エレジアの不響和音 作:匿名P
「2年振り…か」
ウタが船に乗り、景色を見ながら呟いた
「緊張するのか?」
キールが隣でウタと同じように景色を見ている
「なんだろう…緊張するっていうか、なんか変な感じ」
ウタが苦笑いして言う
「そうか…2年は短いようで長いからね」
「でも、久しぶりにみんなに会えるって思うと楽しみだよ」
「それなら良かった。楽しむのが1番だから」
「うん。久しぶりに外に出るのが懐かしく感じるよ」
「確かにね。3人でまた旅が出来るのは嬉しいよ」
「私も。もうしないと思ってた」
「ウタ。そろそろ練習するよ」
ゴードンが船内から出てくる
「はーい」
「頑張って」
キールは笑顔でウタに言った
「うん」
ウタはゴードンのあとに続いて船内に入っていった
「ソウルキング……彼に期待するしかない」
キールが呟いた独り言は澄み渡る青空に吸い込まれて行った
______
「改めて鬼神・UTAの件について会合をしたいと思います」
キールがエレジアで海軍の軍艦を何隻を沈めたことで海軍では緊急会合が開かれた
「昨日鬼神が海軍の軍艦を襲い、7隻が沈められました」
ブランニューが前に出て司会を務める
「これは由々しき事態です!
さらに海軍大将・藤虎が応戦するも逃亡。その後エレジア中を捜索するも見当たりませんでした」
「どこかへ逃亡したと思われますが、船が来た形跡はなくどこにいるかはわかりません」
「これまで動きを見せてきませんでしたが、今になって動き出しました。よってこれまでは中立を保ってきましたが、鬼神・キールは見つけ次第逮捕
しかし、相手は四皇2人に勝利した怪物です。単独での捕獲に動けるのは海軍大将のみとします」
ブランニューの発言に場がザワつき始める
「それではいつまでも捕まらないぞ!」
海軍将校が声を荒らげる
「お前さん。キールをなめすぎじゃ」
ガープが声をあげた
「どういうことですか?」
「やつは歳こそ取ったものの、強さは変わっておらん。ビッグマムとカイドウが負けたのが証拠じゃ。今のわしらでさえビッグマムとカイドウに近づけさえできておらん。そんな奴らよりも強いやつにお前さんみたいなのが挑んだところで死体になって帰ってくるだけじゃ。海軍大将だけというのは適切な判断じゃ」
「…」
英雄と呼ばれるガープに丸め込まれ、海軍将校は黙り込んでしまった
「話を戻しますが、鬼神と会った時は必ず本部に連絡してください」
「続いて、世界の歌姫・UTAについてです。昨日、懸賞金をつけるべきだとお話しましたが、協議の結果、UTAに1億ベリーの懸賞金をつけることが決定しました。理由としては、UTAが世界を滅ぼすことのできるトットムジカを操れるということ、戦闘力においてもビッグマム海賊団、百獣海賊団のNo.2と互角に戦えているということからこの懸賞金額になりました。異論がある方はいますか?」
ブランニューが問いかけるも他の海軍将校は黙って頷いただけだった
「では、それで手配書を発行したいと思います。UTAについては鬼神と共に行動していると見られますので、UTAの捕獲は海軍中将以上の将校のみ単独での行動を許します。しかし、鬼神と共にいる場合は本部へ連絡、単独での行動は禁じます」
「健闘を祈ります」
______
「着きました」
「着いたって〜」
「おっ、着いたか」
各自荷物をまとめ船を降りた
「久しぶりだなーあのシャボン玉も懐かしい」
「戻ってきたか(レイリーも元気そうだ)」
「ライブ会場はこっちだ」
ゴードンの後に続いてウタとキールが会場へ向かう
「ここで色々あったな…」
キールはシャボンディ諸島でレイリーと会ったことやヒナと戦ったことなど様々な記憶を思い出す
「うん。昨日のことみたいに覚えてるよ」
「私もだ。鮮明に覚えている」
「あの時は外に出るのも初めてだったから見るもの全てが新しく見えた。世界ってこんなに広いんだって知ったんだ。でも、私のことを狙う人を多くて危険なんだなって。だけどキールさんがその度に守ってくれた。すごく助かった」
「そんなこといくらでもする」
「でも、今の私はキールさんの力に依存することもない。私がここまで来れたのはキールさんのおかげだよ」
「今更そんなこと…」
キールはウタの言葉に少し照れている
「キールさんが照れてるの初めて見たかも」
「そうだったかい?それは少し恥ずかしいね」
「2人共着いたよ」
ゴードンが会場の前で立ち止まった
「よし、頑張る!」
ウタは頬を叩くと気合いを入れた
「なんだと!ふざけるな!」
ウタ達が控え室の前に来ると中から怒号が聞こえた
「…これ入っていいの?」
「うん。大丈夫なはずだけど…」
ゴードンが気まずそうに言う
「…1回入って見よう」
キールの提案にウタとゴードンは乗り、思い切って扉を開ける
「今までやってき」ガチャ
「これはこれは今回はよろしくお願いします」
さっきまで怒っていたのにも関わらず、ウタが入ってくると態度を豹変させた
「よろしくお願いしま…ってえ?」
ウタは椅子に座っているガイコツを見て固まった
「どうも初めまして。ソウルキングと申します。
パンツ見せてもらってもよろしいですか?」
「「「………」」」
ウタ達はソウルキングの言っていることが分からず黙り込む
「これは失礼」
ソウルキングがウタ達に向かって一礼する
「「「………」」」
「あのー…無視が1番辛いんですが…」
「「「喋った」」」
ウタ達は揃って言った
「今回はよろしくお願いします」
「うん。よろしくね」
「ウタ、早速だがライブの準備をするよ」
「はーい」
「ウタの出演は連絡した手筈通りでお願いします」
「はい。わかっています」
「では、我々はライブの最終準備に入ります」
そう言うとソウルキングのスタッフは部屋の外に出ていった
「じゃあ私たちも行こうか」
ゴードンがそう言うとウタと共に部屋を出て行った
「フード、外したらいかがですか?」
ソウルキングはフードを被ったキールにそう言った
「気遣いありがとう」
キールはそう言うとフードを外す
「…」「…」
お互いに無言の時間が続き部屋は静寂に包まれる
「あなたはどちら様でしょうか?」
「私はウタの付き添い人です」
「そうでしたか…それは失礼しました」
ソウルキングは紅茶を1杯飲む
「いえ………フゥー」
キールは大きくため息をつく
「??」
「ソウルキング…いや、ブルック君」
「!?
なぜそれを!!」
ブルックは紅茶を飲もうとする手を止めた
「麦わらの一味・音楽家ブルック、懸賞金3300万ベリー。
「あなた何者ですか?」
ブルックはキールを警戒する
「私は元々海賊だった」
「そんな方が何の用ですか?」
「ウタ達を君たちの船に乗せてあげてくれないか?」
キールは椅子から立ち上がるとブルックに向かって土下座をした
「!?
頭をあげてください」
ブルックがそう言うとキールは頭をあげる
「何故ですか?」
「ウタは世界から狙われている。今回のライブでも確実になにか起こると思っている」
「君のライブを壊すことになると思うが、それは申し訳ない。でも、ウタにとってライブは大切なものなんだ」
「それでウタさんを船に乗せて欲しいと」
「ウタは君の船長の知り合いなんだ。ウタもルフィ君と会いたいと思う」
「!?
本当ですか?それ?」
「あぁウタの親はシャンクスだからな」
「あの!?それは信じるしかありませんね」
「ウタさんを船に乗せるのはわかりましたが、あなたはどうするんです?」
「私は時代の老いぼれだからね。もう長くは無いよ。だから、私が最後にできるのはウタを呪縛から解いてあげることだ」
「…!?」
ブルックはキールの決意がこもった目を見て心が動く
「…わかりました。あなたの決意踏みにじるようなことをしては男が廃れます」
「ありがとう。恩に着る」
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