にかかった懸賞金は3億ベリーと書かれている
「ウタには見せないであげてくれ」
キールは手配書を部屋の中に隠した
「わかってるよ」
「ただいま」
2人が朝ご飯の準備をしている時にウタが帰ってきた
「お、帰ってきた。おかえり」
「おかえり、ウタ」
「朝ご飯作ってるの?私も手伝うよ」
「いただきます!」
3人で準備をしたおかげで朝ご飯はあっという間にできた
「ウタ、今日は来週のライブに向けて練習するんだよ」
ウタは今話題の歌姫のため、ライブの依頼は絶えない
「うん」
「私は漁にでも行くか」
ウタはライブに向け練習、ゴードンもライブに向け曲の制作・ウタのサポート、キールは食料調達のため漁へ出かけた
「ただいま」
「おかえりなさい!キールさん、いっぱい捕れた?」
「あぁ大漁だよ」
そう言うとキールは魚がパンパンに詰まった袋を見せる
「やった!」
ウタは両手でガッツポーズをする
「今日は私が作るよ。ウタとキールは休んでくれ」
「いいのか?」
「いいんだ。これくらいしないと」
ゴードンはキールから袋を受け取るとキッチンへと向かった
「私は休んでるね。出来たら呼んで」
ウタは自分の部屋へと入っていった
「私も休んでるよ」
キールも自分の部屋へと入っていった
「ちょうど出来たところだ」
キールが自分の部屋から出ると食卓には晩ご飯が並んでいた
「ウタ、できたよ」
ゴードンがウタの部屋をノックして呼ぶ
「…」
ウタが自分の部屋から出てきた
「外、行ってくる」
「ウタ、ご飯は?」
ゴードンの声に聞く耳を持たずウタは外へ行ってしまった
「呼んでくる」
キールもウタの後を追うように外へ出ていった
「…キールさん」
ウタはキールと初めて会った砂浜に座っていた
「なんで来たの?」
キールはウタの隣に座った
「…知ったんだろ?10年前の事実を」
「え?なんで」
「私はある程度の感情はわかるんだ。けど今のウタにはそれが感じられない。まるで心に穴が空いてしまったように」
「私は悪魔の子なんだよ」
「そんなことはないよ」
「そんなことなくない!私は10年前この島を滅ぼした!ずっとシャンクスがやったと思ってた…けど事実は違う!」
「あれは事故なんだ。誰も悪くはない。悪いのはあの魔王だけだ」
「君は強いよ。誰も悪くないのに責任を取ろうとしてるんだ。それに君はどうしようもない私に生きる目的を与えてくれた」
「君は悪魔の子なんかじゃない。君は優しい子だよ」
「泣きたい時は泣けばいい。苦しい時は誰にでもある」
「ひっく、うわぁぁん」
ウタはせき止めていた涙が止まらず流れてきた。ウタはキールの肩を掴んで思いっきり泣いた
「辛いよな。君は頑張ってるよ」
キールはウタの頭を優しく撫でる
「もう大丈夫か?」
ウタが泣き止んだのを見て声をかける
「うん。ありがとう。1人にしてくれる?」
ウタの目は泣いたため赤くなっている
「あぁわかった。辛かったら私でもゴードンでも頼りなさい。君は1人じゃないんだ」
キールの言葉にウタは首を縦に振った。キールはウタの元を去っていった
「会いたいよぉシャンクス」
ウタはキールがいなくなり1人になった後でも泣いていた
「いい娘を持ったな。シャンクス」
ウタの独り言が聞こえたキールは10年前、罪を被ったシャンクスを思い浮かべた
「キール!ウタは?」
ゴードンは晩ご飯を食べずに待っていた
「1人にしてあげてくれ」
「彼女は真実を知った。もう隠す必要はないんじゃないか?彼女が苦しんでる時は支えてあげよう」
「そうか…ウタは苦しんでるのか」
「親代わりなのに情けない…ウタが苦しんでるのに気づかないなんて」
ゴードンは自分の不甲斐なさに頭を抱える
「気づかなくて当然だ。ウタは全て1人で抱え込もうとするんだ」
「ただウタは1人じゃない。私達がいるんだ」
キールの言葉にゴードンは頷いた
「ただいま…ってさすがに寝てるか」
ウタが帰ってくる頃には2人はもう寝ていた
「?これは」
ウタの分の晩ご飯の隣に手紙が置いてあった
「今まで黙っていて申し訳ない。シャンクスと本当のことは言わないと決めていた。君が本当のことを知ったら苦しむだろうと思って言わなかった。だが、君は自分で知ったそれ故に返って君には辛いことをさせてしまった。すぐに立ち直ることは難しいだろう。だから苦しい時は私達を頼って欲しい。私達に出来ることなら何でもやる。君は1人じゃない。おやすみ
ゴードン」
「ありがとう」
ウタの頬を涙が自然と伝っていた
キールは50代で見た目は黒髪のツーブロックで身長は185センチくらいです。口調はレイリーに似てますがたまたまです
ウタは今回でシャンクスは無罪だと分かったんですが、ファンが海賊にされた悪いことは事実なので、全てというわけではありませんが海賊はまだ嫌いです
次でとうとうウタ達は海に出ます