エレジアの不響和音 作:匿名P
「……助かった?」
ナミが手で覆っていた頭をあげる。サニー号に乗っている人は全員無事である
「みんな怪我はないか?」
チョッパーが心配そうに全員を見る
「そうみたいだな」
ゾロは全員を見渡したあとキールを見る。その目は驚きに満ちている
「おっさんすっげぇなー」
ルフィが麦わら帽子を被り直してキールに言う
「それ程でもないよ」
キールは服についた水滴を払いながら言った
「あんたキールとか言ったな。何者なんだ?」
サンジが懐疑的な目でキールを見る
「ウタの付き添い人だよ。深い意味はない」
キールは足払いするようにサンジの疑問を躱した
だが、ロビンだけは懐疑的な視線を送り続けた
「キール……昔、存在した大海賊の副船長がそんな名前だったのだけれど、何か知らない?」
「困ったな……そんな昔のことを知ってる子がいるとはね」
キールは困ったような顔をする
「なんだ?おっさん海賊なのか?」
「昔の話だよ。今はもう見ての通りただの老人だよ」
((嘘つけ))
サニー号に乗っている全員がそう思った
「死んだと言われていたけれど……」
「簡単には死にはしないよ」
キールはそう言うと不敵に笑った
「なんであんたが世界の歌姫の付き添いなんかしてんだ?」
ゾロがキールに聞く
「どういう意味だい?」
「大海賊なら世界から狙われるだろ。わざわざ危険にさせる必要無いんじゃねぇのか」
「その心配なら必要ない。ウタはこう見えて充分強い」
キールはウタを見ると表情を変えずに言った
「弟子ってわけか」
「最初で最後の弟子だよ」
キールがそう言うとウタは嬉しそうに笑う
「お話中悪いけど、この後どこに行く?」
「どこって魚人島だろ?」
「馬鹿かてめぇは。今はシャボンティ諸島に海兵がいんだろうが。死にに行く気か?お前は弱いんだから大人しく着いてくればいいんだよ」
「んだとクソコック!!」
「あぁ!?やんのかクソマリモ!!」
「喧嘩すんじゃないの!!」
「目的地が決まってないなら、近くにピリオドという島がある。そこに行くのはどうだろう?」
「ピリオド?」
「海賊が多くたむろしている島だ。故に海軍はいないし、来ることもない」
「えー魚人島に行きてぇ!!」
「今魚人島に行っても海軍に狙われるだけでしょ。それに……ウタだって狙われてる身なんだから」
ナミは新聞を見ると残念そうな顔をする
「どうした?ナミさん」
「ウタに懸賞金1億ついてるわ」
「え!嘘!!」
ウタは新聞をナミから受け取り書いてある金額に目を丸くする
「ウタちゃんが賞金首?戦う歌姫も素敵だ」
「やるじゃねぇか。大海賊の弟子なだけある」
ゾロは口端を少し上げ認めたように笑う
「それよりも……
あなたの懸賞金29億って書かれてるけど」
「「えーーー!!」」
「まだその金額か。変わっていないようだね」
「まだ?」
「それはそのうち分かるよ」
「にしても29億ってどれだけ強いのよ」
キールはその後麦わらの一味に質問攻めにされたのであった
_____
「度重なる会議にはなりますが、今回は緊急です」
ブランニューが海軍将校を集め緊急会議を開いた。理由を知らない海軍将校たちの中には「またか…」という顔をしている者もいる
「なんなんだ」
「シャボンディ諸島で天竜人が斬られるという由々しき事態が起こりました」
「なんだと!?犯人は!!」
「鬼神・キールです」
「!?
だが、シャボンディ諸島には大将・黄猿がいたはず」
「えぇ。おっしゃる通りです。大将がいながら天竜人が斬られるという事態を招いてしまいました。そして、そのキールは麦わらの一味の船に乗り逃亡中です」
「麦わらの一味だと……!!
一体どんな関係が……!!」
「最悪の世代と鬼神が手を組んだ……そうなれば脅威となるのは間違いありません。最大限の注意をお願いします」
「今回の件を受けてキールの処罰を改めたいと思います」
ブランニューは一呼吸置いて話し出す
「まず懸賞金についてですが29億8000万から46億9000万に上げることに決まりました。異論はありますか?」
ブランニューの問いかけにその場にいる海軍将校は黙って首を振った
「キールを見つけた場合、逮捕ではなくその場で殺害して構いません」
ブランニューの発言にその場がザワつく
「それはなんでじゃ?」
ガープが場の落ち着きを待たず、声を上げた
「天竜人からの御命令のようで……」
「……」
ガープはやり場のない怒りを抑え込むように黙った
「鬼神・キールは見つけた場合その場で殺しても構いませんが、一緒にいると思われる麦わらの一味は殺さず逮捕して下さい」
「海兵を無駄死にさせる気か……!!」
ガープは抑えていた怒りを我慢することが出来ず、立ち上がるとその場を立ち去った
_____
「そろそろ着くわよ。準備して〜」
ナミが望遠鏡を覗きながら言う。ナミが覗いている望遠鏡には島が見えていた
「キールがいるなら喧嘩を売られることも無いな」
ウソップが調子良さように言う
「さぁ、もう随分昔のことだ。覚えている人間の方が珍しい」
「ルフィ君、ちょっといいか?」
「ん?なんだ?キール」
「2人で話したい」
キールは一味からの質問攻めが終わり、島も近づいて来た頃にルフィと2人きりで話したいと船首にいるルフィに近づく
「……!!
それホントか!!?」
「本当だ。迷惑掛けるが頼む」
「任せろ。キールの覚悟を無駄にはしねぇ」
ルフィはキールの言葉を聞いて驚いた顔をした後、キールを理解したような顔をする
キールの顔は一切の感情はなく、鬼のような表情をしていた
懸賞金はしっかり四皇クラス