エレジアの不響和音   作:匿名P

27 / 44
力無き者

「暗いね」

ウタ達は海底を通るため暗い深海を進んでいた

 

 

「確かに深海には光が届かない。だから寒くもなる」

 

 

「そうなんだぁー来たことないからわからないや」

 

 

「当たり前だよ。普通に暮らしていたら来ることはないからね」

キールが苦笑いしながら言う

 

 

「何があるのかな?」

ウタが船を覆っているシャボンに身を寄せて外を見る

 

 

「それは自分の目で見てみるといい」

 

 

______

 

 

ブルブル、さむー」

ウタは半袖にパーカーを着ただけのため十分に寒さ対策ができていない

 

 

「その格好はそうなるよ…」

キールはウタに上着を着るように言っていたがウタは聞く耳を持たなかった

 

 

「はいこれ」

キールは上着を持ってくるとウタに渡した

 

 

「ありがとう!」

ウタはキールから上着を受け取るとすぐに身につけた

 

 

「そろそろ魚人島です」

 

 

「魚人島?」

 

 

「海底には魚人の国があるんだ」

 

 

「海底に住んでるんだ」

 

 

「うん。この海には色んな種族がいるんだよ」

 

 

ドゴォーーン!

 

 

「…!?なんだ!?」

突然船体が激しく揺れウタ達はよろめく

 

 

「何が起こってる!!」

指揮を取っていた船員が声を荒らげる

 

 

「わかりません!いきなり船体に衝撃が」

 

 

「…ウタ、部屋に戻っていなさい」

 

 

「え?どうして?」

 

 

「君は能力者だ。万が一海に放り出されたら、何もできない」

 

 

「わかった…」

ウタはしぶしぶ納得すると部屋に入って行った

 

 

ドゴォーーン!

 

 

「一体誰が…?」

再び船体が激しく揺れ体勢が崩れる

 

 

「おいおい人間が少ねぇな…」

 

 

「なぜこんなことをする?」

キールの前に現れたのは魚人・ホーディーだった。そのまわりにも何人か魚人がいる

 

 

「決まってんだろ!復讐するんだよ」

 

 

「誰に?」

 

 

「「お前ら人間に決まってんだろうが!!」」

 

 

「無謀なことを…(激しい憎悪、憎悪で力を増している)」

 

 

だまれ!俺たちよりも弱い下等人種が!」

 

 

「下等人種など存在しない。人種など関係ない。みんな平等なんだ」

 

 

「うるせぇな!大人しく死ね!」

 

 

「…!?みんなが死んでしまう!」

キールは刀を抜くとシャボンの外に飛び出し、ホーディーに向かっていく

 

 

「撃み…ヴッ!」

キールの1振りでホーディーに刀傷がつく

 

 

「下等人種がペラペラと黙れ!」

 

 

「下等人種…君たちは何かされたのかい?」

キールは船内に戻りフードに付いた水滴を払う

 

 

「いや何も…!」

 

 

「…そうか。なら、君らがと下等人種などと言う資格はない」

 

 

「…図に乗りやがって!!」

ホーディーは攻撃をしようと構える

 

 

「当事者の気持ちを知らない力無き者が首を突っ込むな!」

キールはホーディーが瞬きをした隙に斬ると刀を鞘にしまう。その瞬間、ホーディーが血を吐き気絶した

 

 

「船を進めてください。問題はありません」

キールは船内に戻ってくるとそう言った。船はキールの言葉を聞いて海底を抜けるため進み出した

 

 

______

 

 

「地上に戻ります」

 

 

「長かったー」

長かったウタ達の旅も終わりが近づいてきたことを示していた

 

 

「やっと帰れるな」

ゴードンが清々しい顔で言う

 

 

「あぁ、何も起こってないといいが」

キールの顔を打って変わって心配そうであった

 

 

「起こるも何も国民がいないんだから何も起きないよ」

 

 

「それはそうだが、なんだか胸騒ぎする。さすがに問題起こり過ぎ…」

キールは頭を抱えて悩んでいる

 

 

「……」

ゴードンはそんなキールをただ見るしか出来なかった

 

 

「キールさん元気?」

さっきまで部屋にいたウタが出てきて、頭を抱えたキールを心配に思った

 

 

「あぁなんでもないよ」

 

 

「そう?そんな風には見えなかったけど」

 

 

「ん?まぁそういう時もあると思ってくれ」

 

 

「…(ウタにそんな言い訳は効かないぞ)」

 

 

「うん。わかった」

ウタはあっさりと言った

 

 

「…!?(効いたーー!?)」

 

 

「何そんな驚いてんの?」

ゴードンがとても驚いた顔をしていたためウタが怪訝そうに尋ねる

 

 

「いや、なんでもない」

 

 

「うっそだー!何かあるでしょ?」

 

 

「本当に何もないんだ!信じてくれ!」

 

 

「話してくれるまで返さない」

 

 

「まぁまぁ落ち着けウタ。余計な詮索をするのは避けよう。ゴードンのためだ」

 

 

「…次は返さないよ」

そう言ったウタの目は鋭かった

 

 

「なんで私だけ…」

ゴードンは膝から崩れ落ち嘆いた

 

 

「ゴードン、ウタ止めたからさっきの考えるなよ」

キール話してくれゴードンにこっそり耳打ちすると部屋に戻って行った

 

 

「…わかった」

 

 

______

 

 

「着きました」

船員がウタ達に到着を伝えると、即座に荷物をまとめ船を出た

 

 

「やっと着いたーーー!!!」

エレジアに着いたウタ達は荷物を背負い懐かしい風景を見ていた

 

 

「久しぶりだな」

 

 

「懐かしいと思ってしまうな」

 

 

「エレジアはそれくらい私たちにとってかけがえのないものということだ」

 

 

「ねぇ早く行こうよ!」

ウタに急かされキールとゴードンは家に帰った

 

 

「ただいまー!」

ウタが元気に扉を開けて入る

 

 

「じゃあ荷物を片付けようか」

ゴードンがそう言うとウタ達はそれぞれ自分の部屋に入って行った

 

 

「〜〜♪♪そろそろだな〜」

ウタは片付けを終わらせると途中だった曲作りの続きを始めた

 

 

「久しぶりに磨くか」

キールは腰の刀の結び目を解き、刀を鞘から抜くと研磨し始めた

 

 

「楽器の手入れをまとめてやらなければ」

ゴードンは楽器を整理すると1個ずつ丁寧に手入れを始めた

 

 

「次使ってくれる人なんていないよな…」

キールは光を受けて輝く刀を見てそう言った

 

 

「一緒に死ぬか?」




アンケートありがとうございます(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。